1)骨髄移植を併用したキメラ作成による異種移植法の開発
抗体投与とともに少量の放射線照射とドナー由来骨髄細胞の投与により、レシピエントにmixed chimerismが異種移植の組み合わせで確立されることが明らかとなった。
2)細胞間シグナル制御による小腸移植に対する免疫抑制
マウスを用いた同系小腸移植モデルにおいて、無処置群では18日以内に移植小腸は拒絶された。抗CD8抗体とCD154抗体の投与により、生着期間は延長したが全例100日以内に拒絶される。抗体投与とともに少量の放射線照射とドナー由来骨髄細胞の投与により、レシピエントにmixed chimerismが確立されることが明らかとなった。更に、移植小腸は300日を越えて拒絶されることなく生着していた。
3)大腸癌症例における細胞周期制御系の発現
DNAは内因性・外因性要因により絶えず損傷を受けており、DNA損傷応答ネットワークの活性化により、細胞周期を止め、DNA修復を行い細胞を生存に向かわせます。一方で、損傷が大きく修復不可能な場合、突然変異や染色体異常が蓄積し癌化することが知られています。
大腸癌症例において、細胞周期制御系のひとつであるATM(H2AX)-Chk2-CDK2の経路の発現を調べ、DNA損傷応答と腫瘍形成の生物学的プロセスを探る。
1)分子マーカー発現形式からみた大腸癌に対する制癌化学療法の有効性
大腸癌組織での、細胞増殖活性を示すMIB-1陽性率や細胞の不死化にかかわる異常p53蛋白の発現率を県内の主要病院とともに多施設共同研究を行っている。あわせて、制癌化学療法による、生存率の底上げ効果がそれらの発現パターンの違いに大きく影響されることを見出した。
2)細胞性免疫能に及ぼす周術期管理法の検討
消化器外科手術症例のリンパ球をはじめとした免役担当細胞の機能検査を、術前および術後に経時的に行っている。大きな侵襲を伴う手術の術後には、各種の細胞性免疫能が低下することが示された。これに対し、より低侵襲の手術方法を選択するとともに、同程度の手術侵襲であっても、様々の術前術後管理法に工夫を加え、免疫能の低下を最小限に食い止めることが可能か検索している。
3)消化器癌術後SSI発生を防止するために
体壁の切開を伴う外科手術後には、創が細菌感染することがあります。これを、手術部位感染(SSI)と呼びます。SSIの発生は、医療費の増加のみならず入院期間の延長を余儀なくされ、患者さんの満足度を低下させます。不潔な部位を切開する不潔手術のみならず、清潔手術においてもこのSSIが発生することがあります。当科では、感染症防止マニュアルを遵守するとともに、さらにSSIを防止するためにより有効な方策を開発しています。