美術史2005


山口大学「メディア美学」公開レクチャー紹介

日時:2005年5月12日(木) 18:00〜      ※美学・美術史研究室生は16時集合

場所:山口情報芸術センター スタジオC

演題:Cybernetic serendipity revisited(「サイバネティック・セレンディピティ(コンピューター・アートの幸福な可能性)」展再考)

講師:ブレント・マクレガー(Brent MacGregor) エジンバラ芸術大学副学長

参考リンク:

・ACM Portal / Cybernetic serendipity revisited

この講演が2002年の第4回「創造力と認知」コンフェランス(4th Conference on Creativity & Cognition)報告書で発表された論文をもとにしていることがわかる.

なお,同報告書は国内に所蔵あり.国立情報学研究所,および東京工業大学 附属図書館.

・Media Kunst Netz / «Cybernetic Serendipity», 1968

「サイバネティック・セレンディピティ」展の概要紹介.会場写真あり.

「サイバネティック・セレンディピティ」展は,1968年8月2日-10月20日,ロンドンのICAで開催された,メディア・アートの先駆的な展覧会.

「サイバネティック」という言葉は,ギリシャ語のkybernetesを起源とし,1948年ノーバート・ウイーナー(Norbert Wiener)によって使用されたのが最初である.(『サイバネティックス: 動物と機械における制御と通信 』池原止戈夫, 彌永昌吉, 室賀三郎訳, 岩波書店, 1957.)

「セレンディピティ」は,ホレス・ウォルポール(Horace Walpole)の1754年の小説「セレンディップ(現セイロン)の三人の王子」に由来する.セレンディップとはセイロンの旧名.

・Ingenta Connect /Usselmann R. The Dilemma of Media Art: Cybernetic Serendipity at the ICA London. Leonardo, 36.5 (2003): 389-96.

(5/19/05)


・GW課題について

 受講生が選んだ著作を,時代別に振り分けると…

A 西洋美術史学の流れ

B 列伝史:プリーニウスからヴァザーリへ

ヴァザーリ『ルネサンス画人伝』、平川祐弘、小谷年司、田中英道訳、白水社、1982

C 近代美術史学の誕生:ヴィンケルマンからブルクハルトへ

ゲーテ『詩と真実』(岩波文庫)、山崎章甫訳、1997

D 作品鑑定と目録化:モレッリからベレンソン、フリートレンダーへ

ロベルト・ロンギ『イタリア絵画史』、和田忠彦訳、筑摩書房、1997

E 精神史としての美術史:リーグルとウィーン学派

アロイス・リーグル『美術様式論 装飾史の基本問題』(美術名著選書 11)、長広敏雄訳、岩崎美術社、1970

F 様式論の展開:ヴェルフリンからフォシヨンへ

エウヘーニオ・ドールス『プラド美術館の三時間』(ちくま学芸文庫)、神吉敬三訳、筑摩書房、1997

H.フォシヨン『ラファエッロ 幸福の絵画』(平凡社ライブラリー 412)、原章二訳、平凡社、2001

アンリ・フォシヨン『ピエロ・デッラ・フランチェスカ』、原章二訳、白水社、1997

G イコノグラフィーとイコノロジー:マール、ヴァールブルクからパノフスキーへ

アーウィン・パノフスキー『ルネサンスの春』、中森義宗、清水忠訳、思索社、1973

ドラおよびエルヴィン・パノフスキー『パンドラの箱 神話の一象徴の変貌』、阿天坊耀、塚田孝雄、福部信敏訳、美術出版社、1975

H イコノロジーの波及と各国の美術史学

ケネス・クラーク『芸術と文明』(叢書ウニベルシタス69)、河野徹訳、法政大学出版局、1975

ケネス・クラーク『絵画の見かた』、高階秀爾訳、白水社、1977

ケネス・クラーク『名画とは何か』(白水社アートコレクション)、富士川義之訳、白水社、1985

I 心理学的・精神分析学的方法

E. H. ゴンブリッチ『芸術と幻影』(美術名著選書 22)、瀬戸慶久訳、岩崎美術社、1979

メイヤー・シャピロ『モダン・アート 19-20世紀美術研究』 、二見史郎訳、みすず書房、1984

ルネ・ユイグ『イメージの力 芸術心理学のために』 、池上忠治訳、美術出版社、1969

ルネ・ユイグ『見えるものとの対話』(1-3)、中山公男、高階秀爾訳、美術出版社、1965(3)

J 社会史的・社会学的アプローチ

アーノルド・ハウザー『マニエリスムからロマン主義まで』(芸術の歴史 美術と文学の社会史2)、高橋義孝訳 、平凡社、1977(3)

ピエール・フランカステル『絵画と社会』(美術名著選書5)、大島清次訳、岩崎美術社、1968

K 新しい美術史学(1)コンテクスト論、視覚文化史、受容研究

マイケル・バクサンドール『ルネサンス絵画の社会史』、篠塚二三男、石原宏、豊泉尚美、池上公平訳、平凡社、1989

ハンス・ベルティング『美術史の終焉?』、元木幸一訳、勁草書房、1991

ヴォルフガング・ケンプ『レンブラント「聖家族」 描かれたカーテンの内と外』(作品とコンテクスト)、加藤哲弘訳、三元社、2003(新装版)

L 新しい美術史学(2)批評と歴史、記号論、フェミニズム

グリゼルダ・ポロック『視線と差異 フェミニズムで読む美術史』、萩原弘子訳、新水社、1998


西欧美術史学の歴史1:芸術家の生涯伝から作品の記述へ

配布プリントA〜G

学問にも歴史がある

学問:普遍的な真理を究明

歴史:時代によって推移する:普遍でない


AD 1c頃 プリーニウス(大,23-79) 『博物誌』 34-36巻(全37巻中)

AD 2c後半 パウサニアース 『ギリシャ周遊記』

 

16c ヴァザーリ『ルネサンス 美術家列伝』(1550, 68)

18c ヴィンケルマン『ギリシャ芸術模倣論』(1755)

19c-20c初頭 リーグル『美術様式論』(1893),ヴェルフリン『美術史の基礎概念』(1915) →2004前期

20c前半 パノフスキー『イコノロジー研究』(1939) →2004前期

ヴェルフリンへの批判:「ルネサンスとバロックは2つの頂点」←バロック:北方美術偏重

イコノロジーへの批判:イタリア美術・物語絵画への偏り