野島研究室

山口大学大学院医学系研究科 生体情報検査学領域

ごあいさつ

JN




私たちの研究室では、「抗リン脂質抗体症候群の鑑別診断および発症機序の解明」と「酸化ストレスに起因する病態発症機序の解明」の2つを主要テーマとして掲げ、臨床検査医学・病態解析学の立場から基礎と臨床をつなぐ研究を進めています。



 抗リン脂質抗体症候群に関する研究
 抗リン脂質抗体症候群(Antiphospholipid Syndrome: APS)は、リン脂質に関連する自己抗体(抗リン脂質抗体)の出現により、脳梗塞や心筋梗塞、深部静脈血栓症、肺塞栓症、さらには習慣流死産など多彩な臨床症状を呈する自己免疫性血栓塞栓症です。
 当研究室では、日本抗リン脂質抗体部会および抗リン脂質抗体標準化ワークショップに加盟し、国内におけるAPS検査の標準化を推進しています。また、独自のELISA法および凝固アッセイの開発を通じて、新たな診断法の確立を目指しています。さらに、患者由来抗体を単離・精製し、血小板・単球・好中球・血管内皮細胞における分子レベルでの血栓形成機序(血小板活性化、凝固制御機構阻害、組織因子発現、NETs形成、サイトカイン産生など)の解明にも取り組んでいます。



 酸化ストレスに起因する病態発症機序の研究
理化学研究所・大阪市立大学・神戸大学との共同研究により、以下のテーマに取り組んでいます。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の客観的診断法の確立および治療効果の客観的評価。
新型コロナウイルス感染後に発症するME/CFSの診断法確立に関する研究。
「健康―未病―疾患発症」の連続過程において、酸化ストレス・抗酸化能評価を指標とした未病状態の客観的鑑別法の開発。



これらの研究を通じて、自己免疫疾患や疲労関連疾患の病態を分子レベルで理解し、臨床応用へとつなげることを目指しています。
今後も、国内外の研究機関と連携しながら、病態解明の本質に迫る研究を展開してまいります。