北九州市立美術館 連続美術講座
講座 現代美術史

3.日本館の展示



 

コミッショナー:長谷川祐子

テーマ:ヘテロトピア
 

"三次元の空間で、「ここ」というとき、トポスという考え、「夢と衝突」に対応させた、「ユートピア、ヘテロトピア」という概念が浮かんだ。これはそのまま、彫刻と場をつくる作家で、自国を離れて旅する作家と、自国にとどまり、その文化を吸収しながら制作する作家というイメージ、曽根と小谷にむすびついた。禅的な逆説法により未知の風景をつくろうとする曽根、アニメやホラー映画、雑多なサブカルチャーもすべて吸収して変異という特殊の瞬間を彫刻化しようとする小谷は対照的でありながら、たいへん日本的である。日本という国について考察したとき、ヘテロトピックという概念の方がよりストレートに響いた。またフーコーの解釈にたったとき、現実に存在し、世界に対して抵抗と交渉を行う場という概念に二者の作品はふさわしいと思われた。それは二十世紀初頭に行われた西洋的なユートピア論をいま召還することに対する筆者自身の懐疑でもあった。"

長谷川祐子 「第五十回ヴェネツィア・ビエンナーレ日本館コミッショナーを務めて」、)、『美術手帖』839号、2003年9月、59頁。


作家:

曽根裕
  《ダブルリバー・アイランド》(ワーク・イン・プログレス) 2003年:(1), (2), (3)

小谷元彦
  《ソランジェ》 2003年
  《スケルトン》 2003年:(1), (2)
  《ベレニス》 2003年
  《ロンパース》 2003年

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