セクシュアル・ハラスメントは,その起こり方によって次の3つにグループ分けできます。
対価型または地位利用型, 環境型, ジェンダー・ハラスメント
対価型または地位利用型
行為者が意図すると否とにかかわらず,職務上の地位や権限を利用して利益もしくは不利益を与える性的言動で,相手に対しての処置が,性的言動を受け入れたり拒絶したりすることと対価・対償関係にあるものを指します。
- 教育・研究上の指導もしくは評価・利益の与奪または人事権もしくは業務指導権の行使などを条件とした性的働きかけをすること。
- 個人的な性的欲求への服従または拒否を,教育・研究上の指導もしくは評価または学業成績等に反映させること。
- 個人的な性的欲求への服従または拒否を,人事,勤務条件の決定または業務指揮に反映させること。
- 相手への性的な関心の表現を業務遂行に混交させること。
環境型
行為者が意図すると否とにかかわらず,就学環境や職場環境に著しく悪い影響を与える性的言動で,職務の遂行や能力の発揮に支障が出るものを指します。
性的内容の発言
- スリーサイズを聞く等,身体的特徴を話題にすること。
- 聞くに堪えないような卑わいな冗談を交わすこと。
- 相手の性的魅力または自分の抱く性的関心にかかわる事柄を話題にすること。
- 性的な経験または性生活について質問すること。
- 特定個人の性に関する風評を流すこと。
性的な行動
- ヌードポスター等を職場に貼ること。
- 雑誌またはパソコンディスプレイ上の卑わいな写真・画像,記事などをわざと見せたり読んだりすること。
- 相手の身体を長い間じろじろ眺めたり,目で追ったりすること。
- 食事,デートまたは性的な関係をしつこく迫ること。
- 相手の身体の一部(肩,背中,腰,頬,髪等)に意図的に触れること。
- 性的な内容の電話をかけたり,手紙や電子メールを送ること。
- 浴室,更衣室等をのぞき見すること。
ジェンダー・ハラスメント
ジェンダー(gender)とは「社会的性差」という意味で,ジェンダー・ハラスメントとは,性に関する固定観念または差別意識に基づく嫌がらせを指します。女性または男性という理由のみで性格及び能力の評価ならびに決めつけを行うこと等が,これにあたります。
- 「女には仕事を任せられない」,「女は職場の花でさえあればよい」,「男のくせに根性がない」などの発言をすること。
- 女性であることだけで,職場でお茶くみ,掃除またはコピーとりをさせたり,私用に関する使い走りなどをさせること。
- 相手の人格を認めないような形で,「男の子,女の子」,「おじさん,おばさん」等という呼び方をすること。
- カラオケのデュエットを強要すること。
- 酒席で,上司の側に座席を指定したり,お酌またはチークダンスを強要すること。(これらの行為は,環境型または対価型・地位利用型のセクシュアル・ハラスメントに該当することもあります。)
いうまでもないことですが,セクシュアル・ハラスメントがここに掲げられていることで尽きるわけではありません。ある言動がセクシュアル・ハラスメントにあたるかどうかは,あくまでも相手の受けとめ方(「不快」と感じるかどうか)によるのであって,その言動を行う者の感覚で判断されるものではないことに注意してください。
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