当院における
アレルギー性鼻炎
の手術療法について
(2003年3月)
このページの内容は以前のものです。現在の情報は
こちら
からどうぞ。
目次
アレルギー性鼻炎の手術療法(このページ)
当科での下甲介粘膜凝固術のご紹介
当科での後鼻神経切断術のご紹介
当科の治療方針
アレルギー性鼻炎とは?
もはや国民病とでも呼ぶべき病気のひとつで,皆様にもなじみの深い疾患となってしまいました。くしゃみ・鼻水・鼻づまりを3つの大きな症状とするアレルギー性鼻炎は知らない人はいないといってもいい位に罹患率の高い病気です。大きく分けると,ダニや埃が原因の通年性アレルギーと,スギ花粉症に代表される季節性のアレルギーに分けられます。
アレルギー性鼻炎の治療法は?
患者さんとのコミュニケーション
(ごく軽症の場合には無治療で様子をみる場合もあります。)
抗原の除去と回避
(アレルギーの原因がわかっている場合,これを遠ざけるよう生活に注意することで,鼻炎の症状が軽くなることもあります。)
薬物療法
(最も一般的な治療です。抗ヒスタミン剤・抗アレルギー剤・ステロイド剤・漢方薬・点鼻薬などを,症状によって使い分けて,処方されます。)
特異的免疫療法(減感作療法)
(アレルギーの原因物質を少しずつ注射して行います。治癒または長期緩解を期待できる唯一の方法ですが,時間と費用がかかることと,奏功率が低いことが欠点です。)
手術療法
(薬物治療によっても,症状がとれない難治性(薬物抵抗性)のものが対象となります。)
アレルギー性鼻炎の手術療法にはどんなものがあるの?
下鼻甲介手術
(鼻づまりがひどい場合,鼻の中の腫れた粘膜を切り取ったり,焼き固めたりします。)
下鼻甲介粘膜焼灼術・凝固術
下鼻甲介切除術
粘膜下下鼻甲介骨切除術
神経切断術
(鼻水が止まらない場合,鼻水を出す役割をしている神経を切断します。)
後鼻神経切断術(内視鏡下)
ヴィディアン神経切断術(経上顎洞)
下鼻甲介粘膜焼灼術・凝固術にはどんな方法を使うの?
レーザー
高周波電気メス
超音波振動
プラズマ凝固
ラジオ波(コブレーター)
凍結手術
化学剤
山口大学での方法は?
(我
々はラジオ波(コブレーター)を用いた,下甲介粘膜凝固術を局所麻酔で行っています。以下のような単純な手順でできますので,入院期間も短期間です。)
ボスミン・キシロカイン付きガーゼで鼻の中を表面麻酔します。
1%キシロカインの局所注射・膨疹の形成をおこないます。
コブレーターのカットモードで刺入します。
レベル5〜6(120 - 153W)で 10 秒間凝固操作を行います。
3カ所ほど同様の操作を繰り返します。
止血を確認し手術は終了です。
山口大学ではなぜコブレーターを使うの?
(最近広く行われている,CO2レーザーを用いた方法と比べて,以下の利点があります。)
後鼻神経切断術ってどんな人に行うの?
薬物治療に抵抗性の方。
多量・長期間内服している薬物を中止・減量したい方。
定期的な通院が困難な方。
他の手術(レーザー手術など)では効果が不充分な方。
全身麻酔が可能である方。
→さらに当科では現在のところ,重症成人例に限定して行っています。
ハーモニックスカルペルってどんな機具なの?
(超音波を使って,生体を切ったり,凝固したりできます。)
当施設での治療方針について
当施設では,重症のアレルギー性鼻炎の患者さんに対しては,ご相談の上,以下の手術治療を行っています。
鼻閉型では、簡便・短時間・低侵襲かつ効果の高いラジオ波(コブレーター)を用いた粘膜下の凝固を局麻下に行っている。
鼻汁・くしゃみ型の重症例には、後鼻神経切断術を全麻下に行っている。
(2003,3,10以来)