第7回公開授業「古代人の知恵に挑戦!−古代のお米をつくってみよう2−」の開催内容
・授業開始前の準備

4月19日(木)
 当日までに申し込まれた参加者4人と、教育学部の学生とで育苗箱に種籾をまき、しっかりと水をかけてから土をかぶせました。種籾は、教育学部技術専門職員の徳永さんが塩水で選別して、お湯をつけて発芽させたものです。
 無事に苗まで育ちますように!

第1回の授業風景

5月26日(土)
 本年度も、昨年に引き続き山口大学教育学部との共催で「古代米の育成実験」をテーマとする公開授業を開催することになりました。今回も、実験場所は山口市大内御堀菅内にある教育学部の実習農場です。
 昨年の第1回公開授業は、悪天候のため雨の中での田植えとなりましたが、今年はこの時期としては暑いくらいの好天に恵まれました(黄砂はすごかったですね…)。今回は一般の方に加え山口大学の職員、学生、山口県立大学の学生など総勢20名の受講者を迎えての授業です。

 今回の授業は、
(1)ワラをなって腰縄をつくり、古代服を着る
(2)苗をむしり、ワラで束ねる
(3)束ねた苗を観察し、スケッチする
(4)田植え
という内容でした。

 強い日差しの中、皆さん熱心に体験学習に取り組んでいただき、無事に田植えを終えることが出来ました。。昨年は秋の台風で実験水田も多少の被害を受けました。自然が相手ですので、今年も予測不能な事態が起きるかもしれません。元気に育て古代米!!
 受講者の皆さん、長いおつきあいになりますが今後ともよろしくお願いします。

第2回の授業風景

7月21日(土)
 昨日の大雨もあがり、第2回公開授業を無事開催することが出来ました。今回は、総勢10名の受講者を迎えての授業です。

 今回の授業は、
(1)田んぼの草むしり
(2)赤米の稲が元気がないので、田んぼの3/4の範囲に肥料を入れる
(3)現在の稲の様子を観察し、スケッチする
(4)秋の公開授業で使う土器をつくる
という内容でした。

 稲はすくすくと生長していましたが、昨年に比べて葉っぱが黄色く、やや元気のない様子なのが気がかりです。今後、肥料を入れた場所と入れなかった場所にどのような違いが出てくるのか、要チェックです。
 土器づくりは、ほとんどの受講者が初めてにもかかわらず、短時間のうちに力作が多数できあがりました。粘土を手にすると、年齢に関係なく夢中になれるのが素敵ですね!! 天候が良ければ、8月25日(土)に土器焼きを行う予定です。焼き上がりが楽しみですね。

・穂が出ました

7月31日(火)
 連日最高気温が30度を超える本格的な夏を迎えました。赤米は肥料を入れたおかげでかなり元気が出てきました。水田をよく見ると、穂が出はじめたり、花が咲いている稲がありました。昨年と同様、成長度合いにはかなり差があるようです。また、赤くて長いヒゲのような芒(のぎ)が風にそよぐ様子はなんとも幻想的です。
 台風5号が接近していますが、無事に乗り切って、このまま元気に育つことを祈るばかりです!

土器焼き

8月25日(土)
 いよいよ、第2回授業でつくった土器を焼く日がやってきました。8月後半としては驚くような暑さの中、参加者全員汗だくになって作業をおこないました。
 今回は、過去の土器焼きと同様「覆い焼き」を行いましたが、2種類の方法を試してみました。一つは、従来通りに燃料と土器のまわり全体を粘土で覆う方法です(窯A)。もう一つは、上部だけ粘土で覆う方法です(窯B)。
 作業は順調に進み、お昼前には着火することができました。うまく焼けますように…と願っているうちに空がどんどん暗くなってきます。夕立です!! 窯の上にトタンをかけたり、排水溝を掘ったり、大騒動。窯の温度はなんとか保たれているようですが…無事に焼き上がるでょうか。

8月26日(日)
 午前10時に取り出しを行う予定でしたが、窯Aはまだ燃焼が終わっておらず、土器を取り出せる状態ではありませんでした。そこで、窯Bから土器を取り出すことになりました。窯Bを開けてみると…破損している物が多少あるものの、大まかには良く焼けています。良かった!
 そうこうしている内に、どうしても窯Aが気になる。まだくすぶっている状態ですが、はやる気持ちを抑えられず、やや強引に窯を解体してみると…見事に焼き上がっていました!!

 二日間におよぶ作業でしたが、無事土器焼きは終了しました。これで「食べる準備」万端です。あとは、古代米の豊かな収穫を待つばかり。台風シーズン到来ですが、がんばれ古代米。
 土器焼きに参加してくださった皆さん、有り難うございました。

第3回の授業風景

9月22日(土)

 今年は大きな台風もなく、無事に収穫の時を迎えることができました。今回は、夏休み期間中ということで学生の参加が少なく、総勢9名の受講者を迎えての授業になりました。

 今回の授業は、
(1)8月25・26日に焼成した土器の説明
(2)稲を観察し、スケッチする
(3)1株についたお米の粒を数える
(4)稲刈りをする
という内容でした。

 最後の観察の結果、稲の長さは約90〜110cm、穂1本についたお米は42〜134粒、1株が分かれた数は9〜13本、1株についたお米は約600〜1200粒(昨年:1000〜1800粒)でした。田植え時に1本植えしたものと3本植えしたものとはあまり差がなかったものの、稲は昨年より一回り小さい印象で、収穫量も昨年よりかなり少ないことがわかりました。また、参加者からは、「昨年よりも粒がやや小さい」、「赤みが少ない」などの声が聞かれました。これらは、田植え後の長雨や肥料をほとんど使用しなかったことが原因と考えられ、徳永さんのお話では、収穫量は昨年の半分程度になる見込みです。

 稲刈りには石庖丁、木包丁、アワビの貝殻、貝庖丁、摘鎌を使って、1人4〜5株分について穂摘みを行いました。  

 参加者からは「アワビの貝殻や木庖丁が摘み取りやすい」「それほど力をいれなくても簡単に摘み取れる」などの声が聞かれました。穂摘みの後、残りの稲は鎌で根本から刈り取り、はぜ架けをしました。稲はこれから10日程度天日によってじっくりと乾燥させます。何はともあれ、赤米が無事に育って収穫できたことを感謝したいと思います。

 次回10月6日(土)は脱穀・籾すりを行い、赤米を試食します。参加者の皆さん、最後までよろしくお願いします。

・第4回の授業風景

 10月6日(土)

 秋晴れの晴天の中、総勢12名を迎えて第4回目の公開授業を開催しました。

 今回の授業内容は、
(1)箸こぎ、臼と杵で脱穀と籾すりをした後、てみで籾殻を飛ばす
(2)千歯こきや足踏み脱穀機で脱穀をする
(3)土器でお米を炊き、貝汁をつくって食べてみる
 という内容でした。

 箸こぎ、臼と杵による脱穀、籾すりは大変手間がかかり、約2.7kgの玄米を籾すりするまで受講者・関係者約15人で約3時間かかりました。
 高崎事務長補佐と徳永専門員の御指導で体験した千歯こきと足踏み脱穀機による脱穀は、効率よく作業が進み、午前中で終了しました。その後唐箕により籾を選別し、精米機で籾すりをしました。収穫量を計量した結果、玄米で約8kgで、昨年(約10kg)よりもやや少ない収穫量となりました。
 お昼には土器で赤米入りのご飯を炊いたほか、アサリの潮汁をつくりました。土器にひびが入ったり、沸騰した汁があふれたりしましたが、どうにか無事につくることができました。また、羽釜で赤米と栗、むかご(ヤマイモの葉の付根にできる1〜2?大の芋のような実)を混ぜたご飯を炊いたほか、ニジマスの塩焼きや豚肉と猪肉を入れた豚汁風の芋煮、ヒラメの縁側のお吸い物をつくりました。そしていよいよ試食です。昨年同様、赤米はやや硬いものの、現在のお米よりもやや甘い味がしました。その他の食事も大変おいしくいただきました。

 今回も公開授業を通して、受講者の皆さんには米作りの歴史や大変さ、お米の大切さを感じていただくことができたようです。特に今年は昨年と比較して稲の発育が不良であったのが印象的で、稲作が天候や土壌の栄養分に大きく左右されることを実感しました。

 ご参加いただいた受講者はじめ、多くの方々に支えられて、盛況のうちに公開授業を無事終了することができました。館員一同心より御礼申し上げます。埋蔵文化財資料館では、来年も公開授業を開催する予定です。多数のご参加をお待ちしております。

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