美術史二〇〇六


まとめ:西欧美術史学とポストコロニアリズム

◆ケルン―植民地の歴史は古い

◆近代以後の植民地主義

◆エドワード・サイード

◆日本時代の台湾絵画

◆拝外主義/排外主義

◆現在へ―「アンデルセン・プロジェクト」


ケルン(Köln)―植民地の歴史は古い

紀元前三九年、親ローマのゲルマニア人部族ウビイイ族がライン川の西岸に入植。ゲルマニア州におけるローマの拠点となる。

紀元五〇年、皇帝クラウディウスの妻アグリッピナが、ローマ植民地への格上を要望。コローニア・アグリッピナ(Colonia Agrippina)となる。

※英語や仏語では今でも“Cologne”と表記。

参考:ウィキペディア/ケルン


近代以後の植民地主義

一四九二年、コロンブスによる大西洋横断、西インド諸島の「発見」

帝国主義/植民地主義

西欧文明の浸透=近代化


エドワード・サイード(一九三五―二〇〇三)

パレスチナ系アメリカ人の文学研究者、文学批評家。

『オリエンタリズム』(一九七八年)

西欧文化におけるアジアや中東の表象や地域研究は、欧米による植民地支配と表裏一体

美術史二〇〇五:サイード


日本時代の台湾絵画

黄水文(Huang Shuei-wen)《南國初夏》、一九四〇年、紙本膠彩、國立台灣美術館

林玉山(Lin Yu-shan)《故園追憶》、一九三五年、絹本膠彩、國立台灣美術館


拝外主義/排外主義

日本という「悪い場所」⇔どこにも「よい場所」はない

島国の文化⇔大陸の文化

愛国心・自国中心主義・自民族中心主義・一国主義・単独主義・孤立主義・モンロー主義・中華思想

コスモポリタニズム(世界市民主義・世界主義)・インターナショナリズム(国際主義)・グローバリズム(地球主義)


現在へ―「アンデルセン・プロジェクト」(YCAM、七月二九、三〇日)

演劇評:内野儀「『動物的』へ」、『図書新聞』二七八三号、二〇〇六年七月二二日(土)、G面。

“この舞台の設定が二〇〇五年パリと記されているように、一九世紀以降、二一世紀になっても変わらない――「万国博覧会」と二〇〇五年のフランス暴動!――フランス植民地主義への批評意識がこの舞台を貫通しているのである。だからこそ、登場人物にはみな「弱者」としての印が付けられている。だからこそ、ルパージュ自身とも重なって見えるフランス語圏カナダ在住という植民地主義的属性を与えられたフレデリックには、アルビノ(色素欠乏症)という二重のスティグマが与えられなければならない。” ※引用者註下線部に原文では強調点

リンク:演劇公演「アンデルセン・プロジェクト」作・演出 ロベール・ルパージュ 出演 白井 晃