論文発表

修士2年の 森田萩乃 さんの研究成果をまとめた論文が、RSCの”CrystEngComm”に受理されました。

”Doping of Metal-free Molecular Perovskite with Hexamethylenetetramine to Create Non-centrosymmetric Defects”
Hagino Morita, Ryo Tsunashima, Sadafumi Nishihara and Tomoyuki Akutagawa

CrystEngComm, (2020)

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【概要】
ICチップや人感センサーに用いられる強誘電体は有害や希少な金属を多く含み、特に、高機能な材料には複数の金属を混合した物質が用いられます。周期表にある金属は、似て非なる個性をそれぞれが持ち、実はこれらを混合することによって全く新しい優れた性質を生み出すこともできます。例えば、すずと鉛をブレンドした「はんだ」が良い例です。スズとも鉛とも異なる低い融点を示し、無機材料化学の面白いところ・醍醐味です。

残念ながら、金属イオンはどのようにしてブレンドしても、毒性と環境負荷だけは変えることができません。そのため、無機化合物に匹敵する性能を持つ材料を金属一切用いず開発する化学が必要とされています。中でも私たちはこれまで、優れた強誘電体として有名なペロブスカイト型化合物を、簡単な有機分子とアンモニア、臭化物イオンから作れることを報告しました。今回の研究では、無機材料の様に複数の成分をブレンドできるか?という処にチャレンジしました。検討の結果、hmtaとdabcoと呼ばれる分子を用いることで、「対称性」の違いを個性としたブレンドが可能であり、それに伴って誘電性が変化することを明らかにしました。