上原三千代 木彫展−大根の気持ち


1998年8月1日(土)〜11月27日(金) 見てきた日:8月15日(土)

伊香保:保科美術館

満足度:★★

上原三千代《美容体操》《美容体操》
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 略歴を見ると、彼女は1995年の「群馬青年ビエンナーレ」(群近美で隔年に開催している公募展。29歳以下を対象)に応募・入選している。この「群馬青年ビエンナーレ」、私も昨年搬入から選考の様子、展示など、担当ではなかったが一通り見ている。

 群近美が県立美術館であることを考える時、やはり地元の作家にもっとブレイクして欲しい。だが、昨年見たこの公募展の印象は、どうも現代美術風な、「現代美術」として雑誌などで紹介されたものをアレンジし直したような作品が少なくない。そうしたなかで、今回見た彼女の作品は独創性に富み、既に自分の世界を掘り下げ、楽しみながら拡げていく段階に入っているように見受けられる。95年に応募された《月の舟》にもその片鱗は見られたのではないか。そして、しかしなぜそれは入賞させられなかったのか(無論、そうした公募展の賞が作家性をどうこう左右するものではないにしても)。ひとつには、彼女の作品が全体に小振りであることが賞選考で不利に働いたであろうことが想像可能だ。だが、どこか現代美術風の応募作品のなかからも、表現媒体の多様性を吸収できないまま、いわゆる大きなカンヴァスに描かれた油彩、アクリル、そしていわゆる彫刻、立体作品ばかりが会場に残った経緯を観察した者にとって、地元作家を盛り立てていくには、群近美内部の体制が「まだ整っていない」(群近美は来年開館25周年を迎えるのにもかかわらず)のだ、ということを改めて痛感することになった。

 地元の作家は、県立の美術館以外のスペースに活動の場を見出していくしかないのか。そうならないよう、内部の人間のひとりとしてこのページから、実現のための準備を進め、蓄積し、形にしていきたいと思った。

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