神経外傷

日本神経外傷学会のガイドラインに従った管理目標を設定し、各種モニタリングを駆使し、24時間体制で厳重な管理を行っています。重症頭部外傷の患者様には積極的体温管理を行って脳の腫れを軽くし、脳を保護する治療をしています。患者様の救命を第一に考え、社会復帰できるようにサポートいたします。

診療内容

交通事故、転倒、転落、不慮の事故。
怪我の原因は様々ですが、多くは本人が意図しない人生のイベントです。
患者様や家族のその後の人生を取り戻すため、当科では軽症から重症の状態に応じて、積極的に治療を行っております。

診療担当医師

・藤山 雄一: 日本脳神経外傷学会専門医・指導医、脳神経外科専門医、JATECインストラクター
・土師 康平: 日本脳神経外傷学会専門医、脳神経外科専門医、日本DMAT隊員、JATECプロバイダー
当施設は日本脳神経外傷学会 研修認定施設です。

認定証

重症頭部外傷

頭部外傷の中でも、来院時の意識障害が強い (Glasgow coma scale 8点以下) 患者様は重症に分類されます。この重症頭部外傷の患者様は、命に関わる状況であることが多く、1分単位で治療開始しないと手遅れとなります。
当院での外傷初期診療は先進救急医療センターの医師と合同で、全身の評価と蘇生を行います。
重症頭部外傷の治療として手術 (開頭術、穿頭術) があります。しかし、それ以上に初期診療から術中、術後の集中治療管理まで、途切れのない治療が重要となります。当科では、頭蓋内圧モニタリングを積極的に使用し、積極的体温管理療法も行います。

軽症・中等症頭部外傷

多くの頭部外傷は、軽症や中等症に分類されます。脳振盪 (のうしんとう)や少量の頭蓋内出血の患者様が多いです。中には手術が必要となることもあります。
特に、血液サラサラ系のお薬 (抗血小板薬、抗凝固薬) を服用されている方の頭部打撲・頭部外傷には注意が必要です。頭蓋内出血している場合、血が止まらず、重症化することもありますので、患者様の状況・状態に応じて中和薬等を用いて対応します。

Think FAST campaign

抗血小板薬内服患者様の頭部外傷について、危険性や医療関係者の方々への啓発活動を実施しています。ホームページをご参照ください。

Think FAST campaign

慢性硬膜下血腫

主に頭部外傷が原因で、軽微な外傷後3週間から3ヶ月で血腫が生じ、徐々に増大して脳を圧迫します。
中高年以上の方に多く、抗血小板薬や抗凝固薬を内服されている方に多いと考えられています。
頭痛や手足の麻痺が認められます。無症状の場合は経過観察や内服加療による保存的加療を行うことがあります。手術は局所麻酔で穿頭 (頭蓋骨に1cmほどの穴をあける)を行い、液性の血腫のドレナージ (体外に排出)を行います。


当科は日本頭部外傷データバンク (Japan Neurotrauma Data Bank: JNTDB) の参加施設です。