万能の殺虫剤としての台所用洗剤ーーー
        アブラムシ、ダイコンハムシの完全駆除と蚊、ブヨの瞬殺  
      
      庭先農業をやっていて、最も厄介だと感じる害虫は、アブラムシ(アリマキ)とアブラナ科の野菜を食外するダイコンハムシ(体長
      1-2mmの黒いテントウムシのような甲虫)である。農薬はなるべく使いたくないので、使用回数を少なくしようとすると、完全に駆除することが難しい。
      
      従来から、合成洗剤水溶液や石けん水をゴキブリにかけると、ゴキブリが死ぬことが知られていた。その理由は、元々は親油性(疎水性)であるゴキブリの細管状の呼吸器の表面が、界面活性剤分子が付着することにより親水性に変わり、ゴキブリの呼吸器に水が入り窒息死するものとされてきた(「ダウンロード」のページの「第二章 界面活性剤」を参照)。
      
      このことがヒントになり、台所用洗剤を水で五百倍程度に薄めたものをハンドスプレーでアリマキが発生した野菜に散布してみた。その結果洗剤水溶液がかかったアリマキは死ぬことが分かった。洗剤濃度があまり濃くなければ、植物には害がないようである。台所用洗剤を使ったのは、口に入る可能性が高く厳しい安全性審査をパスしたものであることの他に、野菜を洗う際に汚れを落としやすいだろうと考えたためである。とにかく、何回でも懸念なく散布できるので、アブラムシやダイコンハムシの完全駆除が可能である。
      
      蚊やブヨにも噴霧してみたところ瞬時に落ちた。落ちた蚊等は水濡れしており、羽と胴体とが水に包まれてくっついていた。身動きはしていなかったし、水が乾くまで呼吸ができないのだから、死ぬことであろう。ちなみに、風呂場に侵入していた蚊にシャワーで水をかけてみたが、落ちるようなことはなかった。雨で死ぬような生物は生き残ってこれないはずだから、当然のことであろう。
      
      ※ 洗剤濃度については、検討したわけではなく、目分量でいい加減な濃度で使っている。
      
      ※ 思い起こせば、第二次世界大戦直後の農薬がなかった時代には、稲の害虫であるツマグロヨコバイを駆除するために、水を張った田に石油を入れてそこへ長い竹竿を稲をなぎながら害虫を水面に落としていた。水に弱い昆虫など存在しない。雨で弱るような昆虫などは、とっくに絶滅していたであろう。ツマグロヨコバイも水面に落ちても泳いで稲に到達できる。しかし、油膜があると死ぬ。おそらく表面が親油性の呼吸器には油が入り窒息させるのだろう。