浮世絵名品300選
山口県立萩美術館・浦上記念館
◆授業の目標
・周年記念展について理解する。
・美術館のコレクションについて考察する。
１．浮世絵名品300選の概要 会場写真
企画展／開館15周年記念展／コレクション展／単館開催
会期：10月1日～11月27日
会場：山口県立萩美術館・浦上記念館
主催：浮世絵名品300選実行委員会（山口県立萩美術館・浦上記念館、朝日新聞社、yab山口朝日放送）
後援：萩市
協力：エフエム山口
協賛：Cross Land
◆山口県立萩美術館・浦上記念館の歴史
1996年 萩市出身の浦上敏朗氏からの浮世絵と東洋陶磁の寄贈を契機に開館（10月）。
「蒐集家浦上敏朗の眼―館蔵名品展」1997年 開館1周年記念「チコチンの浮世絵新収蔵品展」
1999年 開館3周年記念「よみがえる漢王朝―2000年の時をこえて― 」（巡回展）
2001年 山口きらら博・開催記念特別展
「色彩の歓び メルツバッハー・コレクション展」
「ゴッホと浮世絵 タンギー爺さん」展2006年 開館10周年記念 「雅／俗」展
2011年 開館15周年記念「浮世絵名品300選」展
２．作品紹介
1. 奥村政信《草子洗小町》、享保～延享期、奥村屋、横大判紅摺絵、30.4×43.0 cm
2. 筆者未詳《花筏》、享保～宝暦期、小松屋、横中判紅絵、20.6×30.3 cm
3. 鳥居清広《湯上りの爪を切る女》、宝暦期、丸屋小兵衛、細判紅摺絵、31.0×14.4 cm
4. 鳥居清満《浮絵新吉原紋日図》、寛延～明和初期、西村屋与八、横大判紅摺絵、32.2×44.8 cm
5. 鈴木春信《風流六哥仙 大伴黒主》、明和期、版元未詳、中判錦絵、27.7×20.9 cm
6. 鈴木春信《浮世美人寄花 山しろや内はついと 萩》、明和6-7年（1769-1770）頃、版元未詳、中判錦絵、28.7×21.5 cm
7. 鈴木春信《寺小姓と上臈》、明和2-7年（1765-70）、版元未詳、横中判錦絵、19.0×27.4 cm
8. 勝川春草《江都両国橋日本無双之賑夕納涼之風景》、明和期頃、播磨屋新七、横大々判紅摺絵、40.5×54.4 cm
9. 勝川春好《尾上松助 五代目市川団十郎 二代目市川門之助》、安永末期、版元未詳、細判錦絵3枚続、右 32.8×15.0 cm、中 33.1×14.8 cm、左 33.0×15.1 cm
10. 勝川春英《大相撲土俵入り》、寛政6年（1794）、西村屋与八、大判錦絵3枚続、右 37.1×24.3 cm、中 37.3×24.8 cm、左 37.2×24.8 cm
11. 歌川豊春《新板浮絵忠臣蔵夜打之図》、安永期頃、岩戸屋喜三郎、横大々判錦絵、38.9×51.9 cm
12. 鳥居清長《少女玉花子の席書》、天明3年（1783）、西村屋与八、中判錦絵、26.0×19.2 cm
13. 鳥居清長《当世遊里美人合 叉江》、天明4年（1784）、版元未詳、大判錦絵2枚続、右 38.5×25.5 cm、左 37.9×25.0 cm
14. 鳥居清長《女三の宮》、天明4年（1784）頃、西村屋与八、中判錦絵、26.0×19.2 cm
15. 鳥居清長《見立初夢》、天明6年（1786）頃、版元未詳、大判錦絵3枚続、右 39.8×26.4 cm、中 39.8×26.5 cm、左 39.5×26.3 cm
16. 鳥居清長《大坂新町西槌屋琴鶴太夫 りきの ふじの》、天明6年（1786）頃、西村屋与八、大判錦絵、38.8×26.3 cm
17. 窪俊満《由良之助 一力遊興》、天明末期、版元未詳、大判錦絵3枚続、右 39.2×25.3 cm 中 39.2×25.3 cm 左 39.2×26.0 cm
18. 喜多川歌麿《煙草を吸う女》、寛政4-5年（1792-93）、蔦屋重三郎、大判錦絵、37.9×25.3 cm
19. 喜多川歌麿《難波屋おきた》、寛政5年（1793）、蔦屋重三郎、大判錦絵、37.5×25.0 cm
20. 喜多川歌麿《扇屋内花扇よしの たつた》、寛政5年（1793）、蔦屋重三郎、大判錦絵、37.5×25.0 cm
21. 喜多川歌麿《忠臣蔵 七段目》、享和1-2年（1801-02）頃、西村屋与八、大判錦絵、38.4×25.5 cm
22. 喜多川歌麿《見立妹背山》、文化2年（1805）頃、丸屋甚八、大判錦絵3枚続、右 38.6×25.3 cm 中 38.6×25.5 cm 左 38.6×25.4 cm
23. 東洲斎写楽《二代目瀬川富三郎の大岸蔵人妻やどり木》、寛政6年（1794）、蔦谷重三郎、大判錦絵、36.8×25.4 cm
24. 東洲斎写楽《三代目市川高麗蔵の志賀大七》、寛政6年（1794）、蔦谷重三郎、大判錦絵、38.1×24.8 cm
25. 歌川豊国《しか茶や》、寛政中期、西村屋与八、大判錦絵3枚続、右 36.4×24.6 cm 中 36.5×23.4 cm 左 36.6×24.3 cm
26. 歌川豊国《夏の富士美人合》、寛政末期、丸文に「司馬」印、大判錦絵、35.8×25.0 cm
27. 葛飾北斎《百物語 こはだ小平二》、天保2-3年（1831-32）、鶴屋喜右衛門、中判錦絵、25.7×18.2 cm
28. 葛飾北斎《百物語 さらやしき》、天保2-3年（1831-32）頃、鶴屋喜右衛門、中判錦絵、25.7×18.2 cm
29. 葛飾北斎《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》、天保2-5年（1831-34）、版元印なし（西村屋与八）、横大判錦絵、25.4×37.3 cm
30. 葛飾北斎《富嶽三十六景 凱風快晴》、天保2-5年（1831-34）、版元印なし（西村屋与八）、横大判錦絵、25.3×37.3 cm
31. 葛飾北斎《富嶽三十六景 山下白雨》、天保2-5年（1831-34）、版元印なし（西村屋与八）、横大判錦絵、24.1×35.7 cm
32. 勝川春扇《ゑびす講大盃や明からす 南北》、文化期頃、若狭屋与市、大判錦絵、36.9×25.2 cm
33. 菊川英山《青楼十二時 夜亥ノ刻 玉屋内しら糸 おとわ たきの》、文化9年（1812）頃、江崎屋吉兵衛、大判錦絵、38.0×25.8 cm
34. 菊川英山《青楼行事八景 居続の暮雪》、文化末期～文政初期、川口屋卯兵衛、大判錦絵、39.0×26.2 cm
35. 歌川国芳《通俗水滸伝豪傑百八人之一人 花和尚魯知深初名魯達》、文政末期、加賀屋吉右兵衛、大判錦絵、38.6×26.3 cm
36. 歌川国芳《通俗水滸伝豪傑百八人之一人 岩沼吉六郎信里》、文政末期、加賀屋吉右兵衛、大判錦絵、38.0×26.1 cm
37. 歌川国芳《相馬の古内裏》、弘化期、版元印あり（入山形に「八」印）、大判錦絵3枚続、右 36.7×25.1 cm、中 36.6×25.5 cm、左 36.6×24.8 cm
38. 歌川国芳《讃岐院眷属をして為朝をすくふ図》、嘉永3-5年（1850-52）、住吉屋政五郎、大判錦絵3枚続、右 36.7×25.1 cm、中 36.6×25.5 cm、左 36.6×24.8 cm
39. 歌川広重《隅田堤夜桜》、弘化末期～嘉永初期、伊勢屋市兵衛
大判錦絵3枚続、右 37.7×25.7 cm 中 37.6×25.6 cm 左 38.0×25.6 cm40. 歌川広重《東都名所 両国夕すずみ》、弘化末期～嘉永初期、若狭屋与市、大判錦絵3枚続、右 36.5×24.7 cm、中 36.6×25.1 cm、左 36.5×25.0 cm
41. 歌川広重《名所江戸百景 王子装束ゑの木大晦日の狐火》、安政4年（1857）、魚屋栄吉、大判錦絵、35.5×23.7 cm
42. 歌川広重《名所江戸百景 亀戸梅屋舗》、安政4年（1857）、魚屋栄吉、大判錦絵、37.4×25.6 cm
43. 歌川広重《諸国名所百景 薩州枕崎海門ヶ嶽寿星踊》、安政6年（1859）、魚屋栄吉、大判錦絵、36.4×25.5 cm
44. 歌川広重《諸国名所百景 周防岩国錦帯橋》、安政6年（1859）、魚屋栄吉、大判錦絵、35.3×24.3 cm
45. 豊原国周《肌競花の勝婦湯》、明治元年（1868）、版元印なし（越嘉）、大判錦絵3枚続、右 36.5×24.7 cm、中 36.6×25.1 cm、左 36.5×25.0 cm
46. 月岡芳年《奥州安達がはらひとつ家の図》、明治18年（1885）、松井栄吉、大判錦絵竪2枚続、上 37.5×25.8 cm、下 37.6×25.9cm
47. 月岡芳年《田舎源氏》、明治18年（1885）、松井栄吉、大判錦絵竪2枚続、上 37.8×25.7 cm、下 37.3×25.5cm
48. 月岡芳年《藤原保昌月下弄笛図》、明治16年（1883）、秋山武右衛門、大判錦絵3枚続、右 36.6×24.8 cm 中 36.6×24.7 cm、左 36.6×24.7 cm
49. 月岡芳年《義経記五条橋之図》、明治14年（1881）、森本順三郎、大判錦絵3枚続、右 36.7×24.6 cm、中 36.8×24.7 cm、左 36.8×24.7 cm
◆浮世絵の歴史
慶長十一年 1606 この頃から『嵯峨本』の出版が始まる
元禄十五年 1702 松尾芭蕉『おくのほそ道』
元禄十六年 1703 近松門左衛門作、『曾根崎心中』初演
享保十六年 1731 沈南蘋、長崎に来朝。南蘋派の流行
寛保三年 1743 この頃、紅摺絵の誕生
延享
寛延
宝暦九年 1759 この頃、円山応挙、眼鏡絵制作
明和二年 1765 絵暦交換会が流行。錦絵誕生
天明三年 1783 司馬江漢、銅版画創製
文化四年 1807 曲亭馬琴、葛飾北斎『椿説弓張月』（～11）
文化十一年 1814 曲亭馬琴、葛飾北斎『南総里見八犬伝』（～42）
文政四年 1821 伊能忠敬『大日本沿海輿地全図』完成
文政十二年 1829 シーボルト事件
天保元年 1830 この頃、葛飾北斎「富嶽三十六景」刊行
天保七年 1836 この頃、歌川広重「東海道五十三次」刊行開始
天保八年 1837 大塩平八郎の乱
嘉永六年 1853 ペリー来航
安政五年 1858 安政の大獄（～59）
文久二年 1862 ロンドン万博で浮世絵展示
慶應三年 1867 大政奉還
明治五年 1872 この頃、開化錦絵の興隆
３．まとめ
・周年記念展
―1周年、3周年、5周年、10周年、15周年など「節目」の年
―開館○周年
―展覧会のテーマ＝美術館の活動方針や収集方針を示す
―美術館の成長の記録
・美術館のコレクション
―コレクション＝常設展示：地域、国内、世界
―「総花的」←→「一点豪華主義」
―東京都現代美術館のリキテンシュタイン（6億円）、宇都宮美術館のマグリット（6億円）
―「テーマ性」＝学芸員の専門性
―山梨県立美術館のミレー、静岡県立美術館のロダンなど
◆過去の講義ノートへのリンク ※山口県立萩美術館・浦上記念館で開催された展覧会
二〇〇九年後期 <第八講> フランスの浮世絵師 アンリ・リヴィエール 展
二〇〇六年後期 <第四講> 雅／俗