研究内容
短工程で分子の修飾や分子構造の複雑化を可能にする
新しい合成化学的手法の開発を進めています。
光反応グループ
天然物である(–)-ambroxideの5員環エーテル部に官能基を導入する場合、どのような方法を用いますか?
一般的なアプローチは、導入したい官能基を組み込んだ合成中間体を予め調製し、最後に母体骨格を形成する方法です。しかし、官能基の導入段階やその後の変換工程、母体骨格を形成する段階に問題が発生することも、珍しくありません。また、合成工程数の増加や、高価な金属触媒の利用によるコストの増大も見過ごせません。本研究では、クリーンな光エネルギーを利用した、母体化合物への直接的官能基導入に挑戦しています。
マイクロウェーブ反応グループ
医薬品や機能性有機材料の合成を効率化できる「付加型反応による不飽和結合の修飾法」を開発したい!!
炭素−炭素二重結合への求核剤の付加による官能基導入はマイケル反応として確立されています。しかし、その適用性は、電子求引性置換基が共役した分極の大きなオレフィンに限られています。もし、分極の小さなオレフィンの修飾や、オレフィンの両末端を一挙に官能基化できれば、複雑な分子構造をつくるための新しい方法となります。本研究では、炭素−炭素不飽和結合への付加型反応を基盤としたマイクロウェーブ反応を利用する新しい分子変換法の開発に挑戦しています。