山口大学 DX人材育成推進室 DX人材育成推進室

本学への寄付

もっとわかりやすくDX~身近なDXを考える。

お待たせしました。湯浅先生によるDXのことを色々インタビューの第2弾です。

ぜひ最後までご覧ください。

 

DX人材育成推進室 湯浅 修一 准教授(特命)

インタビュアー(以下 イ):ところで、私たちの身近なところでDXのわかりやすい例って何かありますか?

湯浅先生:(以下 湯) DXってけっこう身近なところにあるんですよね。デジタル技術も、スマホとかパソコンのように身近にあるし、最近ではChatGPTなんかもそうなんですよね。

今日は皆さんにわかりやすいDXの例として、ファミレスの例を紹介したいと思います。ファミレスって、ちょっと前までは、食事を注文したら、店員さんが、オーダーを紙に手書きしてましたよね、Aランチ1個・・みたいに。それが今ではほとんどハンディ端末でオーダーを入力すると思うんですけど、これってデジタル化の例ですね。そうすると、店員さんがハンディ端末から入力したオーダー情報が厨房にそのまま流れていってるんですね。昔だったら紙の伝票で注文を厨房に伝えていたので、伝達漏れがあったり、1個って言ったのが2個になっていたりということがあったと思うんですが、ハンディ端末に変えると、そうした伝達ミスがなくなるだけではなく、厨房でどの席のお客様が先にオーダーしたのか、オーダーの順番がモニターでわかるわけですね。すると、厨房の人には、どの席のお客様のオーダー分から料理を作らなきゃいけないかが判断できるので、ちゃんとオーダー順に料理が出てくるようになります。皆さんも、自分よりも後から注文した人の方に先に料理が出てきてしまった経験があると思いますが、ああしたことがなくなるわけです。そして、DXっていうのはここからもう一歩進んで、お客様に新しい価値を提供することで、ファミレスとして競争上優位な立場を獲得することなんですね。

この例で言うと、お客様のオーダーを大量のデータとして蓄えてそれを分析してみると、何曜日のいつ頃、どんな料理がたくさん売れるのかとか、メニューの中のこの料理とこの飲み物の組み合わせがけっこう売れているといったことが、だんだんわかるようになるんですね。そしてその分析に基づいて、木曜日にたくさん売れるランチを、毎週木曜日に特売しましょうとか、ランチとコーヒーの組み合わせがよく注文されるので、お客様が見るメニューは、ランチのすぐそばにコーヒーを載せたレイアウトになるように工夫しましょうといったことができるようになります。それによって、このファミレスは、お客様に、特売日に好きな料理が食べられる、好きな料理と飲み物の組み合わせを注文しやすいといった価値を提供することができるようになり、そのことが他のファミレスに対して優位な立場を与えてくれることになるわけです。

こんなふうに、DXって難しいことをやってるわけじゃなくて、ハンディ端末と厨房のモニターと、あとデータがあればできるんですよね。こうしたデジタル技術を使って新しい価値を提供しようとしている事例は、皆さんの周りにもたくさんあるのではないでしょうか。そんな目で世の中を見てみると、また新しい発見があるかもしれませんね。

ファミレスのDXはこんな感じです。

―なるほど!DXって単にデジタル技術を使うことではなく、デジタル技術を使う+α・・・1デジタル技術を使って、2データを取って分析する、3それを新しい価値に繋げることでビジネスを成功に導くことを考えるということなんですね!

イ):最近は、お寿司屋さんに行くとお客様自身がタブレットで注文できるようになっていますが、あれも一つのDX?わざわざ店員さんが注文取りにこなくてよくて・・・

湯):そうですね、お寿司屋さんと言えば、昔は寿司職人がカウンターに座ったお客様の注文を聞いて、その場でお寿司を握るというスタイルでしたが、今では回転寿司がメジャーですよね。

回転寿司は、先にある程度の量の売れ筋のお寿司を作っておいて、それをレーンに流してお客様に好きなお皿を取って食べてもらうというスタイルですね。それに加えて、タブレットや最近ではスマホから食べたいお寿司を注文できるようになっていますね。

昔のような寿司職人が注文を受けて作るというスタイルを大きく変えたことで、回転寿司はたくさんのお寿司を低価格で提供することができるようになりました。なので、街に行くとたくさんの回転寿司のお店があるわけですね。 

回転寿司店では、さっきのファミレスのようにお客様が注文した情報をデータとして蓄積しておいて、それをもとに売れ筋のお寿司を見つけたり、そればかりではなく、お皿のカバーに取り付けたQRコードなどからお寿司の鮮度を把握したり、AIを使ってお客様がお店にいる時間から食べる量を推測して、レーンに流すお寿司の量をコントロールすることで食品ロスを減らすといった取り組みをしています。デジタル技術を使って、お客様に新鮮で適量のお寿司を低価格で食べることができるという、新しい価値を提供しているわけで、まさにDXですね。 

イ):これはDXなのかわからないのですが、身近な素材としてカーナビとかはDXとは関係ありますか?

湯):カーナビはデジタル技術の一つで、これが出てくる前には、紙の地図帳がドライブのときの必須アイテムでしたね。隣の助手席に座った人が地図帳見ながら、運転する人に右だ、左だって言ってたわけですよね。DXは、デジタル技術としてのカーナビをどう使って、新しい価値を提供するかだと思うんですよね。

たとえばレンタカーにカーナビを載せておいて、お薦めの観光スポットまでの道順を登録しておいてあげると、お客様にはとっては、観光地で借りたレンタカーを通して新しい価値を提供したもらったことになりますね。

イ):カーナビで新しい道が出来ても、反映されてないので、自動更新してくれればなあとか思ったり、それはDXと関係あるのかなと思ったりしたのですか・・・。

湯):そうですね。新しい道や渋滞情報がタイムリーに更新されたりというのは、とても助かりますよね。それから、今はまだ本格的な実用化まで進んでいませんが、自動運転の車が出てきたりすると、カーナビそのものは、私たちがあまり使わなくなったとしても、目的地まで最適なルートを選んで運転してくれるようになりますね。そうなると、たとえばお年寄りの方でも病院まで確実に連れて行ってもらえるとか、最短で最も燃費のいい走り方をするので環境にも優しい運転ができるといったような新しい価値を私たちの社会にもたらしてくれますね。 

イ):もう1つ身近な素材のとして思ったのは、クレジットカードってDXとは関係ないんですか?

湯):クレジットカードを使って皆さんが買い物をするわけですが、そのデータを集めることで、たとえば皆さんのような20歳前後の若い人たちはどんなものを購入しているのか、私のような歳を取った人は月にどのくらい、何を買っているのかといったことがわかるようになりますね。カード会社はデジタル技術を使って、こうした情報をたくさん蓄積し、そこから購買傾向などを分析して、お店に売上を増やすための方策を提案したりしています。

お店ではそうした情報に基づいて、お客様が次に買いたいと思うような商品を取り揃えたり、来店するお客様の年齢層に合わせて品揃えをしたりすることで、お客様から見たら欲しいものが買いやすいという価値を提供しようとしているんですね。こうした取り組みはDXと言えるのではないでしょうか。 

イ):さて、湯浅先生にとっては普段生活している中で身近なDXって何かありますか?

湯):そうですね。私は、今、マイナンバーカードに注目しています。これって、うまくいけば社会全体のDXにつながると思うんですね。例えば病院と自治体とが上手にデータを共有すれば、通院の履歴に基づいて病院が適切な医療を提供することができるし、その人がどこに住んでいるのかもわかるので、そちらの地域に介護施設や人材を集めようといった政策を自治体が考えることにも役立つことになると思うんですけど。今はまだちょっと、データの紐づけがうまくいかなくて、迂闊にこんな使い方はできないと思いますけど、将来は上手に使ったらいいんじゃないかなと思いますよね。

イ):保険証だけ一緒にしようという話が今出ていますが、他のものもマイナンバーカードに入れていったらさらによくなるかもしれないっていうことですか?

湯):そうですね、個人の情報だから、ちゃんと洩れないようにするとか、そういう対策はしっかりしなきゃいけないと思うんですけど、ほんとにできるようになったら、すごいと思いますよね。社会全体が大きくデジタルで変化することになっていくと思いますし、それを企業ともうまく共有すると、いろんなサービスができるようになります。例えば自分で車を運転することが難しいお年寄りとかは、だんだんタクシーを使うようになると思いますが、そのときにタクシー料金を現金じゃなくてマイナンバーカードで支払えるとか、お年寄りへの年金もマイナンバーカードで管理して、さっきのタクシー代もそこから払えるようにするとか、このカード1枚でいろいろな用途に使えるようになるととても便利だと思いますね。  

イ):持っておかなくちゃいけないカードも減りますよね、マイナンバーカード1枚持っていれば。あと、保険証とあわせて、お薬手帳も、一緒にカードに情報として入れておけば、いいですよね。病院行くときに持っていくのを忘れるときあるんですよね・・・親切なところでは新しい手帳をくれて、手帳が何冊も溜まってしまうとか、あと、自分で手帳に薬情報貼るのも地味に面倒くさい・・・。そんなときにお薬手帳の情報も入っているマイナンバーカード1枚持っていれば、いざというときに、また全国どこの病院にかかっても、お医者さんや薬剤師さんが情報共有できで、すぐに的確な処置をしてもらえて、助かりますよね。

湯):そうですよね。あれってほんといいと思うんですよね。

イ):コロナの給付金の支払いも、時間かかりましたよね・・・カードがあれば今後、給付金のような支払いはスムーズになりますね。

湯):そうですね。時間かければ、だんだん有益なカードになると思うんですけどね。

イ):そうなったら先生にとっての身近なDXはマイナンバーカードということですね?

湯):そうですね・・・なんか平凡ですけど。

―いやいや、そんなことないですよ!早く便利なものになるといいですね!

インタビュー最終回掲載は10月下旬の予定です。

インタビュー第1弾はこちらから

 

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