論文発表
分子結晶中における異なる分子間に働いている相互作用によって、SLやエンジンのピストンの様に動くことがわかりました。ピストンの線形(一方向)の運動は、クランクを介して回転運動に変わることがエンジンやSLの機械機構です。今回の論文では、温度を上げた際におこる線形の熱膨張がスライダクランク機構よって分子の回転に変換されることを結晶学的に明らかにしました。
タイヤやホイールのような回転はまだ実現できていませんが、とても小さな分子の世界であっても、それぞれの分子やイオンの動きの軌跡は単純な幾何で良く説明できました。このことは、機械は一般的にパーツの強度が求められ例えば紙のような柔らかい材料ではでスライダクランク機構を作れません。その点、分子をパーツにした機械もまんざら無理な話ではない、ということを今回の研究は示しています。
表紙にも選んでいただけ、SL山口号をモデルにしました。
Slider-crank Mechanism in a Molecular Crystal: Conversion of Linear Thermal Expansion of Lattice to Circular Rotation of Coordination Chain
Ryo Tsunashima, Naomi Fujikawa, Misaki Shiga, Sayu Miyagawa, Shiori Ohno, Atsuko Masuya-Suzuki,Tomoyuki Akutagawa, Kiyonori Takahashi, Takayoshi Nakamura and Sadafumi Nishihara
CrystEngComm, 2022, 24, 5865 - 5869