山口大学 共同獣医学部第71回日本衛生動物学会大会

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大会長挨拶Greeting

 このたび、第71回日本衛生動物学会大会を山口県山口市山口大学において、平成31年4月19日(金)〜4月21日(日)の日程で開催させていただきます。

 近年、多くの節足動物媒介性感染症や衛生動物が国内で問題となっています。2010年極東紅斑熱、2012年重症熱性血小板減少症候群、2013年アナプラズマ症、2014年新興回帰熱とデング熱、2016年ダニ媒介脳炎の1993年以来の発生が報告されています。一方、2017年6月に国内で初めて発見されたヒアリは、2018年も港湾部を中心に発見が相次ぐなど、衛生動物による被害は依然として各地で社会問題となっています。

 山口県では、2012年12月に国内ではじめて重症熱性血小板減少症候群(SFTS)ウイルスが分離されました。本疾患はヒトに重篤な疾病を引き起こすマダニ媒介性感染症であり、いまだ治療法が確立されておりません。2017年にはSFTS発症猫の存在が確認された他、伴侶動物から本疾患に感染した事例が厚生労働省より報告され、ヒトおよび伴侶動物における徹底したマダニ対策、伴侶動物等からの感染予防が求められています。このような背景の中で、本学会において衛生動物に関する正しい情報を発信し、周知させていく事が重要だと考えており、本学会が社会に対して果たす役割は非常に大きいと考えられます。

 本学会大会のシンポジウムでは、衛生動物の基礎研究をされている若手の先生を中心にご講演をお願いしております。加藤大智先生、山本大介先生(自治医大)、白藤梨可先生(帯広畜産大)、橋爪秀夫先生(市立島田市民病院)に「衛生動物の生理学・病原体媒介メカニズム・宿主免疫との関係」などをご講演いただきます。さらに市民公開シンポジウムでは「マダニ媒介性疾患」について、下島昌幸先生(国立感染症研究所)、高橋徹先生(山口県立総合医療センター)、高野愛先生、下田宙先生(山口大学)にご講演をお願いしております。

 今回、本学会大会を開催いたします山口大学は、1815年、長州藩士 上田鳳陽によって創設された私塾「山口講堂」が源流であり、2015年に創基200周年を迎えた歴史ある大学ですが、周りは山や田んぼに囲まれた非常にのどかなところです。県内には明治維新に関連する多数の史跡、湯田温泉をはじめとした温泉、瑠璃光寺・秋吉台などの観光地、日本海と瀬戸内の新鮮な魚介類、獺祭をはじめとする美味しい日本酒など様々な特色があります。学会開催時期はマダニも多く捕集することができるので、大会前後にマダニの捕集を実施するのも一興かもしれません。参加者皆様が、それぞれの楽しみ方を出来るのも山口の特徴だと思います。本学会大会に参加される皆さまが有意義な3日間をお過ごし頂けるよう、私たち大会事務局一同、精一杯努力してまいる所存です。学会員の皆さまの積極的な参加をお待ち申し上げております。

「おいでませ、山口へ!」

平成30年11月

第71回日本衛生動物学会大会長 前田 健
山口大学共同獣医学部獣医微生物学研究室 教授