山下教授より

 

山下裕司

「20年間を振り返って」


教授就任から、20年間があっという間に経ってしまったというのが正直な実感です。この間、物心両面から教室を支えていただいた迷路会の諸氏に、心より感謝申し上げます。
大学改革や医療改革などの改革の荒波にもまれながら、なんとか教室運営を行なえたことに感謝しています。大講座制に始まり、独立行政法人化、大学院大学と、大学の環境は大きく変化しました。また、臨床研修制度改革により、最も大きな影響を受けました。最近の専門医制度改革もあり、思うように人材獲得ができないことが障害となり、人事が常に頭痛の種になりました。
 このような厳しい環境の中で、教授就任の時に立てた目標をどうにか続けてこられたのは、医局員の努力と協力であったと思っています。
目標の第一は、山口大学オリジナルの基礎研究を行うことです。ほとんどの医局員が、専門医の取得を第一としながらも、大学院に進学して、なんとか学位論文を仕上げてくれています。
 目標の第二は、サイエンスマインドを持った臨床医の育成です。臨床や手術の技術向上には、科学的な視点をも持つことが重要と考えています。多くの医局員が、学会活動や基礎研究を通じて、サイエンスマインドを磨いて、良き臨床医に成長していくことが教授の楽しみです。

 辛いことが多い20年間でしたが、嬉しい出来事もいくつかありました。その第一は、原 浩貴先生の川崎医科大学・教授就任でした。また、東海大学での、大上研二教授や酒井昭博准教授の活躍も、大きな刺激になりました。同門の先生が、各地で活躍していることも、大きな喜びです。さらに、多くの全国学会を主催できたことも、望外の出来事でした。  一方で、自分の不摂生とストレスから、約6年前に大病を経験しました。もともと体力に自信がありませんでしたが、最近では、無理ができなくなりました。
 ただ、体力に自信がないことも、悪いことではなかったかもしれないと思うようになりました。体力に自信があると、なんでも自分で行おうとして、結局は人材育成に大きなマイナスになったと思います。
 最近では、医局運営や診療科運営については、菅原一真准教授と橋本 誠講師に、ほとんどを任せています。

 これからの医療は、 AIなどの活用による自動化や省力化が進むと思います。このような環境変化の中で、耳鼻咽喉科が診療科として生き残るには、耳鼻咽喉科しかできない専門性の向上が必要です。
 最近、耳科手術指導医、鼻科手術指導医、頭頸部癌専門医・指導医などのサブスペシャリティー制度が確立されてきました。大学の医局としては、これらの資格を取得できる体制づくりが必須の課題となりました。
 私の残された任期は4年を切りましたが、なんとか全うしたいと思っています。残された期間に、耳鼻咽喉科専門医だけではなく、医局員がサブスペシャリティーの資格を獲得できる体制の整備をしたいと思っています。その上で、次の教授に円滑なバトンタッチをすることが、私の責務と考えています。
(迷路会誌より抜粋)

スタッフ

   教授山下裕司
准教授菅原一真(病棟医長・教育主任)
講師橋本 誠(外来医長・医局長)
津田潤子
助教堀 健志
藤井博則
竹本洋介
山本陽平
診療助教橋本智子
竹中裕紀
潘 友季
村上 忠
大学院生小林由貴(診療助教)
沖中洋介(助教)
岩本 文(診療助教)
西村省吾 (診療助教)
眞葡B也(長門総合病院)
松浦貴文(下関医療センター)
研修医
言語聴覚士中津愛子
福田 彩
事務職員三輪生子
三浦彩子
福永 綾
技術補佐員武藤和子
(2022年4月1日)

スタッフ写真


スタッフ集合写真(2022年4月)

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