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山口大学 医学部附属病院感染制御部

医師紹介

枝國 信貴部長 枝國 信貴 准教授

私達は院内の多様な感染症を制御し医療の質を確保することを目標に活動しています。最大の目標は医療関連感染(院内感染)の防止とMRSA等の薬剤耐性菌(多数の抗菌薬に対して抵抗性を獲得した菌)増加の抑制です。

感染制御活動が各種治療の成功率の向上、合併症の予防、治療期間(入院期間)の短縮に貢献すること、医療費経済的なメリットがあることは、多くの臨床研究によって明らかにされています。

日々の活動として、各診療科・各部門をラウンドし、感染対策上必要な物品が整っているか、また現場スタッフが感染対策を十分に意識し適切に行動できているかを評価し、その都度改善を加えています。また感染症発症の状況把握と分析等を行い、各部門と情報共有を行っています。ウイルス感染症等が院内で危機的な状況を引き起こすことがないように監視、指導・教育するのも私たちの仕事です。

近年では耐性菌の問題がよく挙げられます。日本政府がまとめた薬剤耐性(AMR)対策アクションプランの実現の取り組みとして、国際的に脅威となっているAMR対策の普及啓発が重要となっています。当院では2019年4月より感染制御部内に抗菌薬適正使用支援チーム(AST)をたちあげ、専従の薬剤師の配置を行いました。現場の医師からの治療方針や抗菌薬の投与量などの相談件数も増えており着実にAST活動が浸透してきました。

地域連携も積極的に行うべく宇部・山陽小野田・美祢圏域感染対策地域連携圏域協議会を設立し、地域の耐性菌状況や抗菌薬使用状況を共有しています。また合同会議では新興感染症発生時のゾーニングや個人防護具の着脱訓練などを行い、地域全体の感染症診療の底上げを図っております。

医療関連感染(院内感染)の諸問題に対しては、各診療科や各部門と密接に連携して出来る限り迅速な対応に努めていますが、感染制御をより有効なものとするためには、患者さんのご理解とご協力が必要不可欠です。手指衛生や手袋使用等をはじめ、感染対策上必須の事項については十分にご理解いただけるように努めていますが、ご不明な点はいつでも各診療科の感染対策リンクスタッフにお尋ねください。