教室の歴史
1968年 | 武下浩先生を初代教授として迎え、麻酔学講座を開設 |
---|---|
1980年 | 集中治療部設立 (部長:武下浩先生) |
1982年 | 救急部設立 (部長:武下浩先生) |
1987年 | 「麻酔学講座」から「麻酔・蘇生学講座」に改称 |
1991年 | 坂部武史先生が第二代教授に就任 |
2001年 | 大講座「病態薬理学講座(麻酔・蘇生学)」に移行 |
2006年 | 「大学院医学系研究科 システム統御医学系学域 麻酔・蘇生・疼痛管理学分野」に改称 |
2009年 | 松本美志也先生が第三代教授に就任 |
2016年 | 「大学院医学系研究科 麻酔・蘇生学講座」に改称 |
山口大学麻酔・蘇生学教室の現在
臨床では手術室における麻酔に加え、疼痛外来、院内の癌性疼痛患者の管理、さらには救急・集中治療部へも多数の医師が出向し、幅広い領域で頑張っています。
麻酔・蘇生学教室の研修システムはほぼ整備され、入局者が平等に、大学を含め設備・指導スタッフが充実した施設で研修できるのが特徴の一つです。
入局したのはいいが、こんな研修で一人前の医者になれるだろうか、初期研修(卒後2年間)を終えたけど自分はなにもできないが、などの不安を抱くことはまずないと言っていいでしょう。
医者としての一生を大きく左右するのは卒業後の最初の2年間と言われています。
それだけにわれわれは研修医ひとりひとりの初期研修を真面目に考えています。
研修医ひとりひとりを大切に育てたい。今われわれが本気で取り組んでいる課題です。
なぜなら、将来10年後あるいは20年後に麻酔科蘇生科を支えてくれるのはあなたたちだからです。
初期研修を終えた段階で自分はもう少し疼痛管理の勉強をしたいとか、あるいは救急集中治療を勉強したいとか希望があれば、その方面に進むことも可能です。
学生時代に想像する自分の医師像と、卒業して実際に医師として働き出してからの自分の将来の医師像はかならず違うでしょう。考えてもみてください。
受験勉強時代に想像していた医学生像と今の自分には大きな隔たりがあるでしょう。
それと同じです。そういう面で、実際に医者になってある程度選択の余地が残されているというのも、大きな魅力の一つです。
研究面では、麻酔・蘇生学教室には自由な発想を大切にする伝統があり、若い医局員もどんどんアイデアを提案して、先輩の支援を受けながら研究を行なっています。
意欲のある医局員が潜在能力を十分発揮できる環境です。ゆとりのある研究室で自由にのびのび続けられてきた研究は、特に脳・脊髄の生理学的、薬理学的研究では、
世界的水準に達するまでになっており、多くの医局員が海外の有名な研究施設で研究をする機会にも恵まれてきました(前述)。
また、文部科学省科学研究費の交付実績は麻酔科・蘇生科が山口大学医学部の中でもトップクラスにあるのも、われわれの研究が客観的に評価されている証拠と自負しています。
現在研究室では、免疫組織学的アプローチを用いた脳・脊髄虚血の病態解明、麻酔薬の作用機序の解明にin vitro autoradiographyを用いた受容体、細胞内情報伝達系の研究、
サイトカインと脳虚血の関連、さらには脳循環における血管内皮細胞の役割についての研究が進行中です。
また、疼痛のメカニズムと治療法の研究も行なわれています。循環器系の研究では血管平滑筋の研究をすすめています。
よい臨床医の条件の一つとしてResearch mindは大切な要素であり、鋭い観察力、深い洞察力、科学に対する道徳心を研究を通して学ぶことは、
臨床医としての大きな資産の一つになると思われ、ひいては大学のもう一つの役割である教育にもつながると考えられます。
若い人たちがともに学び、これからの麻酔・蘇生学を担ってくれることを期待しています。