第80回西日本脊椎研究会  抄録 (一般演題3)

11.高齢者腰椎変性側弯症に伴う腰痛に対する低侵襲手術と保存療法の比較検討


JA広島総合病院 整形外科 脊椎脊髄センター

 

山田清貴(やまだ きよたか)、藤本吉範、鈴木修身、橋本貴士、中前稔生、松浦正己、森迫泰貴

 

【目的】高齢者腰椎変性側弯症(DLS)に伴う腰痛に対し、経皮・経椎弓根的に骨セメントと椎間バキューム内に注入する手術(percutaneous transpedicular intervertebral vacuum PMMA injection, PIPI)を施行している。本法と保存療法の治療成績を比較検討した。

【対象・方法】2004年から2011年に当科で加療した65歳以上のDLS患者を対象とした。PIPI群119例(平均77歳)と保存療法群53例(平均77例)に対し観察コホート研究を行い、治療開始から2年間のVAS、ODI、MRI上の骨髄浮腫の変化を比較した。

【結果】VAS、ODIともPIPI群では術後1か月から術後2年間有意に改善したが、保存療法群では改善しなかった。骨髄浮腫は、PIPI群では経時的に縮小しVAS、ODIと相関していたが、保存療法群では縮小しなかった。

【結論】PIPIは腰痛の責任椎間に対する局所治療であり、高齢者DLS腰痛例に有用な低侵襲手術である。

12.腰部脊柱管狭窄症に対する脊椎内視鏡手術の短期成績―術前後の腰痛変化に注目して―

 

山口労災病院整形外科

 

片岡秀雄(かたおか ひでお)、富永俊克、船場真裕、城戸研二

 

【はじめに】腰部脊柱管狭窄症に対して殿部-下肢の症状(痛み、しびれ、筋力低下)や間欠性破行の改善を第一目的として脊椎内視鏡下の除圧手術を施行している。術後に腰痛が改善する症状も多く、腰痛の変化に注目して手術成績を調査した。

【方法】腰部脊柱管狭窄症に対して脊椎内視鏡下に除圧手術を行い、術後1年で調査が可能であった44例(男性34例、女性10例)を対象とした。年齢は平均70歳(54〜85歳)であった。X線の前後屈ですべり率の差がない群を安定群(21例)、差がある群を不安定群(23例)とした。

【結果】JOAスコア(腰痛症)の術前14.7±0.8が術後1年で21.8±0.7、腰痛のVASが術前30.4±3.9が術後1年で19.9±3.1となり有意に改善していた。術後1年で安定群と不安定群で腰痛のVAS、JOAスコア、年齢などの評価項目に有意さは存在しなかった。

【考察】腰痛に関しても調査を続けることにより今後の手術症例の経過予測や手術術式の決定に役立つと考えられる。

13.骨粗鬆症性椎体骨折に対する Balloon kyphoplasty(BKP)の術後成績と画像所見の検討

 

広島市立安佐市民病院


古高慎司(こたか しんじ)、藤原靖、真鍋英喜、宮内晃、泉文一郎

 

【目的】当科では骨粗鬆症性椎体骨折に対しBKPを施行している。MRIを含めた画像所見と術後成績の関連について検討したので報告する。

【対象と方法】2011年6月から2013年7月まで当施設でBKPを行い、術前後にMRIを施行した11例を対象とした。手術時年齢55-85歳(平均74歳)、男性4例、女性7例、施行椎体高位はTh10が1例、Th12が5例、L1が4例、L4が1例であった。検討項目は、術後成績、単純レントゲン所見、MRI所見とした。

【結果】術後成績は優4例、良2例、可3例、不可2例であり、不可の2例に再手術を要した。術後成績について比較検討すると、性別や施行椎体高位、単純レントゲン所見では有意差を認めなかった。良以下の7例では術前後にMRIにて偽関節部や骨セメント周囲にT1Wにて低信号、T2Wにて高信号を認めたが、優の4例では術前後ともに認めなかった。

【考察】骨セメント周囲にMRIT1Wにて低信号、T2Wにて高信号を認めた症例は術前後成績が劣っていた。術後だけでなく術前にもその画像所見を認めることから、術前MRIから術後成績を予想する所見の一つとなる可能性が示唆された。

14.腰痛を伴う腰椎不安定、腰椎辷り症に対してCBT(cortical bone trajectory)固定の利点と問題点

 

白石共立病院 脳神経脊髄外科*1 伊万里有田共立病院 脳神経外科*2

 

本田英一郎(ほんだ えいいちろう)*1、大石豪*1、田中達也*2、桃崎宣明*2

 

【はじめに】侵襲の少ない固定はMISとしてイメージ下に傍脊柱筋を貫通するpedicle screw を使用する機会を経て、さらに脊柱筋にやさしいCBTの固定が開発されて間もないが、本固定の利点と問題点について15例を超えた使用経験より報告する。

【方法】当院でのCBT固定時の工夫として2つのC-image (前後、側面)を使用することで術中のimage 操作を最小限にして感染予防に努めた。そのためには可能な限り目的とする各椎体の透視が垂直になるようにベッド操作にて展開する。またtapを切る際にguide wire を使用してtapの脱落による神経損傷を防ぎ、安全に5.5mmのscrewで最終固定を行った。

【結果】利点は従来の腰部脊柱管狭窄症に対して両側除圧程度の露出で固定が行え、傍脊柱筋の損傷を少なくできた。また高齢者特に骨粗鬆を持つ女性にも比較的強化な固定が得られた。またpedicleの内側より上外側方向へのscrewの侵入であり、神経損傷は極めて少ない。また椎体炎発生に関してもMRIで通常のpedicle screwの状態より鮮明に椎体の炎症状態を把握できる。

【問題点】固定力がfusiionまで十分に強固であるかはまだ未知数であり、当方では2ヶ月間は半硬性コルセットによる外固定を追加している(現在までCageの逸脱症例は見られていない)。

【結論】術後の創痛はMIS(pedicle screw固定)より、明らかに小さいが、CBT固定に外固定の必要の有無には一定の見解が得られていない。