当科で行っている鼻科手術について
山口大学ではほとんどの鼻副鼻腔手術を内視鏡下におこなっています。外切開(顔面や歯肉からの切開)が必要な例はわずかです。最新でより良い手術療法を提供するため、年2回の講習(京都大学内視鏡下鼻内手術解剖実習)や他施設との意見交換、国内外の学会への参加を通じて幅ひろく活動をおこなっています。
1. 当科で対応可能な疾患と手術
ハイビジョンカメラ、ナビゲーションシステム、XPSシステムなど最先端の機器で手術を行います。
A) 重症の鼻炎に対する後鼻神経切断術や下鼻甲介形成術
お薬の治療の効果がない人、副作用のため薬が使えない人はよい適応です。中学生頃から行えます。
B) 鼻中隔弯曲症に対する鼻中隔矯正術/外鼻形成術
A)の手術とあわせると重症の鼻炎の人には強力な、しかも持続的な効果を発揮します。
C) 副鼻腔炎/副鼻腔真菌症に対する副鼻腔根治術
ナビゲーションを用いて根治的な手術を行います。
D) 副鼻腔嚢胞に対するナビゲーション下開放術
E) 鼻副鼻腔腫瘍(良性、悪性含む)に対する内視鏡下摘出術
進行度にもよりますが、良性悪性にかかわらず内視鏡手術で対応しています。
F) 顔面骨骨折の内視鏡下整復術
眼窩内側壁、下壁など骨折部位では内視鏡下に整復を行います。
G) 涙嚢炎や鼻涙管閉鎖に対する涙嚢鼻腔吻合術
鼻腔内に涙のバイパスをつくる手術を鼻の中からおこなっています。
H) 頭蓋底疾患に対する内視鏡下頭蓋底手術
内視鏡手術技術の発達により適応がひろがりつつある領域です。
I) 難治性頭痛に対する副鼻腔手術
いろいろな画像検査などでみつかりにくい頭痛の中で、副鼻腔が原因の頭痛が潜んでいることがあります(副鼻腔痛,航空性副鼻腔炎)。これに手術で対応できることもあります。
2. 入院期間や術後について
手術後1週間は入院の上術後処置を行います。従来の鼻副鼻腔手術は、術後に鼻の中にガーゼをたくさんつめて痛みと息苦しさを伴うものでしたが、最近では吸収性の止血剤でパッキングし、換気チューブをいれることで苦痛を緩和する方法を試みています。
3. 受診と入院予約について
専門外来制をとっていますので、最初に初診として受診して予約を取る必要があります。入院予約は1から2ヵ月待ちの状態で、調整によって随時変更することがあります。お急ぎの方には県内協力施設での対応も可能です。
2011年5月 御厨剛史