戦後100年が近づく現在、戦争を直接語れる人々は減り、記憶は次第に出来事として整理され、私たちの「いま」から静かに距離をとる過去になりつつある。それでも1945年8月6日8時15分という時刻だけは、出来事が過去になっても、毎年同じかたちで現在を生きる私たちのもとに訪れ続けている。この反復の中で、人々が立ち止まり、「いま」を引き受け直す瞬間を、都市はどこに持ち得るのか。本設計は、1945年8月6日8時15分の太陽高度・方位を建築の生成原理とする。毎年同じ時刻に、同じ方向から光が差し込むという再現可能な自然条件を都市の中に組み込むためである。当時も同じ太陽が降り注いだという、変わらない自然の条件を建築化する。光は「見せる演出」ではない。空間を貫き、身体を止め、沈黙を生む現象として扱う。ただ、同じ光の条件のもとで人々が居合わせ、意識や立場を越えて、同じ現在を引き受けてしまう時間を発生させる。
