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講座について

教授あいさつ

「人に優しく、山口に生き、世界に羽ばたく」

白澤教授

 山口大学医学部医学科は、78年の歴史があります。その中で当講座のミッションは、「人間力を重視し、基礎的な研究マインドの涵養と、基本的診療能力を確実に習得させる」ことです。そのために当講座は医学教育センターと連携して、6年間を俯瞰しながら、基礎分野から臨床分野まで幅広く、その中でも特に境界科目や分野横断科目の教育を実施しています。さらに、「日本で受験生に一番選ばれ、愛される医学部になる」ことを目標にしています。
 本学のカリキュラムは、医療ニーズの変化を見据えて構成されています。医療の高度化の速度は大変速く、しかし一方で、人生100年社会を迎え、複数の病気に罹患している高齢者も増え、診療科横断的なスキルも必要不可欠となってきています。そのために高度専門最先端医療と全人的包括的医療という、ある意味対極的な二つをしっかり身につける必要があります。
 入学後1年間は山口市の吉田キャンパスで共通教育(一般教養)を学び、その後、宇部市の小串キャンパスに移って本格的に専門教育を開始します。概要は、2年次は基礎医学、3年次は社会医学と半年間の研究室配属、そして4年次は臨床医学や臨床倫理等を学び、4年次3学期からは6年次1学期まで続く附属病院を主とした診療参加型臨床実習を行います。医学科にとって重要な教育課題は、従前の臨床推論や臨床実習等のテクニカルスキルに加えて、ノンテクニカルスキルであるプロフェッショナリズム教育、倫理教育、コミュニケーション教育、多職種連携教育、行動医学教育等をいかに充実させることと思います。学生の皆さんが将来、どのようなキャリアパスを選択しようとも、医師として活躍するためには高いコミュニケーション能力は必須です。学生時代は部活動や社会活動等を通じて、より多くの人と接して人間性を磨いて欲しいと思います。
 現在第6波にあるコロナ禍は社会や経済に大きな影響を与え続けており、医学教育にも多大な影響を及ぼしています。この状態がまだしばらく続くと思いますが、コロナ禍だからこのくらいの教育で仕方ないで済ませずに、遠隔講義では対面講義と同程度の学修項目を修得できているのか、患者さんをコロナ禍以前の様に診ず(診させられず)に済ませて良いのか(全国共通の悩みでしょうが)、学生さん達の縦や横の繋がりの希薄化をいかに我々がアシストするのか、ということも私たちに課せられている重要な課題だと思っています。
 最後に、私自身が医学教育を実施するに当たり、大切にしたい個人的な思いがあります。それは、医学を教えるだけでなく、全ての学生が人間力を高められるよう、成長を促していきたいということです。それと同時に「前へ、前へ」の精神で医学教育改革を行っていきたいと考えています。現在私は医学教育学の最前線で働いていますが、「人生のキャリアの8割は偶然の産物である」というエビデンスもあるようです。今まで培ってきた外科学での経験・実感をベースにした医学教育を通して、社会に貢献できる「良い医師」の養成を目指していきたいと考えています。

令和四年三月
山口大学大学院医学系研究科 医学専攻 医学教育学講座 教授
白澤 文吾

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