2050年の実質的な温室効果ガス排出ゼロであるカーボ ンニュートラル達成が日本の目標に掲 げられており,世界的な潮流も同様です.そのような中,再生可能エネルギーによるe-fuel,SAF(持続可能航空燃料),水素,アンモニア,バイオマス燃料といった カーボン ニュートラルな燃料を用 いたエンジンは航空機や自動車といった移動体には有用と考えられています.よって,エンジン研究においては,カーボンニュートラル燃料の適 用,有害排気物質の低減,燃焼効率の向上,振動騒音の低減などが求められています.

山口大学エンジンシステム工学研究室では,これらの社会的要求を 満たすべく,エンジンの燃焼・振動・騒音に関して,基礎研究から応用研究まで幅広く取り組んでいます.特に,エンジンの振動・騒音実験を行え る無響室を持った大学の研究室は世界的にも珍しいです.

実機を用いた実験では,ディーゼルエンジンを運転し,振動・騒音解析,燃焼・排気ガス解析を行っています.

基礎研究では,微小重力場における液滴群燃焼あるいはアンモニア液滴燃焼の研究, 燃焼速度計測,水素/空気混合気の狭隘燃焼に関する研究,アンモニア噴霧に関する研究,排気系の流れから発生する音に関する研究,液面燃焼研究,ハイブリッドロケット用固 体燃料に関する研究などなど多岐に渡ります.噴霧燃焼の基礎研究では,液体 ロケットエンジン,ジェットエンジン,ディーゼルエンジン,ボイラなどにおける新しい燃焼手法の開発を目指しています.

研究テーマの多くはプロジェクト研究として行っており,国内のメーカーなどとの共同研究,また,海外の研究者との研究連携も行っています.液 滴群燃焼の研究は,宇宙航空研究開発機構(JAXA),米航空宇宙局(NASA)を始めとする他機関と共同で行っており,国 際宇宙ステーション(ISS)の「きぼう」日本実験棟でも初めての燃焼実験に成功しています.


最近の研究テーマ
エンジン放射音の発生機構に関する研究
・エンジンの燃焼衝撃の構造内伝達・減衰に関する実験・EXCITE PU(AVL)を用いたシミュレーション(リ ンク1リ ンク2リ ンク3リ ンク4リ ンク5
・ 二段燃焼ディーゼルエンジンの音源分布の時間・周波数解析(リ ンク先Report 11参照
・ 二段燃焼ディーゼルエンジンの放射音発生における消音スパイク効果と内部伝達系振動数移動の影響(リ ンク先Report 4参照リ ンク2リ ンク3
・ PCCIディーゼル燃焼時の放射音発生の時間・周波数解析(リ ンク1リ ンク2
・ エンジン騒音の時間・周波数依存発生モデルの構築(リ ンク1
 

●エンジン騒音の解析●


●微小重力場での
液滴群燃焼●



●エンジン模擬条件での
基礎燃焼●



●液体燃料を用いた
マイクロコンバスター●



●ガスタービン噴射弁の
燃料微粒化●



●乱流噴霧燃焼の基礎研究●


●レーザー着火●


●流れ場のレーザ計 測●




●ロケット打ち上げ●
微小重力環境を利用した噴霧燃焼基礎研究
・ アンモニア液滴の蒸発・燃焼リ ンク1リ ンク2
・ 国際宇宙ステーション「きぼう」実験棟におけるランダム分散液滴群の燃え広がり実験-2(Group Combustion-2
・ 国際宇宙ステーション「きぼう」実験棟におけるランダム分散液滴群の燃え広がり実験(Group Combustionリ ンク1リ ンク2リ ンク3リ ンク4 (P16〜19)リ ンク5リ ンク6リ ンク7 リンク8リ ンク9
・ランダム分散液滴群の燃え広がりと群燃焼発生のパーコレーションモデル構築リ ンク1リ ンク2
・ 短時間微小重力場における液滴群要素の燃え広がり実験リ ンク1リ ンク2リ ンク3
・ ジェットエンジン高空再着火模擬条件における低圧から高圧までの燃え広がりリ ンク1リ ンク2
 
ハイブリッドロケット用燃料研究リ ンク1リ ンク2リ ンク 3(P28〜29)
・ 燃料の気化促進に関する研究
 
液面燃焼研究
・ PIVを用いた気体・液体流動計測
 
気流騒音に関する研究
・貫通多孔管型消音器における笛吹音の発生機構の解明(リ ンク1
 
エンジン模擬条件での基礎燃焼研究
・高温・高圧条件におけるノック発生に関する研究(リ ンク1
・ 高温・高圧条件における予混合気の層流燃焼速度計測
・ 液体燃料/空気混合気の層流燃焼速度計測手法の構築(リ ンク1
 
マイクロコンバスター研究
・ 狭隘空間における水素/空気混合気の燃焼
・ 狭隘空間への火炎侵入特性
・ 静電微粒化を用いた液体燃料適用マイクロコンバスター(リ ンク1リ ンク2リンク3
 
液体燃料の微粒化研究
・ アンモニアの噴霧特性
・ ジェットエンジン高空再着火模擬条件における低圧微粒化
・ 圧力噴射弁の微粒化に与える粘度の影響
・ 圧力噴射弁の微粒化に与えるスワール流の影響
 
乱流噴霧燃焼の基礎研究(以前のテーマ)
・ 予混合噴霧流の燃焼機構解明
・ 対向流場における噴霧燃焼の機構解明(リ ンク1
 
レーザー着火研究(以前のテーマ)
・ 燃料噴霧のレーザー着火(リ ンク1
 
次世代ディーゼルエンジン・ガスタービンに関する研究(以前のテーマ)
・ PCCIディーゼル燃焼に関する研究
・ 水素添加ディーゼル燃焼に関する研究(リ ンク1リ ンク2リ ンク3
・ 予混合ガスタービン噴射弁における流れ場・噴霧計測
 
ウォーターミスト消火の研究(以前のテーマ)
・ ウォーターミストによる拡散火炎の消火機構(リ ンク1
 
その他
・ ロケットの製作と打ち上げ
  2000 年度/2001 年度3年生特別講義/2002 年度演習D
  ※本テーマは2003年度以降,機械工学科ものづくり創成実習T航 空宇宙教育コーステーマの一つとして採用されました.

※エンジンシステム研の研究論文リストは三 上Researchmapでご覧になれます.


【ISS「きぼう」での宇宙燃焼実験のニュース】

2018 年度「きぼう」利用フィジビリティスタディテーマとして,「Group Combustion」実験の後継テーマ
「Group Combustion-2」(研究代表者:三上真人教授)が採択!再び宇宙へ!
(2019.3.11)
山口大 学HP掲載JAXA HP掲載
液 滴群燃焼後継実験フィージビリティスタディ「Group Combustion-2」のページ
「Group Combustion-2」のミッションパッチ(提供JAXA)


ISS「きぼう」で初めての燃焼実験「Group Combustion」成功!(2017.3.1 掲載)
JAXA HP掲載Pict- Labo(燃焼動画掲載)CI News letter
液 滴群燃焼実験「Group Combustion」のページ
ガ リレオX「焚火を眺めてサイエンス 火の不思議・燃焼のメカニズム」(「Group Combustion」紹介!)
「Group Combustion」のミッションパッチ(提供JAXA)


H-IIBロケットで燃焼宇宙実験装置本体搭載の「こうのとり」打ち上げ成功! 装置はISS「きぼう」へ到着(2015.8.19)
ISS 「きぼう」用の液滴群燃焼実験装置(GCEM)のページ
液 滴群燃焼実験装置(GCEM)が日本燃焼学会技術賞受賞

ISS米国実験棟Destinyでの液滴列燃焼の宇宙実験「FLEX-2J」のミッションパッチ(提供 NASA)(2015)
※山口大も参加しました.