山口大学医学部医学科の教育研究講座をご紹介します。
令和4年8月1日作成
当教室の発足は1951年で、我が国最初の臨床病理学講座として誕生しました。その後、講座制の変遷と共に名称が変わり、2016年からは「臨床検査・腫瘍学講座」となりました。
がんの遺伝学的変化の解明により、がんの診断や治療にはめざましい進歩が起こっています。当教室では、がんの診断・治療に関する研究を、検査部や各診療科と協力しながら行っています。
講座では、がんの予防や早期発見に役立つ検査を開発しています。消化器がんをメインに、早期大腸がんおよび大腸進行腺腫の発見に寄与する便DNA検査や肝がん・膵がん・胃がん・大腸がんに対するリキッドバイオプシー検査の開発を行っています。講座で開発した高感度メチル化解析法は、微量検体で簡便かつ高性能な定量化を実現した新規技術であり、同手法による成果を確実に出しています(図1参照)。さらに肝がんのリキッドバイオプシー検査については多施設共同研究が進行中です。また腸内細菌については、フソバクテリウム・ヌクレアタム検査による大腸がんスクリーニング法(特許取得)や予後予測法の開発をはじめとして、様々な疾患との関連についても研究を進めています。
現在、これらの検査を実用化レベルに引き上げるために,産官学共同で研究開発を行い、学内外の研究グループとの共同研究で成果を出すことで、世界規模の臨床検査診断薬確立を目指しており、連携企業との研究開発も行っています。一例として、便DNA検査に必要な便検体採取を容易に行えるよう「採便シート」を開発し、海外を含む特許を取得し、企業と共同開発にて製品化しています。
教育としては、検査学(血液,生化学,免疫,微生物,生理機能,輸血,遺伝子など)について,検査部,輸血部,感染制御室スタッフと協力して講義を行っています。 また,臨床実習においては,これらの検査に関連する技能習得を目指した教育を行っています。