北九州市立美術館 連続美術講座
講座 現代美術史
2-1.水平の視線
[パネルディスカッション]
「セッションIV アジア思潮のポテンシャル」での塩田純一氏の発言
"それぞれの国にそれぞれのコンテクストがあるわけで、そのコンテクストのなかに入っていって、そこでそれぞれの営みを見ていく。そういう水平の視線でものを見ていく。そういう態度をとっていくことが必要なのではないか、ということをその時に感じたわけです。""日本はいままでヨーロッパを向いていて、例えばアウトサイダーというようなものを、ほとんど見てこなかったとうような構造があるわけです。それと似たようなことが、例えば日本とアジアの関係においても、おそらくあったのだと思うわけです。いま、ようやくアジアが視野に入ってきているわけですね。その視野に入ってきた時にどうゆう関係を結んでいくのか、支配とか収奪とかいうような関係ではなくて、より民主的な関係をどうやって取り結んでいけるのかということが大きな課題になっていくのではないかと思います。"
"しかし同時に、ちょっと話が拡散してしまうかもしれないのですが、私たちはアジアを認識し始めているけれど、世界はアジアとヨーロッパ、アメリカだけで構成されているのではなくて、アジアの外にはアフリカやラテンアメリカがあるわけです。それらの国々はどうなるのか。私たちにとって必要なことは、より開かれた関係でアジアを見ていく、さらにはアジアのなかに閉じこもることなく、もっと外の世界も見ていくことではないかと思います。"『現代美術シンポジウム1994「アジア思潮のポテンシャル」報告書』、1994年、108-9頁。