アズレン合成

アズレン合成の手順について、実験の様子を写真とともにご紹介します。村藤研究室では、年に数回程度アズレンの合成をおこなっています。

Step 0: ジシクロペンタジエンのクラッキング

Step 0: ジシクロペンタジエンの
クラッキング

ジシクロペンタジエンをクラッキング(160 ℃)して、シクロペンタジエンを約30 mL得ます。

※アルゴン置換をして、使用直前まで冷凍庫で保存しておきます。

1日目

Step 1: ピリジニウム塩の合成

Step 1: ピリジニウム塩の合成

1-クロロ-2,4-ジニトロベンゼン 60.8 g (300 mmol) とピリジン 360 mL を2 Lのセパラブルフラスコに入れ、90 ℃で4時間攪拌します。

※塩が生成して、回らなくなったら棒でつつきながらピリジンを足して回るようにします。

ピリジニウム塩反応スキーム ピリジニウム塩反応スキーム

Step 2: ピロリジンの滴下

Step 2: ピロリジンの滴下

0 ℃に冷やし、ピロリジン50 mL (600 mmol)をゆっくり滴下します。そのまま一晩室温で攪拌します。

Zincke塩反応スキーム Zincke塩反応スキーム

2日目

Step 3: シクロペンタジエンの滴下/ナトリウムメトキシドの滴下

Step 3: シクロペンタジエンの滴下
/ナトリウムメトキシドの滴下

0 ℃に冷やし、シクロペンタジエン 25 mL (300 mmol)を滴下します。その後、ナトリウムメトキシド(ca. 5 M in MeOH) 72 mL (360 mmol) を滴下します。滴下後、室温で4時間攪拌します。

シクロペンタジエニルアニオン シクロペンタジエニルアニオン

Step 4: メタノール除去

Step 4: メタノール除去

加熱してメタノールをできるだけ留去します(60~70 ℃ → 125 ℃)。メタノール除去後、メカニカルスターラーが回るようにピリジンを~300 mL加え、約4日間の加熱攪拌を開始します。

※最初の攪拌が重要なため、メカニカルスターラーが停止しないよう注意します。

3~6日目

Step 5: 加熱攪拌

Step 5: 加熱攪拌

約4日間 125 ℃で加熱攪拌をします。攪拌を始めると、容器内に青いものが見え始めます。

※万が一に備え、防爆版で覆います(写真撮影のため、取り外しています)。

アズレン完成 アズレン完成

7日目

Step 6: ピリジン除去

Step 6: ピリジン除去

不要なピリジンを減圧蒸留にて、留去します。アズレンは昇華性があるため、アズレンの青みを帯びたピリジンが得られます。ピリジンが飛ばなくなったら、セパラブルフラスコの蓋を開けて手動でかき混ぜ、ボソボソの固体にします。

※オイルポンプ使用後、速やかにオイルを交換します。

8日目

Step 7: ソックスレー抽出

Step 7: ソックスレー抽出

200 mL程度のヘキサンを用いて、ボソボソの固体をソックスレー抽出します。

※抽出後の固体は再抽出のため残して、乾燥させておきます。

9日目

Step 8: 再抽出/塩酸洗浄

Step 8: 再抽出/塩酸洗浄

ソックスレー抽出にて取っておいた固体をさらに抽出します。乾燥させた固体を乳鉢ですりつぶし、ヘキサンを加えてろ過し、ソックスレー抽出で得られた溶液と合わせます。
その後、ソックスレー抽出で得られたヘキサン溶液を希塩酸で洗浄します。

※再抽出は収率上げのため、面倒なら省いてもよいです。
濃縮する際は、突沸に注意しながらゆっくり飛ばしていきます。

10日目

Step 9: カラム精製

Step 9: カラム精製

シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン)により、アズレンを単離します。

※昇華性があるため、濃縮する際は突沸に注意しながらゆっくり飛ばしていきます。

完成!

完成!

完成! 収率50%程度で鮮やかな濃青色のアズレン結晶が得られます。