2016年度 数楽工作倶楽部 第3回

星型二十面体1



今回製作するのは、20枚の六角形で作る正二十面体の星型です。(工作倶楽部の活動では昨年度に製作したものです。)

昨年度の工作倶楽部で、正八面体の正三角形の各面を外接円に置き換えた下のようなモデルを製作しました。

ここで、各円周は正八面体の頂点でのみ交点を持つ(接している)ことに注意しておきます。

しかし、正二十面体に関して同じようなモデルを製作しようとした場合、外接円の円周が頂点以外の場所で交わるため、同じようなきれいなモデルを製作することは不可能です。


(形がいびつなのは加工の問題ではなく設計の問題です。)


そこで、円のかわりに、円に内接してもとの正三角形の面と3頂点を共有する正六角形に置き換えてみました。

これはこれでなかなか味わいのある立体なのですが、数学的美しさという意味では微妙です。
そこで、六角形の頂点が隣合う六角形の頂点と接するように、正六角形の形状を変形してみることにします。


まず、変形した六角形の形状を求めてみましょう。

以下の図のように、正二十面体の5つの頂点を A, B, C, D, E とします。

正二十面体の外接球の半径を1とすると、これらの点の位置ベクトル a, b, c, d, e はそれぞれ次のように表されます。

ここで、点 X, Y として、それらの位置ベクトル x, y がパラメータ k を用いて次で与えられるものを考えます。

このとき、隣合う正六角形の頂点が接する状態とは 「x = y」 となることなので、以下の方程式を満たす k を求めます。

これを解くと、k の値は以下のようになります。

以上より、求める六角形の形状は次のようになりことがわかります。(元の正二十面体の正三角形面の一辺の長さを√3としています。)


上の計算をもとに設計した部品を組み立ててゆきます。

型紙のダウンロード


印刷した部品を切り取り、部品同士を組み合わせる溝を切り抜きます。
(余分な部品が一つあります。)


3枚の部品を組み合わせたところ


4枚の部品を組み合わせたところ


5枚の部品を組み合わせたところ


完成の一歩手前


完成

厚めの紙(作例ではケント紙)を使用し、少し余裕をもたせた溝をつければ難度はそれほど高くありません。
部品を曲げないように注意しましょう。


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