2015年度 数楽工作倶楽部 第1回

紙バンドによる多面体編み1



新年度になって新しいメンバーも加わったので、温故知新ということで以前に製作したことがある「多面体編み」を作ってみました。(当時このモデルを製作した学生は全員卒業してしまいました。)
数学的にも美しく、いろいろな工作に応用・発展させてゆくことが可能な、最初にチャレンジするには最適な題材です。いろいろな所で見かける比較的ポピュラーな工作ですが、製作に少しコツがいるので製作手順を詳しく解説してゆきます。


1.厚紙のバンド6本と、紙などを束ねる「ダブルクリップ」、のり(木工用接着剤)を準備する。

今回は安価で入手が容易な厚紙を使いましたが、特に以前の多面体編みで用いたような紙製のクラフトバンドを使うと楽に出来上がります。

2.5本のバンドを下の写真のように、中心が星型になるように組み合わせ、残りの一本で「赤道リング」を作る。

 
(写真をクリックすると拡大します。)

中心に五角形、そのまわりに5個の三角形があります。それらを形作るバンドの交差の順序に十分注意してください。
このモデルは「対称性」が非常に重要で、数学の世界では対称性を持つ構造を「美しい」といいます。(数学関係者以外の人々とも、この美的感覚は共有できると思います。)
リングを作る際の「のりしろ」の幅は、以降一定にしてください。

3.中心の五角形の頂点部分を、下の写真のようにダブルクリップで固定する。


4.「赤道リング」を上で作った「星型」に巻きつける。

(真上) (横から)

厚紙で作る場合には、この作業でバンドに折り目がつかないように注意してください。(何度か失敗を繰り返すうちにきれいにできるようになります。)

5.赤道の真上の三角形をつくるバンドの交差の順番を整える。

以下の写真の中央の三角形を取り囲むバンドの順番に注意してください。

(調整前) (調整後)
※黄色の帯の下にあったピンクの帯が、黄色の上に移動しています。

赤道の真上にある5個の三角形に対して、このような交差の順序の「調整」を行います。
その後、下の写真のように三角形の頂上部分をダブルクリップで固定します。


6.「星型」を作っていたバンドの両端を張り合わせてリングを作ってゆく。

少々わかり辛いですが、下の写真では、まず青いバンドの両端を貼り合わせてリングを作っています。

次に、「黄色バンド」をリング状にしたいのですが、その前に「赤道」、「青リング」、「黄色バンド」、「水色バンド」、「緑バンド」で作られる五角形の周りの交差の順序を下の写真のように整えます。

黄色バンドをリング状に貼り合わせたら、同様にして赤道に接する五角形の周りの交差の順序を整えながら、残りのバンドでもリングを作ってゆきます。

7.形を整えて完成。

 


今回作った物体を良く見ると、12個の五角形と、それらを取り囲む20個の三角形があることがわかります。
この構造は、半正多面体の一つである「二十・十二面体」と呼ばれる下の多面体と一致しています。


パート2につづく


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