田中一宏研究室

山口大学 大学院 創成科学研究科
-博士後期:環境共生系専攻 循環環境工学分野
-博士前期:化学系専攻 環境化学・化学工学コース
山口大学 工学部 循環環境工学科

3年生向け研究室紹介での配布資料は下記からダウンロードしてください。

  • 田中一宏研究室-2025年度卒論配属説明資料-
  • (2024年11月27日に更新しました)

    研究室の内容

    化学工学、物理化学、材料科学を学びます 持続可能な社会の実現に必要な創エネ技術と省エネ技術に貢献する膜分離技術の研究開発を行います。太陽光から水素を製造するプロセスへの応用を目指した水素分離膜、温室効果ガスである二酸化炭素の分離回収を目的とした分離膜の開発などを行っています。高分子材料とそれを焼成して得られる炭素材料からなる分離膜の作製、その性能評価、膜プロセスの設計・解析などの研究開発に取り組んでいます。材料科学、物理化学、化学工学の3つの学問分野を基礎としています。実験、外国語文献購読、勉強会を通じて技術者の卵を育成しています。

    持続可能な社会で膜分離が期待される役割

    想定している膜分離の適用先 ◆太陽光が持続可能な社会の一次エネルギーです。水素はそのエネルギーを貯蔵し運搬するクリーンなエネルギー媒体です。光触媒は太陽光から水素を製造する有望な技術の一つですが、水素と酸素を安全に効率よく分離する技術が必要です。膜分離はその有力な候補です。
    ◆化石燃料は太古の昔に長い時間かけて降り注いだ太陽光の缶詰ですからエネルギー密度は高いけど、枯渇します。持続可能な社会では今現在降り注いでいる太陽光を利用します。総量は大きいけれどエネルギー密度は小さいので、エネルギー消費量の大きな従来の化学プロセスは稼働できません。膜分離法は原理的に省エネ技術なので代替の分離法として有望です。
    ◆太陽エネルギーの利用技術が完成するまでは化石燃料を併用せざるを得ません。この時、二酸化炭素の大気放出は避けたい。従来の技術でも二酸化炭素を捕捉することはできますが、エネルギー消費量が大きい。ここにも膜分離法が期待できます。
    ◆地球上の生物資源は太陽光が化学エネルギーに形を変えたものです。膜素材を再生可能な資源から作ることができれば燃焼によるエネルギー回収でリサイクルができます。

    研究のイメージと膜

  • 高分子素材の合成、高分子膜の製膜
  • 市販の高分子膜の利用
  • 高分子膜から炭素膜への変換
  • ガス透過実験、装置の設計と組み立て、電子顕微鏡観察
  • プロセス計算


  • 膜とはタテ横の寸法に比べると厚みが非常に小さい形に成型した固体です。でも形態は色々です。一枚、二枚と数える膜もあれば一本、二本と数える膜もあります。

    研究テーマ

    ◆高い性能を有する膜素材の開発、それを大面積で欠陥の無い薄膜に成形する技術の開発、適切な膜プロセスの設計という3つの要素技術に関連するテーマで教育研究を行っています。関連する学問分野は材料科学、物理化学、化学工学の3つです。
    ◆膜ガス分離に必要な「材料」から「応用プロセス」まで、幅広い範囲において卒業論文と修士論文のテーマを設定しています。例えば次のようなテーマです。
      ・炭素膜の作製法の開発と応用
      ・高分子膜の改質法の開発と応用
      ・分離膜性能に及ぼす共存成分の影響
      ・膜分離プロセスの開発
    ◆卒業論文と修士論文での主な活動は実験です。そして、主な実験は、高分子重合、粘度測定、IR測定、高分子膜の作製、ミクロ孔炭素の作製、分子ふるい微粒子と高分子の反応、ガス透過分離実験(He, H2, CO2, O2, N2, CH4, C3H6, C3H8, H2O)、材料の評価(電子顕微鏡、X線回折、ガス吸着)、などです。