山下教授より

 

山下裕司

「10年間を振り返って」

平成11年8月1日の教授就任から、10年間があっという間に経ってしまったというのが正直な実感です。この間、物心両面から教室を支えていただいた迷路会の諸氏に、心より感謝申し上げます。
教授就任時の目標として、前半の約10年間と後半の約10年間の2つの時期に分けて、教室の発展を考えるようにしました。前半の目標としては「教室の基礎固めと、日本国内での評価向上」を、後半の目標としては「人材の育成と、国際的な評価向上」を掲げました。
前半の10年間は、大学改革や医療改革などの改革の荒波にもまれながら、教室運営を行わなくてはなりませんでした。大講座制に始まり、独立行政法人化、大学院大学と、大学の環境は大きく変化しました。医療制度改革としては、DPC(包括化)による病院運営の劇的変化がありました。さらに、臨床研修制度改革により、大きな影響を受けました。
しかしながら、「ピンチはチャンス」と物事をポジティブに考えて、この10年間を乗り越えることが出来たと考えています。臨床・研究・人材の育成が、教室の使命です。臨床および研究のレベルは、日本国内で高く評価されており、旧帝大と比べても遜色がないと自負しています。これも、優秀な若い教室員の努力に負うところが多く、教室の基礎固めが出来たと思っています。
これからの10年間は、「人材の育成と、国際的な評価向上」を目指します。特に、「人材の育成」を最大の目標にして、教室運営を行って参ります。医療崩壊の原因は様々ですが、これらのもたらした最悪の結果としては、「大学と基幹病院における人材の減少」があります。ただ、これらの状況は、地域間や大学間で大きな差があります。我々の教室は、何とか踏みとどまっているのが現状です。優秀な若い教室員を迎えて、大きく発展させていきたいと考えています。
「人材の育成」を行うためには、「臨床技術の向上」「新しい臨床技術の開発」「臨床応用を見据えた基礎研究の発展」などを、バランス良く、目に見える形で示すことが必要です。魅力ある教室でなければ、若い人材を引きつけることが出来ません。その為には、国内学会の活動レベルの向上や、国際学会での評価向上が欠かせません。
現在の社会は、様々な分野において二極化していると批判されています。同様な現象が、大学や医療においても認められます。この傾向は、容易に改善されるとは思えません。山口大学耳鼻咽喉科学教室を消滅させないためには、勝ち組になっていくしか選択肢はないと考えています。 これからの10年間は、生き残りをかけた戦いになると思っています。学会の開催などにおいて、迷路会の諸氏には、さらなる物心両面のご支援を御願いしたいと思っております。今後とも、よろしくお願い申し上げます。
(迷路会誌より抜粋)

スタッフ

   教授山下裕司
准教授下郡博明
講師原 浩貴
菅原一真
助教橋本 誠(外来医長・医局長)
御厨剛史
広瀬敬信(病棟医長)
福田裕次郎
診療助教橋本智子
津田潤子
藤井博則
沖中洋介
藤原由貴
大学院生堀 健志
岡崎吉紘
竹本洋介
田原晋作
長門晋平(徳山中央病院)
樽本俊介(県立総合医療センター)
山本陽平(関門医療センター)
研修医
言語聴覚士中津愛子
木村広子
事務職員三輪生子
三浦彩子
(2014年4月1日)

スタッフ写真


スタッフ集合写真(2014年4月)