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9月
Therapeutic Approaches to Cardiac Surgery–Associated Vasoplegia: Evidence, Consensus, and Practical Considerations
心臓手術後の血管拡張性ショック(vasoplegia)に対する最新の治療戦略を、エビデンス・専門家コンセンサス・実臨床での運用方法の観点から総合的に整理したレビューである。 特に、早期の多剤併用(multimodal therapy)と、補助薬(adjunctive agents)のプロトコル化が、治療成績を改善する可能性が高いと強調。心臓手術後の vasoplegia は、全身性炎症反応・NO過剰産生・血管平滑筋の反応性低下などが原因。血管抵抗が著しく低下し、高心拍出・低SVR・難治性低血圧を呈する。発生率は 5–25% とされ、重症例では死亡率が高い。早期介入が予後改善の鍵。ノルアドレナリンが第一選択。反応性が乏しい場合は早期に追加薬を検討すべき。バソプレシンは、vasoplegia では内因性バソプレシンが枯渇していることが多い。早期併用が有効(VANCS trial など)。ノルアドレナリン単独より腎機能保護効果が示唆。補助薬の早期併用とプロトコル化である。メチレンブルー(MB)はNO合成阻害・可溶性グアニル酸シクラーゼ阻害。vasoplegia の病態に合致した治療。早期投与が効果的との報告多数。高用量は注意(肺高血圧・セロトニン症候群)。ハイドロコルチゾン:ステロイドは炎症抑制・血管反応性改善。心臓手術後の vasoplegia に対して補助的に使用。スコルビン酸(ビタミンC)は、内皮機能改善・カテコラミン反応性増強。エビデンスは限定的だが、併用の価値あり。アングiotensin II:AT-II は強力な血管収縮薬。refractory vasoplegia に有効との報告→腎血流改善の可能性。Multimodal therapy(多剤併用)の重要性。レビューの強調点:単剤での血圧維持は困難vasoplegia は多因子病態 → 複数の作用機序を組み合わせるべき。早期にノルアドレナリン、バソプレシン、メチレンブルー を組み合わせることで、昇圧効果が安定し、臓器灌流が改善する。レビューは、プロトコル化された治療アルゴリズムの導入を強く推奨している。利点:治療開始の遅れを防ぐ、薬剤選択のばらつきを減らす、多職種での意思決定が容易、重症例でのアウトカム改善が期待できる
IV Iron Infusions Improve Survival for Hospitalized Patients With Sepsis
2025年ASHで報告された大規模後ろ向き研究(n=34,040)は、鉄欠乏性貧血を合併した敗血症患者に対し、診断後1週間以内に静注鉄を投与した群は非投与群より14・30・60・90日死亡率が有意に低いことを示した。1:1傾向スコアマッチング後も効果は一貫し、RRは0.55〜0.74、HRは0.68〜0.71と改善を示した。従来、感染中の静注鉄は微生物増殖を助長する懸念があったが、本研究は「少なくとも有害ではなく、むしろ生存率改善に寄与する可能性」を示唆する。最適投与時期は不明だが、抗菌薬開始後、臨床的改善が見られれば早期投与が合理的とされる。Nat Rev Immunol 2025;25:885-899
The Emerging Role of Nature-Based Therapies in Pain Medicine
自然環境を利用した「Nature-based therapies(森林浴・園芸療法・グリーンエクササイズなど)」は、従来のウェルネス領域を超え、近年は自律神経、炎症、心理状態、身体活動、QOLに影響する臨床的介入として研究が進んでいる。慢性痛は神経・免疫・内分泌・情動・睡眠・運動・社会要因が複雑に絡む多次元疾患であり、自然環境への曝露はこれら複数の経路に同時に作用し得る。自然はストレス反応の低減、気分改善、注意回復、安全な運動機会の提供を通じて、痛みの持続に関わる生物心理社会的要因を緩和する可能性がある。ただし、自然療法は医学的評価や薬物・リハビリ・介入治療の代替ではなく、補完的手段として位置づけるべきである。慢性ストレスやトラウマからの回復を促す研究も進み、痛み医療の個別化・機序ベース化が進む中、自然療法は科学的検討に値する介入となりつつある。森林や公園が将来「痛み治療の処方」になるかは未確定だが、生物学的根拠は無視できなくなっている。
The Adult Trachea Keeps Growing With Age
本研究は、成人気道が加齢とともに拡大する可能性をCT画像で示したものであり、特に気管の前後径(AP径)が加齢とともに増大する傾向が明確であった。性別と年齢の交互作用は有意でなく、加齢による気道拡大は男女とも同方向に生じることが示唆された。また、成人身長は加齢に伴う気道拡大の主因ではなく、拡大は「体格」ではなく「加齢そのもの」に関連する可能性が高いとされた。この知見は、気道管理を行う臨床医にとって重要である。通常、気管チューブサイズは性別・体格・手術内容を基準に選択されるが、今回の結果は「年齢」も考慮すべき因子となり得ることを示唆する。著者らは高齢者に routinely 大きなチューブを選択すべきとは主張していないが、臨床現場でしばしば経験する「高齢者は予想より大きなチューブを許容する」という印象に対し、解剖学的な説明を与えるものである。もし今後、より広範な集団で同様の傾向が再現されれば、年齢は個別化された気道管理の一要素となる可能性がある。さらに、加齢に伴う軟骨構造の変化という広い文脈にも寄与する。耳介や鼻軟骨が加齢で形態変化することは知られており、部分的に軟骨で構成される気管も同様の変化を示す可能性がある。重力だけでなく、長年の気道内圧が気管拡大に寄与している可能性もあり、今後の研究が求められる。ただし、本研究には重要な限界がある。単施設の後ろ向き画像研究であり、肥満や気道変形例を除外しているため一般化は制限される。また、CT画像の寸法測定のみで、挿管の容易さ、リーク圧、術後症状、最適チューブサイズなどの臨床アウトカムは評価されていない。さらに横断研究であるため、同一患者の経時的変化を直接示すものではない。総じて、本研究は「成人気道は加齢後も静的ではなく、拡大し得る」という従来の前提を揺さぶるものである。現時点で実際のチューブ選択を変更する必要はないが、気道解剖は年齢とともに変化し得るという認識は、今後の個別化気道管理において重要な視点となる。今後、画像所見と臨床アウトカムを結びつける前向き研究が求められる。
Study Links Reopened Procedural Kits To Greater Internal Contamination
ASRA 2026 で報告された「Fluorescent Assessment of Sterile Technique(FAST)」研究は、中心静脈ラインキットと脊髄麻酔キットを用いた 100 件のシミュレーション手技を解析し、キットを一度開封して準備し再び閉じる“reopen method”が、開封後すぐ使用する“open-once method”より内部汚染を大幅に増やすことを示した。中心静脈ラインキットでは、絶対汚染が reopen で 46%、open-once で 8%(P=0.008)、内部汚染は 38% vs 4%(P=0.010)と顕著な差があった。脊髄麻酔キットでも、絶対汚染は有意差がなかったものの(73% vs 58%)、内部汚染は reopen で 69%、open-once で 12% と大きく増加した(P<0.001)。一方、マネキン汚染は両群でまれで差はなかった。セットアップ時間は reopen が有意に短く、中心静脈ラインで 168 秒 vs 298 秒、脊髄麻酔で 59 秒 vs 126 秒と効率性は高かった。しかし、研究者らは「数分の効率向上と引き換えに、内部汚染リスクが大幅に増えることは患者安全上容認できない」と強調した。ASPF の Daniel J. Cole 医師も、再開封による汚染増加は「無菌操作の基本原則—操作が増えるほど汚染リスクが増す—を再確認する重要な知見」と述べ、効率と安全性の緊張関係を指摘した。研究はシミュレーションであり実際の感染アウトカムを示すものではないが、キットは使用直前に開封し、再開封や余分な操作を避けることが汚染リスク低減につながる可能性を示唆している。今後は、これらの汚染イベントが臨床的な感染率に影響するかを検証する前向き研究が求められる。
New Review Finds Opioids Often Ineffective for Acute Pain
シドニー大学による世界最大規模のレビュー(59の系統的レビュー、50以上の急性痛疾患を対象)は、急性痛に対するオピオイド鎮痛薬の有効性と有害性を包括的に評価した。その結果、オピオイドは多くの急性痛疾患において、プラセボと比較して「小さく・短時間のみ」痛みを軽減するに過ぎず、効果がない疾患も多数存在することが明らかになった。胃痛、歯科手術、耳科処置、外傷性四肢痛、分娩後痛、帝王切開、バニオネクミーなどでは短時間の軽度改善がみられたが、四肢手術、尿路結石痛、扁桃摘出後痛、新生児の人工呼吸器関連痛ではプラセボと差がなかった。また、心臓関連痛、子宮摘出後痛、皮膚科領域の局所オピオイドでは一貫した有効性が示されなかった。さらに、急性筋骨格痛、外傷性四肢痛、術後痛ではオピオイド使用により悪心・嘔吐などの副作用が増加し、短期使用でも依存・耐性のリスクが存在する。深刻な有害事象として、誤用、過量投与、入院、死亡が挙げられ、臨床試験では副作用が過少報告されている可能性が高い。研究の一部は単回投与のみを評価しており、実臨床を十分に反映していない点も指摘された。著者らは、「オピオイドは急性痛の万能薬」という広く信じられた前提を覆す結果だと強調する。多くの患者・医師が期待するほどの鎮痛効果は得られず、疾患によっては全く効果がない可能性もあるため、急性痛治療は薬物単独ではなく、より包括的なアプローチが必要であると述べた。非薬物療法は十分に活用されておらず、今後は急性痛に対する最適な治療戦略を明らかにするための厳密な試験が求められる。外部専門家の Argoff 医師も、オピオイドが急性痛に必ずしも有効ではないという点を強調し、「オピオイドが最も効果的な患者は一部であり、より大きな集団では効果が乏しい」と述べ、新規治療の開発の必要性を指摘した。
Surgical History: Physician Signers of the Declaration of Independence
この記事は、アメリカ独立宣言(1776年)に署名した56名のうち、医師としての訓練や臨床経験を持つ人物に焦点を当てた医学史的レビューである。彼らは単なる政治家ではなく、当時の医療・公衆衛生の課題に深く関わり、植民地社会の医療を支えた専門職としての側面を持っていた。署名者の中には、大学で医学教育を受けた者、徒弟制度で臨床を学んだ者、地域の医療提供者として活動した者が含まれ、医師としての経験が政治的判断や社会改革への姿勢に影響したとされる。特に、感染症、外傷、衛生環境の悪さが深刻だった18世紀のアメリカでは、医師は地域社会の信頼を得やすく、政治的リーダーとして選ばれることも多かった。記事は、彼らが医学的知識を背景に、公衆衛生、地域医療、軍医活動、医療制度の改善に関わった点を強調する。独立運動は政治的闘争であると同時に、社会基盤の再構築でもあり、医師署名者たちはその中で医療の重要性を訴えた。また、当時の医療は科学的根拠が乏しく、医師の役割は多岐にわたったが、彼らの活動は医療専門職が国家形成に寄与した初期の例として歴史的価値があると論じている。
Treatment of Shivering during Intrapartum Cesarean Delivery under Epidural Anesthesia: A Randomized Controlled Trial Comparing Dexmedetomidine and Meperidine
本レターは、硬膜外麻酔下の分娩時帝王切開における悪寒治療として、デクスメデトミジン(DEX)とメペリジンを比較したRCTに対し、研究デザイン・解釈・安全性評価に関する複数の重要な懸念を提示する内容である。筆者らはまず、DEXが悪寒抑制に有効である点は評価しつつも、産科麻酔という特殊領域において、母体循環動態・胎児への影響・鎮静の程度など、安全性に関する情報が十分に示されていないと指摘した。特にDEXは、徐脈・血圧低下・深い鎮静を引き起こす可能性があり、妊婦の循環動態や胎児の酸素化に影響し得るため、産科麻酔での使用には慎重な評価が不可欠であると強調している。また、悪寒スコアが主観的評価であり、鎮静によって「悪寒を感じにくくなる」可能性があるため、DEXの純粋な悪寒抑制効果と鎮静による認識低下を区別すべきと述べている。さらに、メペリジン群の投与量・タイミングが最適であったか疑問があり、比較の公平性に課題があると指摘した。悪寒治療の臨床的アウトカム(母体満足度、術中協力、術後回復、乳児への影響など)が十分に評価されていない点も問題視されている。レターは、DEXの有効性を認めつつも、産科麻酔における routine 使用を推奨するには時期尚早であると結論づけている。悪寒治療は重要だが、母体・胎児の安全性が最優先であり、より大規模で安全性を重視した研究が必要であると述べている。総じて、レターは「DEXは有望だが、産科麻酔では慎重な検討が不可欠」という立場を示し、研究結果の解釈に際して、鎮静作用・循環動態・比較条件・臨床的アウトカムの不足など、複数の観点から再評価を促す内容となっている。
Air Pollution Linked to Increased Mortality After Inpatient Surgery
研究者らは、PM2.5曝露と術後死亡の関連を検討するため、地理的地域、手術種類、曝露測定時期、曝露期間の4つの事前規定サブグループ解析を行った。11研究の統合解析では、PM2.5が10 μg/m³増加するごとに術後死亡のハザードが24%上昇(HR 1.24, 95%CI 1.06–1.46)し、異質性は高かった(I²=97%)。特にアジア地域、術後曝露測定、1年以上の長期曝露で関連が強かった。術後は患者が脆弱であるため、術後曝露が死亡リスクに影響しやすいと考察された。PM2.5がPM10より強い関連を示した理由として、粒子径が小さく下気道深部まで到達し、酸化ストレスや全身炎症を惹起しやすい点が挙げられた。研究者は、PM2.5曝露が修正可能な周術期リスク因子となり得るとし、空気清浄機の使用や地域の空気質指数の確認など、患者への生活指導の重要性を強調した。一方、Jones医師は、この研究が麻酔科領域の環境サステナビリティへの関心の高まりを示すと評価しつつ、観察研究である以上、汚染地域に住むこと自体に伴う他の要因による残余交絡が避けられない点を主要な限界として指摘した。
Study Finds New Device for Procedural Sedation Delivers Superior Oxygen Concentrations
本研究は、新しい酸素投与・カプノグラフィー監視デバイスである Aeris Airway が、従来の分割式鼻カニュラや酸素フェイスマスクよりも、**著しく高い酸素濃度を声門上(supraglottic space)へ供給できるかを検証したものである。対象はASA I–IIの健常成人11名で、局所麻酔下にGuedel airwayを挿入し、各被験者が3種類のデバイスを順番に使用するクロスオーバー試験が行われた。酸素流量は臨床で一般的な設定(鼻カニュラ2–6 L/分、フェイスマスク6–10 L/分)とし、声門上酸素濃度を測定した。結果として、Aeris Airwayは全ての流量条件で他のデバイスより2〜3.5倍高い酸素濃度を供給し、特に鼻カニュラとの差が顕著であった。研究者は、手技中の低酸素は予測可能な因子(睡眠時無呼吸、肥満、気道困難)だけでなく、未診断の睡眠時無呼吸や高い鎮静要求量などにより予期せず発生し得る重大な合併症であると指摘した。従来の鼻カニュラやフェイスマスクは、酸素が下気道から遠い位置で投与されるため、吸気ごとに大きな死腔を満たす必要があり効率が低いという構造的限界がある。Aeris Airwayは、口咽・鼻咽頭エアウェイと協調して働く設計によりこれらの問題を克服し、中等度〜深鎮静下の低酸素発生率を減らす新たな臨床ツールとなり得ると評価された。
Guidance Says Sterile Gowns Not Mandatory For Single-Shot Spinal Anesthesia
2026年に Anaesthesia 誌で公表されたコンセンサスガイドラインは、単回投与の脊髄くも膜下麻酔(single-shot spinal anesthesia)において routine の滅菌ガウン着用を必須とすべきではないと結論づけた。これは、Association of Anaesthetists が設置したワーキングパーティによるもので、複数の専門団体が支持している。ガウンは、患者要因や術者の経験、作業環境により有用と判断される場合には使用可能であり、特に麻酔トレーニング初期段階では推奨されるとした。一方で、ガイドラインは感染予防の核心的要素は厳守すべきと強調する。具体的には、術者・患者双方の皮膚消毒の徹底、ヘッドカバー、滅菌手袋、滅菌ドレープ、そして新しいサージカルマスクの使用が必須とされた。文献レビュー(239件中39件を精査)と修正Delphi法(32名の専門家+患者代表)により、routine ガウン着用が感染合併症を減らす確固たる証拠は乏しいことが確認された。このガイドラインは、英国・アイルランド・豪州・NZ の実践を、すでにガウン非必須を採用している北米(ASRAのガイダンス)と整合させるものである。感染合併症が極めて稀であるため研究が困難であり、今回の推奨は「最良のエビデンス+国際的専門家の合意」に基づくとされる。今後は、ガイドライン変更が患者・スタッフ・医療経済・環境負荷に与える影響を、地域のQI活動や全国的サーベイランスで評価する必要があると結論づけられた。
Video Laryngoscopy Reduced Bleeding During Nasotracheal Intubation
エジプト・Aswan University Hospitalで行われたRCTでは、顎顔面外傷患者64例を対象に、経鼻挿管時の鼻咽頭・口咽頭出血をビデオ喉頭鏡とマッキントッシュ直接喉頭鏡で比較した。主要評価項目はFromme分類による出血の程度で、出血発生率はビデオ喉頭鏡56.2%に対し直接喉頭鏡87.5%と有意に低かった。ビデオ喉頭鏡群では43.8%が出血なしで、重度出血は両群とも認めなかった。さらに、ビデオ喉頭鏡は挿管時間の短縮、Magill鉗子使用や頸椎伸展の減少、重度合併症の減少と関連した。初回成功率は高かったが有意差には至らなかった。著者らは、ビデオ喉頭鏡が顎顔面外傷患者の経鼻挿管においてより安全で有用な選択肢となり得ると結論した。
Top 5 of August
Yes! Preoperative Clinic Visits Are Billable Encounters
米国では「術前クリニックの診察は麻酔のグローバルパッケージに包括されるため請求できない」という誤解が長く存在した。しかし、手術48時間以上前に、適切な記録を伴う独立した術前E/M(Evaluation & Management)診察として実施されれば、麻酔科医による術前外来は正当に請求可能であると、2026年のSPAQI Perioperative Medicine Summitで専門家が強調した。UNCのAngela Edwards医師は、術前クリニックは人件費や施設要件から「コストセンター」とみなされがちだが、適切に文書化し請求することで費用を補填できると述べた。これらの診察は、通常の「手術当日の麻酔評価」とは異なり、患者の既知・未知の疾患を踏まえた正式なリスク評価であり、術前の意思決定やリスク軽減策を提供する医療行為として価値がある。さらに、慢性疾患の把握(HCC:Hierarchical Condition Categories)はリスク調整モデルや病院の文書化品質向上にも寄与する。術前E/M診察は診療科を問わず請求可能であるが、電子カルテに独立した記録テンプレートを組み込むため、病院のコンプライアンス部門との協働が不可欠である。ASA経済委員会も2023年に、術前E/M診察と手術当日の麻酔評価は別の行為であると明確に区別している。請求は、評価が必要となる患者状態、手術適性に関する医学的判断、リスク軽減策、診察当日の時間に基づいて正当化される。一部の施設では全患者に術前外来を義務付けており、専門医療費請求に懸念が生じることがある。従来はコンサルテーションコード請求に紹介状や詳細なH&Pが必要だったが、CMSとAMAは要件を緩和し「書類より患者ケア」を重視する方向へ転換した。時間ベースのE/M請求では、記録レビュー、適切な診察、文書化、結果説明、処方・検査指示、他職種との連携、術前教育・術後計画などが評価対象となる。Edwards医師は、術前クリニックは医療の質向上と費用対効果改善に寄与し得る重要なプログラムであると強調した。
Video Laryngoscopy Improves First-Attempt Success for Double-Lumen Tube Intubation
DOLVI多施設ランダム化試験(Br J Anaesth 2026)は、肺分離を要する手術患者916例を対象に、ダブルルーメンチューブ(DLT)挿管におけるビデオ喉頭鏡と直接喉頭鏡の成績を比較した。被験者はスペインの4病院で無作為に2群へ割り付けられ、主要評価項目は初回挿管成功率、副次評価項目は喉頭視認性、挿管の容易さ、外部操作の必要性、誤挿管、DLT位置ずれ、合併症などであった。結果として、初回成功率はビデオ喉頭鏡84.7%に対し直接喉頭鏡76.9%と有意に高かった。良好な喉頭視認性は93.7% vs 80.8%と大きな差があり、ビデオ喉頭鏡は挿管の容易さの向上、外部操作の減少、視野喪失・食道挿管・DLT位置ずれの減少と関連した。挿管時間やその他の合併症は両群で同等であった。初回成功率の差は臨床的に重要であり、ビデオ喉頭鏡の安全性と操作性の優位性が示された。研究者らは、これらの結果から肺分離を要する患者のDLT挿管ではビデオ喉頭鏡を初期選択とすることが望ましいと結論づけた。視認性の改善と操作性の向上が、DLT特有の複雑な挿管操作において特に有用であると考えられる。
Low-Pressure Pneumoperitoneum Versus Standard of Care With Deep NMB in Abdominal Surgery
低圧気腹と深い筋弛緩の併用は、標準圧+中等度筋弛緩に代わる合理的な選択肢となり得る。腹腔鏡下腹部手術において視野を損なうことなく、患者の快適性を高められる可能性があると、最近のメタ解析は示している。標準圧(12–15 mmHg)の気腹は十分な術野を提供する一方、術後痛や心肺への負担を増大させる。低圧(8–10 mmHg)は生理的負担を軽減するが、視野不良や作業空間の減少を招くことがある。「深い筋弛緩を併用することで、低圧気腹でも腹壁コンプライアンスが改善する可能性があります」と、OSF Saint Francis Medical Center の Samreen Rizwan Ahmed Shaikh 医師は述べた。彼らの解析(5件のRCT、379例)では、手術時間や術者満足度に差はなく、術後痛はLP+dNMB群で一貫して有意に低かった(P<0.00001)。MAP、徐脈、PONV、肩痛などの術後合併症にも差はなかった。Shaikh医師は、「今後は、標準化された定義を用いた大規模多施設RCT、術式別・高リスク群の解析、費用対効果やワークフロー評価を行い、LP+dNMBを標準治療として検討すべきです」と述べた。テネシー大学の Catherine McKnight 医師は、この限られたエビデンス領域でメタ解析を行った点を評価しつつ、いくつかの指摘を加えた。第一に、術後痛の解析では統計的異質性が97%と極めて高く、推定値の信頼性が揺らぐ点を指摘した。術式、痛みの評価尺度、麻酔プロトコルによるサブグループ解析の必要性を問うた。第二に、低圧と深い筋弛緩の併用効果のどちらが寄与したのか、また不快感が気腹圧によるものか切開痛によるものかが不明確であると述べた。
Session Reviews Common Mistakes That Often Lead to Audits
医療機関にとって監査回避は重要だが、記録ミスは避けられず監査が発生することがある。ASA ADVANCE 2026 で、AFS of Harvard Medical Faculty Physicians の CEO、Shannon Cameron 氏は、麻酔科医が監査につながりやすい典型的なエラーと、正確な記録入力の重要性について解説した。問題となる例として、署名漏れ、重要時間帯の不在、記録不備、医学的焦点の欠如などが挙げられ、特に開始・終了時刻の誤記が最も多いと指摘した。2024年には Anthem が任意の時間制限を超える麻酔を支払わない方針を発表したが、すぐ撤回した。しかしその後、同社は関連手技の監査を強化しているという。さらに、電子カルテの種類が多様化し、システムごとの仕様差がミスの温床となる点も課題である。Cameron 氏は、複数部門から構成されるコーディング委員会の設置を推奨し、監査は避けられないが、病院側のチェック体制とデータ分析を強化することでエラーと監査リスクを減らせると述べた。特に、否認理由の深掘りや根本原因分析を行う担当者の配置が重要であり、外部の請求会社を利用している場合も詳細なレポートを確実に確認すべきだと強調した。
Intraoperative Compliance Decline Predicts Postoperative Respiratory Complications
本研究は、術中の呼吸システムコンプライアンス(RSC)の変化が術後呼吸合併症を予測し得るかを、12,936例の大規模データを用いて検証した。対象は2018〜2024年に全身麻酔下で非心臓手術を受けた患者で、RSCの変化量(初期値−終了値)が5 mL/cmH₂O以上の増加(A群)、変化なし(B群)、5 mL/cmH₂O以上の低下(C群)の3群に分類された。主要アウトカムは術後7日以内の呼吸合併症(SpO₂<90%、HFNC/NIV使用、再挿管)であった。結果として、全体の9%が呼吸合併症を発症し、RSC低下群(C群)は合併症リスクが24%増加(調整OR 1.24)、逆にRSC増加群(A群)は予防的効果(調整OR 0.81)が示された。さらにPEEPは効果修飾因子であり、PEEP≦5 cmH₂OではC群のリスクが上昇(OR 1.59)、PEEP>5 cmH₂OではA群の保護効果が増強(OR 0.63)した。RSC低下の最大予測因子はBMI(36%寄与)、次いで腹腔鏡手術(27%)であった。研究者は、RSCは現代の人工呼吸器で容易に取得できる動的指標であり、術中の無気肺形成を早期に検出し、PEEP調整やリクルートメント介入を促す臨床ツールになり得ると結論づけた。討論では、効果の絶対差は小さいものの、対象患者数が多い周術期領域では臨床的意義は大きいとの見解が示された。また、圧制御と容量制御の違いについては今後解析を追加する予定とされた。
The Need for Enhanced Maternal Hemodynamic Monitoring in Cesarean Birth
本特集は、帝王切開における母体の血行動態モニタリングの重要性を強調している。世界的に妊産婦死亡率は依然高く、米国では過去30年で倍増しており、出血・高血圧性疾患・心血管合併症が主要な死因となっている。帝王切開では脊髄くも膜下麻酔後の低血圧が高頻度に発生し、母体の循環不安定や胎児への血流低下を招くため、早期の血行動態変化の把握が極めて重要である。従来の血圧測定のみでは循環動態の変化を十分に捉えられず、低血圧の発見が遅れることがある。特集では、連続的・非侵襲的フィンガーカフ技術によるモニタリングが、母体の血行動態をリアルタイムで把握し、循環不安定の早期認識と迅速な介入を可能にすると紹介されている。これにより、麻酔導入後の急激な血圧低下や心拍出量の変化を即座に検出でき、適切な昇圧薬投与や輸液管理につながる。また、妊娠中は心拍出量が最大50%増加し、末梢血管抵抗が低下するなど、特有の循環生理変化が起こる。高血圧性疾患や心疾患を合併する妊婦ではこれらの適応が破綻しやすく、帝王切開時の血行動態管理はさらに複雑となる。特集は、こうした背景から、標準化された血行動態モニタリングプロトコルの導入が母体安全性向上に不可欠であると強調している。総じて、帝王切開における高度な血行動態モニタリングは、母体の循環変動を早期に捉え、合併症予防と意思決定の質向上に寄与する重要な手段であり、今後の周産期医療の標準となる可能性が示唆されている。
Ophthalmologic Malpractice Claims Highlight Anesthesia Safety Risks
本研究は、眼科手術に関連する麻酔関連の医療過誤(malpractice)訴訟を後方視的に解析し、どのような麻酔管理上の問題が重篤な有害事象につながっているかを明らかにしたものである。Westlaw 法律データベースの判例・和解情報から、麻酔管理が中心的争点となった眼科関連症例を抽出した。代表的な10症例のうち、死亡または永続的失明という極めて重篤な損傷が60%で発生していた。特に、眼周囲区域麻酔(レトロブルバー/ペリブルバー)が50%で関与し、眼球穿孔、網膜血管閉塞、視神経損傷などが主因であった。また、インフォームドコンセントの不備が40%で指摘され、区域麻酔に伴うリスク説明不足が争点となった。さらに、鎮静・全身麻酔の合併症(20%)、局所麻酔からの予期せぬ麻酔エスカレーション、循環・呼吸不安定が含まれた。モニタリングや機器の不備(10%)も確認された。全体を通じて、眼科領域の麻酔関連過誤には、①区域麻酔の技術的問題、②術前リスク評価の不十分さ、③麻酔科と外科のコミュニケーション不足、④麻酔リスクの記録・説明不足が繰り返し見られた。研究者は、眼科手術が短時間・低侵襲であっても、安全システムは他の手術と同等に厳格であるべきと強調した。今後は、より大規模データの解析、臨床有害事象との比較、リスク低減に有効な介入の特定が求められると結論づけている。
Artificial Intelligence in Pediatric Anesthesia: 3 Experts Weigh In
2026年 Society for Pediatric Anesthesia 年次集会では、周術期の小児麻酔領域における人工知能(AI)活用の可能性が多角的に議論された。Lauren Lobaugh 医師は、AIは麻酔科医を置き換えるものではなく「安全性の副操縦士」として機能し、薬剤投与判断、患者特性に基づくリスク予測、リアルタイムの意思決定支援など、複雑な状況で臨床判断を補完できると強調した。特に、オピオイド誘発性呼吸抑制や麻酔導入時の血行動態反応の予測、局所麻酔薬毒性の閾値提示など、AIのパターン認識は安全性向上に寄与し得ると述べた。また、拡張現実(AR)による薬剤確認支援、デジタルツインによる薬剤反応予測など新技術の応用も紹介した。Stanford の T. Anthony Anderson 医師は、AIは術前リスク評価、気道管理、区域麻酔支援、術中薬剤投与制御、リアルタイム生理データ解析などに応用可能であり、特に術中低血圧・低酸素の早期予測は有望と述べた。しかし小児領域の研究は少なく、データセットの小ささや外的妥当性の不足、バイアス、法的・倫理的課題が障壁となっていると指摘し、前向き試験やサイレントモード検証の必要性を強調した。Gabrielle Fisher 医師は、術前の家族とのコミュニケーション改善に conversational AI が有用であると述べ、症状確認、NPO遵守、薬剤管理、移送計画などを自動でチェックし、リスクを早期に拾い上げることで「反応的ケアから予測的ケア」への転換が可能になると説明した。総じて、AIは小児麻酔の安全性向上に大きな潜在力を持つが、慎重な導入、エビデンス蓄積、臨床ワークフローとの統合が不可欠であると結論づけられた。Gabrielle Fisher 医師は、周術期の家族とのコミュニケーション改善における 会話型AI(Conversational AI) の有用性を強調した。AIは医療判断を行うものではなく、従来の連絡手段よりも早期かつ一貫して問題点を拾い上げる「術前看護師のような存在」として機能する。例えば、術前に家族へ自動連絡し、2歳児の鼻汁や上気道感染を把握して臨床チームへ通知し、手術延期の検討につなげることができる。家族は単なるスクリーニングではなく「支援されている」と感じ、安心感が高まる。会話型AIは 24 時間対応、多言語対応、施設間での一貫性を確保でき、家族の不安軽減や術前準備の向上に寄与する。運用面では、キャンセル減少、手術室利用効率の改善、術前スタッフの業務効率化などの利点が期待される。導入に際しては、段階的導入(human-in-the-loop)、エスカレーション経路、臨床情報の管理体制、安全ガードレール、スタッフ教育、患者ごとのカスタマイズなどを検討すべきとした。また、患者向けAIは「AIと対話している」ことを明確に伝える必要がある。法的観点から、多くの施設では AI 使用に関する情報を入院基準や同意書に追加している。環境負荷について問われた際、Fisher 医師は、システムの更新、効率的なモデルの採用、カーボンオフセットを行う組織との連携などが有効と述べた。
New and Emerging Developments in Nonopioid Analgesics for the Management of Acute Pain
本特集は、急性痛管理における非オピオイド鎮痛薬の新規開発と臨床応用の進展を総括している。オピオイド危機を背景に、周術期・救急・外傷領域では「オピオイド削減(opioid-sparing)」が世界的課題となっており、より安全で効果的な非オピオイド鎮痛薬の需要が高まっている。まず、既存薬の再評価として、NSAIDs・アセトアミノフェン・ケタミン・リドカイン静注・ガバペンチノイドなどが取り上げられ、これらの薬剤は多面的鎮痛(multimodal analgesia)の基盤として依然重要であると強調された。しかし、NSAIDsの腎機能・出血リスク、ガバペンチノイドの鎮静・呼吸抑制など、既存薬にも限界があるため、新規薬剤の開発が進んでいる。特集では、選択的Naチャネル阻害薬(NaV1.7/1.8/1.9)が最も注目される新規カテゴリーとして紹介された。これらは痛覚伝達に特異的に作用し、全身性副作用を抑えつつ強力な鎮痛を得られる可能性がある。現在複数の薬剤が臨床試験段階にあり、術後痛や神経障害性疼痛への応用が期待されている。さらに、NGF(nerve growth factor)阻害薬も新たな選択肢として取り上げられた。タネズマブなどの抗NGF抗体は慢性疼痛で有望視されてきたが、急性痛領域でも研究が進んでいる。ただし、関節破壊などの安全性問題があり、慎重な評価が必要とされる。局所麻酔領域では、長時間作用型局所麻酔薬(liposomal bupivacaine など)が術後痛管理の改善に寄与しているが、効果のばらつきやコストの問題が残る。新規の局所麻酔薬送達システム(drug-delivery systems)も開発が進んでおり、持続的かつ安全な局所鎮痛が可能になると期待される。また、炎症性経路を標的とする新規抗炎症薬、TRPV1阻害薬、カンナビノイド関連薬なども研究段階にあり、急性痛の病態生理に基づく精密医療(precision analgesia)の実現が視野に入っている。総じて、非オピオイド鎮痛薬の開発は「オピオイド依存からの脱却」を目指す周術期医療の中心的テーマであり、今後は薬剤単独ではなく、患者特性に応じた多面的鎮痛戦略の一部として統合されることが強調されている。
Video Laryngoscopy Use Increasing in Neonatal Units
2024年に改訂された欧州麻酔集中治療学会(ESAIC)の小児気道管理ガイドラインでは、新生児・小児の初回挿管における ビデオ喉頭鏡(VL)の積極的使用 が推奨されている。近年の技術進歩により成功率向上が明確となった一方、臨床現場では「従来の方法への慣れ」「機器導入の財政的制約」などから普及が進まない状況が続いている。GreatLakes Anesthesiology Meeting で Sindhu Samba 医師は、VLは特に経験の少ない年齢層や併存疾患を持つ患者で初回成功率を高める強力なツールであり、今後さらに普及が進むと強調した。VLは安全性向上の観点からも重要であり、小児麻酔領域で標準化が期待されている。
Preoperative Pain Fear Affects Perception of Care
本研究は、腹部外科手術を受ける患者における術後疼痛管理の質を規定する因子を明らかにするため、トルコ南部の大学病院で腹腔鏡手術を受けた102名を対象に実施された単施設記述的・相関的研究である。患者情報、SCQIPP質問票、Fear of Pain Questionnaire–III、VASを用いてデータ収集が行われた。結果として、SCQIPPによる疼痛管理の質の平均得点は58.74±8.31であり、術前の疼痛恐怖と術後疼痛強度が高いほど、患者が認識する疼痛管理の質は有意に低下した。さらにASAスコア、術後疼痛強度、疼痛恐怖の3因子は、疼痛管理の質の分散の約21%を説明し、いずれも有意な予測因子であった。著者らは、術後疼痛管理の質は中等度であり、心理的因子と臨床的因子が患者の評価に大きく影響することを示した。Pain Manag Nurs 2026 Jun 19. doi:10.1016/j.pmn.2026.05.023
Red Cross Urges Blood, Platelet Donations
米国赤十字社は、深刻な血液不足からの回復途上にあり、献血・血小板提供の継続的な予約を強く呼びかけている。Time誌の寄稿で、救急医ロバート・グラッター氏と集中治療医ピーター・パパダコス氏は、献血量が4年ぶりの低水準となり、夏に2度目の全国的危機宣言が出されたことを指摘した。血液供給は天候・休日・感染症流行などで容易に途絶し、単発の献血増加では安定供給を維持できないと警鐘を鳴らす。特に血小板は保存期間が5〜7日と短く、がん患者の治療継続に不可欠で、供給不足の影響が大きい。冷蔵保存で21日間持続するとの新研究もあるが、標準ガイドラインは未改訂である。FDAは現在、出血中の患者に限り冷蔵血小板の使用を認めている。将来的には人工血小板や幹細胞由来血小板の開発が進む可能性がある。著者らは「不足からの回復は次の危機を防ぐものではない」と述べ、継続的な献血の必要性を強調している。
Framework Aims to Support Career Fulfillment In Academic Anesthesiology
学術麻酔科医のキャリア形成において、「purposeful yes(目的をもったイエス)」を中心とした枠組みが、より充実した持続可能なキャリア構築に寄与する可能性が示された。麻酔科医は全専門領域で最も高い離職意向を示すとされ、臨床・教育・研究・私生活の負荷が増す中で、体系的なキャリア形成支援が求められている。本研究は、女性麻酔科医の職業的課題を扱った先行研究を基盤に、キャリア段階を問わず有用な5つのテーマを抽出した。すなわち、①purposeful yes による専門的アイデンティティ形成、②自身の動機の理解、③仕事と生活の統合、④キャリアの弧を描く進展、⑤インポスター症候群の克服である。purposeful yes は、個人の価値・目標・興味に合致する機会のみを選択し、キャリアを望む方向へ能動的に進めるための戦略であり、無目的な過剰負担を避け、意味ある役割に集中することを促す。これにより、職務満足度とキャリア持続性の向上が期待される。
Combat Injuries Do Not Increase Likelihood of Suicidal Ideation
新たな研究により、米軍兵士や退役軍人において、戦闘負傷そのものは自殺念慮の増加と関連しない一方、痛みによる生活機能への支障(pain interference)が自殺念慮と強く関連することが示された。研究は、戦闘従事後の米陸軍兵士4,645名を対象とした前向き調査と、6年後の長期フォローアップにおける6,333名の横断研究の二本立てで行われた。前向き研究では、戦闘負傷は3か月後・9か月後の過去30日間の自殺念慮と関連しなかったが、3か月時点の痛み干渉(OR 1.60)と痛み破局化(OR 1.57)が9か月時点の自殺念慮を予測した。横断研究でも、痛み干渉(OR 2.21)が自殺念慮と有意に関連し、戦闘負傷由来の痛み自体は関連しなかった。さらに、痛み干渉と自殺念慮の関連は、負担感や自殺遂行能力といった「対人関係理論」の中心要素を調整しても維持された。著者らは、自殺念慮のリスクは痛みの原因ではなく、痛みが生活機能に及ぼす影響や心理的負荷により高まると結論づけ、兵士の自殺予防には効果的な疼痛管理が重要であると強調した。
Dose–Response Effects of Anterior Chest Wall Loading on Lung Mechanics, Regional Ventilation, and Hemodynamics in Acute Respiratory Distress Syndrome: A Prospective Physiologic Study
本研究は、ARDS患者に対する前胸壁負荷(Anterior Chest Wall Loading: ACWL)が、肺力学・換気分布・血行動態にどのような量反応(dose–response)を示すかを前向きに検討した生理学研究である。ARDSでは、非依存性肺領域の過膨張がしばしば見逃され、気道内圧だけでは胸郭と肺の力学的寄与を区別できない。ACWLは胸郭コンプライアンスを一時的に変化させ、区域的過膨張を“可視化”する手法として注目されてきたが、負荷量に応じた生理学的影響は十分に解明されていなかった。研究は中等度〜重度ARDS患者を対象に、体重の5%、10%、15%、20%の負荷を段階的に適用し、経肺ドライビングプレッシャー(ΔP)、食道内圧、終末呼気肺容量(EELV)、胸郭・肺コンプライアンス、血行動態を評価した。また、Electrical Impedance Tomography(EIT)を用いて換気分布の変化も解析した。結果として、ACWLは負荷量に応じて食道内圧を上昇させ、経肺圧(PL)とEELVを低下させた。低負荷(5–10%)ではΔPが低下し、非依存性領域の過膨張が軽減される可能性が示された。一方、高負荷(15–20%)では肺虚脱(derecruitment)や血行動態の悪化がみられ、過度の負荷は有害となり得ることが示唆された。EIT解析では、非依存性領域の換気が減少し、依存性領域への換気再分布が確認された。著者らは、ACWLが適切な負荷量であれば肺保護換気に寄与し得る一方、過度の負荷は虚脱や循環障害を招くため、患者個別の肺力学に基づく慎重な適用が必要と結論づけた。本研究は、胸郭力学を操作することで区域的肺ストレスを評価・調整する新たな生理学的アプローチを提示している。
Preoperative Glucagon-like Peptide-1 Receptor Agonists and Postoperative Outcomes: An Observational Analysis
本研究は、術前にGLP-1受容体作動薬(GLP-1 RAs)を使用している2型糖尿病患者が、術後アウトカムにどのような影響を受けるかを検証した大規模観察研究である。対象は2013〜2023年に麻酔下で手術を受けた成人患者で、TriNetXデータベースを用い、GLP-1 RAs使用者をメトホルミン、SGLT2阻害薬、DPP-4阻害薬の単剤使用者と傾向スコアマッチングで比較した。主要評価項目は術後14日以内の死亡、肺炎、緊急挿管、急性腎障害、脳卒中、心筋梗塞、MACEなど。結果として、GLP-1 RAs使用者はメトホルミン群と比較して術後死亡率が約56%低下し(0.98% vs 2.20%)、DPP-4阻害薬群との比較でも死亡率と細菌性肺炎が有意に低下した。一方、SGLT2阻害薬との比較ではMACEの減少は統計的有意に至らなかった。重要な点は、GLP-1 RAsが懸念されていた誤嚥性肺炎や重篤な呼吸器合併症の増加を示さず、むしろ肺炎リスクを低減したことである。著者らは、GLP-1 RAsは周術期アウトカムを悪化させるどころか、死亡率・肺炎リスクを改善する可能性があると結論づけ、術前休薬を推奨した従来のガイダンス(ASA 2023)を再検討すべきと指摘した。周術期管理において、GLP-1 RAs継続は安全である可能性が高い。
The Value in Tapering High-Dose Opioids
2026年のAmerican Academy of Pain Medicine PainConnectで、Johns Hopkins大学のTraci Speed医師は、慢性疼痛患者に対する高用量オピオイドの漸減(tapering)の重要性を強調した。長期使用は依存や有害事象のリスクを高める一方、適切な漸減は疼痛管理を維持しつつ安全性を向上させる可能性があると述べた。Speed医師は「多くの文献で、慢性高用量オピオイド患者の漸減が成功している」と指摘し、最も効果的な方法は多職種連携型の包括的アプローチであると説明した。具体的には、患者がオピオイドを継続する行動的・心理的要因の評価、長期使用のリスクと漸減の利点に関する教育、行動変容支援が重要とされた。また、患者の不安や痛みへの恐怖を軽減し、治療への主体的参加を促すことが成功率を高めるとした。Speed医師は、疼痛治療の本質は薬物量の維持ではなく、患者の機能改善と安全性の確保であると強調した。
Hypotension Prediction Index versus High Mean Arterial Pressure Target for Preventing Intraoperative Hypotension: A Randomized Controlled Trial
術中低血圧(MAP<65 mmHg)は、急性腎障害や心筋障害など周術期合併症の主要因として注目されている。近年、動脈波形解析と機械学習を用いて低血圧を予測するHypotension Prediction Index(HPI)が開発され、予測的介入による低血圧予防が期待されてきた。しかし、HPIはMAPと強い相関を持つことが指摘され、より単純な「高めのMAPアラーム設定」が同等の効果を持つ可能性が示唆されていた。本RCTでは、中〜高リスクの非心臓手術患者を対象に、HPIアラーム(>85)とMAPアラーム(<72 mmHg)を比較し、術中低血圧予防効果を検証した。主要評価項目であるMAP<65 mmHgのAUCは両群で同等であり、MAPアラームはHPIに対して非劣性を達成した。低血圧・高血圧の発生率、AKI、心筋障害、30日死亡率、入院期間、昇圧薬使用量などの副次評価項目も両群で差はなかった。さらに、HPI群ではアラーム作動時間が長く、臨床負荷が高い可能性が示唆された。本研究は、高MAPターゲットを用いた単純なアラーム戦略が、HPIと同等の低血圧予防効果を持つことを示し、コスト・運用面からも実臨床で有用な選択肢となり得ることを示した。
8月
Neuromuscular Blockade Depth and Oculocardiac Reflex in Pediatric Strabismus Surgery: A Randomized Clinical Trial
本研究は、小児斜視手術において筋弛緩の深さが眼心反射(OCR)の発生と重症度に与える影響を検証した二重盲検ランダム化比較試験である。3〜18歳の201名が、中等度〜深い筋弛緩(MD-NMB:TOF 0–3)群と、最小〜浅い筋弛緩(MS-NMB:TOF 4、TOF比 <0.9)群に割り付けられた。主要評価項目であるOCRグレード≥2(心拍数20%以上低下)の発生率は、MD-NMB群30.3%に対しMS-NMB群53.9%で、深い筋弛緩が有意に発生率を低減した(OR 0.37)。重度OCR(グレード≥3)もMD-NMB群18.2%、MS-NMB群35.3%と同様の傾向を示した。さらに、OCR発生時の心拍数低下幅と持続時間も深い筋弛緩群で有意に小さく短かった。これらの結果から、斜視手術における中等度〜深い筋弛緩はOCRの発生と重症化を抑制し、眼筋牽引に伴う循環変動を軽減する有効な麻酔管理戦略となり得ることが示された。
Adjusted Relationships between Mean Arterial Pressure, Cardiac Index, and Tissue Oxygenation during Off-pump Coronary Bypass
本研究は、オフポンプ冠動脈バイパス術(OPCAB)中の平均動脈圧(MAP)、心係数(CI)、組織酸素化(脳 SctO₂・前腕 SftO₂)の関係を、1,800 名以上の患者から得た 2,000 万件超の連続データを用いて解析した。一般化加法モデルにより MAP–CI–組織酸素化の二次元曲面を推定した結果、脳組織酸素化は MAP と CI の双方に依存し、MAP 70〜100 mmHg 付近で傾きが減少する「自動調節様のプラトー」が示された。CI 上昇に伴い SctO₂ は増加し、約 4.2 L/min/m² で最大となった。一方、前腕組織酸素化は MAP にはほぼ依存せず、CI に強く影響され、CI 2.8 L/min/m² 以下で急峻に上昇し、2.8〜4.2 L/min/m² で傾きが減少した。若年者・女性・基礎血圧が低い患者でこの傾向は顕著であった。これらの結果は、脳と末梢で血行動態依存性が異なることを示し、OPCAB の血行動態管理における MAP と CI の役割を再評価する基盤となるが、治療ターゲットとして直接解釈すべきではないとされる。
Development of an Arterial Carbon Dioxide Estimation Model Using End-tidal Carbon Dioxide Levels during Surgery in the Pediatric Population
小児手術では動脈血二酸化炭素分圧(PaCO₂)のモニタリングが極めて重要だが、動脈採血という侵襲的手技が必要となる。非侵襲的代替として終末呼気二酸化炭素(ETCO₂)が用いられるものの、小児では解剖学的・生理学的要因により PaCO₂ と ETCO₂ の差が大きく変動し、信頼性が低い。 一方、成人では非侵襲的指標から PaCO₂ を推定する研究がすでに行われ、一定の有用性が示されている。非腹腔鏡・非胸腔鏡手術で気管挿管を要した 3,586 名の小児患者から得られたデータを用い、ETCO₂ とその他の臨床指標から 術中 PaCO₂ を推定する機械学習モデルが開発された。このモデルは良好な性能を示し、導出(学習)データでの平均絶対誤差:2.73 mmHg、外部検証データでの平均絶対誤差:3.65 mmHg であった。これらの結果から、小児患者においても非侵襲的に PaCO₂ を推定できる可能性があることが示唆された。本研究の主要な問題点は、ETCO₂–PaCO₂ 乖離の大きい症例(胸腔鏡・腹腔鏡・肺病変)を含まない、小児特有の生理学的変動を十分にモデル化できていない、外部妥当性が限定的、誤差が臨床的に許容できるかは症例依存、ブラックボックス性により臨床判断の根拠が不透明、実装・リアルタイム運用の課題が残る
Fast-Acting Meloxicam Effective for Postoperative Pain
速効性メロキシカム製剤 MR 107A 02(15 mg)は、中等度から重度の急性術後疼痛に対し、外反母趾手術と鼠径ヘルニア修復術の両方でプラセボより有意な鎮痛効果(SPID 0–48h)を示し、重度疼痛ではLS平均差が最大90.25と高い効果を示した。有害事象はプラセボと同程度で安全性は良好だった。研究者は、現在の急性疼痛治療が複数のNSAIDを組み合わせる多剤併用で行われている点を指摘し、より強力で速効性のNSAIDがあれば既存NSAIDを置き換え、非オピオイド鎮痛の選択肢を広げられる可能性を述べた。薬剤情報の専門家は、速効性製剤が従来のメロキシカムの遅い発現を改善し得る一方、NSAID特有の腎障害や消化管出血リスクは残るとし、他のNSAIDとの比較研究が必要とコメントした。
How Rising Physician Litigation Is Reshaping American Healthcare
米国は医療訴訟費用が世界で最も高く、年間550億〜1,000億ドルに達し、患者安全の改善も示されていない。他国は無過失補償制度、専門家レビュー、賠償上限、故意を除く医師の個人資産保護などを導入し、透明性と迅速な解決を実現している。対照的に米国制度は予測不能で懲罰的であり、医師は非故意の過失でも個人資産を失う唯一の先進国である。改革反対派は保険料低下効果を疑問視するが、責任リスクの軽減は長期的に保険市場の競争を促し、地方病院や個人診療所の負担を減らす。訴訟に費やされる資金は医療提供に使えず、患者と地域社会がその代償を負っている。米国では医療訴訟が急増し、医師の3割が訴えられ、年間数千億ドル規模の費用が発生している。第三者訴訟資金の参入により訴訟は投資対象となり、社会的負担は拡大し、家庭あたり年間3,621ドルの損失が生じている。訴訟コストは医療予算から支払われるため、スタッフ削減や医療アクセス低下を招く。訴訟への恐怖は防衛医療を生み、不要な検査や処置が増加し、医療費を押し上げる。訴訟リスクの高まりは複雑な患者、妊婦、地方住民、低所得層の医療アクセスを悪化させ、医師不足や病院閉鎖を加速する。SNSによる一方的な批判も医療者の負担を増大させる。公平な制度のためには、透明な開示、公正な補償、過度な賠償の抑制、善意の医師の保護、地域医療の維持などを含むトート改革が必要である。
PONV Model Supports Cost-Effective Role for Aprepitant
アプレピタントを標準的PONV予防に追加する費用効果を、米国成人を対象とした確率シミュレーションモデルで評価した。モデルでは、PONV発症によりPACU滞在延長と追加コストが生じる構造を採用し、費用効果は「追加のPONV非発症患者1人あたりのコスト」で定義した。標準治療のPONV発生率は51.8%、アプレピタント追加で34.3%に低下し、追加のPONV非発症患者1人あたり210ドルであった。支払い意思額250ドルを閾値とすると、54%のシミュレーションで費用効果が成立した。感度分析では薬剤価格が最も影響し、150ドルでは費用効果は大幅に低下した。PACUコストが高く薬剤価格が低い環境では費用効果が向上した。モデルは退院後PONVやOR遅延を考慮しておらず、費用効果を過小評価している可能性がある。
〇アプレピタント(Aprepitant)は、ニューロキニン1(NK-1)受容体拮抗薬に分類される薬で、悪心・嘔吐の発生に関わるサブスタンスPの作用を強力に抑えることが特徴です。 麻酔科領域では 術後悪心・嘔吐(PONV)予防薬として使用され、腫瘍領域では 化学療法誘発性悪心・嘔吐(CINV) の標準治療薬として広く使われる
A Prospective Evaluation of Routine Extubation Criteria in Children with Upper Respiratory Symptoms Undergoing Elective Surgery
吸入麻酔主体で麻酔された小児では、一回換気量5 ml/kg超、共同偏視、顔のしかめ、目的的運動、開眼の「Big Five」が覚醒・抜管準備性の指標となる。本研究では、上気道症状の有無にかかわらず、Big Five の3項目以上を満たせば覚醒抜管成功を同等に予測できるかを検証した。7歳以下756例を対象に、術前アンケートで上気道症状の有無を分類し、Big Five の3項目以上を満たした症例を解析した。抜管成功の陽性的中率は、症状なし群94.7%、症状あり群93.9%で、差は0.8%と臨床的同等性マージン5%未満であった。以上より、上気道症状があっても Big Five の3項目以上の達成は覚醒抜管成功の有力な予測因子となる。
For When Snakes Bite: Study Compares Cost, Efficacy of 2 Anti-Venom Agents
FDA承認の2種類の抗毒素製剤 CroFab と Anavip は、ヘビ咬傷治療で同等の臨床効果を示す可能性があるが、Anavip の方が大幅に安価で費用対効果が高い可能性がある。テネシー大学医療センターでは2017〜2023年の治療を後ろ向きに解析し、咬傷重症度、在院日数、抗毒素費用などを比較した。バイアル単価の違いが臨床効果や総コストにどう影響するかを検討した研究である。抗毒素投与は施設プロトコルに基づき、蛇咬傷重症度スコア4以上で実施された。2017〜2023年の135例中、適格基準を満たした48例を解析し、CroFab と Anavip の臨床効果(初回投与後の改善、追加投与、合併症、在院日数)は同等だった。一方で費用は Anavip が約40%低く、CroFab より大幅に安価であった。症例数が少なく一般化には限界があり、より大規模な前向き研究が必要とされた。
Temporary PNS Provides Pain Relief Following Total Knee Arthroplasty
人工膝関節置換術(TKA)は有効な手術選択肢である一方、術後慢性疼痛や機能低下が約20%の患者に生じる。近年の文献では、埋め込み型末梢神経刺激(PNS)がこの疼痛に対する有効な治療となり得ることが示唆されている。2025年ASRA Pain Medicine Meeting(テキサス州オースティン)で、Ochsner Medical Center(ニューオーリンズ)の疼痛フェローシッププログラム責任者 Adrien A. Eshraghi 医師は、TKA後の一時的PNSが有効であり、長期的な疼痛軽減をもたらす可能性がある新たなデータを発表した。「永久的なPNSを選択する前に、60日間この技術を試すことができます」と彼は Pain Medicine News のインタビューで述べた。「今回の発表の主なポイントは、多くの患者が12か月にわたり持続的な疼痛軽減を得られたことです。これは生活の質、睡眠、日常活動への参加に大きな影響を与える可能性があり、患者にとって大きな転換点となり得ます。」研究では、PNS群の患者の方がプラセボ群よりも多く、ベースライン比で50%以上の疼痛軽減を示した(PNS群60%〔12名〕、プラセボ群24%〔5名〕、P=0.028)。
Machine Learning Model Accurately Identifies Risk for Postcardiotomy Cardiogenic Shock
2018〜2023年の心臓手術5,069例を解析した研究では、術中・術後の一時的機械的循環補助使用や術中死亡をPCCSと定義し、発生率は9.4%だった。79項目から機械学習で15項目に絞った予測モデルはAUC0.882と高い識別能を示し、最重要因子は術前左室駆出率であった。大動脈遮断時間、右室機能障害、僧帽弁逆流、最近の心筋梗塞も独立因子となり、早期の高リスク患者同定に有用とされた。機械学習は、より広範な患者集団のパターンを基に、その臨床判断を支援できる可能性がある
SPAQI’s Perioperative Medicine Summit Highlights Most Important Studies
2017年から2020年にかけて、3,169病院で非心臓手術を受けた65歳以上の患者を対象とした後ろ向きコホート研究では、術後せん妄は死亡または重大合併症のオッズを 5.5倍、30日死亡のオッズを 4.5倍、自宅以外への退院のオッズを 6.1倍 に増加させることが示された。アウトカムは病院や地域によって異なり、腎疾患、緊急手術、アルコール乱用、栄養不良など、せん妄リスクを高める(中には修正可能な)因子が特定された。「せん妄は存在することが分かっており、予防可能でありながら、その後に多くの合併症を引き起こす。周術期リスクに関連する研究:ニューヨークの University of Rochester Medical Center の周術期医学副部長 Heather Lander 医師は、周術期リスクに関連する複数の研究を紹介した。その中には「NSTEMI からの経過時間と非心臓手術後の主要心血管・脳血管イベント」(JAMA Surg 2025;160[1]:45-54)も含まれていた。この研究は、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)後の手術タイミングが術後心血管リスクにどのように影響するかを評価した。67歳以上の Medicare 患者 520万人の大規模後ろ向きコホートを用い、NSTEMI から手術までの時間と、冠血行再建の有無で層別化してアウトカムを検討した。研究結果は3つの重要な知見を示した。NSTEMI後30日以内の手術は、主要心血管・脳血管イベントおよび30日死亡のリスクを約2倍に増加させた。 これは血行再建の有無にかかわらず認められた。血行再建を受けた患者では、リスクは30日以降に低下し、90〜180日で最も低く、その後わずかに上昇した。血行再建を受けなかった患者では、リスクは時間が経過しても持続的に高く、2年後まで明確にリスクが正常化する時点は認められなかった。これらの結果は、「手術を十分に延期すれば周術期リスクが軽減される」という従来の考え方に疑問を投げかける。観察研究であり、詳細な臨床データが不足しているという限界はあるものの、高齢者の周術期意思決定や患者説明に重要なエビデンスを提供している。システム関連の研究:小児外科における標準化プロトコルの導入により、総入院費用と在院日数が減少した(JAMA Surg 2025;160[10]:1108-1116)。「成人では特定の術式に基づく標準化された周術期プロトコルがばらつきを減らしアウトカムを改善することが分かっていますが、小児では各プロトコル経路を通過する患者数が少ないため、これまで十分に検討されていませんでした」と、Tufts University School of Medicine および Maine Medical Center の麻酔科・周術期医学臨床助教授 Laura Ostapenko 医師は述べた。オレゴン州の2つの大規模小児三次医療機関では、11の標準化周術期プロトコルを導入し、導入前の562名と導入後の519名のアウトカムを比較した。患者の中央値年齢は3歳であった。主要評価項目は在院日数と総入院費用、副次評価項目は術後60日以内の合併症、再手術、再入院、死亡であった。プロトコル導入後、在院日数は23%短縮(191日減少)。総入院費用は10%減少(519名で約266,709ドルの削減) が認められた。合併症率は両群で同程度であった。Ostapenko 医師は、後ろ向き研究であること、2施設のみのデータであることを限界として挙げたが、「小児でも成人と同様に、標準化されたプロトコル経路が有益である可能性を示唆する結果
ASA Cautions Against At-Home Ketamine Delivery, Calls for Stronger Safeguards
在宅でのケタミン投与が拡大し続ける中、ASA(米国麻酔科学会)は安全性の懸念と医師の監督不足を理由に、この実践に反対する立場を示している。米国で50億ドル規模の産業となっているケタミンは、鎮静に有効な薬剤であり、近年では精神疾患の治療にも広く使用されるようになっている。しかし、依存性に加え、意識消失、呼吸抑制、心機能異常、妄想や幻覚などの精神症状といった複数の問題点が存在する。投与経路にもよるが、IV ケタミンを投与された患者は、投与後30分から2時間の範囲でモニタリングが必要とされる。「在宅でのケタミン配送と使用には重大な懸念があります」と ASA 会長の Patrick Giam 医師は声明で述べた。「リラックスした状態から深い鎮静状態へ非常に急速に移行する可能性があり、適切なモニタリングや監督がなければ危険。より強力な規制がなければ、ケタミンの潜在的危険性を過小評価する人が多いことから、オピオイド危機の再来という公衆衛生上のリスクを招く可能性があると懸念。在宅でのケタミン投与は危険である一方、高齢者、障害のある人、交通手段が乏しい人、低所得で医療施設に行けない人など、一定の層にとっては唯一の選択肢。薬剤ごとに異なる副作用プロファイルや安全策が必要。しかし、深い鎮静を引き起こし得る危険な薬剤であるケタミンを、監督なしに在宅で使用することには重大な懸念があり
Methocarbamol Shows No Benefit for Reducing Post-op Pain After Spinal Surgery
テキサス・メディカルセンターで2020年1月1日から2023年12月31日までにさまざまな脊椎手術を受けた1,270名の患者の電子カルテデータを用いて、研究者らはメトカルバモールの有効性を評価し。これらの患者の半数は、手術後2時間以内に少なくとも500 mgの静脈内メトカルバモールを投与され、マッチさせた対照群は投与を受けませんでした。研究者らは「模擬ターゲット試験(emulated target trial)」の手法を用い、後ろ向きデータを理想的なランダム化比較試験の構造に近づけるように解析。この方法により、完全な後ろ向き研究と比較して結果の信頼性が高まる。また、術前の疼痛スコアやオピオイド使用量といった患者のベースラインの違いが結果に影響しないよう、時間依存性の傾向スコアマッチング(time-varying propensity score matching)も用いた。本研究の主要評価項目は、治療後6時間のフォローアップ期間における患者の時間加重平均疼痛スコアでした。術後オピオイド使用量の累積値も副次評価項目も差はなし。むしろ、せん妄などの有害事象を起こす可能性があり
Tidal swing of endotracheal tube cuff pressure as a measurement of inspiratory effort and lung stress during pressure support ventilation: a proof-of-concept study
気管チューブカフ圧の“tidal swing(呼吸ごとの圧変動)”は、 努力呼吸(inspiratory effort)と肺ストレス(lung stress)を反映する有望な指標である。従来の esophageal pressure(食道内圧)測定に近い情報を、 非侵襲的・簡便・連続的に取得できる可能性が示された。Pressure support ventilation(PSV)では、 患者の努力呼吸が強すぎると P SILI(patient self inflicted lung injury) のリスクが高まる。しかし、努力呼吸の評価には以下の問題がある:食道内圧測定は 侵襲的・煩雑・普及していない、呼吸筋の負荷や肺ストレスを リアルタイムで簡便に評価できる指標が不足。そこで研究者は、 気管チューブカフ圧の変動(tidal swing)を努力呼吸の指標として使えるか を検証した。Proof of concept study(概念実証研究)対象:人工呼吸管理中の成人患者で、比較:カフ圧の tidal swing(ΔPcuff)、食道内圧変動(ΔPes)、肺ストレス指標(transpulmonary pressure)目的: ΔPcuff が ΔPes や lung stress とどの程度相関するかを評価。カフ圧の tidal swing は努力呼吸と強く相関ΔPcuff と ΔPes は 高い相関を示した。努力呼吸が強いほど、カフ圧の変動も大きくなる。カフ圧変動は努力呼吸の“代替指標”になり得る。肺ストレス(lung stress)とも相関あり。
Hypotension Prediction Index versus High Mean Arterial Pressure Target for Preventing Intraoperative Hypotension: A Randomized Controlled Trial
HPI(Hypotension Prediction Index)を用いた予測型血圧管理は、 「高めの平均血圧(MAP)を維持する従来戦略」よりも、 術中低血圧(MAP < 65 mmHg)の発生時間と重症度を有意に減らす。HPIは“低血圧が起こる前に介入できる”点で従来の高MAPターゲットより優れている という一貫した結果が示されている。高MAPターゲット群は低血圧を減らすが、過剰昇圧の懸念。ただし、 HPIが術後アウトカム(AKI・心筋障害・死亡)を改善するかは、 今後の研究が必要
Clinical Performance in Critical Care Simulation under Sleep Deprivation: Effects of Power Napping in the Recovery Napping Protocol for Anesthesiologist Performance (R-NAP) Randomized Controlled Trial
30分のパワーナップは、睡眠不足下での麻酔科レジデントの臨床パフォーマンスを有意に改善した。 改善は主に 非技術的スキル(判断・リーダーシップ・コミュニケーション) によるもので、技術的スキルの向上は明確ではなかった。• 麻酔科レジデント 35名。各レジデントは以下の2条件でシミュレーションを実施:通常睡眠後(rested)24時間勤務後(sleep-deprived) 睡眠不足条件では、ナップ群(30分仮眠)コントロール群(休憩のみ) にランダム割付。睡眠量は アクチグラフィ(客観的測定)で評価。総合パフォーマンスの改善。ナップ群はコントロール群より 14.8点高い (95% CI: 2.8–26.9, p = 0.018) → 7.4%の改善に相当
Airway on Demand: Use of Transcutaneous CO2 Monitoring During Jet Ventilation
ジェット換気中の呼吸管理をより安全にするため、経皮 CO₂ モニタリングを併用する新しいアプローチを紹介する内容と推測。 ジェット換気では、従来の ETCO₂ モニタリングが不正確になりやすく、CO₂ 蓄積(hypercapnia)や換気不足の早期検出が課題。最新の CO₂ センシング技術のレビューでは、 皮膚表面での CO₂ 測定は、従来の環境ガス測定よりも精度が高く、換気状態のリアルタイム評価に有用とされているAERIS Airway™ のような CO₂ モニタリング精度を高める新規デバイスが紹介されており、 従来の ETCO₂ よりも正確な CO₂ 波形を得られる技術が臨床的に価値を持つことが強調されている
Risk Factors Identified for Ventilator-Associated Pneumonia in Trauma ICU Patients
VAP を発症する外傷関連リスク因子を明らかにするため、Mortemore らは、2019年1月から2023年12月までに、あるレベルI外傷センターで人工呼吸管理を受けた成人外傷患者すべてを対象に後ろ向きレビューを実施した。主要アウトカムは VAP の発症であり、Mortemore 氏は「VAP は、挿管後少なくとも2日以降に採取された呼吸器培養で、特定された菌が 10,000 CFU 以上の中等度以上の増殖を示した場合と定義した」と述べた。また、外傷の受傷機転が、人工呼吸管理単独と比較して VAP のリスクを高めるかどうかも検討した。研究には 980 名の挿管患者が含まれ、77% が男性で平均年齢は 42 歳であった。全体で 260 名(25.5%)が VAP を発症し、VAP を発症した患者は、非発症患者と比較して院内死亡率が有意に高かった(24% vs. 15.7%、P=0.003)。VAP を発症した患者は、非発症患者と比べて Injury Severity Score の中央値が有意に高く、入院時 Glasgow Coma Score が有意に低かった。また、VAP 群は 入院期間が有意に長く(28日 vs. 14日)、臨床転帰も不良であった。さらに VAP 群では、人工呼吸管理期間が長く、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症率が高く、気管切開の必要性も高かった(いずれも P<0.001)。研究者らによる単変量ロジスティック回帰分析では、以下の因子が VAP 発症と有意に関連していた:誤嚥(オッズ比 2.3、P<0.001)、肋骨骨折(オッズ比 1.529、P=0.035)、外傷性脳損傷(TBI)(オッズ比 1.710、P=0.005)。胸部外傷や神経学的外傷を有する患者に対して、受傷内容に応じたリスク層別化と、早期の VAP サーベイランスの必要性を強調する。今後の優先課題としては、外傷患者集団に特化した標準的な VAP 定義の確立、受傷パターンに基づく予防プロトコルの洗練、そして罹患率・死亡率を減らすための早期診断技術の開発が挙げられる。
Opioid-free Anesthesia in Cardiac Surgery: The OFACAR Randomized Clinical Trial
Verify, Decide, Document: How to Safely Guide AI Implementation in the OR
麻酔科領域では、AI が洪水のように押し寄せている。起こり得る危険のひとつは、機械が提示する情報を盲目的に受け入れてしまうことで、PACU における AI ベースの意思決定支援の研究に携わる Pitts 医師は、OR における AI 活用のための新しい枠組みを開発した。この枠組みは、Pitts 医師が「verify(検証)・decide(判断)・document(記録)」と呼ぶ3段階のブループリントに基づいている。Pitts 医師は、この枠組みにより、麻酔科医が権限や自律性を損なうことなく、AI ツールを臨床判断に適切に組み込むことができると説明した。AI の予測は指示ではなく、医師が検証して判断すべき“情報”である。画像上の AI オーバーレイは診断ではなく、臨床判断の一データポイントに過ぎない。AI 要約は誤り・幻覚があり得るため、必ず人間が検証して使用する。FDA 承認は継続的な安全管理ではなく、AI の急速な進化に医療側の体制整備が必要。麻酔科医は AI 出力を臨床文脈に統合し、患者擁護者として新時代の医療を主導する役割を担う。
Spinal Anesthesia Shows Advantages in Outpatient Hip, Knee Arthroplasty
Time Out! Prevent Wrong-Site Surgery, Anesthesia With Checkpoints
WSS(wrong-site surgery:誤部位手術)の 21% は麻酔科医によるブロックが関与しており、その多くは「誤側の末梢神経ブロック」であった。「この問題が大きかったため、Joint Commission は麻酔関連のセンチネルイベントを扱う第2回 WSS サミットを開催。データベースを 1995 年まで遡ると、誤部位イベントの約 2% が麻酔科領域でしたが、2006 年には報告症例の 16% が私たちの領域になっていた。誤部位麻酔の結果は重大な影響を及ぼし得る。「まず、局所麻酔薬中毒の問題があります。誤ったブロックをしてしまい、その後正しいブロックを行うと、患者が反応を起こす可能性があります。もう一つの結果は、外科医が誤って行われたブロックの部位をそのまま手術部位と解釈し、誤部位手術を行ってしまう。WSS を減らす鍵となる言葉は “システム” である。システム要因こそが安全の主要な障壁。真の問題は手術室メンバー間の慢性的なコミュニケーション不足である。「チェックリストに対する一般的な嫌悪感があり、多くの OR スタッフは導入部分を無意味だと考える。なぜ誤部位手術は今も起きているのでしょうか。場所や文化に合わせて標準化されたプロトコル、そして全スタッフ・全職種、特に処置を主導する術者の“同意と参加”が必要です。彼らが現場の雰囲気を決めるからです。プロトコルのあらゆるステップを毎回、確実に、注意深く実行することが必要
The Art of Pediatric Sedation
小児患者に対する麻酔量の最適化は、まさに“科学であり芸術”である。小児患者は身体的に小さく、成人と比べて麻酔への心理的準備も十分ではない。小児患者を鎮静する際のアプローチと、適切なベッドサイドマナーが患者の快適性と安全性を確保するうえでいかに重要かを説明した。「小児の鎮静は薬理学だけではない。患者を理解し、処置を理解し、鎮静の構成要素を把握することが、最適な計画を立てる際に重要」と彼女は述べた。
How Anesthesiologists Get Paid: Understanding the Economics Behind Anesthesia Care
アメリカの麻酔科診療の報酬は、他の診療科とは大きく異なる独自の仕組みで、手技の複雑性・患者の医学的リスク・麻酔時間を反映した「ユニット制」で計算される。 報酬は ベースユニット、タイムユニット、修飾ユニット、コンバージョンファクター の4要素で構成され、正確に記録された麻酔時間と全国基準に基づいて算出される。総ユニット数に対する支払い額は、メディケア・メディケイド・民間保険で大きく異なる。特にメディケアはインフレ調整がなく、長年にわたり報酬が低下し、現在は民間保険の約25%しか支払われない。メディケイドは州によってさらに低い場合もある。この制度は麻酔科の専門性を反映している一方、メディケアの継続的な削減、診療コストの上昇、保険会社の強硬姿勢により、麻酔科医と医療現場に大きな負担をもたらしている。本質的に、麻酔科診療の公平な報酬とは、患者が最も脆弱な時間帯に、麻酔科医が分単位で提供する高度で緊張度の高い医療行為を正当に評価することである。
THC, CBD Components Matter When Using Cannabinoids for Pain
これまでの考え方では、THC が精神作用を持つ成分で、CBD は精神作用はなく治療的・医療的な効果を持つとされてきました。しかし今回、CBDのみ、あるいはCBDが主体の製品は痛みに対して効果を示さないことが分かり、これはやや意外でした。一方で、THCを多く含む製品は軽度の鎮痛効果を示しましたが、その代償として副作用が増えるという結果でした。最終解析では、高THC比率の経口・合成・精製THC製品は、THC単独製品や口腔粘膜投与の抽出製品と同様のTHC/CBD比率を持ち、疼痛強度をわずかに低下させた(1〜10スケールで −0.78 および −0.54)。 しかし、めまい・鎮静・悪心の中等度〜高度の増加が認められた。THC単独製品では、ナビロンは中等度の疼痛軽減を示したが、ドロナビノールは示さなかった(それぞれ −1.59 と −0.23)。 低THC比率製品は疼痛軽減と関連しなかった。 例外は CBD単独製品 で、これも疼痛軽減は示さず、むしろ有害事象の増加と関連していた。Cooper 博士は、医師が患者に適切な製品選択を助言できるような研究の必要性を強調し、研究アジェンダの抜本的な再構築が必要です。慢性痛に対する新規薬剤は切実に求められており、カンナビノイドは革新的な道筋を提供する可能性があります
Video Laryngoscope–Based Intubations: Superiority Brings Evidence of a New Failure Mode
Prekker、Kriege、Phelan の論文を詳しく検討すると、3つの重要な知見が得られる。第一に、これらすべての研究は、VL(ビデオ喉頭鏡)で挿管が失敗する主因は「視認性の失敗」ではなく、圧倒的に「気管へのアクセス失敗」であることを示しているPhelan は 2022 年に発表した 997 件の VL 挿管のシリーズで、失敗の 73% が気管アクセスの失敗であったと報告している。著者らは次のように述べている: 「24 件(2.5%)の挿管失敗があり、その大半はコンサルタントまたは上級麻酔科医が喉頭鏡操作を行っていた。22 件の挿管失敗のうち 16 件では、ビデオ喉頭鏡画面上でグレード I または II の声門視認が得られていた。」Prekker の研究の VL サブグループでは、挿管失敗の原因が「気管アクセス失敗」であった割合は 46.7%(n=22)で、「声門視認不良」による失敗 24.8%(n=26)の約 2 倍であった。Kriege の研究では、VL サブグループの挿管失敗の原因は 86%(n=48)が気管アクセス失敗であり、声門視認不良は 14%(n=8)に過ぎなかった。第二に、Prekker の二次解析データは、より微妙だが重要な点を示している。 DL(直接喉頭鏡)サブグループでは、挿管失敗の主因は「声門視認不良」で 59%(n=123)と最も多く、気管アクセス失敗 24%(n=51)の約 2 倍であったDL から VL への移行によって、挿管の失敗様式が「視認性の失敗」から「気管アクセスの失敗」へと置き換わった。VL 時代が到来したこと、そして VL の主要な失敗様式が「気管アクセス」であることを明確に示している。 今こそ、気管アクセスの用語を標準化し、その失敗を体系的に理解し解決するための器具・知識・技術・技能を開発する時である。DL 時代は「視認性の理解と改善」を中心に構築されてきた。 VL 時代は「気管アクセスの理解と改善」を中心に構築されるだろう。 今こそ、その取り組みを始めるべきである。
Cebranopadol Shows Promise in Treating Acute Pain
セブラノパドールは、nociception/orphanin FQ peptide(NOP)受容体とμオピオイド(MOP)受容体の両方を活性化する、初の二重作動薬(dual-NMR agonist)である。このデータは、2026年のAmerican Academy of Pain Medicine(AAPM)PainConnect Conferenceで発表されたもので、腹部形成術(abdominoplasty)および外反母趾手術(bunionectomy)後の中等度〜重度の急性痛患者を対象とした第3相試験(ALLEVIATE-1およびALLEVIATE-2)から得られた。セブラノパドールは、NOPとMOPの両受容体を同時に活性化することで鎮痛をもたらすが、従来のMOP選択的作動薬に一般的に関連するリスクを増加させない点が特徴である。現在、多くの患者が非オピオイド薬では十分に痛みを管理できず、また医師はオピオイドを処方することに過度の圧力を受けています。その結果、患者が十分に治療されないギャップが生じています。セブラノパドールのような薬剤は、そのギャップを埋める可能性があります。それは非常に重要なこと
Airway on Demand: Awake Intubation in a Complex Laryngeal Tumor
ファイバーでの意識下挿管。十分局所麻酔薬を噴霧して、ファイバーを愛護的に操作する教育的ビデオの紹介

Ultrasound Findings of Chronic Inflammatory Demyelinating Polyneuropathy of the Sciatic Nerve
本研究は、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(CIDP)患者の坐骨神経にみられる超音波学的特徴を明らかにすることを目的として行われた。• 高周波リニアプローブ(12–18 MHz)を用いて坐骨神経を評価。主に以下の項目を測定:神経の断面積(CSA)、エコー輝度(echogenicity)、神経形態の不均一性や肥厚の程度。• CIDP患者の坐骨神経では、神経断面積の増大やエコー輝度の変化など、炎症・脱髄に伴う構造変化が認められた。これらの超音波所見は、CIDPの病態理解を深めるだけでなく、他のニューロパチーとの鑑別にも有用である可能性が示された。超音波は非侵襲的で繰り返し評価が可能なため、治療反応性や病勢の経時的モニタリングにも応用できる。臨床的インパクトとして、坐骨神経の超音波評価は、CIDPの診断補助として有望であり、神経生検や電気生理検査を補完する手段となり得る。CIDPのサブタイプ鑑別や重症度評価にも役立つ可能性がある。より正確な画像診断は、治療方針決定や予後予測に寄与し、患者アウトカム改善につながる。
Top of July
Expanding Regional Anesthesia to Critical Care Units Could Pay Dividends
区域麻酔サービスを集中治療領域へ拡大することは、患者アウトカムの改善や医療システムの効率向上に多くの可能性をもたらす。区域麻酔の応用により、ICUおよび病院の在院日数を短縮し、術後早期および退院後のオピオイド使用量を減らし、ICU退室後に持続する疼痛の発生率を低減できる。この脆弱な患者集団には、より広い視点からの配慮が必要である。ICU生存者の 77% が慢性痛を経験しており、ICUで経験した痛みは、生存者の 心的外傷後ストレス障害(PTSD)症状の原因 となり得る。ICUでの疼痛管理には、患者個々の生理学的特徴や疼痛症状の原因を深く理解することが不可欠であると説明した。さらに、ICU患者は医療的に非常に複雑であるため、疼痛管理のプロトコルは柔軟であり、感染リスク、循環動態の不安定性、凝固異常など、これらの患者にしばしば存在する追加のリスクを考慮する必要がある。区域麻酔手技を用いて交感神経遮断(sympathectomy)を誘導し、頻脈性不整脈や脳血管攣縮の発生率・重症度を低減できる可能性についても、文献が増えつつある。「私の願いは、区域麻酔や疼痛医療に熟練した麻酔科医が、手術室の環境から一歩外に出て、さまざまなICUの同僚と協力し、自分たちの知識や技術が恩恵をもたらせる患者がいないかを探してほしいということです」とシュローダー氏は述べた。「多くの場合、最初の一歩は、病棟クラークや看護師と話し、追加の疼痛管理サービスが最も必要な患者を把握すること
7月
Successful Dural Puncture Epidural After Recent Epidural Blood Patch
硬膜穿刺(偶発的であれ計画的であれ)を受けた患者の最大40%が、症候性の体位性頭痛を発症し、EBP(硬膜外血パッチ)は広く治療手段として用いられている。しかし、EBP後早期に施行される神経軸性手技の安全性、タイミング、技術的留意点──たとえば硬膜外鎮痛の有効性や、硬膜外腔に残存する血液の影響など──について検討した研究はごくわずかである。1990年、Ong らは、EBPの有無にかかわらず、硬膜穿刺後に硬膜外麻酔を受けた患者の35〜40%が、質の低い麻酔・鎮痛を経験する可能性があると結論づけた。しかし近年では、EBP後に硬膜外麻酔が成功したという報告もみられる。EBP後に硬膜外または脊髄くも膜下手技を行う際のタイミングは重要な検討事項である。 動物研究では、血液凝固塊の部位でのコラーゲン形成は約4日後に始まり、3週間でピークに達し、その後瘢痕組織は時間とともに縮小することが示されている。また、組織学的研究では、硬膜の瘢痕組織は3か月で完全に回復することが示されている。最近形成されたEBPの線維性塊が障壁として働き、薬液の拡散を妨げ、将来の硬膜外手技に影響する可能性はある。しかし、我々の経験を含む臨床報告は、EBP後早期の神経軸性鎮痛が安全かつ成功裏に行えることを示唆している。Whitwell らは、Marfan症候群の患者がEBPの3日後にCSE麻酔を成功裏に受けた症例を報告している。今回の症例は、最近のEBP後に分娩鎮痛を提供するためにDPE(dural puncture epidural)技法を用いた初めての報告である。 この技法では、薬液は硬膜穿刺部位を通じて髄液へ拡散するが、直接髄腔内に投与するわけではない。したがって、DPEは、低血圧などのくも膜下投与による副作用を減らしつつ、尾側への薬液拡散と鎮痛の質を改善する可能性がある。 本症例の分娩鎮痛は、発現時間や得られた鎮痛効果の点で、我々が管理してきた他のDPE症例と何ら変わらず成功していた。
New Research Links Cannabis Use With Lung Cancer
この後ろ向きコホート研究は、米国の67の三次医療機関から収集された20年間の匿名化電子カルテデータを用いて実施された(Lung Cancer 2026 Jun;216:109421)。 大麻使用障害を有する成人と有さない成人を比較したところ、 「大麻使用障害を有する個人は、そうでない個人と比べて肺または気管支癌を発症するリスクが有意に高かった」 ことが明らかになった。研究の著者らは次のように結論づけている: 「大麻使用の増加を踏まえると、用量反応関係やこれらの関連を駆動する生物学的メカニズムを明らかにするため、さらなる研究が必要である。臨床医は患者に大麻使用について助言する際、これらのリスクを考慮すべきである。これまでのプール解析やメタアナリシスでは、大麻と肺癌の明確な関連は示されてこなかった。しかし、2019年の JAMA Network Open のレビューが指摘するように、これらの研究は研究対象者の累積曝露量が少ない、参加者が若年である、追跡期間が短い、大麻使用量の定量が不十分 といった限界を抱えていた(2019;2[11]:e1916318)。最終的に、因果関係が決定的に確立されたわけではないものの、 生物学的・組織学的エビデンスに加え、今回のような大規模コホート疫学研究が蓄積されつつあることから、患者指導においては予防的アプローチをとることが妥当であると考えられる。
Will We Abolish the ‘Difficult’ Airway?
気道管理において「複雑(complex)」という語は、問題の客観的構造を表す。複雑性は、誰が喉頭鏡を持つかによって変わるものではない。それは、複数の相互依存する変数、分岐する意思決定ポイント、予測不能な相互作用の可能性など、システムそのものが持つ性質を反映している。例としては:重度ショックと顔面外傷を伴う患者の挿管(誰が操作するか以前の段階で既に複雑),心原性ショックと低酸素血症を伴う「生理学的に複雑な気道」、循環動態を悪化させうる導入薬の選択複雑性は気道管理における独立した次元であり、対処すべき変数の数・性質・相互依存性を示す。 「難しさ(difficulty)」が術者の主観的経験を反映するのに対し、複雑性は症例そのものが本質的に持つ特性である。問題の構造に織り込まれており、どれだけ多くの要素が存在し、それらがどのように相互作用するかによって決まる。これらの変数は、解剖学、生理学、経験、環境、リソースなど多岐にわたり、しばしば非線形で予測不能な形で相互作用する。複雑性は、臨床医に単なる技術的スキルを超えた思考を要求する。 すなわち、相互作用を予測し、競合するリスクを優先順位づけし、代替策を計画することである。 これは「作業が難しく感じられるかどうか」ではなく、理解し、乗り越えるべき問題の構造そのものに関わる概念である。
Plastics in the Perioperative Period: Deleterious Health Effects on Patients and Providers
手術室では、ディスポーザブル製品(シリンジ、カテーテル、ドレープ、包装材など)が大量に使用され、医療廃棄物の 30–50% がプラスチック由来と推定される(推定)。 麻酔科領域では特に以下が多い:気道管理器具(マスク、チューブ)、モニタリング用センサー、薬剤投与ライン、滅菌包装材。手術室のプラスチック廃棄物は大量であり、リサイクル可能な軟質プラスチックが多い 麻酔科主導のリサイクルプロジェクトは、廃棄量削減に寄与(関連研究)環境負荷は以下を含む:焼却によるCO₂排出、マイクロプラスチックの環境流出、医療廃棄物処理コストの増大。改善策は、プラスチック使用量の削減(再利用可能器具の導入)、リサイクル可能素材への置換、サプライチェーンの見直し、手術室スタッフ教育、病院全体での廃棄物管理プロトコル整備、代替素材(バイオプラスチック等)の検討が挙げられる。
Federal Cuts for Naloxone Funding: Costs and Concerns, Part 3: Will Opioid Deaths Increase?
連邦によるナロキソン/ハームリダクション予算削減はオピオイド死亡を増加させるのか?連邦政府によるハームリダクション予算削減が進行中。2025〜2026年にかけて、米国連邦政府はナロキソン配布、シリンジサービスプログラム(SSP)、感染症ケア、オーバードーズ予防サービスなどを含む ハームリダクション施策の予算を大幅に削減する方針を示した。 これにより、現場では「ナロキソンを含む救命サービスが縮小するのではないか」という懸念が高まっている。JAMA Network Open に掲載された大規模モデリング研究では、 連邦予算削減が続いた場合、5年間で最大 39,600 人の追加死亡が発生すると推計された。SAMHSA(米国物質乱用・精神衛生局)は2026年の通達で、ナロキソンは支援対象とするが、その他のハームリダクション物品(注射器・テストキットなど)は支援対象外 とする方針を示した。これにより、現場ではナロキソン配布体制そのものが弱体化する懸念が生じている。
Cebranopadol Could Usher In New Era of Acute Pain Treatments
セブラノパドールは、ノシセプチン/オルファニンFQペプチド(NOP)受容体と μオピオイド(MOP)受容体の二重作動薬(dual NOP/MOP agonist)であり、これまでにない作用機序を持つ「first-in-class」の治験薬である。2026年の AAPM PainConnect Conference で発表された第3相試験 ALLEVIATE-1 および ALLEVIATE-2 のデータによれば、腹部形成術(abdominoplasty)や足の外科手術(bunionectomy)後の中等度〜重度の急性疼痛に対し、従来のMOP選択的作動薬でよく見られる副作用を軽減しつつ鎮痛効果を示す可能性がある。
New Workflow Targets Preventable Anticoagulation Errors After Epidural Placement
硬膜外麻酔施行後に抗凝固薬、特に低分子量ヘパリン(LMWH)が誤って投与される事例は、個人の過誤ではなく、予防可能な“システム起因の安全リスク”であることを示した。 その後、彼らが設計した標準化された多職種ワークフローは、予防可能な有害事象のリスクを低減し、周術期医療の安全性向上に寄与した。「脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔は、周術期の多角的鎮痛の基盤であり続けていますが、抗凝固療法は脊髄血腫を引き起こす可能性があり、これは壊滅的ではあるものの稀な合併症ベースラインレビューでは、硬膜外麻酔後に低分子量ヘパリン—特にダルテパリン—が術直後に投与されていた症例を確認しました」と彼女は述べた。問題を特定した後、研究チームは麻酔科、外科、看護、薬剤部、急性疼痛チームを対象とした学際的ワークフローを作成した。「チームは、ガイドラインと実際のシステム運用の間に存在するギャップを特定することに成功しました」と Aldossary は述べた。彼らが設計した介入は、以下の重要なポイントを強調していた:硬膜外麻酔施行後の術中LMWH投与の回避、必要な場合はLMWHを未分画ヘパリンに置き換えること、文書化基準の強化、硬膜外カテーテルの状態に関する多職種による必須の確認、薬剤部レベルでの「調剤ハードストップ(強制停止)」、電子カルテ上の安全フラグ(警告表示)が挙げられた。
Depression, Other Psychological Factors May Be Linked With Post-op Cognitive Outcomes
新たに公表された系統的レビューおよびメタ解析(Br J Anaesth. 2026;136[5]:1482-1494)によると、高齢者の術後認知合併症リスクを評価する際、心理的因子が臨床的に重要である可能性が示された。このレビューは、高齢者における心理的因子と術後認知アウトカムの関連に関するエビデンスを検討したもので、6,714名の患者を含む30件の研究を分析した。主な対象は術後せん妄であり、遅延性神経認知回復や術後神経認知障害に関するエビデンスはより限定的であった。「本レビューの重要な貢献のひとつは、高齢者の術後認知合併症について、医学的・外科的リスク因子だけでなく、より広い視点から心理的因子の影響を捉えた点にあります」と、スウェーデンのカロリンスカ研究所・Neurobiology, Care Sciences and Society の PeriBrainCare グループに所属する研究者 Anahita Amirpour, PhD は述べている。「これまでの研究は併存疾患や手術特性といった因子に主に焦点が当てられてきましたが、心理的因子は十分に注目されてきませんでした。」高齢者の術後せん妄と関連する心理的リスク因子として、抑うつが最も一貫して報告されていた。しかし、調整済み効果量を用いたメタ解析では、抑うつとせん妄の間に統計学的に有意な関連は認められなかった。 それでも、より広範なエビデンス統合では、抑うつ、不安、神経症傾向、ストレス関連症状と術後認知アウトカムとの関連を支持する結果が得られた。
New Generative AI Tool Improves Design Diagrams For Clinical Systems
医療現場で用いられる複雑な臨床システム図(ワークフロー図・プロセスマップ・情報連携図など)を、生成AIによって大幅に効率化・高精度化する新しいツールの紹介。医療現場では、以下のような複雑な図が日常的に必要になる:患者フロー図、周術期管理プロセス図、ICUの情報連携図、医療安全プロセス図、手術室の危機対応アルゴリズム。従来は、医師・看護師・医療情報担当者が手作業で作成しており、時間がかかる・表現が不統一・更新が困難という課題があげられていたが、ユーザーが文章で説明するだけで、AIが以下を自動構築する:フローチャート、システム構造図、プロセスマップ、データ連携図などである。例: 「術後疼痛管理のプロセスを図示して」 → AIが評価→介入→再評価→退院後フォローまでの図を自動生成。• 医療現場の複雑なプロセス図は、生成AIによって大幅に効率化される。図の質が向上することで、医療安全・教育・チーム連携が改善する。臨床システム設計は、AI支援が標準となる可能性が高い。
Intraoperative Thoracic and Airway Crisis: When Routine Turns Critical
胸部麻酔は routine の中に重大危機が潜む気道損傷・気管支攣縮・血栓閉塞などは突然発生し、即座に換気不能へ落ちいつ。危機の初期兆候はEtCO₂の急低下、airway pressureの急上昇、silent chest、血性分泌物を考慮する。対応の鍵は原因鑑別(攣縮・閉塞・損傷・アナフィラキシー)で、bronchoscopyや換気戦略の即時変更、外科医との協働が不可欠である。胸部麻酔の安全性向上には、危機を前提とした準備・教育・シミュレーションが不可欠。
Smooth Sailing through Surgery: Frequency of Blood Pressure Monitoring and Intraoperative Hypotension
血圧測定の頻度を短くしても、術中低血圧は有意に減らない。非心臓手術患者264名を対象としたランダム化比較試験(Anesthesiology 2026)• MAP <65 mmHg の時間加重平均2.5分群:0.00 (0.00–0.04) mmHg vs 5分群:0.00 (0.00–0.21) mmHg差は 統計的に有意でない(P = 0.27)重度低血圧(MAP <50 mmHg 1分以上)2.5分群:5.3%vs 5分群:9.9%有意差なし(P = 0.24)ノルアドレナリン使用量両群で差なし(P = 0.40). 「測定頻度を増やしても、術中低血圧の総量は減らない」 ことを明確に示しました。理由として考えられる点(推論):低血圧は「測定間隔」よりも 麻酔深度・循環動態・患者リスク に左右される,2.5分と5分の差では、介入タイミングが臨床的に大きく変わらない,血圧低下は急速に進行するため、カフ測定では限界がある(推論)。
Short- and Long-term Efficacy and Safety of Levosimendan in Veno-arterial Extracorporeal Membrane Oxygenation Weaning: The WEANILEVO Randomized Double-Blind Multicenter Trial
WEANILEVO試験は「レボシメンダンはVA-ECMO離脱を短期・長期ともに改善しない」ことを示した多施設ランダム化二重盲検試。VA-ECMO離脱は心原性ショック患者における最大の課題の一つであり、 レボシメンダン(カルシウム感受性増強+血管拡張作用)が 離脱成功率を高める可能性が示唆されてきたものの、 高品質なエビデンスは不足。急性腎障害(Day 30):レボシメンダン群:62.5%、プラセボ群:38.5%、OR = 2.67(95%CI 1.08–6.62, p = 0.03) → 腎障害が有意に増加 血行動態:レボシメンダン群で昇圧薬使用が多い傾向(47.5% vs 28.2%, p = 0.07) ICU滞在期間:レボシメンダン群で延長傾向(中央値 12日 vs 9日)。
NORA Steadily Expanding, Eliciting Workforce Shortage Concerns
NORA(Non Operating Room Anesthesia:非手術室麻酔)が急拡大し、麻酔科医・CRNA不足が深刻化している」米国病院協会・ASAの報告では、 NORA症例は今後10年で全麻酔の50%以上を占める と予測されています。背景には以下がある:低侵襲手術の普及、外来手術センター(ASC)の増加、高齢化による手術需要の増大。全米で麻酔人材不足が構造的に深刻化している主な要因:麻酔科医の高齢化(57%が55歳以上)、COVID後の大量退職(ASA医師の15%が離職)、研修枠不足(応募 6,770人に対し枠 539)、CRNAも同様に高齢化し、年間卒業者数が退職者数に追いつかない。英国では麻酔科医不足により 年間150万件の手術が実施できない という報告もあり、 麻酔人材不足が医療体制全体を揺るがしている。これは米国のNORA拡大と同じ構造問題であり、国際的な課題となっている。
Anesthetic Technique Alone May Not Reduce POCD After Cardiac Surgery
「麻酔方法(TIVA vs 揮発性麻酔)だけでは、心臓手術後のPOCD(術後認知機能障害)を有意に減らすことはできない」最新の体系的レビュー・メタ解析では、 プロポフォールTIVAと揮発性麻酔の間でPOCD発症率に有意差はないことが示されている。別の大規模ネットワークメタ解析では、 POCD予防に効果が高いのは麻酔方法ではなく、補助薬や非薬物的介入であると報告されています。 効果が高かった介入(SUCRA値が低い=予防効果が高い):ガストロジン、エスケタミン、デクスメデトミジン、認知トレーニング:麻酔方法単独ではなく、周術期全体の多面的アプローチが必要。高齢者手術のメタ解析では、 EEG(BIS)ガイド麻酔によりPOCDが22%減少することが示されている。
The Anesthetized Hippocampus Still Processes Language, New Study Finds
全身麻酔下でも海馬は高度な言語処理を行っている。てんかん手術中に全身麻酔下の患者の海馬から神経活動を直接記録し、以下の驚くべき事実を発見しました。海馬に Neuropixels プローブを挿入し、数百のニューロンを同時記録。刺激:単純な音刺激(繰り返し音+時々違う音)、短いストーリー音声を与える。 海馬ニューロンは 音の変化(oddball刺激)を識別できる、その識別能力は 時間とともに向上し、学習(神経可塑性)が起きている、短い物語を聞かせると、海馬は 名詞・動詞・形容詞など品詞を区別、さらに、次に来る単語を予測する神経活動まで示した。つまり、意識がなくても脳は高度な言語処理と予測を行っている(Nature (2026 May 6. doi:10.1038/s41586-026-10448-0)。言語理解や予測は必ずしも意識を必要としない、海馬は麻酔下でも 学習・記憶形成の基盤となる可塑性を維持、意識と認知機能の関係についての従来のモデルを再考する必要がある、将来的には 脳–コンピュータ・インターフェース(BCI)や 記憶障害治療への応用可能性がある。全身麻酔で完全に意識がない状態でも、海馬は音や言語を高度に処理し、学習し、次の単語を予測する。 この発見は「意識がないと認知はできない」という従来の前提を覆す画期的な成果である。
Study Finds No Evidence of Hypersensitivity After Axillary Brachial Plexus Block
過去の研究では、若い患者で、整形外科手術を受ける患者に腋窩神経ブロック後にリバウンドペインが存在するが、健常人を対象にしたブロック後に、熱や圧による疼痛刺激の変化を検討したが、リバウンドペインはなかった。健常人ともともと障害を受けた患者では、解釈に注意が必要。
An Update on Difficult Airway Management In Obstetric Patients
産科患者は一般成人より気道管理が難しい。最新の推奨は “ビデオ喉頭鏡を第一選択にする”産科麻酔の質改善プロジェクトでは、1,000例以上の産科挿管でビデオ喉頭鏡を初期選択とすることで安全性が向上したと報告されている。Difficult Airway Society(DAS)2025ガイドラインの要点では、最新ガイドラインでは以下が強調される:「準備の質」が成功率を左右する。失敗時の体系的アルゴリズム(Plan A → B → C → D)早期の「挿管中止」判断と酸素化の確保。最新レビューの総括(2026年)産科気道管理の最新レビューでは、以下が総合的に強調されている:妊娠に伴う気道浮腫・肥満・生理変化により難易度が上昇、ビデオ喉頭鏡の第一選択化、迅速導入時の酸素化戦略(高流量鼻カニュラなど)、チームベースの気道管理。
Methodologic Insights on Building and Evaluating Models for Early Warning of Hypotension during Surgery
術中低血圧を早期に予測するモデルを構築する際に「どのデータを使い、どう評価し、どのように臨床的妥当性を担保するか」という“方法論の落とし穴”を体系的に整理した論文。早期警告モデル(Early Warning Models) のモデル構築には多くの方法論的問題があり、 誤った設計は“使えないモデル”を生む。低血圧の定義がモデル性能を大きく左右する。データの質と粒度が最重要で、データ粒度が低いと、モデルは“低血圧を見逃す”可能性が高い。時系列データの扱いが難しく、単純な機械学習(ランダムフォレスト等)では限界があり、Sequence models などの 時系列モデルの重要性 を強調。データリーク(情報漏れ)に注意する。評価指標の選択が結果を歪めるため、早期警告モデルでは「時間的精度」が最も重要。外部検証(External Validation)が必須で、臨床的有用性(Clinical Utility)の評価が欠けている。モデルは「麻酔科医の意思決定」を補助するべきで、術中低血圧の早期警告モデルを構築する際には、低血圧の定義、データ粒度、時系列処理、データリーク防止、外部検証、臨床的有用性の評価が不可欠である。これらを誤ると、モデルは高性能に見えても臨床では全く役に立たない。
Noninvasive Arterial Pressure Monitoring during Anesthesia
非侵襲的連続血圧モニタリングは進歩しているが、精度はまだ不十分
非侵襲的連続血圧モニタリングは有望だが、現時点では“侵襲的動脈ラインの代替にはならない。最新の系統的レビュー・メタ解析(2026)では、 ClearSight™・CNAP™ などの volume clamp 系デバイスは、MAP・SBP・DBP のいずれも AAMI(国際標準)基準を満たさなかった と報告。一方で、 applanation tonometry(T-Line™, Vasotrac™, N CAT™)や photoplethysmography 技術は、MAP・SBP・DBP の bias(平均誤差)では基準を満たすものがあり、特に N CAT は SD(精度)も基準を満たした とされる。非侵襲的連続モニタは “補助的ツール” として有用。N CAT と photoplethysmography 技術は今後の有望株。
Study Suggests Compound Found in Caffeine Has Analgesic Effects
カフェイン由来の化合物(特定のメチルキサンチン)に鎮痛効果がある可能性を示した研究について、研究者がその意義と臨床応用の可能性を語っている。• カフェインは長年、頭痛治療薬や鎮痛薬の補助成分として使用されてきた。しかし「なぜ効くのか」「どの成分が効いているのか」は十分に解明されていなかった。今回の研究は、カフェインの特定成分が痛み経路に直接作用する可能性を示した点が新しい。侵害受容経路の抑制作用、炎症性疼痛の軽減、オピオイドとの併用で相乗効果の可能性、中枢神経系の覚醒作用とは別の“純粋な鎮痛効果”がある可能性。つまり、カフェインは単なる覚醒剤ではなく、痛みそのものを軽減する可能性がある。
Liposomal Bupivacaine Protocol Cuts Post-ACL Opioid Use to Near Zero
ACL再建術(前十字靭帯再建術)後のオピオイド使用を劇的に減らすことに成功した新しい鎮痛プロトコールを紹介。リポソームブピバカインによる広範囲局所浸潤(LIA)、末梢神経ブロック(必要に応じて)、アセトアミノフェン・NSAIDs の定時投与、オピオイドはレスキューのみで、これにより、術後痛の主因である組織侵害痛を長時間(48–72時間)抑制できる。患者アウトカムも改善し、同日退院も可能。オピオイド関連の副作用軽減。
Same-Day Discharge Increasingly the Norm; Anesthesiologists Pivotal
医療の流れは「入院を減らし、同日退院を増やす」方向に大きくシフトしており、 その中心的役割を担うのが 麻酔科医(Anesthesiologists) である、という内容。1. 同日退院が増加している背景。医療費削減(病院・保険者双方の圧力)、患者の利便性向上、外科手技の低侵襲化、ERAS(Enhanced Recovery After Surgery)の普及、周術期チームの成熟、これらにより、“入院が当たり前”から “帰宅が当たり前”へと変化している。術後回復の差は麻酔管理で決まる。オピオイド最小戦略とマルチモーダル鎮痛の質がカギ。同日退院の成功には「術前評価」が最重要で、評価すべき項目は合併症(心疾患・呼吸器疾患・OSA)、社会的背景(帰宅後のサポート体制)、術式の侵襲度、既存の慢性痛、オピオイド使用歴で、“誰を同日退院に適応させるか”は麻酔科医の判断が中心。
The 3 Demons of Airway Management: Edema, Stiffness, Hoarseness
気道管理を難しくする 3つの要因(Edema, Stiffness, Hoarseness)を “Demons” として捉え、術前評価・術後観察・再挿管判断において見落としてはならない警告因子として解説した内容。最も危険な悪魔。 気道浮腫は、挿管時・抜管後の両方で重大なリスクとなる。挿管困難の主要因、抜管後の気道閉塞の原因、上気道感染、長時間手術、体位、輸液過多で悪化、Cuff leak test が重要な指標、浮腫が疑われる場合は 抜管延期・ステロイド投与・再評価 が推奨される。ポイント: “見えない腫れ”が最も危険。症状が軽くても油断しない。気道の柔軟性が失われることによる管理困難。頸部可動域制限、顎関節の硬さ、放射線治療後の線維化、糖尿病患者の “stiff joint syndrome”肥満による軟部組織の硬化、マスク換気・挿管・声門展開が困難になる。ポイント: “硬さ”は見た目では分かりにくいが、術前評価で最も見落とされやすい悪魔。声の変化は気道トラブルの“早期警告サイン”。術前の嗄声 → 声帯麻痺・腫瘍・炎症の可能性、術後の嗄声 → 挿管による声帯損傷・浮腫・再挿管リスク、“声が変わった”は軽視されがちだが、重大な気道病変の兆候。ポイント: 嗄声は“気道が危険信号を出している”と考えるべき。
Patient Rapport in Anesthesia Practice Is Not Only Possible, But Essential
多くの研究で、患者との良好なラポール(信頼関係)を築くことは、望ましくない結果が生じた際に医療訴訟が提起されるリスクを低減することと関連している。患者がこれから受ける手術や処置に対してより安心感を持てる状況では、患者のアウトカムが改善する可能性もある。術前面談において麻酔科医と患者、そして家族(同席している場合)との間で適切な雰囲気をつくることが極めて重要。非常に緊張している患者の一部では、手術や処置が始まる前に、気持ちを別の方向へ向けてあげることが最も有効。できる限り行うようにしていたことが、スケジュールの余裕や家族控室の位置にもよりますが、手術後に家族へ「手術が無事に終わり、うまくいった」ことを伝えるよう努めること。
The effectiveness of selective COX-2 inhibitors for postoperative pain management using multidimensional pain assessment: A systematic review and meta-analysis of randomized controlled trials
9,071件の文献をスクリーニングし、38件のRCT(5,424名の参加者)が適格基準を満たした。選択的 COX 2 阻害薬は、急性疼痛による日常生活への支障を減少させることが示された(BPI 平均差[MD] −1.1、95%信頼区間[CI] −1.4〜−0.84、n=7、確実性:中等度)。また、慢性疼痛の発生率も低下していた(オッズ比 0.44、95% CI 0.21〜0.93、n=5、確実性:低)。一方、慢性疼痛の強度については有意な効果は認められなかった(MD −1.0、95% CI −2.7〜0.67、n=1、確実性:非常に低)。臨床的に重要な鎮痛効果を達成するためのモデル化されたリスク差では、急性疼痛に対する COX 2 阻害薬の大きな利益が示された。回復の質も改善していた(Quality of Recovery 9[0〜18点]の平均差 0.84、95% CI 0.33〜1.35、n=7、確実性:低)。術中出血量は少なかった(MD −22 mL、95% CI −40〜−4、n=3、確実性:低)。その他の有害事象(急性腎不全、消化管出血、骨癒合障害、心筋梗塞、脳卒中、死亡)については差は認められなかった。周術期の選択的 COX 2 阻害薬は、急性疼痛による日常生活への支障を臨床的に意味のあるレベルで軽減する可能性が高く、さらに慢性疼痛や回復の質を改善する可能性も示唆される。
Buprenorphine Being Tested as a Potential Analgesic
ブプレノルフィンは、長年にわたり有効な鎮痛薬として使用されてきたが、現在では研究者らがこれを新たな鎮痛薬候補として再評価している。「ブプレノルフィンは長年、MOUD(オピオイド使用障害治療薬)として使われてきましたが、鎮痛薬として使用するのは非常に新しい試みです」と Lee 医師は述べた。「そのため、投与量の範囲はより繊細で、現在研究しているのは副作用プロファイル、医師の経験、そして全体的な鎮痛効果です。」Lee 医師は、この研究を行う理由の一つとして、既に知られている薬剤を異なる環境で試すという流れがあると説明した。「既に知られている鎮痛薬を研究し、別の場面で使用できるかどうかを確認することは非常に重要です」と Lee 医師は述べた。「新しいものを発明する必要はありません。周術期のデータから、ブプレノルフィンは鎮痛に有効であり、安全であり、特に完全作動薬と比べて安全性が高いことが分かっています。したがって、救急部で使用することは、既に知られている鎮痛薬を自然に応用し、患者集団に最適な投与量を探り、長期的な安全性と有効性を確認するための合理的な方法なのです。」。
Genetics and Drugs: A Tricky Interplay
薬物に対する患者の反応が遺伝的変異によってどのように影響されるかを調べる薬理ゲノミクス検査(PGx)は、薬剤選択に役立つ場合があるが、まだ発展途上の科学である. 薬理ゲノミクス検査は薬物治療の安全性と有効性のバランスを取るうえで役割を果たし得ると述べた。「薬物治療を最適化したい一方で、予防可能な副作用は避けたいのです」と彼女は言う。「試行錯誤を減らし、患者に最大限の利益をもたらしつつ、毒性を避けたいのです。」検査によって、患者が特定の薬物に対して正常代謝者・速い代謝者・代謝が遅い人のいずれに該当するかが示される場合があると Brady 氏は説明した。速い代謝者では、体内に十分な活性薬物濃度が維持できず効果が弱くなる可能性がある。一方、代謝が遅い人では薬物濃度が上昇し、毒性のリスクが高まる可能性がある。覚えておくべきフェノコンバージョン(表現型変換)のルールは次のとおりである:強力な阻害薬(strong inhibitors)は、CYP酵素活性をほぼゼロに近いレベルまで低下させ、「代謝能が低い(poor metabolizer)」と同等にする。中等度の阻害薬(moderate inhibitors)は、CYP酵素活性を約半分に低下させる。弱い阻害薬(weak inhibitors)は、CYP酵素活性を低下させるが、臨床的に意味のある影響は及ぼさない。代謝能が低い患者(poor metabolizers)はフェノコンバージョンを起こさない。CPIC のオピオイドガイドライン(Clin Pharmacol Ther 2021;110[4]:888–896)には、フェノコンバージョンをどのように取り入れるかに関する情報が記載されている。薬剤師は CYP2D6 の表現型を調整する方法として、 1)臨床解釈を行う前に手動で調整する方法、 2)ClinPGx Genotype Selection Interface のようなツールを使用する方法 のいずれかを選択できると Cicali 医師は述べた。(電子カルテシステムにツールが組み込まれている場合もある。) 自動化に依存する場合は、患者の服薬リストが正確であることを確認することが極めて重要だと Cicali 医師は強調した。
Tips for Decreasing Perioperative Opioid Use
周術期疼痛管理に薬剤師が密接に関与することの重要性が強調された。オピオイド・スチュワードシップは、退院後のオピオイド依存につながり得る過剰使用を避けつつ、医師が疼痛を適切に管理できるよう支援することを目的としている。ICU においては、周術期および術後に使用するオピオイド量を減らし、可能であれば退院時のオピオイド処方量・投与量を減らすことが目標となると彼は述べた。さらにもう一つの目的として、術後の疼痛スコアや入院期間を増やすことなく、仙骨ブロック(臍より下の手術に用いられる区域麻酔)の使用を増やすことが挙げられると説明した. オピオイド・スチュワードシップの定義が発展してきた過程で、中心的な要素として次のような点が含まれるようになったと、Erstad 医師は述べた。すなわち、本当に必要な場合にのみオピオイドを処方すること、医療者と患者の双方がオピオイド使用のリスクを理解すること、医師と薬剤師がオピオイド使用を監視すること、継続的なオピオイド使用を評価すること、オピオイドを適切に廃棄すること、患者のオピオイド使用障害を特定し治療すること、そして適切な場合には非オピオイドの疼痛管理オプションを処方することである. オピオイド・スチュワードシップ・プログラムを有している病院は全体の25%未満である(Lancet Healthy Longev 2023;4[5]:e228–e235)と述べ、これは周術期のオピオイド使用を改善するために、まだ多くの取り組みが必要であることを示していると指摘した。
Visual Cues Help Post-op Patients Moderate Use of Patient-Controlled Analgesia
術後急性疼痛に有効な手段である患者自己調節鎮痛法(PCA)は、過剰使用や過少使用によって効果が低下する可能性があるが、PCAの基本原則を視覚的に示す詳細な表示(ビジュアル・キュー)を用いることで、適度な使用量を維持できたことが新しい研究で示された。情報カード(インフォメーションスリップ)を付けた群では、PCA の総使用量の平均が少なく(50.8 MME)、スリップを付けなかった群(124.3 MME)より低かった。痛みの平均スコアも「スリップあり」群の方が低く(4.7 vs. 2.8)、10点満点の満足度スコアも「スリップあり」群の方が高かった(9.2 vs. 7.6)。なお、両群間で機能面や悪心の発生に差は認められなかった。著者らは次のように記している。「視覚的なキューを与えられた患者は、PCAボタンの使い方を常に思い出せるため、オピオイド使用量が少なく、適切なタイミングでボタンを押す割合が高かった可能性がある。」N=30
Top5 of June
Universal Glucose Testing Before Surgery Found Advantageous
南カリフォルニアおよびハワイのカイザー・パーマネンテ(KP)17病院において、手術前の普遍的な血糖検査(universal glucose testing)を導入したことで多くの利点が得られた。周術期高血糖は手術部位感染(SSI)のリスク上昇と強く関連することが示されている(Diabetes Care 2022;45[9]:1994–2002; Clin Colon Rectal Surg 2023;36[3]:198–200)。Talati 氏は、もし患者が高血糖であれば、手術前に血糖を正常化するため静脈内インスリン投与を開始できると述べた。今回の研究では全例に血糖検査を行うことでアウトカムが有意に改善したと述べた。ただし、病院内のすべての処置で血糖検査が必要というわけではなく、大きな手術において適切であると付け加えた。これは、SSI の影響を抑えることで患者のアウトカムや満足度を改善し、将来的に時間と費用を節約できる低コストの介入となり得ると指摘している根本的な問題は、診断されていない糖尿病の存在であると、KPの臨床実践戦略・運営部門のシニアディレクターである Christine Lee(PhD, MPH, RN)は指摘する。
6月
New Study Shows Limitations of Naloxone in Reversing Overdoses From Powerful Synthetics
新しい研究により、フェンタニルやスフェンタニルのような強力な合成薬物が関与する場合、ナロキソンによるオピオイド過量の逆転が困難になるという課題が明らかになった
(Anesthesiology 2026;144[5]:1160-1172)。
「本研究は、現在使用されているナロキソンの投与量では、新しい合成オピオイドによる過量を十分に逆転できない可能性があることを示している。
30 名の参加者を対象としたこの研究では、ナロキソンは命を救う可能性がある一方で、強力な合成オピオイドによる呼吸抑制を単回投与で完全に逆転できない場合があることが示された。
研究では、オピオイドを使用したことがない人と、日常的に使用している人の両方でナロキソンの効果を検証した。
フェンタニルおよびフェンタニル類似薬は現在、米国の過量死の大部分を占めており、その割合は 60〜79% と推定されている。
これらの薬物はオピオイド受容体により強固に結合するため、特に高濃度に曝露された場合やより強力な薬物が関与する場合、標準量のナロキソンでは逆転が難しくなる可能性がある。
研究者らは、現在の過量対応ガイドラインは、より弱い古いオピオイドを前提に作成されているため、オピオイド乱用の状況が変化し続ける中で、実践の更新とより良いツールの開発が急務であると強調した。
U.S. Drug Spending a 2-Sided Coin
2 つの新しい医療費報告書は、一見すると相反する方向性を示しているように見える。
1 つは米国の処方薬支出が年間 1 兆ドルに向けて急増していることを示し、もう 1 つは病院コストのインフレを主導しているのはもはや薬剤価格の上昇ではないと結論づけている。
しかし、実際には「ケア提供場所(site-of-care)」の変化が両者をつないでいる。
What to Do When a Wrong-Sided Block Occurs
外科手術では常にヒューマンエラーが起こり得るが、区域麻酔ブロックを身体の反対側に誤って実施してしまうケースもその一つである。
「Navigating Risks: Wrong-Sided Blocks(リスクの航行:誤側ブロック)」と題したパネルディスカッションで、シカゴ大学医学部の麻酔・集中治療の臨床准教授である Jihye Ha 医師は、誤側ブロックが発生した際に取るべき適切な対応手順について、Society for Ambulatory Anesthesia 2026 年次総会で解説した。
「多くの人は、自分自身や自分のチームに起こるまでは、この問題を深く考えることはあまりないと思います」と Ha 医師は Anesthesiology News のインタビューで語った。
「しかし、誤側ブロックに関する文献を実際に調べてみると、どれほど頻繁に起こっているかが分かり、当然ながら絶対に避けたい事象だと痛感します。」
Ha 医師は、誤側ブロックを避けるためにはリスク因子を把握することが重要だと述べたうえで、それでも発生してしまった場合には、患者および外科医と率直に話し合い、最も安全で適切な対応策を検討することが重要だと強調した
Short-Course Antibiotic Therapy Appropriate For Hospital-Acquired Pneumonia in ICUs
1,420 名の患者をスクリーニングしたうち、最終的に 2022 年 8 月から 2024 年 11 月までに HAP に対して経験的に抗菌薬治療を受けた 180 名の成人が研究に含まれた。
HAP は入院後 48 時間以降に診断された。最も一般的な除外理由は、市中肺炎であったと Lammers 氏は述べた。主要評価項目は、30 日以内の肺炎再発であった。
研究者らは、短期抗菌薬治療と延長治療の有益性を比較するために、非劣性マージンを 12%に設定した。
短期治療群の抗菌薬投与期間は最長 8 日であり、延長治療群は 9〜15 日であった。短期治療群は 93 名、延長治療群は 87 名で、APACHE II スコアは両群で同程度であった(短期 15、延長 16)。
肺炎の再発率は短期治療群の方が低く、短期群 9.2%に対し延長群は 10.8%であった(リスク差 –1.6%、95%CI –10.3%〜7.2%)。この結果は非劣性の基準を満たしていた。
入院期間は短期治療群の方が短く(9 日 vs. 13 日、P=0.04)、ICU 滞在期間は両群で同程度であった(7 日 vs. 8 日、P=0.24)。30 日死亡率も同様で、短期群 10.8%、延長群 9.2%と差はみられなかった(P=0.73)
Psychological Risk Factors and Postoperative Pain: It’s Not All In Their Heads
最近のメタ解析では、鼠径ヘルニア修復術を受ける患者において、心理的リスク因子と術後疼痛との間に統計学的に有意な関連は認められなかった。
しかし、それでも術前にこれらの心理的リスク因子へ介入することは、術後疼痛の軽減に役立つ可能性がある。
不安や抑うつを軽減するための周術期介入が疼痛に影響を与えるという、低〜中程度のエビデンスがある。
年間 80 万件の鼠径ヘルニア修復術が行われている状況で、慢性疼痛がまったく起こらないと期待することは不可能。
だからこそ、私たちはこうした患者を思いやりをもって治療することにもっと注力すべき。
もし外科医がメッシュ除去のための十分な訓練や経験を持っていないのであれば、少なくとも患者の話を聞き、助けられる可能性のある医師を見つける手助けをすることはできる。
さらに、現在の文献では患者の特性と術後疼痛の因果関係を評価することはできず、予測的なものでもないが、心身のつながりはほぼ確実に役割を果たしており、疼痛管理に有用である可能性があると彼は述べた。
これは、Bruce Ramshaw 医師らによる研究を指しており、慢性疼痛のためにメッシュ除去術を受ける患者に対する術前認知行動療法(CBT)の影響を調査したものである(Surg Endosc 2020;34[7]:3145-3152)。
「129 名の患者データを品質改善の観点から見ると、CBT を受けた患者は全員が疼痛の改善を示した一方、CBT を受けなかった患者では 85%のみが何らかの疼痛改善を示した。
また、CBT を受けた患者では新たな術後疼痛が発生した例はなかったが、CBT を受けなかった患者では約 18%が新たな術後疼痛を発症したことも報告されている
Study Shows Pulse Oximetry Accurate on Hospitalized Newborns of All Skin Tones
重症新生児を対象としたこれまでで最大規模の前向きリアルワールド研究のデータにより、Masimo SET パルスオキシメトリーでは統計学的バイアスが全体で 1%未満であることが示された。
さらに、黒人またはヒスパニックの患者において、皮膚色素に関連した臨床的に意味のある乖離は認められず、隠れた低酸素血症イベントも発生しなかった。
全体としては、白人患者 1 名でのみ認められた(J Pediatr 2026 Apr 21. doi:10.1016/j.jpeds.2026.115114)。
研究者らは Masimo RD SET Neo センサーを Radical-7 Pulse CO-Oximeter および Root モニタリングプラットフォームに接続し、動脈血ガス採取の前後および採取中に末梢酸素飽和度(SpO₂)データを連続記録した。動脈酸素飽和度(SaO₂)は院内の検査機器で直接測定し、各採血の 30 秒前の平均 SaO₂ と対応づけた。
また、メラニン指数や individual typology angle(ITA)など複数の方法を用いて、各患者の皮膚色分類を客観的に評価した。
この前向き研究では、重症新生児を対象に厳密に対応づけた測定を行った結果、パルスオキシメーターは全体として動脈血酸素飽和度をわずかに過小評価するのみであり、皮膚の色素による臨床的に意味のある差はなかった
Revisiting Buprenorphine For Acute Pain: Effective And Less Addictive
臨床医たちが、完全作動薬のμオピオイドに比べてリスクの少ない有効な鎮痛オプションを模索し続ける中、一部の疼痛専門医は、急性疼痛におけるブプレノルフィンの役割を再評価すべき時期に来ているのではないかと述べている。Thomas Hickey 医師らが実施した最近のメタ解析は、ブプレノルフィンに対する見方を変える転機となったという。この研究では、ブプレノルフィンは急性術後痛の管理において優れた有効性を示し、安全性プロファイルも良好で、完全作動薬オピオイドよりも作用時間が長いことが示された(Reg Anesth Pain Med 2026;51[1]:1-16)。急性疼痛に対するブプレノルフィンの評価が進む中で、投与量、製剤、アクセス、患者選択など、重要な導入上の課題が依然として残っている。より差し迫った課題としては、最適な投与量や、低用量製剤への実際的なアクセスが挙げられる。彼は、舌下フィルムは低用量で正確に使用することが難しい一方、他の製剤は保険の制限により入手が困難な場合があると指摘
Prevalence and Risk Factors of Deep Spinal Infection after Single-shot Epidural Injections: A Nationwide Cohort Study of 3.8 Million Pain Outpatients
単回硬膜外注射後の深部脊椎感染の有病率とリスク因子:380万人の疼痛外来患者を対象とした全国規模コホート研究。
単回硬膜外注射後の深部脊椎感染は極めて稀であるが、 高齢・糖尿病・免疫抑制・脊椎手術歴などの患者ではリスクが有意に上昇する。
380万人規模の全国データに基づき、硬膜外注射の安全性とリスク層別化の重要性が明確に示された
Efficacy and Safety of Remimazolam Tosylate versus Propofol for Sedation of Postoperative Mechanically Ventilated Patients in Intensive Care Units: A Multicenter, Randomized, Single-blind, Noninferiority, Phase 3 Trial
ターゲットは、Agitation–Sedation Scale (RASS) of −2 to +1, were randomized (1:1) to receive intravenous remimazolam tosylate (loading dose, 0.08 mg/kg; maintenance, 0 to 2.0 mg · kg–1 · h–1) or propofol (loading dose, 0.3 to 0.5 mg/kg; maintenance, 0.3 to 4.0 mg · kg–1 · h–1) レミマゾラムトシル酸塩は、術後に人工呼吸管理を受けている集中治療室患者に対する短期鎮静において、プロポフォールと比較して非劣性の有効性を示し、良好な忍容性を示した
Feasibility of a Multicomponent Protocol to Promote Dreaming during Surgical Anesthesia
麻酔中の夢は偶然ではなく、ある程度“誘導可能”である。
これは、術前不安の軽減、手術体験の質向上、患者中心の麻酔(patient-centered anesthesia) に新しいアプローチを提供する可能性がある。
多要素プロトコルは 実現可能(feasible)、麻酔中の夢の発生率を 増加、患者満足度を 向上、安全性に問題なし、今後は 大規模RCT が必要
Anesthesiologists Play a Pivotal Role in Mitigating the Type O-Negative Blood Shortage
O型赤血球、特にO型Rh陰性血の慢性的な不足に直面しており、 麻酔科医はその不足を緩和し、貴重な血液供給を最も必要とする患者に届けるうえで重要な役割を担っている。
(Anesthesiology Open 2026;1[1]:e0010)
麻酔科医は全輸血の40〜60%を担当しており、これは他のどの診療科よりも多い. 麻酔科医として適切に輸血を指示できることが求められます。
さらに重要なのは、そもそも血液製剤の投与を必要としないようにするための手技や薬剤を適切に用いることが重要。
できるだけ早期に自身の血液型の輸血を受けられるよう、 血液型判定と交差適合試験を迅速に行うことが重要。
確立された血液節約技術を早期から組み込むことである。 特に出血リスクの高い患者では、失血血液の再輸血、セルセーバー(自己血回収)、止血薬の投与 などの介入。
必要がないのにO型Rh陰性血が使用されるケースは、望ましい水準よりはるかに多い(42-67%)
Airway on Demand: Radiation Changes Leading to Awake Intubation
放射線治療は気道管理要注意!!!
The Society for Pediatric Anesthesia Highlights New And Noteworthy Papers
Aggressive Calcium Supplementation Reduces Early Mortality in Trauma Patients
研究者らは、低力価O型全血(LTOWB)2単位あたり1 g以上の塩化カルシウム投与が、 24時間死亡率の最も大きな未調整低下と関連していた(P=0.006)ことを、 カイ二乗解析に基づき明らかにした。
注目すべき点として、この投与量は、 年齢、性別、受傷機転、ISS(外傷重症度スコア)、カルシウム補充戦略で調整した 多変量回帰分析においても、 早期死亡率を62%減少させる独立した関連因子であった(P=0.034)と報告されている。
Rajesh氏は、 「この投与プロトコールは、出血性ショックを呈する外傷患者の蘇生において、 臨床的に意味のある重要なターゲットとなり得る」患者の平均年齢は 38.7±18.7歳、71.2%が男性であった。
ISS(外傷重症度スコア)の中央値は 18(IQR 10–29)。 受傷機転は 鈍的外傷が55%、鋭的外傷が45% であった。
来院時のイオン化カルシウム値の中央値は 1.05(IQR 0.83–1.17)mEq/L であった。
Preventing Anoxic Brain Injury During Airway Emergencies
現在の ASA および DAS のアルゴリズムには、外科的気道確保(例:FONA)を実施しながら酸素化を維持するための声門下アプローチが組み込まれていない。
実際の FOVI(Face-Obscured Ventilation and Intubation)状況では、緊急外科的気道確保の確立が遅れることが多く、これはストレスによるパフォーマンス低下、コミュニケーションの破綻、エスカレーションへの躊躇、専門器具への即時アクセス不足、FONA 技術への不慣れといった人的要因によってさらに悪化する。 こうした遅れは有害事象の発生に寄与している。
³–⁷FONA は命を救う可能性がある一方で、クローズドクレーム解析や文献では、緊急 FONA がしばしば大幅な遅延を伴うことが示されている。
⁵ 切開までの時間ではなく、“有効な酸素化が再開されるまでの時間”こそが、無酸素性脳障害や死亡率を左右する最重要因子である。
たとえ最終的に確実な気道が確保されたとしても、酸素化不全が長時間続けば、不可逆的な障害が残ることが多い。
決定的な気道確保に先立ち、FOVI の状況では第一選択として酸素投与を併用した CONC(catheter-over-needle cricothyrotomy)を優先するアルゴリズムを提案している。
彼らは、FOVI が発生した際には、反復する声門上アプローチや前頸部気道確保(FONA)の遅れではなく、“迅速な声門下酸素化”こそが最優先されるべきであると結論づけている。
また、酸素投与を伴うカテーテル・オーバー・ニードル式輪状甲状膜切開は、迅速でシンプル、かつ生命を救う技術であると強調している。
私たちは、気道救命の真の基盤は換気ではなく酸素化であることを認識すべき時期に来ている。
酸素投与を併用した CONC は、多くの人が思うよりも実施しやすく、困難気道の場面で即座に利用可能な実践的かつ救命的な介入である。
ただし、この手技には大きな利点がある一方で固有のリスクも伴うため、術者の習熟と患者安全の確保のためにシミュレーションベースのトレーニングが強く推奨される
Tips for Identifying and Mitigating Risks in the Ambulatory Setting
最も重要なリスクを特定したら、次にリスクへの介入(リスクの“治療”)を行い、その管理状態を維持し、導入した変更が継続しているかをモニタリングする必要。
リスク軽減戦略の一つが インシチュ・シミュレーション(現場シミュレーション)、外来手術後回復プロトコル(ERAS)などの標準化されたパスウェイ、安全文化を促進することである。
これは、アウトカムに影響を与える行動・態度・認識を指し、まずは安全を最優先とするリーダーシップから始まる
Study Flags Predictors of Costly Super-Utilization After Ambulatory Surgery
2025年ASA年次集会(抄録 A3137)での発表において、Klein 氏は、27,860例(27.3%)が術後スーパーユーティライゼーションの基準を満たし、そのうち35.5%が術後30日以内に再入院。
単変量解析では、スーパーユーティライザーとなった患者は有意に高齢で(60.9歳 vs. 52.8歳、P<0.001)、閉塞性睡眠時無呼吸(20.6% vs. 15.3%)、糖尿病(43.7% vs. 33.4%)、高血圧(51.4% vs. 35.1%)の既往を有する割合が高かった。
また、術前にオピオイドを使用していた患者はスーパーユーティライザーで35.3%と、非スーパーユーティライザーの24.1%より有意に高かった(P<0.001)。
同様に、Medicare 加入者の割合もスーパーユーティライザーで有意に高かった(32.5% vs. 20.2%、P<0.001)。
一方、手術時間、PACU平均回復時間、推定出血量など、多くの術中・術後因子には群間差が認められなかった。
分類・回帰木モデルの解析では、術後スーパーユーティライゼーションの最も重要な予測因子は、手術診療科、50歳以上の年齢、人種、脳卒中の既往であることが示された。
Stringent Studies Needed to Show AI Has Patient Benefit
AIモデルが未来を予測することは非常に簡単です。例えば天気予報のように」と彼は述べた。
「同じ技術を使って患者の将来のアウトカムを予測することもできます。
しかし、複数のランダム化比較試験が示しているように、誰かが疾患や合併症を起こすと“予測するだけ”では、その患者の人生を実際に改善することにはつながらない。
最も難しいのは、開発されている膨大な数のAIモデルのいずれかが、単に情報を増やすだけではなく(私たちはすでに情報過多です)、ケアチームと協働して患者アウトカムを実際に改善していることを示すために必要な、厳密なランダム化比較試験を実施すること
What I Wish Someone Had Told Me When I Started in Anesthesia
麻酔による死亡率を “1万件に1件” から、現在の “10万件に1件未満” へと劇的に低下させてきた、数十年にわたる努力の結晶。
麻酔科は、最も深刻な人材不足に直面している医療専門分野の“トップ5”に入っている。
しかし、そのほかの4分野と異なり、麻酔ケアはほぼすべての大手術、そして多くの小手術でも必須。
Medicus Healthcare Solutions の2025年レポート(bit.ly/49xZFhK)によると、 2033年までに現在の麻酔提供者の22%が離職すると予測。
さらに、米国保健資源事業局(HRSA)は、2037年までに8,450人以上の麻酔科医が不足すると見込まれている。
成長し続けるのは、常に学び続ける人、世代を超えて関係を築ける人、そして臨床以外のキャリア領域にも、専門試験に臨んだときと同じ厳密さを持ち込める人。
患者が人生で最も恐ろしい日を迎えたときに、静かに信頼を寄せることを許される職業が医者。 その特権は、時を経ても色あせませないが、その価値を最大限に生かす。
Experts Highlight Buprenorphine as a Safer Frontline Perioperative Opioid
研究(Ann Surg 2020;271[2]:290-295)によると、術後に処方されるオピオイドが、患者にとって“初めてのオピオイド曝露”となるケースが多い。
実際、この研究では 2016年において患者の26.2%が、手術後に初めてオピオイドを処方。
「このデータは最新ではなく、現在ではその割合はさらに高くなっていると考えられる」。
さらに懸念されるのは、そのような患者の一部が“新規持続的オピオイド使用(NPOU)”へ移行する割合で、 Larach は Brummett らによる2017年の研究(JAMA Surg 2017;152[6]:e170504)を引用。
約32,000人を対象としたその研究では、NPOU の発生率は5.9〜6.4%で、手術を受けていない対照群の0.4%と比べて明らかに高い。さらに一歩踏み込んだ研究では、医原性の術後オピオイド使用障害(OUD)を調査しており、その発生率は 0.1〜0.8% と報告。「これらの研究のうち2つは比較群を設定。 そのうち1つ(Am J Addict. 2020;29[4]:295-304)は、手術を受けた患者の方が OUD の発生率が統計学的に有意に高い。 もう1つの研究(Ann Surg 2022;276[3]:e192-e198)では、カルテレビューによる確認を行い、術後にオピオイド処方を受けた患者は、受けなかった患者に比べて、術後1年間で OUD の発生率が4倍高い
Frailty With Dignity and the Role of the Anesthesiologist
2020年に発表された研究(JAMA Surg 2020;155[1]:e194620)により、フレイル(虚弱)患者が手術を受ける際に死亡が与える影響の重大さが鮮明に示された。
著者らは、手術による死亡リスクが100人に1人(1%)を超える場合、その手術は高リスクと分類できると仮定。
そして、健康な患者では死亡率が非常に低い膀胱鏡検査(低リスク)や胆嚢摘出術(中等度リスク)といった手技を調査。
研究では、「フレイル」患者では最も低リスクの手技でも約65人に1人が死亡し、中等度リスクの手技では約20人に1人が1か月以内に死亡。
しかし、「非常にフレイル」な患者では、最も低リスクの手技でも10人に1人以上が死亡し、中等度リスクの手技では1か月後に5人に1人という驚くべき死亡率。
さらに、3か月・6か月では死亡率はさらに上昇し、中等度リスク手技を受けた「非常にフレイル」患者では最大43%に達した。フレイルな患者に対して「低リスクの手術」は存在しない。
Higher versus Routine Intraoperative Blood Pressure Targets in Noncardiac Surgery: A Systematic Review and Meta-analysis with Trial Sequential Analysis of Randomized Trials
15件の試験(15,603人の患者)が解析に含まれた。
高めの血圧目標を設定しても、通常の血圧管理と比較して、急性腎障害(AKI)(RR = 0.95; 95% CI = 0.85–1.06; p = 0.36; I² = 16%)や急性心筋障害(RR = 1.02; 95% CI = 0.94–1.12; p = 0.59; I² = 0%)を減少させることはなかった。
この結果は試験逐次解析(TSA)でも裏付けられた。一方、高めの血圧目標は術後せん妄の有意な減少と関連していた(RR = 0.73; 95% CI = 0.54–0.98; p = 0.04; I² = 26%)。
しかし、TSA によれば、この効果について確固たる結論を出すには依然としてエビデンスが不十分であった。
院内死亡率または30日死亡率については有意差は認められなかった(RR = 1.00; 95% CI = 0.75–1.34; p = 1.00; I² = 0%)。
30日 MACE、脳卒中、入院期間に関するエビデンスも、明確な結論を導くには不十分であった。
待機的非心臓手術を受ける成人において、術中の血圧目標を高めに設定しても、通常管理と比較して主要な術後アウトカムは改善しない。
術後せん妄の減少が示唆されたものの、この効果を確認するには十分な規模の試験が必要である。
A Prospective Evaluation of Routine Extubation Criteria in Children with Upper Respiratory Symptoms Undergoing Elective Surgery
非上気道感染症状コホートでは、「Big Five」基準のうち3つ以上を満たした場合の抜管成功の陽性的中率は94.7%[95%CI 92.5–97.0%]であり、上気道感染症状コホートでは93.9%[95%CI 91.5–96.3%]であった。効果量と95%信頼区間は0.8%(95%CI −2.6%〜4.2%)であり、これは臨床的同等性マージンである5%を下回っていた。
「Big Five」基準のうち3つ以上を満たすことは、上気道症状のある患者においても、症状のない患者と同様に、覚醒抜管の成功を予測する指標として同等に有用であると考えられる。
・Big Five 基準(覚醒抜管の5条件)
Rapid Sequence Induction Practices and Outcomes in Abdominal Surgery Patients: A Multicenter Observational Cohort Study
13の医療機関・82,772件の症例のうち、9,352件(11.3%)で RSI(rapid sequence intubation)が記録されていた。
最も一般的に使用された筋弛緩薬(NMB)はスキサメトニウム(70.5%)であった。
しかし、スキサメトニウムの使用率は研究期間中に大きく減少し(2015年のRSI症例の85.4% → 2022年には37.3%、p < 0.0001)、代わってロクロニウムが使用されるようになった。
患者は通常、複数の鎮静薬を併用投与されていた。ビデオ喉頭鏡は RSI 症例でより頻繁に使用され(16.2% vs 非RSI症例の8.0%、p < 0.0001)、ロクロニウムはスキサメトニウムと比較して、死亡率(相対リスク 0.85; 95% CI 0.67–1.09)、低酸素(1.04; 0.61–1.77)、肺合併症(0.93; 0.81–1.06)、急性腎障害(AKI)(1.05; 0.84–1.31)のリスクに差をもたらさなかった。
米国の複数の医療機関において、RSI に対するロクロニウムの使用は増加し、最終的にはスキサメトニウムを上回った。
ロクロニウムの使用は、死亡率、低酸素、肺合併症、AKI のリスクと有意な差を示さなかった。
Methodologic Insights on Building and Evaluating Models for Early Warning of Hypotension during Surgery
非心臓手術コホートには1,017例、心臓手術コホートには563例が含まれていた。
両データセットにおいて、モデルの性能は、評価データに「進行中の低血圧」や「分類を変えてしまう介入(classification altering interventions)」が含まれているかどうかに強く依存していた。
トレーニング段階では、学習データから分類を変える介入を除外すると AUPRC が改善した(平均差 0.01、95% CI 0.007–0.012、ブートストラップ P < 0.01)。
一方、進行中の低血圧を除外しても AUPRC は変化しなかった(平均差 0.000、95% CI −0.003–0.004)。
評価にのみ用いられる心臓手術データセットでは、分類を変える介入を除外すると、学習済みモデルの AUPRC が平均で 15.5% 向上した(0.54[95% CI 0.53–0.55] vs. 0.47[95% CI 0.45–0.48])。
同時に、評価データに進行中の低血圧を含めると、AUPRC は平均で 72.2% 増加した(0.47[95% CI 0.45–0.48] vs. 0.80[95% CI 0.76–0.84])。
低血圧予測モデルの構築と評価においては、データ選択が極めて重要である。
臨床的に求められる「低血圧の早期警告」に対応する評価を行うためには、学習データ:分類を変える介入を除外する。評価データ:分類を変える介入と進行中の低血圧を除外する、という条件でモデルを構築・テストすることが推奨される。
AI Analysis of Perioperative Data Improves Prediction of Postoperative Complications
新しい機械学習アプローチが、約20万件の麻酔症例データで訓練され、リスクのある患者を特定し、どの予防治療が最も効果的かを明らかにできる可能性が示された。
しかし、スタンフォード大学の研究チームは、このような人工知能主導のシステムを広く導入するためには、いくつかの課題を解決する必要があることも認識していた。
こうした背景を踏まえ、Han ら研究チームは、スタンフォード大学の縦断的電子カルテ(EHR)データベースに含まれる199,993件の麻酔記録を用いてモデルの学習とテストを行った。
その後、Medical Informatics Operating Room Vitals and Events Repository(MOVER)に含まれる追加の52,751件の麻酔記録を用いて、モデルの外部検証を実施した。
要約された各患者の術前特性は、デキサメタゾン、オンダンセトロン、またはその併用による治療の傾向スコア(propensity weight)を算出するために用いられた。
次に研究者らは、これらの治療が術後悪心・嘔吐(PONV)に与える効果を推定するため、機械学習モデルを使用した。
解析は麻酔方法別に層別化され、Apfel らによる2004年のPONV試験(N Engl J Med 2004;350[24]:2441-2451)のデザインを反映する形で行われた。
研究チームはまた、術前の患者プロファイルと術中の生理学的データを組み合わせ、PONV、重度の術後疼痛、PACU滞在延長などのPACUアウトカムを予測した。
モデルの性能は、標準的な予測精度指標を用いて評価された。治療群のバランス調整に用いられた術前患者プロファイルは、PONVに対する制吐薬の期待される予防効果を再現した。
麻酔方法別に層別化した解析でも同様の傾向がみられ、術中生理データからは、亜酸化窒素、プロポフォール、セボフルランに関連する既知のPONVリスク差も捉えられていた。
Federal Cuts for Naloxone Funding: Costs and Concerns, Part 2: The True Costs of Federal Naloxone Cuts
ナロキソン(オピオイド過量救命薬)への連邦政府補助金削減が、実際にどのような影響やコストを生むのかを分析する記事・報告の第2部 過量死の増加リスク ナロキソン配布が減ると、救命の「最後の砦」が失われ、死亡率が上昇する。地域格差の拡大 都市部は寄付や非営利団体で補えるが、地方や低所得地域は供給が激減。
救急医療の負担増 現場での即時対応ができず、救急搬送や集中治療の増加につながる。
薬物使用者支援プログラムの縮小 ハームリダクション団体が配布量を減らし、 outreach(外展活動)が困難に。
医療費・社会的コストの増大 救命できたはずのケースが重症化し、結果的に医療費が跳ね上がる。
Amputation Rates Rising Among Opioid-Related Hospitalizations
研究期間中、全国的に粗切断率は上昇していたが、その増加はオピオイド関連入院でより急峻であり、2016年の1万件あたり55.6件から2022年には92.3件へと増加した。
オピオイド非関連入院では、粗切断率は1万件あたり58.9件から79.7件へと上昇した。
全国レベルでは、オピオイド関連入院と非関連入院の間の切断率の差分の差(difference in differences)は13.2(95% CI, 6.4–19.9)であった。
地域別では、北東部で18.4(CI, 4.4–32.4)、西部で19.1(CI, 3.3–34.9)であった。
オピオイド関連入院では、非関連入院と比べて、より中枢寄りの部位や上肢の切断が多く、上肢切断はそれぞれ8.5%対5.2%、膝またはそれ以上の切断は17.9%対14.6%、下腿切断は25.7%対20.4%を占めていた。
「このメカニズムは、おそらく注射を含む薬物使用行動に関連している」と Karandinos 医師は述べた。
対照的に、オピオイド非関連入院での切断は、足趾または足の一部に及ぶものが多く、61.7%であったのに対し、オピオイド関連入院では50.3%であった。
これは、薬物使用というより、糖尿病や末梢血管疾患との関連を示唆している。なお、この研究デザインでは因果関係を特定することはできず、リスク因子の一部を見落としている可能性がある。
The Wounded Healer: Confronting Compassion Fatigue and Moral Injury
最も献身的なケア提供者であっても、共感や技術、使命感をもって仕事に臨む人であっても、決して無敵ではない。
むしろ、最も献身的な人ほど、その仕事がもたらす情緒的負荷の影響を深く受けやすい。
苦痛、喪失、不正義、そして制度的制約に繰り返しさらされることは、単にレジリエンスを試すだけではなく、それを蝕むことさえある。
時間の経過とともに、絶え間ないケアの要求とシステムの不備が重なり、いまや広く認識されている「思いやり疲れ(compassion fatigue)」へとつながりうる。
そして、臨床家が自らの倫理的信念に反する行為を求められたとき、別の種類の傷害――「モラル・インジャリー(moral injury)」――が生じる。
これらはいずれも、個人の失敗を示すものではない。
Erector Spinae Plane Block Offers Opioid-Sparing Advantage But Limited Pain Reduction in Hernia Repair
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術後において ESP ブロックはオピオイド消費量を減らすものの、疼痛軽減は臨床的に有意とは言えず、開腹手術に対する有効性も不確実であると結論づけた。
現時点のエビデンスでは、脊柱起立筋平面ブロック(ESPブロック)を推奨するには不十分
5月
Clinical Decision Support to Reduce Opioid Prescribing at Discharge for Inpatients Undergoing Surgery (LESS Study)
手術入院患者の退院時オピオイド処方量を減らすために、臨床意思決定支援(CDS)を導入し、その効果を Interrupted Time Series(ITS)解析で評価した研究で、電子カルテ内の シンプルな CDS 介入だけで、過剰処方を大幅に抑制できる。病院全体のオピオイド管理戦略として有効。他施設でも導入可能な汎用性の高いアプローチ。
Opioid Free anesthesia in cardiac surgery: The OFACAR randomized clinical trial
320人のポンプ使用バイパス手術の麻酔方法でオピオイドフリー麻酔(ケタミン、ステロイド、マグネシウム、リドカイン)は、スフェンタニルの麻酔と比較して、心血管系合併症や消化管合併症を軽減、死亡も少なかった。大規模な研究がまたれる
Perioperative Challenges in Adults with Transposition of the Great Arteries
大血管転位症(TGA)を持つ成人患者における周術期(手術前・中・後)の管理上の課題
右心室が全身循環を担うため、右心不全リスクが高い、動脈スイッチ術後では冠動脈再建部の問題が残ることがある。心房内スイッチ術後は心房頻拍・徐脈・伝導障害が多い、ペースメーカー依存の患者もいる。前負荷・後負荷に対する反応が通常と異なる。麻酔薬の影響が大きく出やすい
Airway on Demand: Use of Transcutaneous CO2 Monitoring During Jet Ventilation
ジェット換気(Jet Ventilation)中に経皮的 CO₂ モニタリング(TcCO₂)を用いて、気道管理の安全性と精度を高める方法を解説した臨床的コンセプトで、CO₂ の蓄積(高炭酸ガス血症)をリアルタイムに把握しにくい問題を解決する
Rapid Response Can Help Tame Malignant Hyperthermia
病院の MH(悪性高熱症)管理プロトコルでは、 誘発薬剤の即時中止、積極的な冷却による体温の正常化、そしてダントロレンナトリウムの静脈投与が求められる。 ダントロレンは骨格筋弛緩薬で、再構成に1分未満で済む製剤と、10〜12分かかるが安価な製剤の2種類がある。
Musselman 氏は、MH が「非常にまれ」ではあるものの、迅速に認識され対処されなければ致死的となり、死亡率は80〜90%に達し得ると指摘した(Crit Care Med 2024;52[12]:1934-1940)。「だからこそ、MH の徴候と症状を理解しておくことが非常に重要」。
また、知識を得るための第一歩として、米国悪性高熱症協会(MHAUS.org)と関わることを推奨している。MHAUS は、MH に関する最も包括的な情報とガイダンスを提供する組織として広く認識されている
New Guidance Offers a Practical Approach to Genetic Testing for Malignant Hyperthermia
MHは感受性のある患者に生命を脅かす反応を引き起こす可能性がある。 そのため、事前に患者を特定し、家族歴を把握し、安全な麻酔を提供することが非常に重要。MHリスクのある患者は臨床的には全く健康に見えることが多く、予測が難しいと指摘。遺伝子検査の感度はおよそ70%です。つまり、疾患が強く疑われる状況で遺伝子検査が陰性でも、30%の確率で実際には疾患を持っている可能性がある。疑いのあるすべての患者に CHCT(カフェイン・ハロタン収縮試験)を提供することはできない
Optimal VTE Prophylaxis Timing After TBI Varies by Injury Severity, Early Trajectory
試験エミュレーションには合計 1,039,147人のTBI(外傷性脳損傷)患者が含まれ、そのうち 431,210人がICUに入院していた。これらの患者では、VTE予防開始までの中央値は48.4時間であった。 解析の結果、集団レベルでは、VTE予防を早期に開始するほど短期的な有害転帰のリスクが高いことが示された(ハザード比:24時間で1.36、48時間で1.15、72時間で1.08)。 一方で、72〜96時間の間で予防効果が現れることが確認された。研究者らが0〜24時間の臨床経過に基づいてクラスタリングを行ったところ、最適な予防開始時期が異なる5つの明確なフェノタイプが同定された:低重症度の外傷患者(n=108,422): 24時間後のCT再評価を経て、24〜48時間で最適な予防効果がみられた。中等度の多発外傷患者: 72〜96時間で最適な保護効果(HR 0.85)。重症TBIで早期に頭蓋内圧モニタリング/手術介入が行われた患者: 72〜96時間で最適な保護効果(HR 0.72)。出血コントロール経路で管理された患者: 保護効果が得られる時間窓は確認されず。マスエフェクトを伴う頭蓋内出血患者: 保護効果が得られる時間窓は確認されず。
Novel Tool Measures Physical, Mental Fatigue Among Acute Care Physicians
2024年4月1日から2025年3月31日までの間に、10人の外科医が所属する単一施設で実施された530件の勤務終了時評価データを収集した。これらの医師は、1分以内で記入できる日々の勤務評価を行っていた。 勤務評価では、身体的・精神的・時間的負荷、努力、フラストレーション、パフォーマンスの6つの領域における作業強度を測定した。これらの領域は、NASA Task Load Index(NASA-TLX)の手法を用いて20点尺度で評価された。 研究者らはさらに、外科医が勤務後に送信した237件の自由記述コメントも収集し、質的分析に用いた。また、緊急一般外科、バックアップ当番、24時間当直の勤務で燃え尽き度が最も高かったことに加え、研究者らは医師への要求度が最も高かったのは24時間当直(13点、P<0.01)であることも明らかにした。 さらに、精神的負荷が最も高かったのは、緊急一般外科、外科系ICU(SICU)、24時間当直(いずれも13点、P<0.01)の勤務後であった。
Combating Misinformation in the Technology Age
COVID 以降、誤情報や偽情報の量が爆発的に増え、それが広がるスピードも非常に速くなっている。その増え方は指数関数的で、科学や医療従事者への信頼が低下し、代わりに仲間や友人への信頼が高まっていることを示す研究もある。世界的な“知識のエコシステム”が直面している脅威、特に医療分野における誤情報・偽情報の増加と、それが患者や一般市民に与えている影響に焦点を当てたインタビュー
Novel Tool Measures Physical, Mental Fatigue Among Acute Care Physicians
1日の勤務終了時に行う10点満点の評価を用いて調査したところ、救急一般外科、バックアップ当番、24時間当直の後に、最も高いレベルの全体的バーンアウトが測定された(P<0.01)。 この結果は、カンザス大学医学部(カンザスシティ)の外科准教授であり、救急一般外科部門長である Jennifer L. Hartwell 医師が発表した。研究者らはさらに、24時間当直が最も高い身体的負荷を要することを明らかにした(P<0.01)。 また、救急一般外科、外科系ICU(SICU)、24時間当直の勤務が、医師にとって最も高い精神的負荷をもたらすことも示された(いずれも P<0.01)。
Pediatric Anesthesia, Reported Neurologic Events in Chile, and the Mitochondrial Hypothesis
報告された神経学的所見には、覚醒遅延や、両側の大脳基底核損傷と一致する画像所見
ND4遺伝子(呼吸鎖複合体I)内に位置しており、SACH会長へのインタビュー(bit.ly/4aL5bP0)では「意義不明のバリアント(variant of uncertain significance)」と説明
この変異が揮発性麻酔薬に対する感受性を高める可能性が検討されている。しかし、現時点で明確な因果関係を示す論文は発表されていない
ASA, SPA Address Gene Mutation Linked To Complications After GA
「南米の麻酔学会からの最近の通達や米国での症例では、ベネズエラ系の成人および小児の健康な患者が、一般的に使用される揮発性麻酔薬への曝露後に、重度の神経障害や死亡を含む予期せぬ壊滅的な転帰を示したと報告、ASA(米国麻酔科学会)ミトコンドリア関連ハロゲン化薬剤感受性に関する特別委員会の委員長であるDebnath Chatterjee医師は Anesthesiology News へのメールで「母系のベネズエラ血統を持つ患者、または麻酔薬過敏症の既往がある患者に対しては、揮発性麻酔薬の使用を避け、脳波処理モニタリング(processed EEG)を使用することが、米国麻酔科学会および小児麻酔学会の現行推奨。特定の ND4 遺伝子変異について注意喚起すべきであると提案。ND4遺伝子とは、ミトコンドリアDNAに存在する「複合体I(Complex I)」の構成要素をつくるための遺伝子で、エネルギー産生に極めて重要な役割を持つ遺伝子
Giant Aortic Arch Aneurysm: Preoperative Three-dimensional Airway “Roadmap” for Safe Intubation
巨大な大動脈弓瘤は生命を脅かす気道圧迫を引き起こす可能性があり、周術期麻酔管理に大きな課題をもたらす。術前の三次元気道再構築は、気道圧迫の詳細な解剖学的情報を提供し、挿管戦略の選択に有用である。臨床では、冠状断再構成や多断面再構成をバーチャル内視鏡と組み合わせて用いることができる。まずバーチャル内視鏡で病変部位を特定し、軸位・矢状・冠状断で同期的に位置を確認する。特に軸位断では、狭窄の重症度と正確な解剖学的位置を評価できる。挿管は柔軟性気管支鏡ガイド下で行う必要があり、小さめの気管チューブを選択し、瘤破裂を避けるために極めて慎重に操作するべきである。ダブルルーメンチューブの挿入が困難な場合には、シングルルーメン気管支チューブ+気管支ブロッカー、あるいは VA-ECMO による侵襲的気道サポートを検討することも可能である。術中の柔軟性気管支鏡は、気道開存の確認、チューブ位置の調整、術後気管軟化症の検出に不可欠である。術前の三次元画像と術中の柔軟性気管支鏡を組み合わせて活用することで、周術期の気道安全性が大幅に向上し、気道関連有害事象のリスクを最小限に抑えることができる。
The Potential Fallout of UnitedHealthcare’s Billing Policy: When Reimbursement Ignores Risk
ユナイテッドヘルスケアの請求方針がもたらす潜在的な悪影響:リスクを無視した償還が引き起こす問題。償還方針は単なる会計上のツールではなく、診療行動を形成し、医療提供者の配置に影響を与え、患者安全にも影響を及ぼし得る。この方針が展開されていく中で、その影響を注意深く監視し、データの透明性を求め、コスト削減策が最も脆弱な患者のケアを損なわないようにすることが不可欠である。最も重症の患者には最高度の技術が必要であり、医療システムはその価値を診療と支払いの両面で反映すべきである。
Continuous Versus Intermittent Blood Pressure Monitoring to Reduce Intraoperative Hypotension
連続血圧モニタリングは、従来の間欠測定と比較して、術中低血圧の発生時間を有意に減らす。 術後合併症の改善は明確ではないが、血圧管理の質向上という点で臨床的価値が高く、特に高リスク患者での使用が推奨される。
Technology Can Aid Anesthesiologists if Implemented Right
今後 10 年で麻酔科医の不足が生じ、多くの医療機関が逼迫する可能性があることから、新しいテクノロジーは麻酔診療における重要な歯車であり続けると述べた。テクノロジーは失われつつある労働力の一部を補完できる。また、AI を活用することで、患者ごとに必要となる膨大な記録や情報を効率的に処理できる点も強調した。「私たちの仕事で最も危険な側面のひとつは“情報過多”。私たちは構造化されていないデータの海に溺れている」と 述べる。
Experts Deliberate Readiness, Usage of AI in Anesthesia
麻酔領域において、AI が患者安全を高める可能性は非常に大きいと考えています」と彼女は述べた。「AI は、低血圧、呼吸不全、出血、さらには死亡といった周術期合併症を予測する助けとなる可能性があります。私たちが望んでいるのは、その情報を活用して介入し、これらの合併症が起こる前に防ぐことである。生成AI(GenAI)と従来型ソフトウェアの違いを強調した。従来のソフトウェアシステムは、同じ入力に対して常に同じ出力を返すが、GenAI はそうではなく、学習したデータに基づいて入力に反応する。Ruskin 氏はまた、GenAI や大規模言語モデル(LLM)に広く知られている問題点として、特定領域の専門知識の欠如、幻覚(hallucination)や不正確さの問題、さらに 学習データに由来するバイアスや患者プライバシーの問題といった倫理的課題 を挙げた。
Researchers: Adding Acetaminophen or an Opioid To Ibuprofen for Children Doesn’t Add Up
子どもの約 3 分の 2 がイブプロフェン単独では十分な鎮痛が得られていないことを指摘。子どもの痛みを適切に治療することは非常に重要です」と彼女は述べた。「小児期に治療されなかった痛みは、成人期の慢性疼痛や医療への恐怖につながる可能性がある。イブプロフェン+ヒドロモルフォン群 4.8±2.6、イブプロフェン+アセトアミノフェン群 4.6±2.4、イブプロフェン単独群 4.6±2.3 と、いずれも同程度であったと報告した。また、ベースラインから vNRS が 2 ポイント以上改善した患者の割合は、イブプロフェン+ヒドロモルフォン群:44.9%、イブプロフェン+アセトアミノフェン群:47.0%、イブプロフェン単独群:48.5%であり、こちらも群間で大きな差は認められなかった。さらに、副次評価項目においても群間に有意差はみられなかった。
Single-Unit Blood Transfusion Found Effective for Non-Bleeding, Anemic Trauma Patients
フロリダ州アメリアアイランド発――出血していない外傷患者で無症候性貧血を有する場合、1単位の輸血は安全かつ有効であることが示された。これは、1単位輸血と2単位輸血を比較した研究によるもので、より制限的な輸血基準を支持する結果。彼らは、単位輸血を受ける前のヘモグロビン値が 7 g/dL 未満かつ 6 g/dL 以上である、循環動態が安定した成人患者を対象とし、1単位の赤血球濃厚液(PRBC)輸血と2単位輸血を比較
AI Accurately Predicts Difficult Airways Using CT-Based Radiomics
2400人の頭頚部手術を受ける患者で、12%に気道管理困難が発生。放射線画像解析(radiomics)に基づくモデルと、過去の困難気道歴を組み合わせることで、AUC 0.94、精度 0.83 を達成した。過去の困難気道歴が最も影響力の大きい予測因子として特定され、次いで、上気道の表面積を示すメッシュ体積、上気道の容量を示すボクセル体積、球形からの偏位を示す球状度、上気道の最大距離を示す3D最大径、そして圧迫の程度を示す扁平度が、重要度の高い順に続いた。放射線画像解析(radiomics)単独でも、困難気道を90%以上の精度で予測できた
Managing Drug Waste in the Modern Health System
部分使用された薬剤バイアルによる廃棄物の発生を避けること、そして複数の診療拠点における医薬品廃棄物処理という同様に困難な課題——この2つの別個だが関連する問題は、今日の医療システムが直面する持続的な運用上の課題である。薬剤廃棄の最大の原因の1つは、部分的に使用された薬剤バイアルの継続的な廃棄。ミダゾラム廃棄の85%、ヒドロモルフォン廃棄の79%が、バイアルのちょうど半量を廃棄するケースであり、著者らはこれを『包装や投与量の標準化介入によって改善可能な、部分投与廃棄の体系的パターンと指摘。最も安い購入価格はどれか』ではなく、『貴重なリソースを活かしつつ、効率的な運用の中で最も適した選択は何か』を考える必要あり。
Airway on Demand: Vocal Cord Lesion Removal During THRIVE
THRIVE 中の声帯病変切除
New Data Reveal Suzetrigine Shows Promise In Reducing Postoperative Opioids
スゼトリジン(Journavx, Vertex)は、広範な再建・美容外科手術を受けた患者において、最大14日間の非オピオイド阻害薬治療により、90.9%の患者がオピオイドを使用せずに回復したことが示された。電位依存性ナトリウムチャネル1.8の強力かつ高選択的阻害薬であるスゼトリジンは、成人の中等度から重度の急性疼痛を治療するための50mg経口錠として、2025年1月にFDAにより初めて承認された。オピオイドを急性期に減らすが、この薬剤の位置づけをより確固たるものにするには、美容外科、外反母趾手術、腹部形成術だけでなく、他の外科手術にも対象を広げた研究が必要だろう。関節置換術でのデータが見られれば
Preoperative Psychological Well-Being Related to Postoperative Pain Levels
本研究は、術前の心理的健康状態が術後の疼痛レベルおよび生理学的パラメータと関連していることを示している」と著者らは述べている。「特に両側乳房切除術を受ける患者においては、術前の看護ケアに心理的評価とサポートを組み込むべきである
Combining Cannabis With Opioids Doesn't Reduce Pain for Knee Arthritis
動物実験では相乗的な効果を示したオピオイドと大麻だったが、人において副作用が強く痛みに対して有効でなかった(TKA手術を対象)
Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation Alleviates TKA Pain
結果として、TENS 群では痛みの強さ、悪心、嘔吐、不安、恐怖、絶望感といった複数の否定的アウトカムが軽減されたことが示された。一方で、睡眠の質および疼痛治療への満足度は、対照群と比較して TENS 群で有意に高かった(P<0.05)。両群とも、非薬物的鎮痛法として祈りと冷罨法を好む方法として選択していた。
Technology Allows Doctors to 'Touch' Patients From Afar, Reducing Pain Symptoms
remote therapeutic monitoring(RTM)とは、治療計画に関連する“非生理学的データ”を遠隔でモニタリングする医療サービス。 痛みの程度、運動療法の実施状況、服薬アドヒアランス、機能回復の進行など、患者が自宅でどのように治療に取り組んでいるかを継続的に把握するために用いられる。研究者らは、2021年11月から2025年5月までに Adhere+ プラットフォームで収集された 270万件以上の電子的患者報告アウトカム(ePRO)を解析した。コホートには、米国各地のクリニックから約84万4,000人のユニーク患者が含まれていた。18週間の観察期間において、患者は不安(–30.4%)、抑うつ(–17.1%)、疲労(–17.2%)、痛み(–6.1%)の症状に統計学的に有意な改善を示した。RTM アラートは、監視されたケースの35%以上で医療提供者による対応につながった
Beyond Unconsciousness: Optimizing Antinociception during General Anesthesia
手術中の侵害受容(痛み刺激の神経系への入力)をどう最適に制御するか を論じたレビュー論文。• 意識消失だけでは麻酔管理は不十分であり、侵害受容の最適化が不可欠。現在の臨床は経験則に依存しており、 より精密なモニタリングと個別化された抗侵害受容戦略が必要
Artificial Intelligence–driven Avatar Simulation for Preanesthesia Assessment Training
AI による対話型アバターを用いた仮想患者シミュレーションが、教育の質を高める手段として注目。AIアバターを使った麻酔前評価トレーニングの 実現可能性(feasibility) を検証。学習者(麻酔科医・研修医)が どの程度リアルに感じ、教育効果を得られるか を評価。AIアバターは高いユーザビリティを示し、研修医の満足度も高く、患者応答のリアルさも高評価も誤情報を生成するリスク や 完全な代替にはまだ課題
Federal Cuts for Naloxone Funding: Costs and Concerns, Part 1: How Many Lives Does Naloxone Save?
政府はナロキソンの使用を減らしていく方向の政策を打ち出す。ナロキソンがどの程度人を救ったか?に関する議論
Exploring the Promise and Pain of GLP-1s
GLP-1薬にまつわる利点と欠点:23,025 人の調査により、GLP-1阻害薬の継続率は低く、1年31%, 2年18%, 3年8%だった。薬剤師さんの重要な役割を説明。両方の薬剤を同時に使用しても臨床的な利益はなく、費用が増える点を説明
4月
Top of April
Painful DPN Predictors Elucidated in New Study
501,518人のDM患者を分析。1/3は有痛性末梢神経障害を呈する。痛みの部位数が多いことを痛みのリスク因子として特定したのは本研究が初めてであり、これは中枢性感作(centralized pain)の関与を示唆している可能性がある。混合性疼痛(侵害受容性、神経障害性、ノシプラスティック疼痛の組み合わせ)は、より支配的な疼痛発生源として機能する可能性がある。 その結果、他の疼痛発生源が表れにくくなったり、隠れてしまう可能性があると研究者らは推測した。また、抑うつスコアが高い患者の方が痛みのリスクが低下し、逆に強度の高い身体活動を行っている患者の方が痛みを発症するリスクがやや高いという結果は予想外だった。この結果は、痛みを伴うDPNと抑うつの間に正の相関を示してきたこれまでの研究とはやや矛盾
The Policy and Financial Pressures Reshaping Patient Access in 2026 and Beyond
2026年以降、患者の医療アクセスを再構築する政策的・財政的プレッシャー、高額な自己負担は、患者が最初の処方薬を受け取らない主な要因。人々が自分に合った適切なプランを探し、選択するのを支援するサポートで、低所得者向けの特別加入期間は終了。 さらに、現在進行中のメディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)による規則では、壊滅的補償プラン(catastrophic plan)の自己負担上限が1万5,000ドル超に引き上げられ、標準化されたプラン設計が廃止される
Patient Outcomes as Healthcare’s Satirical Solution
患者アウトカムこそ医療の風刺的“解決策。年間4.2兆ドルが医療費として支出されており、これは国の国内総生産(GDP)の16.5%を占めている。この驚異的な数字は、技術革新や科学的進歩といった他の分野で達成できたはずの発展を確実に押し下げている。これらの医療費の大部分は民間または政府の医療保険によって補填されているものの、約8%は十分な医療保険に加入していない人々が負担しており、深刻な経済的困難を招くことがある。多くの場合、十分な保険に加入していない人々はその負債を返済できず、医療機関にとって大きな収益損失の原因となっている
Exploring Gamification of the Incentive Spirometry Tracker Device: A Survey of Patients, Providers, and Healthcare Employees
ISTracker は、多様な集団において IS(インセンティブスパイロメトリー)への参加を高めることを目的として作られた。 ゲーミフィケーションとデータ取得を組み合わせたこの仕組みは、標準的なスパイロメーターでは利用できない機能を備えており、周術期ケアの改善や今後の研究の方向性を示す有望なアプローチである。
Quantitative Electroencephalogram Changes before and after Postoperative Delirium: A Prospective, Multicenter Cohort Study
379人の手術を受ける患者を対象に18%が術後認知機能低下を示した。本研究では、術前のベータ振幅に基づく結合性の低下が、術後せん妄(POD)に対する神経生理学的脆弱性の指標となり得ることが示された。 しかし、定量的 EEG 指標において有意な経時的変化が認められなかったことから、この集団では術後3か月の時点で、安静時 EEG ネットワークが機能的に回復、あるいは代償している可能性があることが示唆される。
A population-based cross-sectional analysis of extended-release opioid dispensing incidence, prognostic factors, and variation after total joint arthroplasty
カナダにおける229,995人の股関節または膝関節の人工関節置換術後、10人に1人の患者が ERO(extended release opioid:徐放性オピオイド)処方を調剤しており、この実践には大きなばらつきが見られる。 そのばらつきは患者要因ではなく、主に施設ごとの慣行や外科的実践パターンによって左右されている。神経ブロックやAPSは保護的に働くが(ASA3は危険因子)。今後の研究では、施設レベルでの適正使用(スチュワードシップ)、標準化された退院プロトコル、そして多職種連携を通じて、術後の不必要な ERO への曝露を減らす方法を検討すべきである。
Determining the Optimal Block for Breast Surgery
術式に応じてブロックの種類を使い分けることが重要(前鋸筋ブロック、PECSブロック、ESP)など、傷の大きさや拡大手術に応じて対応する
Short-Course Abx Therapy Appropriate for Hospital-Acquired Pneumonia in ICUs
院内感染の肺炎に対して有効なのは、長期間より短期間の抗菌薬投与群で、再発も少なく病院滞在日数も減少。
New Liposomal Drug Delivery Enhances Bioavailability
月に1回の皮下投与で肝臓での初回通過効果を回避する高度なリポソーム送達システム。 代謝は大幅に少なく、その結果として90%以上という驚くほど高いバイオアベイラビリティが得られる薬剤を紹介。この送達システムが特に有効となる患者はいるのか、また、より従来型の投与経路が最適となる患者群は存在するのか、が今後の課題
Optimizing Trauma and Burn Care for Children Will Require System-Level Change
小児の外傷、熱傷センターは成人とは異なる医療レベルを要求される。小児医療は季節性の需要変動が大きく、特に呼吸器ウイルス流行期に深刻な逼迫が起こる。 これに対応するためには、MOCC のような広域調整機能と、小児虐待スクリーニング・外傷ケアの質改善・州レベルの準備状況の把握など、多面的な取り組みが必要である。
Announcing Allowable Blood Loss in Timeout Reduces Cesarean Transfusions
タイムアウトで出血の可能性(低いHb管理)を報告しておくと、帝王切開における輸血量を減らすことができる
Balancing Artificial Intelligence With Human Decisions
麻酔の安全性を向上させるためにどのようにAIを使用すべきかを議論する。現在は現実的な麻酔状況とAIの設定には乖離がある。
Perspectives of Children, Parents, and Healthcare Providers on Outcomes after Anesthesia for Surgery: An International Mixed Methods Stakeholder Engagement Study from the Pediatric Perioperative Outcomes Group
国際的なステークホルダーへの半構造化インタビューから得られた見解は、アウトカム評価調査の結果を補完し、小児周術期研究におけるコアアウトカム選定を支えるための、幅広く客観的で基盤となるステークホルダーの視点を提供するものである。これらの結果は、小児周術期ケアにおける最終的なアウトカム測定の関連性、包括性、そして患者中心性を高める可能性がある。
Evaluating the Acute Effects of the Cannabinoid Dronabinol and the Opioid Hydromorphone Alone and in Combination: A Double-blind, Randomized, Placebo-controlled Trial in Knee Osteoarthritis
オピオイドとカンナビノイド使用で相乗効果が期待されたが、OAを有する患者には無効であることが判明(これは以前の研究結果と異なる)。単独よりむしろ副作用が強く生じた
Intranasal Naloxone Reversal of Opioid-induced Respiratory Depression in Opioid-naive Individuals and Self-reported Daily Opioid Users
経鼻のナロキソン投与は呼吸抑制患者に有効であるが、オピオイド使用量が多いケースやスフェンタニル使用患者には注意が必要
High-flow Nasal Oxygenation in Infants Undergoing Tracheal Intubation: A Single-center Randomized Controlled Trial
小児の気管挿管に通常のマスク換気とネーザルハイフローを用いた導入のRCTを行うもSpO2の低下に差はなし(胃内への空気流入は減少)
A Review of Regional Procedures for Cardiac Surgery: What Works Where?
MICSではESP, PECS II, and serratus anterior plane (SAP) ブロックがオピオイド使用量を減らすのに有用。正中切開では約8-10%が慢性痛に移行し、オピオイド使用あり。米国の年間750,000件を解析
Anesthesiologists Are Uniquely Positioned to Help Reduce Opioid Overdoses
麻酔科医が一番オピオイドの過量投与を未然に防げるポジションで仕事をしている。47,600 in 2017 to 80,186 in 2022に増加で、特に若い人の過剰摂取が増加し死亡率の上昇と関連があり。2024年には27%減少もまだまだ死亡は継続
光生病院で卵
Operating Under Observation: Privacy And Professionalism in a Recorded OR
手術室における録音に関する記事。医療者を守る法律も必要?
2022年3月7日、ニューヨーク市のメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターで、ジェニファー・カパッソというトランスジェンダー女性が手術を受けた。カパッソ本人以外は誰も知らなかったが、彼女は麻酔をかけられる前にスマートフォンの音声録音を開始していた。その後に起きたのは、手術室スタッフがカパッソの身体についてコメントしたという、広く報道された出来事であり、最終的には医療機関に対する訴訟に発展した。しかし、差別の問題を超えて、この事件は現代医療における重要で進化しつつある問いを浮き彫りにした――たとえ患者が意識を失っているように見えても、医療者は「聞いているかもしれない患者」に対してどのような義務を負うのか、という点である。不安を覚えるような出来事ではあるが、このような事例はもはや孤立したものではない。
スマートフォン、ウェアラブルデバイス、デジタル記録システムがほぼ普及したことで、手術室におけるプライバシーの概念は大きく変化した。患者は意図的または偶発的に会話を録音する可能性があり、医療機関も品質向上、教育、AIによる記録のために音声・映像技術を利用することが増えている。今日の手術室は、ますます「録音される環境」となりつつある。麻酔科医にとって、この変化は新たな、そしてしばしば不確実なプライバシー環境を生み出しており、それは従来のHIPAA準拠をはるかに超えた、法的・倫理的・専門的な問題を提起している。
New Ketamine Study Shows No Superiority to Placebo
1522人の腹部手術を対象にRCT.プラセボと比較して、病院滞在日数、オピオイド消費量に差はなし。むしろめまいなど副作用が多く、ERASプロトコールには適応なし
ERAS Program Shows Promise Reducing Surgical Site Infections
SSIは米国において5%から2%に減少。ERASプロトコールの導入により成功
年間160,000 to 300,000 件の手術のうち
Why We Need a Breath of Fresh Air in Inhaled Anesthetic Research
吸入麻酔薬の需要は190憶ドルから2030年までに320億ドルまで伸びる。sevoflurane, desflurane and isofluraneで85%を占めている。現在においが優れて、低血圧を起こさない吸入麻酔薬の開発が行われている現状を説明
世界中で年間3130000000件の手術が行われている(31億件)
Lancet. 2019;393(10170):401. doi: 10.1016/S0140-6736(18)33139-8.
New Ketamine Study Shows No Superiority to Placebo
腹部手術において、ERAS管理においてケタミンとプラセボの導入を比較したRCT
1522人を解析し、病院滞在日数やオピオイド使用量減少させなかった。イレウスを減らさず、めまいや幻覚などの副作用が発生し、むしろICU入室も増加した
Bluesight Report: Hospitals Step Up Diversion Surveillance
病院は薬剤の不正使用流出の監視を強化し、6%は処方間違いが発生している。フェンタニル、ミダゾラム、モルヒネ、プロポフォールが注意薬として挙げられている
Opioid-Free Anesthesia Study Suggests Opioids Optional in Selected Patients
腹腔鏡下手術においてオピオイドなしの麻酔管理と通常の管理において、術後の痛みスコアに差はなし。オピオイドフリー群はDEXを手術開始から使用。術後はエスケタミンを使用。76人のRCT
Airway on Demand: Endoscopy Converts Awake Intubation to Routine Induction
従来は意識下挿管していた症例も、ビデオ喉頭鏡の進歩で減少している
Top of March
The Frost Series: Right Internal Jugular Central Line Entering the Left Subclavian Vein
右内頚静脈からの中心静脈カテーテルが左鎖骨下静脈へ迷入。要因として解剖学的問題、手技に係る問題、異常な静脈フローや圧迫が挙げられる。きちんと確認し、リスクを同定し、予防していくことが重要
Nonsterile Ultrasound Gel Linked to Ongoing Infections
エコーを使用する際に、非清潔のゼリーを使用するとバークホリデリア属の最近のコンタミネーションが発生する。病的意義があるかは、不明であるが、手術の際の不必要な抗菌薬使用が要因となっている可能性あり
3月
Pharmacogenetic Algorithm May Help Predict Opioid and Pain Risks After Lumbar Spine Surgery
205人の腰椎手術を受けた患者を分析。術前情報、臨床症状、遺伝定素因、表現型の相違、オピオイド使用量を用いて、異なる機械学習で術後のPONV,呼吸抑制、オピオイド障害、長期の痛み、身体機能低下の予測モデルを作成
術前のオピオイド使用有無、痛みの強さ、不安度、破滅的思考、うつの点数に加えて遺伝的素因を調べるかは?コストと照らし合わせて(200ドル以下)考慮すべき
Up to 1 in 4 Patients Experience Complications After Major Surgery, Analysis Shows
7年間における1,214,539人の術後患者の25%が術後合併症を併発。30%はPONVあり。心臓の手術が多く、呼吸器合併症が最多で年齢とともに増加傾向
Reforming Healthcare: Dissecting the Medical Industrial Complex
米国で保険制度の見直しが現在なされている現状を議論。企業主体の保険は切り捨て、国家主導の保険を作り直すべきと提言
Anemia Linked to Higher Risk for Postoperative Cognitive Decline, Study Finds
1064人の予定手術で、年齢別、ASA, 貧血、教育レベルが術後の認知障害と関連あり。36.9%が術後1週間のPOCDがあり、3か月では8.4%であった。術前の貧血補正はアウトカムを改善するのか?
Palonosetron-Dexamethasone Cuts Late PONV Better Than Ondansetron Combo
パルノステロンとデキサメタゾンの組み合わせは、オンダンセトロンのコンボより術後48時間のPONV頻度を軽減する
palonosetron is long-acting and ondansetron is short-acting
Perspectives of Children, Parents, and Healthcare Providers on Outcomes after Anesthesia for Surgery:
An International Mixed Methods Stakeholder Engagement Study from the Pediatric Perioperative Outcomes Group
小児手術の麻酔後のアウトカムについて、子ども・保護者・医療者の視点を調査した国際的混合研究法によるステークホルダー参加型研究
(小児周術期アウトカムグループによる研究)で、痛み、合併症、メンタルヘルスと情緒的状態、そして環境というテーマが、関与したすべてのステークホルダーにとって重要であることを明らかにした。
また、医療提供者と患者・保護者の間では重視するテーマに違いがみられた。情緒的な健康、痛み、日常生活への復帰といった要素は、現在の研究アウトカムにおいて過小評価されている可能性がある。
Severe Postoperative Bleeding after Heart Transplantation
446人の心移植患者を後方視的に分析。25%が重度の出血を合併。メカニカルサポート必要患者が危険因子で予後不良1.9倍高い
Mechanical Power and the Association with Postoperative Impaired Oxygenation and Pulmonary Complications in Orthopedic Patients: Post Hoc Analysis of a Cluster Factorial Randomized Trial
整形外科手術を受ける2582人患者を分析し、術中のメカニカルパワーが高いほど、術後の酸素化不良とPPCと関連があることを明にする。Driving pressureは重要
4 Types of Burnout and Tips for Beating Them
麻酔科医の28%は一度は離職したいと考えたことがある、と調査により明らかになる。以前の2.3倍増加している。
4つのタイプがあり、身体的(physical burnout)・精神的(mental burnout)/燃え尽き症候群(attitude burnout)/技術的(skill burnout)に分類される
Food Insecurity a Key Socioeconomic Factor in Long-Term Pain Development
長期の痛みに関与する因子として食事の不安定さと孤独感を含む精神的な要素と鞘海経済的な要素が重要。641人の慢性痛患者に78の質問を行い、83%が食の不調を訴える
Data Support Removing Preoperative Gabapentin for Ambulatory Surgery Patients
術前のガバペンを中止したほうが救急の手術を受ける患者において、術後の回復が早く在院時間が短縮した
What Interventional Pain Anesthesiologists Need to Know About the Ambulatory Specialty Model
慢性の腰痛に対して、救急に来られた場合に、どの痛みのインターベンションが有効であるかについて理解するべき。考慮すべきこと:値段/腰痛の要因/成功すべき要素が整っているか
If You Assess a Patient and It’s Not Documented, It Didn’t Happen
アキレス腱手術の際に膝窩部の坐骨神経ブロックを併用したケースで、ブロック記録に全く問題はなかったが、術後の痛みが継続し1か月後にCRPSと至った症例を紹介。
ブロックが要因でないという麻酔科医と主治医の乖離があり、裁判となる。記録を残す重要性を強調
IV Fluid Shortage Linked to Jump in Postoperative Kidney Injury
ASA3の46,345 cases (38,068人)を分析し、輸液は1735mlから1036mlへ減少。コロイド使用の増加とAKIが関連あり
Frequency and Management of Maternal Peripartum Cardiac Arrest during Anesthetic Care: A Multicenter Retrospective Cohort Analysis
周産期における心停止症例を分析。60施設における778,102人を評価し、87例の心停止をレビュー。10万件に11件発生。40%が出血で30%が羊水塞栓。11%が麻酔に関連して発生。
67%は帝王切開中に発生。77%が後遺症なく回復する。40歳以上、BMI40以上、非白人、肺高血圧の合併や癒着胎盤が関連
Incidence of Pain during Cesarean Delivery with Neuraxial Anesthesia: An International, Prospective Cohort Study
3693人のC/Sを分析。7.6%が術中に痛みを訴える(予定:3.7%, 緊急5.7%).10%が術中管理に不満足。脊椎麻酔単独が低く、硬膜外を併用すると痛みの訴えが多い傾向
Deciding the Best Anticoagulation Agents in a Perioperative Setting
出血時の抗凝固療法の決め方とリバースの方法を解説
ASA Session Highlights Top Recent Studies in Critical Care Medicine
Perioperative Pulmonary Hypertension Signals Cardiac Risk During GI Surgery
非心臓手術における周術期の肺高血圧症の頻度は増加傾向で、アウトカム(2%心血管系合併症)に影響している
End Game: The Final Chapter of the Private Anesthesia Group vs. Hospital System vs. Private Equity Firm Trilogy
米国では2024年全体の42%がフリーターに所属(2012年は60%)し、減少傾向。
Buprenorphine Safer for Managing Cancer Pain, but Access Problematic
レペタン(舌下投与や経皮タイプ)はオピオイドを使用しているがんの疼痛治療に有効であることが示されているが、実際には保険適応がない現状の問題点が示される(FDAは認可していない)
Durable Outcomes Reported in 5-Year Study of 60-Day PNS
603人の腰痛患者のうち79%が、末梢神経刺激術を60日間行い、手術を回避し痛み、QOL,身体機能、気分や睡眠を改善する SPRINT PNS treatmen
A Novel Role of Dexmedetomidine in the Modulation of Morphine Reward Memory via Gamma-Aminobutyric Acid Transporter-1
オピオイドによる報酬系の記憶は側坐核におけるドーパミン放出増大が関与している。
DEXはα2経路と無関係のγアミノ酪酸を細胞内に取り込むトランスポートを介して、オピオイド依存を解決する可能性あり
Diversion Software Success Hinges on Trust, Workflow, and Follow-Through
薬剤に関するDiversion Software が成功するためには、信頼性、効率的な業務プロセス、そして確実な実行が不可欠だ。
Diversion Software = ゲーム開発・3D制作向けの高速クラウド型バージョン管理システム
Association of Peripheral Nerve Block with Postoperative Myocardial Injury in High-risk Cardiac Older Adults Undergoing Hip Fracture Surgery: A Two-center Retrospective Cohort Study
股関節の骨折手術において、全身麻酔または腰椎麻酔に末梢神経ブロックの単回投与を加えると、心血管系リスクのある患者の術後心筋障害を軽減するという後方視研究(痛みと心筋障害の関係)
Evidence-Based Strategies Refine Care For Patients With Acute Lower GI Bleeding
チームでのアプローチが必要:輸液・循環管理を行いつつリスクを同定。CTアンギオ施行して出血点の同定し、塞栓も考慮。安定した後大腸カメラを行い、必要なら手術。出血が継続するケースもあり
New Liposomal Drug Delivery Enhances Bioavailability
リポ化した薬剤の生体内における具体的な親和性についてレビュー。肝臓通過後90%以上が代謝されず、生体内(特に脳で)利用される。
2月のTop5麻酔ニュース
ER Injectable Buprenorphine Fails in Clinical Trial, But May Still Have Use for OUD
オピオイド依存の患者にERでレペタンを使用して効果が不十分であるにかかわらず、メサドンやレペタンがいまだ使用されている現状を紹介
Opioid-Free Anesthesia Matches Opioid-Based Regimens for Postoperative Pain
腹部手術において、オピオイドフリー麻酔は術後にオピオイドを使用する麻酔方法に比べて慢性痛になりやすいJAMA Surg 2023;158(8):854-864。35,632 を解析し、
13%がOFAを施行。けたミン、アセトアミノフェン、DEXを使用する。PONVの頻度は下げるが、痛みの持続は長い傾向にあり
2月
Reasons Behind the Selection, Avoidance of Certain Blocks
麻酔科医は全員が末梢神経ブロックを希望しないのは、エビデンスやそのブロックに関する利点を理解するだけの教育が足りていないからだとレビュー。PGAmeetingで議論される
Plan Ablock, Plan B, Plan Cを考えることが重要
Research: The Future of Healthcare
医学の進歩に研究は欠かせない。無菌状態、インシュリン、抗生物質の開発は医療を発展させ、手術療法、ワクチンの開発へとつながり、多くの死が防げることとなった。
今後も研究をもとに新たな治療法が開発される流れをレビュー
Novel Study Highlights Increasing Rates of MOUD for Surgical Patients
術後疼痛のプロトコールが確立したにもかかわらず術後のオピオイド使用に関する問題は増加している現状を報告。
810万人の保険データから分析。2016年は154.4 per 100,000→2022年は240.8 per 100,000。術後不適切なオピオイド使用に関する教育がまだまだいきわたってないことを指摘
Preoperative Hypnosis versus Mindfulness for Reducing Postoperative Symptoms in Breast Surgery: A Randomized Clinical Trial
乳がんの術後痛を減らすのに、術前の瞑想の方が、マインドフルネスより有効であることを示す。全身倦怠感や、精神的なストレス、フェンタニルの量を減らす
Processed EEG Indexes Show Limited Utility in Predicting Delayed Neurocognitive Recovery
Processed EEGは術後認知機能低下を予測するには限られている。area under the receiver operating characteristic curve (AUROC)は0.21-0.69. 術後に認知機能障害を呈した24人中の脳波を解析する
New Anesthesia Protocol Shows Strong Outcomes in Hip and Knee Replacement
906名の患者に導入
SOLIS protocol combines short-acting spinal chloroprocaine, opioid- and benzodiazepine-free anesthesia, large-dose local anesthetic infiltration, and propofol sedation
オペ当日に歩けなかったのは1.3%. PACUで18%しかオピオイド必要なし。ERASプロトコールの3-5倍2時間以内のオピオイド使用量が少ない。尿閉0.9%, 起立性低血圧4.6%、DVT0.2%, PE0.1%
Mode of Anesthesia for Patients with Placenta Accreta Spectrum Undergoing Cesarean Hysterectomy: A Report from the Multicenter Perioperative Outcomes Group
43施設1257例の癒着胎盤症例を解析。33%が最初から全身麻酔、26.5%が脊椎麻酔、40%が脊椎麻酔から全身麻酔へ移行。
先日同様の症例が当施設でもあり。前置胎盤やASA重症度が高いほど全身麻酔へ移行。
Impact of Preoperative Functional Capacity on Postoperative Mortality and Morbidity: A Prospective Cohort Study
術前の機能評価にmetabolic equivalents of task (MET) を使用(1~9点以上)。術前のMET低下は30日死亡率(0.6%)と1年死亡率(5.4%)と関連あり。
低下するほど死亡率の上昇と関連あり。リスク因子の一つとしてMETは考慮すべき
Nutritional Drink Reduces Health Disparities in Rural West Virginia
栄養障害のある患者は術後3-5倍合併症の発生率が高い。術前に栄養の改善を行うことで死亡率を減らし70%合併症の発生率を軽減
AI Emerging as a Powerful Patient Safety Tool in Pediatric Anesthesia
小児麻酔におけるAIが予測に優れた点は、酸素レベルのモニタリング、術後の痛みのモニタリング(88%の信頼度:FLACC/Wong-Baker FACES )、
チューブのサイズや固定の位置に関して有用。意思決定支援を行う。
U.S. Maternal Care Requires Transformative Change, Experts Say
米国における母体死亡率は高く(出血や高血圧、痙攣)、70%に合併症を併発。
人種の違いによるところもあるが、一律に管理を行う政府の取り組みと、妊婦の痛みや不安を取り除くことを課題と挙げた
Intraoperative PRBC Transfusion Raises Delirium Risk, but Only Above 7.3-g/dL Hemoglobin Threshold
42,313 中16.5%が輸血を受け、6.8%が術後せん妄となった。輸血無し6.1%, 2単位の輸血8.5%, 4単位で10.5%, 6単位以上13%. 輸血の閾値が7.3g/dlの場合に限る
An Anesthesiologist’s View: This Baby Is Fine Without a Gastrostomy Tube
7か月の未診断の気管食道廔(E型)症例。H型はVACTERLの多数の奇形を合併。DEX、ケタミンを使用し、セポフルランで自発呼吸を温存してBF施行。H型の診断に至り、胃切除をせずに修復可能。
Surgery Still Gold Standard in the Age of GLP-1s, Experts Say
体重減少の効果に関してはGLP-1受容体作動薬(10-15%減少)より手術の方が成績が優れる
Preparing for a DEA Hospital Audit
病院薬剤師の役割をreview. 注意すべき薬剤(オキシコドン、フェンタニル)や薬剤のインシデントをまとめて、医療事故を減少させる役割を説明。周術期における薬剤師の役割は重要
Elucidating the Value of Perioperative Medicine for Patient Care and Anesthesia
周術期における術前評価をきちんと行うことの利点(安全性の担保)と欠点(手術延期やコスト上昇)を考慮し、年齢や手術内容を考慮して検査を行う方向性。
文化や外科医の希望、病院の方針、州ごとの方針で検査が異なる。術前業務は麻酔科の新たなサブスぺの一つとして注目されている
Weighing Spinal Versus General in the ASC
救急病院において、全身麻酔を選択するか、腰椎麻酔を選択するかの議論。安全性、有効性、経済的な観点、患者の希望、施設の方針、技術的な問題から総合判断。
TKAでの高齢者が受ける際に全身麻酔、腰椎麻酔科による死亡率や合併症の発生率に関する見解は結論未。
Antepartum Psychiatric Meds Linked to Elevated Risk for Hypertensive Disorders in Pregnancy
妊婦さんの抗うつ薬と抗不安薬使用は高血圧関連あり、妊娠中毒症の発症とも関連。
158,088 人の妊婦さんを解析。抗うつ薬使用(n=24,770), 抗不安薬使用anxiolytics (n=10,191), 療法使用 (n=4,943), and 使用無し (n=118,184)。薬をやめて認知行動療法?
Elucidating the Value of Perioperative Medicine for Patient Care and Anesthesia
perioperative medicine (POM)に関するreview. 198年台より麻酔の安全性にフォーカス、術前検査は過剰のコストや処置の遅れにつながるときもあり、
術者の考えや、手術内容、術前状態から病院のコンセンサスを得たプロトコールが作成しにくい
Overview on Neuromuscular Blocking Agents Points to Bright Future
筋弛緩剤の始まりは1940年代に導入。筋弛緩剤はコリン作動を介して、炎症を促進する作用あり。筋肉への影響だけでなく免疫システムにも影響している
Top5 paper 1月
Advice for Identifying High-Risk Cardiac Events
術後心血管系合併症を同定する手段を紹介
Fluids and Vasopressors Both Linked to Complications In Liver Transplantation
肝移植において輸液量と昇圧剤が術後合併症に関与。
863人の多施設観察研究。グラフト機能に影響はなかったが、低血圧と多量の昇圧剤、輸液過剰は他の合併症(AKI以外)と関連があり→RCT必要
Clearing the Air – The Science and Sustainability of Desflurane in Anesthesia
麻酔薬の選択は全身状態、手術内容、患者背景による。デスフルランの利点は早期覚醒で外来患者に有用。環境面の問題は挙げられるが、禁忌ではないか?
AI Simulates Oral Board Exams With Promising Early Feedback From Trainees
口頭試問や筆記試験をAIが作成し、実際に教育者からのフィードバックを直後に得られるシステム。
Simulated Mock Anesthesia Readiness Tool (SMART)はChat GPTから生み出される。実際の緊張感がないのが欠点では?と指摘あり
Practical Advice for Anesthesiologists Concerning Malpractice Lawsuits
麻酔科医が巻き込まれる訴訟ケースの対応をまとめる。記録の保持、起こしたプロセスに問題がないか、専門家の判断を取り入れて対応していく。自分一人で抱え込まない
Emerging Role of Electroencephalographic Aperiodic Activity in Anesthesia: A Narrative Review
全身麻酔中の脳波解析のreview. 規則的な脳波と不規則な脳波の変化は術後の認知機能障害や麻酔深度の変化、せん妄や脳機能の異常を予測できる
1月
Critical Closing and Tissue Perfusion Pressures in Sepsis: Implications for Risk Stratification—A Retrospective Cohort Study
CCPが上昇するとTPP減少。敗血症において死亡率と逆U関係
Blood Pressure Drop Between OR and ICU Tied to Postoperative Death Risk
12740人の術後患者を後方視的に解析。オペ室退出30分前とICU入室30分を解析。MAPの減少が30日死亡率と関連。6-10mmHg下がる(17%)-6mmHgが閾値
Percutaneous PNS Provides Long-Term Relief Post-TKA
10-20%が難治性疼痛を合併。末梢神経刺激が60日後の痛みをベースラインの60%減少。60日間留置。抜去後に早く、遠く歩くことが可能
Liposomal Bupivacaine, Plain Bupivacaine, and Saline for Transversus Abdominis Plane Blocks: The CLEVELAND Randomized Trial
手術前の単回ブロックの術後鎮痛効果は生食と変わらず。80ml生食群と変わらず・・・
Fewer Complications for Hip Fracture Patients With Anesthesiologist-Led Care
麻酔科医が関与する股関節骨折患者は全身評価が優れているので、合併症が軽減する。59%肺や心血管合併症現象。5時間早くオペ室へ入室。早期に係るほうが良い結果をたどる
Navigating Billing for Regional Anesthesia Is Challenging, Complex, and Essential
多くの神経ブロックの種類があるがコストをどのように決めたらよいか?エコーを使用しないと厳密にできないブロックもあり、世界的に複雑で解決すべき問題が山積み。よく効くほどコストは高くあるべき
Magnetic Tattoos and Cosmetics Pose Hidden MRI Risks, Researchers Warn
MRI撮影の入れ墨やネイルを使用患者が危険であることを警告。10症例を振り返り。磁石付きのネイルは外すべき。埋め込み型の入れ墨はやけど要注意。アーチファクトも生じて撮影がきれいにできない
Pediatric Regional Block Workshop Held at ASRA
小児の末梢神経ブロックワークショップ。インドの麻酔科医プレゼン。現実的な発生する問題について議論。アウトカムに対する影響や安全性、量について共有。禁忌やブロックの種類の選択に関して
FDA Approves New Fibrinogen Concentrate for Congenital Fibrinogen Deficiency
先天性フィブリノーゲン欠損症に新しい製剤が発売。Fase3まで進行(36人)の患者様
Experts Set Minimum Anesthesia Standards for Cesarean Delivery
帝王切開に必要な麻酔薬、モニター、気道確保の器具、施設に特異的な麻酔機器をまとめる
Is Artificial Intelligence Coming to (or Already in) an Anesthetizing Location Near You?
現在の麻酔環境におけるAIの役割は、学びや理解力を向上させ、問題解決の道筋や意思決定権のサポートに貢献し、創造性や自動化を目指す過程にある。
車や飛行機の運転自動化が進む中麻酔領域も実現性が向上。手術のリスク・患者リスク、バイタルサイン、モニターのサインをもとに麻酔薬の投与・輸液・循環作動薬の調整が自動化に舵を切る。
挿管手技・神経ブロックや血管穿刺のロボットによる自動化・体位変換時の調整など少しずつ技術の革新が行われている
The Management of Interstitial Lung Disease in the ICU: A Comprehensive Review
間質性肺炎のICU管理をまとめ:最後は肺移植。つなぎがECMO
Healthcare Tourism: There Is More to the Story
海外で受ける医療の死亡率や合併症に関する意識改革。価格やサービスは各国で異なる。価格が重要。ケアの質、言語問題、道徳観など異なる。ガイドライン必要
ASA Session Highlights Most Significant Anesthesia Papers Published in 2025
オレキシン受容体2アゴニストはオピオイドの呼吸抑制を鎮痛効果減弱なしに改善
白人に比較するとスペイン人や黒人はPONV予防が少なく頻度が高い
慢性腎不全患者は予防的NO投与が腎機能障害増悪を予防
高齢者の9人に1人が無兆候の脳梗塞を発症。せん妄や認知障害と関連
HPIガイドの循環管理は術後腎障害や予後の改善無し
The Importance of a Psychotropic History Before Anesthesia
精神科の薬は術後認知障害、術後痛、覚醒遅延、再入室率、離脱症候群に注意
薬剤( serotonin syndrome, hypertensive crisis, and medication toxicity.)
精神安定剤、合法、眠剤(ベンゾ)、抗うつ薬
Link Found Between Depression and Postoperative Pain in Rotator Cuff Patients
肩の回旋筋断裂の術後痛にうつと痛みの関連性
voxel-wise fMRIで脳の体積を評価する方法。dorsal anterior cingulate cortex (dACC), primary somatosensory cortex, precuneus, and cerebellumの変化が痛みの強さと関連。前帯状皮質
Making the Most of CDI Therapies In High-Risk, Recurrent Patients
Fidaxomicinダフクリア…RNAポリメラーゼ阻害 ・バンコマイシン…細胞壁合成阻害 どちらもC.Difficileの増殖を抑制しますが、作用機序が異なります。
ダフクリアはRNAポリメラーゼ阻害剤です。
細菌由来のRNAポリメラーゼの働き(mRNA転写→タンパク質生成)を妨げて抗菌作用を発揮 vancomycin, 30%; fidaxomicin, 5%; relative risk, 0.18; 95% CI, 0.04-0.75; P=0.02
再発率がバンコマイシンに比較して低い
Surgeons Warn New CMS “Efficiency Adjustment” Will Trigger Deep, Recurring Cuts
米国においてもCenters for Medicare & Medicaid Services’ (CMS’)コストカットの波が押し寄せている。
ストレスが多い職場は変わらず。テクノロジーの進化はあるが手術時間は長くなっている。コストはどうなのか?立法の努力と術者の協力が必須
Effect of S-Ketamine on Postoperative Delirium in Elderly Patients Undergoing Arthroplasty: A Randomized Controlled Trial
ケタミン0.2mg/kgの投与はTHAを行う高齢者の術後3日目までのせん妄を抑制する効果あり、幻覚、めまい、悪夢を見る頻度は増しているようだが・・・抗神経炎症効果がある
機能の回復やNRSを改善する作用もあり
Gut–Brain Axis Offers Clinical Meaning for Patients With CSS
脳と腸は自律神経系や液性因子(ホルモンやサイトカインなど)を介して密に関連していることが知られている。
この双方向的な関連を“脳腸相関(brain-gut interaction)”または“脳腸軸(brain-gut axis)”と言う。
つまり、消化管の情報は神経系を介して大脳に伝わり、腹痛・腹部不快感とともに、抑うつや不安などの情動変化も引き起こす
脳腸相関をよく理解することは、線維筋痛症のようなcentral sensitization syndrome (CSS)を治療するうえで重要。
治療プラン low-FODMAP (fermentable oligosaccharides, disaccharides, monosaccharides and polyols) diets, probiotics, neuromodulators and visceral physical therap
Evaluating the Acute Effects of the Cannabinoid Dronabinol and the Opioid Hydromorphone Alone and in Combination: A Double-Blind, Randomized, Placebo-Controlled Trial in Knee Osteoarthritis
ハイドロモルヒネとカンナビノイドは臨床的に侵害刺激に対して相乗的な効果は示さない
hydromorphone (2 mg), and dronabinol (10 mg)
Airway on Demand: Elective Tracheostomy Via SGA
正しい位置の確認ときちんと気管切開チューブが挿入できたかの確認が可能
Association of Peripheral Nerve Block with Postoperative Myocardial Injury in High-Risk Cardiac Older Adults Undergoing Hip Fracture Surgery: A Two-Center Retrospective Cohort Study
weighted logistic regressionを使用 重み付き回帰分析 ばらつきが多い場合に使用
1467人の股関節骨折の手術において、PNVのワンショットが痛みと心筋障害の発生を軽減する。術後の心筋障害は12%に発生(PNV)しない群は21%発生。
Developing a Framework for Career Fulfillment in Academic Anesthesiology: Findings from a Single-Institution Focus Group Study
UCSFにおける大学病院での麻酔科医としてのキャリを作る重要な要素をまとめる
昇進の基準や生活との関連性が重要。個々人のモチベーションを上げることが重要
Pain Medicine Physicians Fear Federal Cuts to Naloxone Funding Will Lead to More Deaths
ナロキソンは安い薬だが、オピオイドの過剰な薬剤摂取を防ぐ薬剤はブプレノルフィンとナロキソンで、ナロキソンにかかる費用を削減することで多くの死がもたらされている
The Future of Anesthesia: Embracing Innovation for Safer, Personalized Perioperative Care
麻酔の将来に関して:AIは迷った際の判断の決定に有用で、クローズドループシステムによる薬剤の投与、輸液・循環作動薬の調整、身につけられるワイヤレスデバイスによる循環のモニタリング、
いかに起こりうることを正確に予測し、個々の合併症や特徴に応じて対応することが安全性の向上につながる
The Impact of GLP-1 Medications on Surgical Care: Expert Panel Maps Hybrid Future
誤嚥のリスク、中止のタイミングや外科手術比較したときの臨床的意義など現在も明確な結論は出ていないが、今後も検討必要
Airway on Demand: Incidental Laryngeal Mass Follow-Up
予想できる場合は対応しやすいが、予想できない場合は恐ろしいですね。喉頭腫瘍は本当に要注意ですね
Identifying the Preoperative Risk of Hypotension With Ultrasound
低血圧を予測するために術前にエコーを活用して、IVC系の評価や左室の状況をcheckし、低血圧を回避する。目標指向型の循環管理の作成(収縮期90以下、mAP<65, ベースラインの30%以上の血圧低下)
WHO Addresses Cannabinoid Hyperemesis Syndrome
慢性カンナビノイド中毒患者が妊娠悪阻に伴い、腹痛と繰り返す嘔気・嘔吐に特徴的な症状で認知されている概念。2016年に報告され毎年49%上昇(13-21歳)。2006年~2020年までに28%上昇(15-24歳)。
救急でよくみられる疾患。日本も若年者の薬物依存が問題になっていますね
The Potential of Epidural Steroid Injections for Acute Shingles: A Call for Broader Awareness
帯状疱疹の急性痛に硬膜外ステロイドの可能性:あまり推奨されていないが、症例によっては痛みの軽減やPHNへの移行を防ぐ可能性があり、今後も多施設研究をすべきである
ガイドラインの推奨も少ないため、医療者への教育も重要か?