芸術論特殊講義2005
・前回配布プリント補足
藤川哲「美術とグローバリゼーション」、『美術通信』vol.2-3、3・4月合併号、8-9.
1.ヴェネツィア・ビエンナーレと万国博覧会の類似点
1-1.愛・地球博
Source: マピオン>「愛・地球博」へ行こう!
グローバルコモン1-6
グローバル・コモン1 中国や韓国、インドなどアジアから17カ国が参加。 |
|||
グローバル・コモン6 オーストラリア、マレーシアなどオセアニア、東南アジア諸国の参加エリア。 |
グローバル・コモン2 アメリカ大陸から北米・中米・南米の17カ国が参加。国連も出展。 |
||
グローバル・コモン5 アフリカ大陸からの参加エリア。単独館は、エジプトと南アフリカのみ。ほか、28カ国が共同館の形で出展。 |
グローバル・コモン3 ドイツやイタリア、スペインなど西ヨーロッパ諸国のパヴィリオンに加え、東欧、トルコ、北アフリカ(チュニジア)が参加。 |
||
グローバル・コモン4 イギリス、ロシアほか、ヨーロッパ21か国が参加。イベントのメイン会場もあるグローバル・コモン最大のエリア。 |
Source: Walkerplus 東海 / グローバル・コモン(1〜6)
(04/19/05)
1-2.ヴェネツィア・ビエンナーレ
ジャルディーニ公園平面図
Source: (ヴェネツィア・ビエンナーレ公式サイトから2003年10月の時点で取得したもの。2005年4月現在は公開されていない)
↓
「愛・地球博」と「ヴェネツィア・ビエンナーレ」の会場平面図から国別参加制度の共通性が読みとれる
国別参加制度=植民地主義の残滓
2.「国境なき国際美術展」を標榜するドクメンタ
Source: (右)東西分断時代のドイツ:ベルリンの壁
(04/19/05)
開催地のカッセル(Kassel)は東西分断時代の国境線近くの街
国外のアートの最新動向を知る機会=ナチス時代に迫害された前衛芸術の復権
自由主義諸国の現代美術の祭典=冷戦構造の反映
メモ
ヴェネツィア・ビエンナーレ:1895年開始、今年第51回展(6/12-11/6)
ドクメンタ:1955年開始、今年50周年記念展(9/1-11/20)、次回第12回展は2007年
3.冷戦構造崩壊後のヨーロッパのアイデンティティーを探る:マニフェスタ
3-1.各回毎に開催地を変えるノマド型国際美術展
マニフェスタ1 1996年 ロッテルダム(Rotterdam:オランダ)
マニフェスタ2 1998年 ルクセンブルグ(Luxembourg:ルクセンブルグ)
マニフェスタ3 2000年 リュブリアナ(Ljubljana:スロヴェニア)
マニフェスタ4 2002年 フランクフルト・アム・マイン(Frankfurt/Main:ドイツ)
マニフェスタ5 2004年 ドノスティア=サン・セバスティアン(Donostia-San Sebastián:スペイン)
マニフェスタ6 2006年 ニコシア(Nicosia:キプロス)
マニフェスタ5より参加作家の活躍都市
・日本の文化予算:欧米との比較(平成11年度)
出典:文部省編『我が国の文教施策 「進む教育改革」』(平成11年度)、1999年、397頁。
同教育白書は、ここからpdfファイルにて入手可
参考:山口市の平成17年度予算(一般会計+特別会計)=約841億円
山口市役所 / 財政課 / 一般会計及び特別会計予算
(04/19/05)
4.国際美術展の開催予算比較
第50回ヴェネツィア・ビエンナーレ(2003) 約820万ユーロ(@140円=約11億4800万円)
第43回ヴェネツィア・ビエンナーレ(1993) 約68億リラ(@0.07円=約4億8000万円)
2004 光州ビエンナーレ 98億ウォン(@0.98円=約9億6000万円)
横浜トリエンナーレ2001 約6億円
マニフェスタ5(2004) 200万ユーロ(@140円=約2億8000万円)
第1回福岡アジア美術トリエンナーレ(1999) 約1億5400万円
福岡アジア美術トリエンナーレに見る開催予算の推移
第1回 1999年 1億5400万円
第2回 2002年 8400万円
第3回 2005年 7500万円(見込:8945万円)
参考:山口情報芸術センター事業予算の推移
2003年度 1億4000万円 =11月〜3月までの5ヶ月分の事業予算
2004年度 1億円 = 4月〜3月までの12ヶ月分、以下同
2005年度 8000万円
5.まとめ:現代アートの傾向との合致
"こうしたノマド型のビエンナーレが各国を開催ごとに巡るといのは、単独の力では経済的にも経験的にも難しい状況にある国々にとってリスクを最小限に抑えた(原文:押さえた)開催へのチャンスが与えられているわけだ。"
嘉藤笑子「マニフェスタ2:ヨーロッパの各都市を巡るノマド型ビエンナーレを開催」 『美術手帖』 1998年10月号、183-84.
Kwon, Miwon. "One Place After Another: Notes on Site Specificity." October. 80 (Spring 1997), 85-107.
・映像作品
・インスタレーション
・ワーク・イン・プログレス
・参加体験型
・サイト・スペシフィックな作品
・若手作家
↓
増加