私たち神経解剖学講座は、肉眼解剖学実習、骨学実習、脳実習、一部組織学実習に加え、基礎解剖生理学序説、外皮筋骨格系、感覚器・末梢神経系、中枢神経系のユニット講義を担当しています。研究においては、講座名が示すように、主に形態学的手法を用いて脳発達、神経損傷や神経変性疾患にアプローチしています。形態と機能は表裏一体です。形は機能を反映し、機能は形を反映しています。形を見て機能に迫り、そして機能を知り形の本質を理解することを目指したいと思います。
研究内容①
神経損傷時や神経変性疾患の治療標的としてこれまで神経細胞が主でしたが、効果的な治療法はあまり見出されていません。私たちは、病態時の神経細胞を、その「周囲」に存在するグリア細胞や、「さらに周囲」に存在する髄膜などから眺めることで、新たな治療法を探していきたいと考えています。
①-1:病態時におけるミクログリアの機能
脳内には神経細胞以外にミクログリア、アストロサイト、オリゴデンドロサイトといったグリア細胞が存在しています。かつてグリア細胞は神経細胞の補助的細胞と位置づけられ、脇役のようなイメージで捉えられていました。しかし、近年急速にグリア細胞に対する研究が進み、通常状態の脳内で想定以上に重要な役割を担うことが分かってきました。現在では、グリア細胞は神経細胞を操る細胞とまで認識が変わってきています。神経損傷時や神経変性疾患においても、グリア細胞は神経細胞に多大な影響を与えると考えられています。そのような病態時におけるグリア細胞の機能を明らかにし、それを基にグリア細胞を操作することで病態を改善していきたいと考えています。グリア細胞の中でも、特に損傷応答性が強い「ミクログリア」という細胞に着目しています。ミクログリアは脳の実質に存在するマクロファージの一種ですが、脳内の血管周囲や脳を包む髄膜といった特定の部位には、「ミクログリア以外のマクロファージ」が存在します。ミクログリアに加え、そのような特殊なマクロファージにも着目しています。
①-2:病態時における髄膜の機能
脳を包む髄膜のうち最外層に位置する硬膜は、脳を包み保護する膜、または脳脊髄を容れる膜という物理的要素として主に認識されてきました。しかし、硬膜内にリンパ管が存在することが近年明らかになったことをきっかけに、機能面で非常に着目されています。私たちは脳損傷時に硬膜が大きな構造変化を起こすことを見出しています。その硬膜の変化が脳損傷に与える影響を明らかにしていくことで、新たな神経損傷治療法が生まれる可能性を期待しています。
研究内容①
神経損傷時や神経変性疾患の治療標的としてこれまで神経細胞が主でしたが、効果的な治療法はあまり見出されていません。私たちは、病態時の神経細胞を、その「周囲」に存在するグリア細胞や、「さらに周囲」に存在する髄膜などから眺めることで、新たな治療法を探していきたいと考えています。
①-1:病態時におけるミクログリアの機能
脳内には神経細胞以外にミクログリア、アストロサイト、オリゴデンドロサイトといったグリア細胞が存在しています。かつてグリア細胞は神経細胞の補助的細胞と位置づけられ、脇役のようなイメージで捉えられていました。しかし、近年急速にグリア細胞に対する研究が進み、通常状態の脳内で想定以上に重要な役割を担うことが分かってきました。現在では、グリア細胞は神経細胞を操る細胞とまで認識が変わってきています。神経損傷時や神経変性疾患においても、グリア細胞は神経細胞に多大な影響を与えると考えられています。そのような病態時におけるグリア細胞の機能を明らかにし、それを基にグリア細胞を操作することで病態を改善していきたいと考えています。グリア細胞の中でも、特に損傷応答性が強い「ミクログリア」という細胞に着目しています。ミクログリアは脳の実質に存在するマクロファージの一種ですが、脳内の血管周囲や脳を包む髄膜といった特定の部位には、「ミクログリア以外のマクロファージ」が存在します。ミクログリアに加え、そのような特殊なマクロファージにも着目しています。
①-2:病態時における髄膜の機能
脳を包む髄膜のうち最外層に位置する硬膜は、脳を包み保護する膜、または脳脊髄を容れる膜という物理的要素として主に認識されてきました。しかし、硬膜内にリンパ管が存在することが近年明らかになったことをきっかけに、機能面で非常に着目されています。私たちは脳損傷時に硬膜が大きな構造変化を起こすことを見出しています。その硬膜の変化が脳損傷に与える影響を明らかにしていくことで、新たな神経損傷治療法が生まれる可能性を期待しています。

研究内容②
前任の篠田晃名誉教授の研究内容を継承し、辺縁系・視床下部に着目し、広く情動と神経変性疾患の脳科学的解明を目指しています。
②-1:脳の性ステロイド
情動解明の突破口として、情動二分化の典型である脳の性分化の解明に挑んでいます。 脳の性分化に性ステロイドは決定的な影響を持ちます。篠田前教授は、哺乳類脳の性分化の中心領域である内側視索前野・扁桃体領域に、アロマテース(芳香化酵素:アンドロゲンをエストロゲンに変換する)を発現する膨大な数のエストロゲン合成ニューロンが存在することを世界で初めて証明しました。この領域には性差を伴うアンドロゲン受容体とエストロゲン受容体が豊富に発現します。アロマテースは局所的に性ステロイド環境を変化させることで脳の性分化を制御すると考えています。さらに更年期におけるこの領域のエストロゲン合成能の低下が、海馬機能やモノアミン系、アセチルコリン系等の活動調整系と関連して認知症やうつ病の発生に関わるという仮説を立てています。
②-2:斑点小体(stigmoid body [STB])
前任の篠田晃名誉教授の研究内容を継承し、辺縁系・視床下部に着目し、広く情動と神経変性疾患の脳科学的解明を目指しています。
②-1:脳の性ステロイド
情動解明の突破口として、情動二分化の典型である脳の性分化の解明に挑んでいます。 脳の性分化に性ステロイドは決定的な影響を持ちます。篠田前教授は、哺乳類脳の性分化の中心領域である内側視索前野・扁桃体領域に、アロマテース(芳香化酵素:アンドロゲンをエストロゲンに変換する)を発現する膨大な数のエストロゲン合成ニューロンが存在することを世界で初めて証明しました。この領域には性差を伴うアンドロゲン受容体とエストロゲン受容体が豊富に発現します。アロマテースは局所的に性ステロイド環境を変化させることで脳の性分化を制御すると考えています。さらに更年期におけるこの領域のエストロゲン合成能の低下が、海馬機能やモノアミン系、アセチルコリン系等の活動調整系と関連して認知症やうつ病の発生に関わるという仮説を立てています。
②-2:斑点小体(stigmoid body [STB])
篠田前教授は、性ステロイド受容体発現細胞にしばしば共存し、視床下部・辺縁系に特異的に分布する細胞質封入体「斑点小体 stigmoid body (STB)」を発見・同定し命名しました。STBにはハンチントン病関連蛋白質HAP1が局在します。細胞内へのHAP1遺伝子導入でSTBが誘導され、細胞保護的に働くことを示しました。STB/HAP1はステロイド受容体を吸着しその核移行を制御します。特にポリグルタミン伸長性アンドロゲン受容体の核内移行制御を介して、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)で起こるアポトーシスを抑制することを発見しました。現在、私たちは「STB/HAP1 保護仮説」が脊髄小脳変性症や認知症、その他の精神疾患でも成立することを検証しています。それが今後世界的に発展した研究になることを期待しています。
