末冨 建(平成16年卒)
2019年11月16日から18日にかけて開催されたAmerican Heart Association Scientific Sessions 2019 Philadelphiaに発表の機会を得ることができ、奥田真一先生(平成9年卒)、内海仁志先生(平成14年卒)とご一緒させていただきました。フィラデルフィアは今回初の訪問でしたが、イギリス領時代にロンドンに次ぐ規模の都市であったらしく歴史を感じる街並みでした。その一角のブロックが今回の会場であり、AHAというとこれまで郊外の広大な敷地のコンベンションセンターばかり訪れていたので到着したときは新鮮に感じました。
奥田先生は「Stabilization of CaMKII-phosphorylated RyR2 by dantrolene prevents the development of age-related cardiomyopathy in CaMKIIδC transgenic mice」、内海先生は「The difference of Calmodulin-Ryanodine receptor affinity between N-terminal, central and C-terminal RyR2-CPVT knock-in mice」、私は「Inflammation and NLRP3 inflammasome activation initiated by CaMKIIδ Signaling in cardiomyocytes are required for adverse cardiac remodeling」の演題を発表しました。発表時はUniversity of California San Diego留学時のJoan Heller Brownラボのメンバーも寄ってくれて、内輪ネタで雑談し、そのノリでラボの組み換えマウスを今後山口大学でも使っていいかと聞いたら意外にも二つ返事でOKをもらうことができ大変有意義な展開になりました(現在そのためのMaterial Transfer Agreement:MTA締結や搬送手続きなどで四苦八苦しております)。
また、よく知られたISCHEMIA試験、DAPA-HF試験など、2019年はインパクトのある臨床試験が多数報告され、その日のうちにUptoDateにも反映されていました。
ISCHEMIA試験:COURAGE試験では安定冠動脈疾患患者においてPCIは至適薬物療法(Optimal Medical Therapy:OMT)と比較して死亡/MIを抑制せず、ORBITA試験ではOMT患者において、PCIはプラセボ手技と比較し運動時間を改善しませんでした。FAME 2試験では、安定冠動脈疾患患者へのFFRガイドPCIはOMTのみと比較しイベントを抑制しました。このような流れでISCHEMIA試験では「中等度以上の虚血が認められた患者において、早期の侵襲的治療戦略はOMTと比較しイベントを抑制する」との仮説のもと実施されましたが、「虚血が中等度から高度であっても血行再建術はOMTに対して有意ではない(この試験の範囲で)」と解釈されうる結果となりました。ただし2年目以降のKaplan-Meier曲線は徐々に差が開きつつあるため、長期的には血行再建群の優越性が認められる可能性もあり、追跡調査の結果が待たれます。またOMT群では約20%の症例が血行再建にクロスオーバーしている点や、LM疾患や低心機能症例などPCIの恩恵が見込まれる症例が試験から除かれている点も考慮する必要があります。
DAPA-HF試験:糖尿病の有無にかかわらず,左室駆出率が低下した慢性心不全(HFrEF)症例に対し,SGLT2阻害薬dapagliflozinが心血管アウトカムを改善するかが検討され、心不全の標準治療へのdapagliflozinの上乗せ投与により,心血管死(HR:0.82)も心不全(HR:0.70)も抑制することが示され、SGLT2阻害薬が心不全治療薬として認知されました。今後さらにHFpEFに対する有効性をDELIVER試験等にて検討しており結果が期待されます。
個人的にはそのほかに、心筋梗塞患者に対して,痛風,家族性地中海熱などに適応のある,廉価かつ強力な抗炎症作用をもつcolchicine(コルヒチン)投与による心血管イベントの抑制効果がみられたCOLCOT試験や、肝臓で選択的に取り込まれPCSK9遺伝子のRNA干渉(siRNA)を作用機序とするinclisiranによって、わずか年2回の投与でPCSK9阻害薬と同等の脂質低下を達成したORION-10なども、発表を聞いていて大変心躍るものでした。
その後はAmtrakに乗ってニューヨークへ移動、The Cardiovascular Research Foundation (CRF)に留学されていた藤村達大先生(平成15年卒)にもお会いすることができ、藤村先生のご厚意で Colombia 大学病院心カテ室にもお邪魔させていただきました。極めつけにニューヨークを知り尽くされている奥田先生のおすすめ旅行プランを堪能し…と、2019年11月、コロナが世界的に話題になる直前に、当然のようにマスク不要であっちこっちを訪れることができ、今思えば大変貴重な学会旅行となりました。現在はオンライン学会が日々洗練され、それはそれでメリットが沢山あり非常に便利になりましたが、現地学会ならではの醍醐味をまたいつか経験できればと願っております。
最後になりましたが、このような貴重な機会を与えてくださいました矢野雅文先生、不在中に病棟を守って頂いたCCUチームメンバーをはじめ、第二内科の先生方にあらためて厚く御礼申し上げます。
大石 景士(平成19年卒)
2019年5月17日から22日まで2019年11月14日から17日までベトナム・ハノイで開催されたアジア太平洋呼吸器学会 (APSR: Asian Pacific Society of Respirology)主催の24th Congress of the Asian Pacific Society of Respirologyに参加してきました。私は、同学会で、”Functional small airways disease derived from parametric response mapping in asthma”という演題をオーラルプレゼンテーションの形式で発表させていただきました。また、この演題は、APSR-JRS Young Investigator Award (YIA)を受賞することができました。これらの成果は矢野雅文教授、呼吸器・感染症内科 松永和人教授をはじめ、多くの先生方にご指導いただいた結果であることに、まず心より感謝申し上げます。
今回の受賞演題は、私が現在取り組んでいる研究である、気管支喘息患者における末梢気道病変のイメージングバイオマーカーに関しての発表です。末梢気道病変が喘息の難治化に関連するという報告があるものの、末梢気道病変の評価方法は未確立です。Parametric Response Mapping (PRM)は、吸気・呼気CTを用いて機能的な末梢気道病変(functional small airway disease: PRM-fSAD)を空間的・定量的に評価する手法として近年閉塞性肺疾患の領域で注目されています。私は、PRMが喘息の末梢気道機能障害の非侵襲的・簡便な評価法として有用であるとの仮説を立て、喘息患者に対してPRM解析を行い、PRM-fSADと臨床所見、生理学的所見との関連性を検討しました。その結果、喘息におけるPRM-fSADは末梢気道病変の指標として有用となる知見が示されました。国際学会でYIAを受賞する機会を得たことは、私自身の大きな糧になりました。今回の受賞に恥じぬよう日々の研鑽に努める所存です。
APSRは欧米の学会と比較してやや小規模な国際学会であることから、その分演者と聴衆との距離が近く、雰囲気が非常にInteractiveでした。著名な先生のシンポジウムも多く、Hot topicを数多く聴講することができました。特に昨年publishした”Time to Revise COPD Treatment Algorithm”の共著者であるスペインのMark Miravitlles先生とも再会でき、論文化にあたり多岐にわたりご指導を賜ったことに関して改めて感謝の意をお伝えすることができて良かったです。
なお、今回の学会発表も松永和人教授を始めとする山口大学医学部附属病院呼吸器・感染症内科の先生方と一緒に学会に参加させていただきました。。ハノイは食事がとても美味しく、特にフォーは絶品であり、気づいたら学会期間中にフォーを合計10杯も食べていました。また、世界遺産のタンロン遺跡(過去のベトナム王朝の王宮が置かれていた城址)を訪れることもでき、リフレッシュできました。最後になりますが、1週間も病院を留守にすることになり、多くの皆様に御迷惑をお掛けしました。今回の国際学会で学んだ経験を山口県における呼吸器診療・研究に生かし、日々精進していく所存です。貴重な経験をさせていただき、誠にありがとうございました。
福田 昌和(平成18年卒)
2017年6月18~21日にオーストリア・ウィーンにおいて、European Heart Rhythm Associationの年次集会、Europace-Cardiostim 2017が開催され吉賀康裕先生が発表されました。その発表に同行させていただき、あわせて吉賀先生が留学されておられたドイツ・ハンブルグのASKLEPIOS Klinik St. Georgの不整脈ユニットに見学に行かせていただきましたのでご報告させていただきます。
今回のメンバーは、吉賀先生、徳山中央病院の平塚先生、保健学科清水教授研究室の臨床検査技師小室先生と福田の計4人でした。吉賀先生以外の3人はみんな同い年での海外出張です。
ウィーンもハンブルクも北海道よりも北の緯度ですが、訪問中の6月下旬は山口県の5月初旬くらいの気候で非常に過ごしやすく、日中はちょっと暑いくらいでした。
学会会場のあるウィーンは歴史と芸術、音楽の街です。コンサートやオペラなどは予定にありませんでしたが、街なかの公園では普通にバイオリンを弾いている人がいて芸術の街だと感じることができました。学会ではアブレーションについてはもちろん、新しい植込み機器や手技など、不整脈治療の広い内容が発表されていました。 心房細動アブレーションではヨーロッパの登録研究が発表されていましたが、効果や合併症など、現在当院や日本で行っているものと同様の結果であり、いままさに自分たちがしている治療が世界で行われているものと同じような範囲にあるとわかることができて安心できました。ほかにも現在日本でも取り組みが始まっている、リード抜去や左心耳閉鎖デバイス、心内植込み型リードレスペースメーカなどの最新の情報もたくさんありました。
吉賀先生の発表はクライオアブレーションによる食道障害について当院でのデータをまとめたものでした。Moderated posterの発表でそのブースだけ赤絨毯がひかれたポスターエリアでした。当日まで発表があるとは知らなかった吉賀先生でしたが、どんなに外国人が近くで見ていても普通に発表されている姿は、ただただすごいと感じました。
吉賀先生は発表のお疲れもあったとは思いますが、発表後に吉賀先生のご厚意でドイツ・ハンブルクへ移動しASKLEPIOS Klinik St. Georgへ見学に行きました。吉賀先生をはじめ、日本からも多数の先生が留学されているアブレーションのトップ施設です。非常に有名なOuyang先生にお会いできたのはとても光栄なことでした。そしてそのOuyang先生の症例を見ていたら、アブレーションってそんなに簡単にすぐ終わるのかという衝撃を受けることができたのも(ほんとうはそんなに簡単なはずはない!)、とても貴重な経験でした。
学会、病院見学はもちろんとても有意義なものでしたが、ほかにも顔より大きなウィナーシュニッツェルや吉賀先生がよくドイツで食べられていたカリーブルストなど、どれもよくビールに合う肉類をたくさん食べ、ヨーロッパの貴重な建築・絵画を見ることができて、非常に有意義な1週間を過ごさせていただくことができました。
たくさんビールを飲む36歳3人を引き連れて案内してくださった吉賀先生、学会中サポートをしていただいた大学のCCU, 不整脈班の先生方、機会を与えていただいた矢野教授、皆様にお礼申しあげます。
引き続き学んだことを生かせるように精進してまいります。
白上 巧作(平成10年卒)
2016年5月21日から24日まで、オーストリアのウィーン国際センターで欧州腎臓学会-透析移植学会合同会議(ERA-EDTA)が開催されました。ERA-EDTAは、腎臓に関する国際会会議の中では世界でASN(American Society of Nephrology)Kidney Week, ISN(International Society of Nephrology) WCN(World Congress of Nephrology)に次いで、3番目の規模です。セントヒル病院の藤井先生と山口大学泌尿器科の磯山先生、藤川先生、永田先生と一緒にERA-EDTA 2016に参加しました。
通常の成田からオーストリアに行く行程ではイスラム国(IS)のすぐ北を飛ぶため泌尿器科の先生と同行させて頂き福岡空港からフィンランドのヘルシンキ空港で乗り継ぎオーストリアのウィーン国際空港へ行く行程を選択しました。ヘルシンキ空港はハブ的な空港として利用しやすく乗り継ぎは比較的スムーズでした。
ウィーンは皆さんご存知の通り、昔の形式上のドイツ民族全体の帝都であり、音楽の都とも呼ばれます。5月下旬のオーストリアの気温は東京より約3度低く、ちょうど過ごしやすい季節でした。
会議中に最先端の研究報告をたくさん聞きました。ネフローゼ症候群に対するリツキシマブの使用例の報告が多く、透析患者のTAVI、骨髄腫腎のボルテゾミブ使用例、二次性アミロイドーシスに対するトシリズマブ使用例など目新しい内容の報告があり、たいへん勉強になりました。英語での質疑応答に参加させて頂きリツキシマブの使用方法、IgA腎症の扁桃摘出術とステロイドパルス療法の併用療法、IgA腎症のオックスフォードの分類と日本の透析導入リスクの層別化について議論させて頂きました。
学会の合間には、シェーンブルン宮殿、シュテファン寺院などのウィーン市内の観光名所を訪れました。実は、私は2010年に新婚旅行でブダペスト、プラハ、ウィーンなどの中央ヨーロパを訪れたことがありシェーンブルン宮殿は2回目の見学でした。2010年は時間がなくJTBのツアーの添乗員さんが「次回、来られた時のお楽しみに!」と言われていましたが、今回はシェーンブルン宮殿内の鏡の仕掛けで無限に続く空間を表現した部屋やグロリエッテからのウィーン市内の眺めを見ることができました。 5月のヨーロッパは日差しが強く、ウィーンでかなり日焼けをして、慌てて北欧用に用意していた日焼け止めを塗りました。学会終了後2泊でフィンランドのヘルシンキとスウェーデンのストックホルム間のタリンクシリヤラインのクルーズを楽しみました。クルーズ船のレストランではロブスター、カキ、エビなどのシーフードやステーキなどを頂きとても美味しい料理を食べました。スウェーデンのストックホルム、フィンランドのヘルシンキの市内を散策しました。5月の北欧は午後11時ごろまで外が明るく白夜に近い状態でした。
自分にとっては、初めて経験する国際学会であり、たいへん良い勉強になりました。今回の国際学会で学んだ経験を山口県の腎臓診療に生かし日々精進していく所存です。 最後になりましたが、このような機会を与えてくださった矢野先生をはじめ、諸先生方に、改めて厚くお礼申し上げます。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。
大石 景士(平成19年卒)
2016年9月2日から8日までイギリスのロンドンで欧州呼吸器学会(European Respiratory Society)主催のERS 2016 International Congressが開催されました。呼吸器に関する国際会議の中では世界最大規模である本会議は、年々参加者が増えており、今回は約23,000名の参加者が集まり、約4,100の演題発表(採択率は約70%)がなされるという盛大な会になりました。 私は、同学会で” Survival from acute exacerbation of idiopathic pulmonary fibrosis with or without direct hemoperfusion with polymyxin B-immobilized fiber column: a retrospective analysis” という演題をポスターディスカッションの形式で発表させていただきました。私にとっては4回目の海外学会発表となりました。矢野教授をはじめ、山口宇部医療センターの前院長である上岡博先生や三村雄輔臨床研究部長ら多くの先生方にご指導いただいた結果であることに、まず心より感謝申し上げます。
私の発表に関してですが、2016年3月まで勤務していた山口宇部医療センターで行っていた臨床研究である、特発性肺線維症の急性増悪患者に対するPMX (Polymyxin B-immorbilized Fiber Column:ポリミキシンB固定化カラム)を用いた血液浄化療法の治療成績・予後因子を検討した研究(Internal medicine 2016 in press)を報告しました。私は“IPF: from pathogenesis to treatment II”という合計18名の発表者のセッションでした。 最初の60分がポスターの前で質疑応答を行い、最後の60分はそれぞれの発表者が壇上に立ち、自分の発表の簡単なまとめを話すという流れでした。ポスターの前での質疑応答ではPMXを用いた血液浄化療法はほぼ日本独自の治療であることから、原理や機序などを聞いてくる方が多く、興味を持ってくれたことには一定の手応えを感じました。そして、壇上で自分の発表のまとめを話す時になりました。私の発表の順番はたまたま最後でした。 18名も発表者がいるため、座長が時間内に終わらせることをかなり気にしており、早め早めに一人一人の発表時間を区切って進行していきました。その結果、なんとセッションの予定終了時間まで10分もあまった状態で最後の私の順番になりました。座長から、『とても時間が余ってしまったから、君は特別にゆっくり時間を使って話してくれていいよ。質問もたくさんしよう(笑)』と言われました。背中から汗が滴り落ちましたが、自分の発表内容を話し、会場からの質問にも緊張しながらなんとか答えることができました。
今回のERSの印象として、数年前と比べると喘息関連の発表やセッションがかなり多くなっていることを感じました。これは、喘息の病態が従来のアレルゲンを中心とするTh2型細胞を中心とした獲得免疫主体の炎症のみならず、アレルゲンとは異なった刺激によって2型自然リンパ球が中心となりTh2細胞と類似した反応を起こす自然免疫の炎症の概念が知られるようになったこと、分子学的な機序の解明により様々なバイオマーカーや分子標的治療薬が開発されてきていること(その数30以上!)、吸入薬のデバイス・種類の進化(3剤=ICS+LABA+LAMAも登場)といったことが背景にあるものと思われます。
なお、今回の学会発表は山口大学医学部附属病院呼吸器・感染症内科の平野綱彦准教授と二人で学会に参加させていただきました。イギリスがEUを離脱した後という時期であり、出発前は多少治安面の心配をしていました。実際、テロ対策のため学会会場では警察犬を連れた警察官が物々しい格好で多数巡回していましたが、学会会場およびロンドン市内では特に危険を感じることなく過ごすことができました。 学会の合間には大英博物館やタワーブリッジ、ビッグベン、ハリーポッターのキングス・クロス駅9 3/4番線など、これぞロンドン!という観光名所を満喫することもできました。最後になりますが、1週間も病院を留守にすることになり、多くの皆様に御迷惑をお掛けしました。今回の国際学会で学んだ経験を山口県での呼吸器診療に生かし、日々精進していく所存です。貴重な経験をさせていただき、誠にありがとうございました。
濵田 頼臣(平成23年度卒)
平成27年11月7日から11日まで循環器分野における世界最高峰の学会のひとつであるAmerican Heart Association (AHA) 2015がアメリカのOrlandoで開催されました。この度、矢野雅文教授をはじめ、実験班の先生方に同行させて頂きましたので、その内容について少しばかり報告させて頂きます。
まず、初めての国際学会でしたが、チケットを予約した時期が少し遅かったため、私だけ別の便で、ヒューストン経由で乗り換えてオーランド空港にいかなければいけないという事態が発生していました。語学力に関しては、日本語を含め不得意としてきましたので、かなりの不安を覚える中、オーランド空港で会おうと成田で一旦みんなと分かれました。 絶対に乗り換えをミスしてはいけない、その思いで全く知らない人のブログを読み、ひたすらヒューストン空港でのイメージトレーニングを繰り返しました。ヒューストンで乗り換えは1時間40分あったはずなのですが、実際ついてみると入国審査は長蛇の列となり、入国審査の通過だけで1時間以上かかってしまいました。その後、荷物を預けるところで焦る僕におばちゃんが聞き取りやすい英語を一言。「Oh…It’s too late.」。 その瞬間、走馬灯のように成田空港でのみなさんの笑顔が頭をよぎったのを覚えています。ただ、続けて「OK、ここは私に任せて。荷物はここに置いて、いますぐここを駆け抜けなさい。(英語)」といった内容のことを言ってくれ、なんとかギリギリで搭乗口に着くことができました。いろいろありましたが、優しいお姉様(?)のおかげで無事にオーランド空港に到着。と思いきや、今度はかばんが出てこず終了。 いわゆるLost baggageしました。「私に任せてって言ったやん!」と心の中で叫びつつ、まあとにかく自分だけでも着いてよかったと心底思いました。先生方と合流できた瞬間は、涙が出そうになり僕だけ感動の再会となりました。カバンの紛失届けを出して、その日は宿泊先に向かいました。夜中にカバン情報がメールで入り、オーランド空港でみつかったとのことでした。「・・・私にまかせてって言ったやん!」。翌朝にはホテルにカバンが到着しており、なんとか半袖半パンで学会会場に行くことは避けることができました。
学会会場はOrange County Convention Centerというところで非常に大きな会場でした。まずは自分の研究分野であるカルシウムハンドリングの分野について発表を聞きに行きました。英語は非常に難しかったですが、非常にわかりやすいスライドが多く、楽しく聞くことができました。その他、拡張不全に関する話など興味深い話も多かったです。 私はデスモゾーム関係の研究を始めているのですが、そちらに関しては一通り見ましたが発表は少なく、まだまだ分かっていないことも多いのかなといった印象でした。これから自分がなにか発信していければと思いました。第二内科からは、西村滋彦先生、南野先生、福井先生が発表されました。英語の質問にも堂々と答えられており、素晴らしい発表でした。その他、母校の先輩、後輩にも少し会う機会があり、とてもいい刺激をうけました。
学会の合間には時間の許す限り観光もさせて頂きました。ディズニーワールドに男だけで行ったり、マイアミビーチに行って泳いだり、バスケットボールの試合を見に行ったりしました。本当に充実した一週間を送ることができました。
最後になりましたが、矢野雅文教授をはじめ、第二内科の先生方の御厚意により、このような貴重な体験をさせて頂きました。改めて深く御礼申し上げます。今回の経験を活かして、今後も臨床に研究にとがんばっていきたいと思います。
西村 傑
2014年8月末にBarcelonaで開催されたESC Congress 2014に参加させていただきましたので、ご報告させていただきます。今回、中村武史先生のmoderate発表をされるということで、私は岡村誉之先生のご厚意もあり、鞄持ちの立場で学会に同行させていただきました。
学会会場では多くの講演や発表を聴かせていただきました。当院でも2014年5月よりTAVIが実施されるようになりましたが、TAVIに関する多くの発表があり、他にもMitra clipなどのストラクチャーインターベンションに関するものも多数ありました。日本ではまだ体験できないような多くの知見を得られ、とても刺激的でした。
また、学会の合間には、現在オランダへ留学中の立石先生と合流し、日本食レストランで留学中の貴重な体験を聞かしていただきました。
今回初めて国際学会に参加(発表したわけではないのですが・・・)させていただき、日本だけでは体験できない貴重な経験を得られました。今度は自分の実験や研究で得られた知見をこういった場で発表できるように、一層努力していきたいと思います。この度はこのような機会を与えてくださった矢野雅文教授、岡村誉之先生に厚く御礼申し上げます。
小林 茂樹
福田 昌和
2013年11月にアメリカ・ダラスで開催されたアメリカ心臓協会(American Heart Association)学術集会に出席させていただきましたので、ご報告させていただきます。AHA学術集会では世界中の心臓に関する研究者が集まり、最先端の発表を行っています。
私は大学院生ですので、海外に行ったことは数えるほどしかなく、発表はリアノジン受容体の世界的な研究者であるD Bers教授のセッションであり、非常な重圧感と緊張でした。また、昨年度まで留学されていた小田哲郎先生の発表の後であり、海外留学をされた先生の発表のスムーズさを聞いた後で、発表としてはとても厳しい状況でした(泣きそうな感じというのが正直なところです)。
ただし、学会でがんばって(なんとか)発表した後は、アメリカの雄大なヨセミテ国立公園へみんなでレンタカーで移動、澄んだ空気の中のトレッキングやおいしいお肉をたくさん食べて、そこでしか感じることのできないとても貴重な経験をさせていただくことができました。
AHA学術集会で発表の機会を与えていただきましたこと、矢野雅文教授はじめ、ご指導いただきました山本健先生、また、学会出張中の病棟や急患のサポートをしていただいた、先輩・同級生・後輩の皆様へお礼申し上げます。ありがとうございました。