皆さんは、遺跡の発掘というとどのようなものを想像しますか?
漠然と、「宝探し」のようなものを想像していませんか?ところが、実際には非常に地道な作業の積み重ねこそが「発掘調査」なのです。
 遺跡の発掘調査とは、実際に現地で行う外業調査だけではなく、室内で出土品などを調査する内業調査までが含まれています。これらをすべて完了し、調査成果を報告書などの本にまとめ広く市民の皆さんに紹介し、出土品を整理して収蔵・展示することでようやく発掘調査は終了します。
 このコーナーでは、実際の発掘調査の手順と方法を、画像を交えて説明します
1.外業調査
1.重機による掘削
 遺跡に影響のない土(表土や盛土、撹乱層)の部分は、調査の時間や費用を削減するために重機によって掘削します。
 しかしこのような時にも調査員は土の状況をしっかりと確認しておかなくてはなりません。土の下には何が埋もれているのか予想が付きにくいためです。
2.遺構の検出
 土の下に埋もれている遺構を検出します。下の写真で、白線の内部の土の色が黒っぽくなっていることがわかりますか?この土の違いから遺構を見つけ出すのです。
3.遺構の掘削
 遺構の内部を丁寧に掘削します。遺構の埋土(遺構の内部に堆積している土)の状況を確認するため、遺構の片側半分を掘り下げたり、大きな遺構では土層観察用の畦を残したりします。非常に繊細な技術を必要とします。
4.遺構の完掘状況
 遺構を完全に掘りあげた状況です。上の写真と比較してみて下さい。
5.調査区内の清掃
 発掘した状況を写真で記録するために清掃を行います。左の写真を見て下さい。遺物の出土状況写真は、遺物を一つ一つ丁寧に洗う根気のいる作業です。
6.写真撮影
 ようやく写真撮影です。様々な方向から色々なフィルムを使って撮影します。
7.写真撮影(空撮
 調査区全体を上空から撮影するためには、このようにラジコンのヘリコプターを使います。ヘリコプターにはカメラが装備されています。
 また、本物のヘリコプターや飛行機を使って上空から撮影することもあります。
8.図化による記録作業
 写真による記録の他にも、図化作業が必要です。下の写真のように、遺構を一つ一つ計測して図面を制作します。また、土層断面図なども制作します。正確さとともに絵心も必要となる作業です。
9〜11は、埋蔵文化財の普及活動になります!!
9.記者発表
 調査の記録作業終了後、調査の成果を各メディアに発表します。これは、埋蔵文化財の重要性を市民の皆様に訴えるとともに、情報公開のためにも必要であると考えます。
※すべての発掘調査で行われているわけではありません。
10.現地説明会の開催
 記者発表後、市民や学生、日本全国の考古学・歴史学に興味を持っている人々を対象とした説明会を開催します。
※すべての発掘調査で行われているわけではありません。
11.現地説明会の開催風景
 このように、多くの人々に発掘調査の成果を見てもらっています。
12.埋め戻し
 すべてを終了後、埋め戻し作業が行われます。
内業調査へGo!!
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