山口大学 DX人材育成推進室 DX人材育成推進室

本学への寄付

「私たちとDX」

お待たせしました。

湯浅先生によるDXのことを色々インタビューの第3弾です。今回が最終回です。ぜひ最後までご覧ください。

 

DX人材育成推進室 

湯浅 修一 准教授(特命)

 

 

インタビュアー(以下 イ):学生さんにとっては、先生がおっしゃっていたスマホが身近なものだと思いますが、スマホに関連するDXって何かありますか?

湯浅先生(以下 湯):スマホって今いろんなことできますからね。それは私なんかが考えなくても、世の中がどんどん進化していっているので、新しいDXを考える人がどんどん出てくると思いますよね。

スマホを使ってQRコードを読むと、そこからいろいろなアプリにつながって、けっこうなことができますよね、もっと若い、頭のやわらかい人たちが考えたら、いろんなことができると思いますね。

イ)パスモやスイカといった電子財布機能が今はスマホと一体に入っていますが、あれで買い物をして、この人はこの商品に興味あるとかと調べて企業の利益に繋げるというのは、DXなんでしょうね?

あと、学生さんにとってスマホの中身で身近なものは、メッセージアプリのLineもその1つだと思いますが、その中にもDXってあるのではないでしょうか?

Lineでメッセージを送るときに使う、スタンプ、あれを購入するときに、あなたへのおすすめって今までみた履歴を分析して、それぞれの人の好みにあいそうなスタンプ情報出してくれるんですよね、ネットの広告みたいに。おすすめから選んでスタンプ購入するとスタンプ作った人の利益にもなりますよね、まさにデータを分析して利益に繋げるということに当てはまっていると思うのですが。

湯)そうですね、前回お話ししたクレジットカード会社と似ていますが、たくさんの購入データがあるといろいろなことができますよね。

ちょっと違いますが、山口大学のDX人材育成推進室のウェブサイト(https://ds.cc.yamaguchi-u.ac.jp/~dxjinzai/index.html)も、どこから何人くらい閲覧しているかなどがわかるようになっていますよね。

企業の中には、自社のウェブサイトを作って、もうちょっと細かく、どこの会社のどういう人がそのサイトにアクセスしているかっていうところまで把握できるようにしておいて、その会社の人がほしそうな製品やサービスの広告メールをアクセスしてくれた人に送信するといったことをやっているケースもあります。こうした取り組みを「デジタルマーケティング」と呼んだりしています。 

イ)たまにネットとか見ると横になんか、自分が前に閲覧したものに関する広告とかが載りますね? 

湯)そうですね、スマホから閲覧したウェブサイトが、その閲覧履歴を取っていて、それに基づいて、興味のありそうなものを載せているのではないでしょうか。 

イ)そういうことがスマートフォンを使ったDXの一例ですか?

湯)そうですね。スマホからの閲覧履歴をもとに、自分の会社のウェブサイトには誰がいつ何を見たかってことがデータとしてわかるようになるんで、それを分析すると(そこにはAIなんかを使うわけですが)、例えば、20歳代の女性の人が、自分の会社のこういう製品に興味があるとか、30歳代になったらこういうものに興味を持つとかいうのがわかるんで、そうしたらじゃあ年代別にそれぞれ別の商品をアピールする広告をうちましょうみたいなことができるようになりますよね。

今まではそうしたことは難しかったり、マーケターっていう仕事をしている人の勘とか経験、センスでやっていたことが多かったと思うんですけど、データを使うと実際にどうなのかっていうところがわかって、手が打てるので、そういう意味でビジネスが伸びる可能性が高まるのではないでしょうか。 

イ)学生さんの中には、自分にDXって関係あるんだろうか?と思っている人もけっこういるんじゃないか思うのですが、そこについては先生、どう思われますか?

湯)DX人材育成推進室の辻先生が「知の広場」で学生の皆さんにアンケートを取って下さったら、DXについて知っていると答えた人の割合は3割くらいでした。だから、多くの皆さんはDXのことを知らないということなんですが、これはおかしなことでも何でもないと思います。私自身も自分が学生のときに社会で起こっていることなんか、ほとんど知らなかったですから。 

DXについて詳しく知っておく必要はないと思うんですけど、やっぱりデジタル技術とかデータを使って、何ができるのかっていうことは、企業や自治体の取り組みの実例を通して知っておく、あるいは興味をもっておくことは、これから社会に出ていく皆さんにとってとても有意義なことなのではないでしょうか。  

世の中がこれだけ変化して、多様化している中で、あと何年かしたら学生の皆さんは会社や行政機関、教育機関などに入っていくわけですが、そうするとやっぱり今までよりも複雑な問題に直面することが多くなると思うんですね。そうしたときに、デジタルを使うと、もしかしたら、今まで先輩たちがやってきてうまくいかなかったことをブレイクスルーするような解決策がみつけられるかもしれないし、少なくともブレイクスルーするための選択肢が増えるわけですよね。そういう意味で、ここで紹介した企業のように、デジタル技術やデータをうまく活かしている例やその背景を知っていたり、それを自分の職場の課題に当てはめて考えてみたりすることができるということは、皆さんが社会人としてキャリアを形成していく上できっと役に立つと思いますね。 

大学でDXを学んだからといって、皆さんが企業に入ったら、いきなりDXの取り組みを進める仕事に就くなんてことはほとんどないと思うんですね。企業に新入社員として入ったら、たとえば営業部門に配属されたら、最初は先輩についていってお客様を回って、時には懇親会もやりながら仕事を覚えるところから始まると思います。お客様にまず名前を覚えてもらって、信用してもらって、そこからが商売だって先輩から教わると思います。ここではデジタルってあんまり関係ないですよね。

でも、これまでお話ししてきたみたいに、ウェブサイトを作ってそこに誰がアクセスしているのかって分析する、そこで一番買ってくれそうな人に広告を出してアプローチしていくっていうデジタルを使ったしくみを将来の選択肢として描けると、例えばいつの日か、皆さんの入った会社が日本国内ではなく、需要の旺盛な海外のお客様を対象に営業をしようとなったときに、とても役に立つかもしれませんね。ウェブサイトには国境を越えて海外からでも、いつでもアクセスすることができますので。

こんなふうに、いろいろ環境が変わったり、世の中が変わったときに選択肢をたくさん持っているほうが、働き甲斐のある仕事、成果の出る仕事ができる確率が高まるのではないかと思います。

 

イ)最後になりますが、今の学生さん、特に文系の学生さんだとさっきおっしゃったようにDXってなに?という興味があまりない人が多いと思うんですけど、どうしたら、そういう人がDXやってみようかなとか関心もつと思いますか?

 

湯)難しい質問ですね。やっぱり一番いいのは学生の皆さんがDXが今どうして必要なのかっていうことを理解することだと思うんですね。なので、学生のうちに、デジタル技術のどういうところが、どうして必要なのかとか、たくさんのデータを使ったら何ができそうなのかっていうことを自分なりに考えてみておくといいんじゃないでしょうか。特に文系の学部だとあまりデジタル技術に触れる機会が多くないかもしれませんが、だからこそ、デジタル技術の活用や必要性を純粋な視点で考えやすいかもしれませんね。

 

ちょっと固い話になりますが、かつてのように右肩上がりの経済成長は見込めない中で、企業や自治体に求められていることは複雑で高度化しています。たとえば、皆さんも知っている「持続可能な開発目標(SDGs)」を踏まえて、多くの企業は今、自分の会社だけが利益を出せばいいということではなく、地球環境に配慮した製品やサービスを提供することで持続可能な社会に貢献する取り組みを進めています。 

現代社会に生きる私たちには、このようなかつてないほどの大きな変化を踏まえた上で、デジタル技術とそこで取り扱われる大量のデータを使って、これまでとは違う発想や視点で、未来に向けて豊かで多様性のある社会を創り出していくことが求められています。そして山口大学から社会に出ていく皆さんの多くは、行く行くはその旗振り役、リーダーとしての役割を担うことになるのではないでしょうか。私は、このことこそが、今まさに皆さんがDXを学ぶ意義だと思っています。 

湯浅先生、ありがとうございました!

―DXって言葉だけ聞くと、なんだか難しいそう、複雑・・のように思ってしまいますが、話を聞いてみると、実は、普段の生活の中にも身近なところにDXってこのようにいろいろとあるんですね。日々生活する中で「あれ、もしかしてこれってDX?どうなのかな?」と皆さんもちょっと考えてみるのはいかがでしょうか。

 

インタビュー第1弾はこちらから。

インタビュー第2弾はこちらから。

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