高次統合感覚器医療センターについて
高次統合感覚器医療センターについて |
池田卓生 |
概要 |
昨年4月より、山口大学医学部附属病院外来3階の生活機能向上センター(旧総合リハビリ)奥の三つの部屋を使用して高次統合感覚器医療センター(通称名:感覚器医療センター)が開設されました。この感覚器医療センターの目的は、個別の感覚器障害を持つ患者様に対して、統合的に感覚機能を回復するための訓練や評価を行い、残存する感覚機能及び生活の質の向上を図ることです。現在、耳鼻科、眼科、皮膚科の三科のスタッフがそれぞれ予約制で診療を行っています。 |
主な診療領域 |
耳鼻科スタッフにより、補聴器外来、聴覚言語訓練、人工内耳リハビリ、空間識検査、平衡訓練、眼科スタッフにより、小児眼科、斜視弱視訓練、視覚電気 生理学検査、皮膚科スタッフにより、経表皮水分喪失量検査、皮膚紫外線感受性検査、サーモグラフィーなどが行われています。更に、各科スタッフ間の壁を取り払い、たとえば眼科の白内障手術前後の空間識機能を耳鼻科が評価するなど、全国的にも類を見ない統合的な感覚器医療を目指しています。 |
耳鼻科の取り組み |
感覚器医療センターにおいて、耳鼻科では、上記の診療の中で特に補聴器と難聴乳幼児の診療に力を入れています。 |
補聴器外来は、従来月2回しか行われていませんでしたが、現在は毎週月曜日と金曜日に行い(金曜日は小児が中心です)、取り扱い可能なメーカーも、リオンの他、ワイデックス、ダナ、スターキーなど幅広くなりました。最近ではデジタル補聴器によりフィッティング可能な症例が多くなりましたが、それでも補聴器装用が困難な高音急墜型感音性難聴などでは、周波数圧縮変換型デジタル補聴器を用いて対応しています。 |
また難聴乳幼児では、最近、新生児聴覚スクリーニングの問題点が指摘されていますが、山口大学では、BOA・COR・ピープショウテストなどの聴力検査にAABR・OAEを組み合わせて精査・診断を行い、症例に応じてデジタル補聴器を含めたフィッティングを行っています。更に、山口県立聾学校幼児教育相談室や県内で難聴児に携わっている先生方と連携を図りながら、難聴乳幼児の療育がスムーズに進みように日々努力しています。 |