切除不能膵癌、再発膵癌に対しては主に樹状細胞(DC)を用いた細胞療法を行っております。DCは強力な抗原提示細胞であり、我々は患者様から遠心回路を用いて採血を行い、その血液からDCを分離・誘導します。このDCに膵癌の腫瘍抗原ペプチドであるMUC1ペプチドを取り込ませて細胞表面にMUC1を提示したDC(MUC1-DC)を完成させます。採血から10日後に患者様の鼡径部にこのDCを皮内投与することにより、体内に存在するリンパ球が刺激・活性化され、MUC1-CTLとして膵癌を特異的に攻撃するという機序です。
現在までの臨床成績ですが、全12例のうち、膵癌術後の肺転移の完全消失を1例、切除不能膵癌の一時的な腫瘍増大の抑制を2例に認めております。
これらの治療の適応は膵癌、胆道癌(肝内胆管癌は除く)に限定されます。通常、2〜3回程度の治療を行います。高度先進医療のために通常の保険診療費以外に1回あたり12万6000円かかります。また症例によっては本細胞療法と抗癌剤(ゲムシタビン)を併用する場合もあります。
2-2 ゲムシタビンを用いた化学療法
切除不能膵癌、再発膵癌に対してはゲムシタビンという抗癌剤を用いた化学療法を行う場合もあります。本薬剤は点滴注射薬であり、生理食塩水に溶かして30分以内に静注します。毎週1回投与を3週間続けて行い、1週間休む、という方法でこれを継続して行います。副作用は骨髄抑制・皮疹・間質性肺炎などがあるようですが、患者様に対してそれぞれ量を調節することにより外来で長期継続治療を行うことも可能です。