研究推進体の活動
異分野統合による生命システムネットワークと疾患発症メカニズムを理解する
超高齢社会において健康寿命の延長は重要な課題となっています。老化をはじめ様々な疾患を克服し、全ての人が健康で幸福な人生を享受することが一つの目標です。 生命は、生まれて成長し老い、そして終わりを迎えます。どのような生命にもライフサイクルがあり、生命はその時々で変化しながら環境に対応しています。 この過程でDNA障害やシグナル伝達異常が蓄積し、機能不全を引き起こすことが老化の一つの原因と考えられています。 体内では、様々な細胞・臓器が連携を取りながら生命を維持していますが、成長-老化過程でどのような連携を行っているのでしょうか。
このような連携を理解するには、異分野統合による総合的理解が求められます。
実は、細胞は細胞外小胞(エクソソームとも呼ばれている)という100nm程度の小さなカプセルを常に放出しています。
この細胞外小胞には様々な機能性分子が含まれており、細胞から細胞へ受け渡されています。
つまり細胞や臓器は、細胞外小胞を使いコミュニケーションを行っているのです。
細胞外小胞は、様々な生命現象・さらには疾患発症に重要な役割を果たしていることが徐々に明らかになってきています。
さらに、細胞外小胞は治療にも応用できることが大きく期待されています。
様々なコミュニケーション因子に加え、細胞外小胞による臓器間ネットワークを理解することが、生命現象のみならず老化、疾患発症メカニズムの理解につながります。
そしてこの理解が、課題解決の重要な礎となると期待しています。
本研究推進体では、医学系研究科、共同獣医学部、工学系研究科の第一線で活躍している研究者が集まり、「細胞外小胞(エクソソーム)」を中心に成長-老化過程と疾患に至るまでの生命現象全体の統合的な理解と技術開発を目指しています。