山口大学 大学院医学系研究科 器官病態外科学講座 (第一外科)

小児片則鼠径ヘルニアにおけるエコー下対側検索の有用性に関する検討

小児鼠径ヘルニアは小児外科領域で最も多い対象疾患である。専門施設のみならず一般病院においても日常的に手術が行われている。入院日数も短く、安全かつ容易に行われていることについての問題はない。しかし、片側鼠径ヘルニア術後の反対側発生に関しては、家族・患児の困惑や失望を考えるとできれば避けたいものである。反対側発生の防止策として古くより議論の多い対側検索については現在でも結論の一致をみておらず、各施設により対側の扱いは様々である。
当科では片側鼠径ヘルニア術後の反対側発生を防止する目的で術前にエコー下対側検索を行いその有用性を検討している。

腹部手術後におけるVTE (venous thromboembolism)予防に対する低分子ヘパリン(Enoxaparin Sodium)投与期間の検討

従来本邦における術後静脈血栓塞栓症 (venous thromboembolism, VTE) は欧米に比較して極めて少ないと考えられてきた。しかし腹部外科手術においてVTEの発生頻度は本邦でも近年増加していることが示唆されている(1)。特に静脈血栓による肺血栓塞栓症 (pulmonary thromboembolism, PTE)は突然発症し、死亡率も高いことから、その予防の重要性が認識されるようになった。今回我々が検討する予定の低分子ヘパリンであるenoxaparinは、腹部外科手術についてはそれぞれ2009年にやっと国内で承認され販売が開始されたばかりであり、本邦での使用実績が少ない。これらの薬剤が承認されるまでは、未分画ヘパリンのみが保険適応であったというのが本邦の現状である。本研究の目的は本邦で今だエビデンスに乏しい腹部手術における術後VTE予防に対する低分子ヘパリン(Enoxaparin Sodium)の適正な投与期間を探索することにある。

小児外科の業績