北九州市立美術館 連続美術講座
講座 現代美術史

1-1.ボランティアの現代性・社会性

『現代用語の基礎知識2002』より
 

1.社会福祉

ボランティア
社会をよりよくしていくため、自分の技能と時間を自主的に無報酬で提供する人たちをいい、その活動に対する関心は阪神・淡路大震災以後、特に高まっており、高齢社会の到来で、在宅福祉サービスの需要が増え、地域住民によるボランティア活動も重要になっている。最近は、サラリーマン、高齢者自身の参加も増えており、その活動を通して生きがいを見出している。都道府県・市町村の社会福祉協議会に、ボランティアセンターが設置され、情報を提供している。学校教育、社会教育を通じてボランティア活動が取り入れられ、層も広がり、活動内容も多岐にわたり、地域に根ざしたものが多くなった。  (990頁)

参考リンク:北九州市社会福祉協議会ボランティアセンター


2.NGO・NPO

ボランティア/シビルソサエティ
英語のボランティアには志願兵、篤志奉仕、有志、自発的に申し出るなどの意味がある。近年の日本では「強制ではなく、自発的な意思に基づいて社会貢献活動をすること」といった趣で使われる。現在、日本でいわれているボランティアは、プロではなく余裕のある時間に無料で社会奉仕をしている人たちをさすケースが多い。シビルソサエティは市民社会と訳されることが多いが、この日本語も原語の正確な意味を伝えているとはいえない。欧米でつかわれているシビルソサエティは、通常の市民社会ではなく、共通の主義、主張などをもった市民がその目的を実現するためにまとまって行動する社会的組織を意味している。近年、NGOとシビルソサエティの中間組織としてPO (Peoples Organization ピープルズ・オーガニゼーション)という言葉も使われる。  (1010頁)


3.教育・学校

ボランティア
1992(平成4)年の生涯学習審議会の答申の中で、ボランティア活動の支援・推進は重要な課題として位置づけられていた。そこでは生涯学習とボランティアの関係を、@ボランティア活動自体が生涯学習である、Aボランティア活動のための学習が必要となる、B学習活動を支援するボランティア活動、という3点にまとめている。社会教育施設においても、ボランティア活動を施設の機能に組み入れているところが多くなっている。高校・大学等においてもボランティア活動ないしはその関連科目が単位として認められるようになってきている。ボランティア活動が入学試験や入社試験の際に評価されたり、教員免許を取ろうとする学生に社会福祉施設等で介護体験が義務づけられたこと、職員の肩代わりとしての安価な労働力と考えられるなどの点についての批判もあるが、活動を通じたボランティアの成長・自己形成という点にこそ注目すべきであろう。2001年の社会教育法改正で、市町村教育委員会の事務に「青少年に対しボランティア活動など社会奉仕体験活動の機会を提供する事業の実施及びその奨励に関すること」が加わった。

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