第80回西日本脊椎研究会  抄録 (一般演題4)

15.腰痛に対して腰椎1椎間固定を施行された6症例の検討


高松赤十字病院 整形外科

 

小坂浩史(こさか ひろふみ)、三代卓哉、岩瀬穣志

 

【目的】脊椎疾患の中で腰痛を主訴とする患者は非常に多く、診断に難渋することも多い。一方、腰痛のみに対して手術適応になることは比較的限られる。2010年10月以降当院で腰痛のみに対し腰椎1椎間固定を施行した6症例の検討を行ったので報告する。

【対象、方法】腰椎1椎間固定術を施行した70例中、下肢痛を伴わない腰痛に対し手術を施行した6例を対象とした。男性4例、女性2例。手術時平均年齢45.3(18〜74才)。平均経過観察期間は14.2か月(2〜24)であった。疾患内訳は腰痛椎間板症3例、腰椎椎間関節症2例、腰椎変性側弯1例であった。評価方法は術前、最終調査時におけるJOA score(改善率)、腰痛VASを用いた。

【結果】手術方法はPLF4例、PLIF2例であった。JOA scoreは術前平均13.6点が最終調査時25点であり平均改善率は74.9%であった。腰痛VASも平均術前93が最終調査時は27.8に改善した。6例中MOBが3例であった。

【まとめ】腰痛に対し1椎間固定を必要とした症例は多数回手術によるfacetの変性や椎間板症によるものが多かった。全例術前より腰痛改善していた。

16.腰椎変性疾患に対するinstrumentation surgery:術中椎弓根スクリュー逸脱についての検討

 

総合せき損センター

 

森下雄一郎(もりした ゆういちろう)、前田健、森英治、弓削至、河野修、高尾恒彰、坂井宏旭、益田宗彰、林哲生、松下昌史、植田尊善、芝啓一郎

 

過去13年間の腰椎変性疾患に対するinstrumentation surgery で、11例(L4:1例、L5:10例)に術中椎弓根スクリューの逸脱による術後根刺激症状を認め、再手術が施行された。今回、腰椎変性辷り症に対するL4-5 PLF術中に、圧測定カテーテルを除圧後にL4-5椎間孔(固定椎間)およびL5-S椎間孔(固定隣接椎間)内に挿入し、固定前・後に椎間孔内圧の肢位(腰椎屈曲一伸展)による変化を計測した。

腰椎伸展と屈曲での椎間孔内圧較差を%pressure={(伸展時圧)−(屈曲時圧)}/(屈曲時圧)×100(%)と定義した。L4-5(n=22)%pressureは固定前122.6±117.67、固定後10.79±12.94で、L5-S(n=16)%pressureはそれぞれ175.92±188.66、219.09±257.33であった。

固定椎間におけるL4神経根への動的ストレスは有意に減少し、固定隣接椎間におけるL5神経根は固定後も動的ストレスに晒されることが示唆された。

17.腰椎変性辷り症の腰痛に対する経皮的椎弓根スクリュー固定を用いた後方除圧固定術の効果

 

三豊総合病院整形外科


森本雅敏(もりもと まさとし)、長町顕弘、高木俊彦、井上和正、阿達啓介、遠藤哲

 

【目的】腰椎変性辷り症の腰痛に対する経皮的椎弓根スクリュー固定を用いた後方除圧固定術の効果について明らかにすること。

【対象】対象は経皮的椎弓根スクリューを用いた後方除圧固定術を行った、男性7例、女性10例(平均年齢66歳、平均術後観察期間7ヶ月)である。

【方法】JOABPEQを用いて術前、最終調査時の評価を行った。CTで骨癒合の有無を調べ、JOABPEQとの関連についても検討した。 【結果】術前後で疼痛関連障害は30.5点から84.0点、腰椎機能障害は55.5点から80.3点、歩行機能障害は29.5点から72.3点、社会生活障害は39.9点から63.4点、心理的障害は42.9点から59.9点に改善した。腰痛VASは69.9から15.8、臀部下肢痛VASは69.4から14.9、痺れは57.9から30.3に改善していた。骨癒合の有無と術後JOABPEQの間に関連はなかった。

【結論】経皮的椎弓根スクリュー固定を用いた後方除圧固定術は腰椎変性辷り症の腰痛に対して改善効果があると考えられた。

18.不安定性腰椎に対する制動術で腰痛は改善されるか?

 

大分整形外科病院

 

大酒井翼(さかい つばさ)、大田秀樹、松本佳之、中山義数、井口洋平、清田光一、木田浩隆、竹光義治

 

【目的】下肢症状に腰痛を伴う不安定性腰椎に制動術を行い、術前の腰痛が改善されるかを調査し、除圧術および固定術を行った症例と腰痛の改善度について比較検討した。

【対象と方法】不安定性のあるL4/5単椎間の腰椎変性疾患のうち、腰痛を有する85例とした。手術術式は、L4/5単椎間の除圧術、SSCSを用いた制動術、椎体間固定術(TLIF)のいずれかを十分なインフォームドコンセントの上で決定した。腰痛の程度は旧JOAスコアの腰痛項目(3点満点)を用いて、術前および最終観察時で評価し、その変化を術毎、術式間で比較した。

【結果】術前の各群の腰痛スコアは除圧群が1.77±0.69、制動群が1.39±2.41、固定群が1.38±0.70で有意差を認めなかった。また、術後の腰痛スコアは除圧群が1.70±0.80、制動群が2.41±0.57、固定群が2.36±0.64であり、除圧群と制動群、除圧群と固定群の間で有意差を認めたが、制動群と固定群の間では有意差は認めなかった。また、術式毎の比較では、制動群と固定群で有意に腰痛を改善した。

【結論】制動術による腰痛改善効果は除圧術よりも優れており、固定術に匹敵する。

19.術後疼痛が遺残しやすい患者の特徴:手術データベースからの分析

 

愛媛大学医学部附属病院脊椎センター*1 愛媛大学大学院整形外科学*2

 

堀内秀樹(ほりうち ひでき)*1、尾形直則*1、森野忠夫*1、山岡慎大朗*1、三浦祐正*2

 

【目的】我々は脊椎手術症例に対し、年齢、性別、主訴、発症から手術までの期間、術式、併存疾患などを記載した脊椎手術データベースを作成し、2008年以降に腰椎手術を施行した症例ではJOABPEQもデータベースに組み込んでいる。今回、術後疼痛遺残しやすい患者の特徴を検証する目的として、術後JOABPEQ疼痛関連障害の改善が得られなかった症例の特徴を、手術データベースをもちいて、改善した症例と比較分析したので報告する。

【方法】対象は2008年10月から2012年12月の間に腰椎手術を施行し、術前後JOABPEQを観察し得た症例136例とした。評価方法としてはJOABPEQ疼痛関連障害の改善で術後獲得点数が20ポイントに達しない場合を効果なし群とし、手術効果あり群、効果なし群にわけてデータベースの各項目、VAS、JOABPEQを検討した。

【結果】効果なし群は、効果あり群と比較し、データベースの各項目では有意差はなかったが、年齢が高く、男性、除圧術、術中出血量が多い傾向であった。また、術前において効果なし群は効果あり群より疼痛関連障害が有意に高いが、両群ともVAS自体はほぼ同程度であった。

【考察】効果なし群は術前VASを大きくつける傾向があり、疼痛関連障害とVASの値が乖離する可能性が示唆された。腰椎手術術前にはJOABPEQの疼痛関連障害とともにVASも注意する必要であると考えられた。