研究内容
 一言で言うと、巨大分子の振る舞いの研究という事でしょうか。主にコンピュータ・シミュレーションを用いた研究(高分子計算科学)をやっていますが、実験もやります。この研究には以下のような色々な側面が有ります。

 物理学的側面
  巨大分子のダイナミクス、特に、もつれ合い・絡み合いながら運動し、複雑な構造を形成  する巨大分子の運動の解明が最大のテーマです。結晶のような秩序構造での巨大分子  の振る舞いも非常に興味深い問題です。

 工学的側面
  各種のプラスチックや機能性高分子は、色々な科学技術分野で現在も精力的に研究さ   れています。企業の方と協力してこういった方面の研究にも参画しています。

 生物学的側面
  タンパク質やDNAはもちろん典型的な巨大分子で、恐らく最高の機能性高分子といって  良いでしょう。これらの機能も当然分子レベルから解明されるべきテーマ で、我々もこ   の方向への展開を志向しています。

 情報科学的側面
  我々の有力な研究手法はコンピュータ・シミュレーションです。私の元々のフィールドであ  る物理学に、近年急速に発展している情報科学的手法を取りいれて、新たな境地を開拓  したいと思っています。

学外との関係
 
学外と関係の無い教官はいないと思います。物理的な研究では、古巣の京都大学の先輩・後輩やOBとは今でも盛んに議論をします。良く出かける学会(高分子学会)は半数が企業の人なので、工学的な問題に関しては様々な企業の方と付き合っています。昔何年か過ごしたドイツの友人は今でも良い友達ですし、アメリカほ言うまでもなくこの分野でも研究の最先端を走っていて、多くの競争相手がいます。

趣味
 
あまり趣味と呼べるようなものが無いのがさみしいところです。自然科学関係の本を乱読するのが唯一の楽しみでしょうか?

希望する学生
 
研究手法が物理学的で最近の学生さんは敬遠するようです;少しの物理学(主に力学と少しの統計力学)と計算機の知識が有れば出来る事が多いのですが。

指導方針
 
なかなか忙しくて学生さんの面倒を見る事が出来なくて心苦しいのですが、出来るだけ自発的に研究に取り組んでもらえるよう環境作りをしたいと思っています。現在は部屋が極めて手狭で乱雑ですが、近い内に研究室の環境整備と、研究環境の充実に取りかかる予定です。計算環境や実験環境はかなり良くなるはづですから、勉強する気のある人には朗報でしょう。

学生選び
 
物理や計算機の能力のある学生さんが来てくれると助かります。

メッセージ
 
どのような分野を専攻するにしても、若い間に苦労して、大部分の若者が苦手とする学問を自分のものにする事は将来への大きな投資だと思うのですが。"若いうちの苦労は買ってでもせよ"と昔は良く言ったそうですよ。
研究室紹介