2024 2023 2022 2021 2020 2019 2018
11月1日
10月3日付で新鉱物 セリウムバナジウム赤坂石 vanadoakasakaite-(Ce)(IMA2024-044)が国際鉱物学連合の新鉱物・命名・分類委員会によって承認されました。
Type localityは群馬県桐生市の茂倉沢鉱山。バナジウムに富む層状マンガン鉱床である本鉱山は長島石(1977年発見)や鈴木石(1978年発見)の産地として知られていましたが,今回の新発見で再び注目を集めるでしょう。
写真中央の褐色の柱状結晶 = 新鉱物「セリウムバナジウム赤坂石」です(FOV=2mm, 濱根大輔博士撮影)。
"赤坂石"の名前は私の恩師である島根大学名誉教授 赤坂正秀先生に由来します。"赤坂石"と命名したのは2013年で,今回同様,濱根大輔博士との共同研究でのことでした。その時のことは2013年4月2日のニュース(クリック先で下の方にスクロールしてください)にあります。鉱物データベース Mindatでは赤坂先生の写真入りで紹介されていますのでお時間がある方はどうぞ。
なお,今回の新鉱物発見については山口大学理学部HPにもトピックスとして紹介されています。
ちなみに今回で発見に係った新鉱物が10個になりました。積み重ねていくと増えるものですね〜。リストはPublication listの一番下にあります。
8月21日
いつのまにか8月後半です。
8月10日(土)にオープンキャンパスが開催されました。
今年の学科企画は志村教授と永嶌で担当しました。コロナ禍以降,オープンキャンパスへの対面参加は事前予約制になり,当学科の予約枠60名(=30名×2回) は早々に満席に!多くの高校生が地球科学に興味を持ってくれていることがうれしいですね(^^) 実際の参加者は計100名(=60名の登録者+付添者)に迫っていたはず(超えてたかも!?)。暑い中,関東や南九州など遠方から足を運んでいただいた方も多く,うれしい驚きでした。
学科企画では講義室+実験室+実習室+地球科学標本室の4会場をフル活用。
2名の大学院生の大活躍なしでは成立しない結構無謀な企画でした(;^_^A 参加者の方が楽しく過ごすことができたのは二人のおかげ。感謝!
写真は前夜の会場設営の様子です。偏光顕微鏡の準備が完了した地球科学実験室↓
標本室ツアーの拠点となる実習室には蛍光鉱物など自由に見て触って楽しいコーナーを↓
標本室で出題されたクイズの正解者(=全員)には「鉱物にも興味を持ってもらいたい!」と念を込めて(!?)準備したお土産を贈呈。裏に学科ロゴとQRコード入。
本番が始まると時間に追われて目まぐるしくあっという間に終わりました。
当学科では毎年違う教員がオープンキャンパスを担当するので,来年も今回とは全く違う楽しい企画が待っているはず。またのご来場お待ちしています〜(^^)
5月7日
論文が公表されました。
Nagashima, M., Morifuku, Y. and Mihailova, B. (2024)
Distribution of Sc3+ at the octahedral sites and its effect on the crystal structure of synthetic Sc-bearing clinozoisite on the Ca2Al3Si3O12(OH)Ca2Al2ScSi3O12(OH) join. Physics and Chemistry of Minerals, 51, 17
https://link.springer.com/article/10.1007/s00269-024-01280-x
オープンアクセスが推奨される昨今ですが,円安で断念。
含スカンジウム鉱物の結晶化学がテーマで,Scandiobabingtoniteの研究に続く第2弾。
スカンジウムは地殻中に比較的多く存在する元素ですが,濃集しにくいため鉱物中での挙動の検討が困難な元素です。スカンジウムはレアアースですが,Mg, Fe2+と似た挙動をすることが知られています。3価のスカンジウムが2価のMg, Feと似た挙動を示すことで,通常とは異なる置換関係を持つことが容易に想像できます。また,ランタン,セリウムなどのLREE3+を含む鉱物中での挙動も興味が持たれました。昨年,ポーランドからSc-クリノゾイサイトが発見され,Heflikiteと命名されましたが,この新鉱物を含め,これまで報告された含Sc緑簾石族鉱物はいずれもCe, Laがどっさり入っている上,FeやMnにも邪魔されてScがどこで何をやっているのかはっきりしないままでした。Fe, Mgのように6配位のみに入るのか,9-10配位の大きな配位多面体にも入り得るのかなど基本的な事さえ不明…
「無ければ作って確かめればいいじゃない!」ということで,トライアンドエラーを経て,単結晶構造解析が可能な大きさの含Sc-Czoの合成に成功し,スカンジウムの挙動と結晶構造変化を検討したというのがこの論文の大まかなストーリーです。
4月8日
Elements 4月号のSociety Newsに研究紹介が掲載されました。
10年以上取り組んできた岩城島のプロジェクトをResearch topic from JAMSとして紹介しました。
Nagashima, M. and Imaoka, T.: Where did the Li-enriched metasomatic agent come from? Metasomatic albitite from the Iwagi Islet, Southwest Japan. Elements April 2024, Volume 20, No. 2, Society News-JAMS
PDFはこちら。
このプロジェクトでは,村上石,フェロフェリホルムキスト閃石という2つの新鉱物の発見もありました。何より今岡照喜名誉教授から多くのことを教わりました。今後も鉱物学的観点から研究を継続します。
4月3日
3月21日に「最新 地学事典」(地学団体研究会編)が刊行されました。
28年ぶりの改訂版です。平凡社HPによると新規増補項目約3,000,総項目数約22,000で総ページ数は2046頁。価格は44,000円(税込)。お手頃価格とは言い難い…(◎_◎;)
「新版 地学事典」が刊行されたのが1996年で,1997年春に大学に入学した私はハンマー,クリノメーター,調査かばんと共に「新版 地学事典」(当時は出版記念価格で約20,000円)を手に入れました。正直,入学者当時の右も左もわからない状態でどさくさに紛れて強制購入させられたものの一つだったわけですが(もちろん支払ったのは保護者。入学早々すごい出費でしたね…ありがとうございますm(__)m),「新版 地学事典」は今日までしっかり現役で働いています。特に英語論文を読み始めた卒論〜修論の頃は索引を専門用語の英和辞典として活用していました。どさくさに紛れて買わせてくれた当時の先生方,ありがとう(笑)
↑本棚に並ぶ新旧地学事典。
大学院進学を考えている学生さんには特にお勧めしたいですが,下手すると家賃よりも高額な事典を気軽に勧められるわけもなく…非常に悩ましいです。学生向けに重要項目のみをまとめた廉価版があるととても喜ばれそうです(願望)。
今回の「最新 地学事典」では,新規7項目を執筆させていただきました。執筆の機会を与えてくださった先生方に感謝いたします。
春らしい陽気になり,大学でも桜が咲き始めました(^^)
今朝の理学部裏の桜の木の様子です。
明日の入学式にちょうどいいタイミングでしたが,お天気が悪いようです。うーん、残念。
来週から前期講義が始まります。束の間の静かな時間は終わり,目まぐるしい日常に戻ります。
3月28日
ずっと山口にいたはずなのに約1年ぶりの更新です。
3/22に卒業式が挙行され当研究室の秋本くん(M2)と吉岡さん(B4)も無事に卒業(^^)
二人とも地質系の専門職に就く予定です。大学で学んだ知識を活かして活躍してくれるでしょう。
↑2023年度地球圏システム科学科・地球科学分野卒業生。理学部前にて(坂口先生撮影)。
このままだと卒業式しか更新しないNewsになるので,4月からはもう少しマメな更新を心掛けます。
4月18日
約1年ぶりの更新です。
ハンブルク大学でのサバティカルから帰国しました。とても充実した滞在でした。不在の間,講義・実験・様々な業務を肩代わりしてくださった学科教員の皆さんには心から感謝しています。ドイツの思い出はまた別の機会に…
さっそくハンブルク大学での研究成果 第一弾が公表されました。
Nagashima, M. and Mihailova, B. (2023): Optimal Raman-scattering signal for estimating the Fe3+ content on the clinozoisite-epidote join. European Journal of Mineralogy, 35, 267-283.
興味がある方はこちらからDLしてください。
「特定のラマンピークの位置からAl-Fe系の緑簾石のFe3+量を見積もる」という非常にシンプルな内容の論文です。この論文で用いたラマンスペクトルは,本命の実験の実施前に取得していた予察的データで,結晶のFe含有量,結晶性,結晶方位などを評価するために"自分用"として使っていましたが,「あら、意外と便利!」ということで広く活用してもらえるよう公表に踏み切りました。この1年で取得したラマンデータ(本命の実験を含む)は今後順次公表予定です。ドイツ滞在中と帰国後の生活のギャップで記憶を失いかけていますが,前向きにがんばります…(;^_^A
少し前の話題になりますが…
3月23日に卒業式が挙行されました。
↑卒業を迎えた窪津さん(M2)とお祝いに駆けつけた秋本くん(M1)。秋本くんが持っているのは窪津さんの研究科長表彰の表彰状です。
窪津さんは1年間に指導教員不在という非常に困難な状況で,しっかりと研究を進めて,最終的に非常によい修士論文を執筆しました。研究成果の一部は秋吉台科学博物館報告に公表済です。また, 彼女は4年時から3年間にわたり多くの実験でTA(ティーチングアシスタント)を務め,後輩たちからも非常に頼りにされていました。引き続き新社会人として働き始めた彼女を応援したいと思います。おめでとう(^^)
先週からは前期講義が開始されました。サバティカルやコロナ禍などもあり,通常の講義は数年ぶりです。まだペースがつかめませんが,気合を入れて乗り切ろうと思います。今年度もよろしくお願います。
3月25日
3月23日に卒業式が挙行されました。
↑地球圏システム科学科・大学院地球科学分野の卒業証書授与。
↑当研究室の卒業生と(一人見当たらない…)。私が持っているのは伊藤くん(M2)の研究科長表彰の表彰状です。
このwebsiteの更新も不在の間はお休みとなります。(学内からしか更新できないため)来年の3月に更新を再開する予定です。
3月18日
年度末です。山口大学では来週23日卒業式が挙行されます。
今年度は初めから最後までコロナ禍の1年でした。難しい状況下での研究や就活に多くの学生さんたちが苦労していました。困難を創意工夫で乗り切った学生さんたちは,いつもよりもたくましく成長したように思います。すばらしい(^^♪
先日は秋吉台アカデミックセンターでの報告会が美祢市の秋吉公民館で開催されました。今回は当研究室の窪津さん(M1)に美祢市の住民の皆さんに向けて研究成果を発表をしてもらいました。聞き手を意識したわかりやすい発表で参加者の方々から高く評価いただきました(^^)
先週,2012年度卒業生の橋奈津子さんが家族(ご主人+1歳半の息子さん)で研究室に遊びに来てくれました。彼女は当研究室史上最も努力した人に認定されており(←私調べ),卒論での研究成果は学会誌に公表されています(卒論内容のまま学会誌に受理されるのはすごいこと)。当時から笑顔がステキな学生さんという印象でしたが,現在も全く変わらず。充実した毎日を送っているようでした。4月から仕事復帰とのこと,これからもずっと応援しています!
さて,私はというと4月から約1年間ドイツのハンブルグ大学で研究を行う予定です(科研費 国際共同研究強化Aによる)。コロナ禍に加えて,世界情勢が緊迫する中での渡航となります。予約していたフライトは情勢の悪化によりキャンセルされ(代替フライトの連絡待ち),渡航2週間前ですがスケジュールは決まっていません。地道に準備して渡航できる日に備えたいと思います。
不在の間,大学での仕事をカバーしてくださる地球科学分野の先生方には心より感謝いたします。ますます忙しくして本当に申し訳ない・・・(_ _)
12月29日
半年以上ニュースの更新を怠って,もう年末です。
今年1年お世話になった皆さま,ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。
今年もコロナに翻弄された1年でした。どこにも行けず,何も起こらず, なんとなーく楽しめない雰囲気で,ずっと雨が降りそうで降らない曇天が続いているような気分です。オンライン会議はすっかり定番になり,かえって会議が増えてしまったような…。そんな状況下でも研究室の学生,特に大学院生は各自研究を進めるだけではなく,後輩の指導やTAなどで1年間を通じて大いに活躍してくれました。感謝(^^)
あいかわらず懇親会などは難しい状況ですが,せめてケーキだけでも!と今年最後のゼミの後にみんなでいただきました。ファミマのケーキの後ろに見えるのはシャンパン風グレープジュースです。雰囲気大事!
みなさま,よいお年を!
5月6日
新年度に入って1か月経ちました。連休が明けて,再び日常が戻ってきました。
どこにも行けず,何も起こらず, スマホの写真も卒業式から増えていない状況…(;^_^A
連休中に何をしていたかというと,講義の録音に追われていました。このような状況なので履修者が就職活動や教育実習の前後に自宅待機を要求されるケースが想定されます。全ての講義を対面とオンライン並行で実施されればいいような気もしますが,大学のWi-Fiに一抹の不安が。実際,途中でブチっと切れてしまうこともありました。そして履修者全員が必ずしもリアルタイムで参加できるわけではありません。そのためオンデマンド用教材の作成を決意して,連休中に録音しました。これまでもいくつかオンデマンド用に講義動画を作成してきましたが,ヘッドセットでは音質がイマイチ。ということで,今回は新たにマイクを購入しました(パッケージにYouTubeに最適と書いてありました)。しかし,大学や自宅でPC画面に向かってマイクをもって講義をするのはなんと孤独なことか。やはり講義もコールアンドレスポンスが大事!と痛感した連休でした。あぁ,またライブに行ける日は来るのかな…。
4月2日
新年度になりましたが,年度末を少し写真で振り返ってみましょう。
2020年度卒業式が3月23日に無事挙行されました。"無事"と書かなければならないのが辛いところ。卒業式が中止になった昨年度は,後日オンライン卒業式が実施されました。当たり前が当り前じゃなくなってしまうということを痛感した1年でしたね。
↑坂口先生が4年生の集合写真撮影中↑(ちゃんとした写真は理学部HPの地球圏ニュースにおまかせ) 袴・振袖姿が華やかですね♪
↑当研究室のお二人もステキな袴姿。1年間ほぼ毎日過ごした思い出の実験室で。
近年,卒業式の時期に桜がほぼ満開。来週の入学式ではすでに葉桜でしょうね。
↑最後に青空と理学部1号館。
卒業生の皆さん,新しい環境で新たに多くの人と出会って色々なことを吸収して自分の糧にしてくださいね。皆さんの活躍を願っています。
今年度もがんばります…(^^;
2月19日
15・16日に開催された発表会を無事に乗り越え,昨日はついに卒論の最終提出日でした。提出された論文は製本されて学科の図書室で保管されます。
これで開放されたー!と思ったのも束の間…まだまだやることは山積み。本研究室の岡谷さんと窪津さんは1年間のデータ整理に余念がありません。
午後には年度末恒例の「石捨て」が行われました。写真↓は本日午前中の様子。廃棄予定の岩石がスタンバイ。
2月1日
卒論・修論提出日です。
本研究室の4年生2名も無事に提出しました。次は2週間後の発表会に向けて準備です。
1月8日
雪模様の山口市です。本日午前中の理学部1号館周辺です。
15時現在-2℃とのこと。
1月6日
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
ふつうで穏やかな1年になってほしいなぁ。←願望
12月28日
論文が受理されました。
Nagashima, M., Morishita, Y., Imoto, Y., and Imaoka, T.
Ore and skarn mineralogy of the Eboshi deposit of the Naganobori copper mine, Yamaguchi, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (in press)
ここ数年継続して取り組んでいる長登銅山スカルン鉱床の記載学的研究の論文(第一報)です。森下さん(2017年度卒論)と井本くん(2018年度卒論)の研究成果を元にしています(二人とも現在は地質系コンサルタントで活躍中)。スカルン鉱床の記載学的研究は5-6年前から本格的に始めて,学生とともに勉強の日々です。2018・2019年の日本鉱物科学会でポスター発表をした際には,多くの方からご助言をいただきました(コアタイムを余裕で超過!)。心より感謝申し上げます。
しかし,2020年の受理論文の内容・手法は,鉱床記載,ラマン分光,粉末・単結晶構造解析,メスバウアー分光と見事にバラバラ…知りたいことを知るために手段を選びません…(笑)
これでスッキリと年越しを迎えられそうです(^^♪
12月24日
昨日は修士論文中間発表会@大学会館大ホールが行われました。当研究室の伊藤くん(M1)も発表が終わってひと段落。
例年,クリスマスは研究室でたこ焼きを焼いたり健全なランチパーティーをしますが,コロナ禍のため今年は中止。せめてケーキくらいは…ということで,本日は研究室メンバー計4名でおやつにクリスマスケーキをいただきました。写真は躊躇なくズバッとケーキをカットする伊藤くん(←本日誕生日(^^♪)。
こんなにどこにもいかない年は始めてでした。新しいデータがほとんど取得できない状況で,これまで後回しにしてきた難解なデータと向き合った1年でした。振り返ると,2020年はいつも通りの1年だったら出来なかったことが出来た年といえそうです。
12月2日
論文が受理されました。
Nagashima, M., Armbruster, T., Nishio-Hamane, D., and Mihailova, B.
The structural state of Finnish Cr- and V-bearing clinozoisite: insights from Raman spectroscopy. Physics and Chemistry of Minerals (in press)
ハンブルグ大学でのサバティカル研修(2018年4-7月)の主な研究成果です。私にとって初めての本格的なRaman spectroscopyを用いた論文です。正直かなり複雑な内容で原稿を書く段階で本当に頭を抱えました(-_-;) 勉強不足を痛感。
本研究試料であるFinland Outokumpu産の低結晶性Cr-V-クリノゾイサイトとは,2008年にBern大学でポスドクをしていた時に出会って結構長いお付き合いです。この天然における放射性元素に起因しない結晶性低下の原因の解明は,Thomas Armbruster教授から解決を託された課題のひとつでした。2017年頃に分光学的な観点からこの課題に取り組もうと決めて色々と論文を読み漁っていた時にハンブルグ大のBoriana Mihailova教授のグループの論文を読んで「この先生の研究室ならばやりたいことができるかも?!」とピンときて共同研究をお願いしました。広い心で受け入れてくれたBorianaと研究室メンバーに感謝♪ これからも共同研究は続きます。
11月9日
島根県美保関町古浦が鼻産の新鉱物「Ferriprehnite」(IMA2020-057)が11月3日付で承認されました。
承認されるとこのようなお手紙が届きます↓
発見秘話については,共同研究者の濱根さん@東大物性研電顕室が詳しく紹介していますので, そちらをどうぞ。
古浦が鼻産の"PrehniteのFe置換体"は,1992年の日本鉱物学会における加藤昭先生らによる発表でその存在が指摘されていました。それから28年...ついに国際的に承認され「Ferriprehnite フェリぶどう石」と正式に命名されました。
古浦が鼻をはじめとする島根半島の変ドレライト中のFeに富む変質鉱物群の研究は,私の師匠である赤坂先生(島根大学名誉教授)の研究室で長い時間をかけて少しずつ進められてきました。私の1年先輩の橋本さんはまさに古浦が鼻産ぶどう石を研究対象にしていましたし(Akasaka et al. 2003),私自身も大学院生の頃に三津・古浦が鼻産のFeパンペリー石の研究(Nagashima et al. 2006)を行いました。その後,後輩の木村くんが卒論で古浦が鼻産バビントン石を研究対象にしていました(Akasaka et al. 2013)。しかし,全貌の解明にはまだまだ道半ば…ということで,山口大に来てからも島根半島に分布する変ドレライト中のFeに富む変質鉱物をしつこーく研究していました。2012年度卒論生の岩佐さんは,三津産ぶどう石の産状と結晶化学的研究に一生懸命取り組んでくれましたし(永嶌・岩佐・赤坂, 2016,2018),その後の研究は今回の新発見の共著者の一人でもでもある大学院生の伊藤くん(M1)にしっかり引き継がれています。彼の地道な調査と記載によって産状や化学的特徴の詳細が明らかになり,共同研究者の濱根さんと田中さんの協力で迅速に新鉱物申請が進みました。感謝(^^♪
伊藤くんには今後ますます張り切って研究を進めてもらいましょう!
6月26日
論文が受理されました。
Nagashima, M., Sano, Y., Kochi, T., Akasaka, M., and Sano-Furukawa, A.(2020)
Crystal chemistry of Sr-rich piemontite from manganese ore deposit of the Tone mine, Nishisonogi Peninsula, Nagasaki, southwest Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 115, 391-406
2013年度卒業生の河内貴子さんと2014年度卒業生の佐野優子さんの研究成果を元にした論文です。河内さんには記載学的研究,佐野さんには結晶学的研究をメインに頑張ってくれました。(鉱物記載については今後公表出来たらいいな…。) とにかく,彼女たちの1年間の頑張りを論文として公表することができてよかったです(*^_^*)
やっと2014年までたどり着いた…成果公表を心待ちにしている卒論生のみなさん,時間がかかってゴメンなさい(/ω\) 頑張ります…。
6月24日 (地球圏システム科学科講義・実験などの実施状況について)
オンライン講義継続中の山口大学です。ほぼ準備期間なしに4月末からオンライン講義が開始され,5月のGW明けには当学科のほぼすべて専門科目(講義)で対応できていたと思います。一方,実験・実習について先が見えない状況が続きましたが,理学部では1か月ほど前から許可を得た一部の実験・実習講義のみ少人数での対面実施がみとめられるようになりました。
私が担当している偏光顕微鏡を使った実習もその一つです。1学年を4グループに分けて(7−8名/グループ)通常よりも時間を短縮して実施しています(=私は同じ内容の説明や実習を4回繰り返す)。学生さんが来る前の部屋の換気・掃除,顕微鏡や使用する物品のアルコール消毒をなどが新たな仕事として加わりました。完璧な対策とは言えませんが安心して講義を受けられるように心がけています。また実験時間短縮の弊害を小さくするのにTeaching Assistantのベテラン大学院生に大活躍してもらっています。彼らのおかげで,私が説明をしている最中でもわからないことをすぐに質問できる,顕微鏡の不具合などにもすぐに対応してもらえるなど,学生さんたちが困った時に直ちに問題解決できる体制で臨むことができています。
実習で観察する岩石薄片(クロスニコル)の例。各写真の横幅約0.6mm。
私の担当する講義ではリアルタイムのオンライン講義と動画をアップするオンデマンド講義を使い分けています。オンデマンド講義の利点は,何度でも視聴できることです。実際「わからないところを繰り返し聞くことで理解できた」という声もありました。一方,対面講義では全体の様子や理解度をみながら進めますが,オンラインではそれが難しいです。そのため,Zoomをつかったリアルタイム講義では,Zoomの反応機能(拍手やgoodが表示できる)を使って理解できた時にはドンドン反応してもらうようにお願いしています。(一番反応が良いのは,「ちょっと早いけれど今日は終わろうかな…」と言った時というのはナイショ(笑)) また,各自の取り組む姿勢によって理解度の差が大きくなることを懸念しています。これは今だけの問題ではなく,今後ボディーブローのように効いてくるはずです。
このような状況で色々な困難に直面しますが,日々よりよい方法を模索しながら講義・実験・実習を前向きに実施しています。
5月7日
論文が受理されました。
Nagashima, M., Armbruster, T., Akasaka, M., Sano-Furukawa, A., Nishio-Hamane, D., Malsy, A., Imaoka, T., and Nakashima, K.
Multi-methodical study of the Ti, Fe2+ and Fe3+ distribution in chevkinite subgroup minerals: X-ray diffraction, neutron diffraction, 57Fe Moessbauer spectroscopy, and electron-microprobe analyses. Physics and Chemistry of Minerals (in press)
ここに至るまで長い道のりでした。本当に大変だった…。
これはVESTA3(Momma and Izumi 2011)で作成したchevkiniteの結晶構造図。
Chevkiniteの化学式はCe4(Ti, Fe2+, Fe3+)5(Si2O7)2O8と表されます。この鉄とチタンが入っているところが曲者。
この鉱物の研究を始めたのは山口大学に着任して間もなくの頃なのでもう10年以上前です(-_-;) 2011年に公表したferriallaniteとともに足摺岬の閃長岩中に産する鉱物として出会いました。FeとTiに富むchevkiniteは遷移元素の挙動と構造変化を研究対象にしている私にとって非常に興味深い鉱物で,多様な環境でLREEリザーバーとしての役割を持ちます。この点もそれまで研究していた緑簾石族鉱物と共通しており,軽い気持ちでchevkiniteについて勉強を始めることに。(初めは研究対象ではなく,純粋に勉強してみよう!と思っただけ…) 論文を読んでいるうちに想像以上に複雑で多くの問題を抱えた悩ましい鉱物であること,さらに先行研究には様々な問題があることなどが見えてきました。これは運命の出会いかも…?と自分を納得させて,研究に取り組むことにしました。様々な問題を解決するために多角的アプローチは必須で(論文のタイトルに書きたくなるくらい(笑)),とにかくデータ収集と解析に時間がかかり,論文を書く段階になってもどこから手を付けたらいいのか?と立ちはだかる大量のデータを前に七転八倒しました。今回ようやく形になり,協力いただいたみなさんにいい報告ができて安心しました(*^_^*)
大学はあいかわらず閑散としています。学生さんもオンライン授業を受けながら,自宅待機を継続しています。アルバイトがなくなったり,シフトが減らされたりして収入減に困っている学生さんは本当に多いです。これから少しずつでもいい方向に向かうことを願っていますが,先が見通せないので,学生さんたちの悩みをスッキリ解決できるようなアドバイスもできず何とも言えません。
4月24日
大学では対面授業禁止,学生の登校自粛が続いています。
当研究室の学生は原則テレワーク。どうしても実験室を使用したい時には他の学生と使用時間が重複しないよう調整するなど,入退室管理,体調管理とともに様々な対策を取っています。皆で努力はしていますが,卒論・修論の進捗の遅れは深刻で,通常通りに戻った時にどれほどのツケがくるのだろう…と今から頭が痛いです。就活への影響も甚大で,就活生はとても不安だろうと思います。一日も早く平和な日常が戻りますように。
わたしたち教員はというと…授業がないからヒマ!なんてことは全くなく,慣れないオンデマンド講義の準備,オンライン講義などに四苦八苦しています。いつも以上に神経をすり減らして大して何も進んでいないのにクタクタです。座学の講義はオンライン化で可能な限り進めていますが,履修者の理解度はどれほどのものだろう?と心配しています。もちろん会議もゼミもすべてオンラインです。最近は椅子に座る時間が長くて太い脚がむくんでますますパンパン( ;∀;) 何より地球科学分野で実習・実験関係の講義が一切できない状況は非常に厳しいです。私も前期は顕微鏡を使う実習を担当しています。オンラインで写真や動画で見せることはできますが,室内の実習であっても自分の手を動かして始めて習得できるものだと思います。
最後に先ほどの大学構内の様子です。本来ならば人であふれかえっている時間ですが誰もいません。学生さんたちはしっかり外出自粛を守っているようです。
3月26日
山口大学では24日に卒業式が挙行される予定でしたが,残念ながら中止に。
それでも当研究室を卒業する二人は袴姿♪ 楽しみにしていた袴,着られてよかったですね。卒業おめでとうございます!(^^)!
大学構内にはこんな撮影スポットがありました↓
12月20日
2019年も終わりが近づいています。今年も研究室で健全なノンアルミニクリスマスパーティー!
メインは南部鉄器で焼く外はカリカリ中はジューシーなたこ焼き。みんなかなり上手にたこ焼きコロコロしていました。タコだけではなく、海鮮・キムチ・チーズ・餅など中身のバリエーションもたくさんありました。美味くいただきました。
その後もホットケーキミックスを使ったチョコ入り鈴カステラがでてきたり…最後はケーキで締め!
12月4日
前回ニュース更新からあっという間に半年経ちました。
卒論も終盤に入り追い込みの時期になり,卒論生もバタバタし始めました。
先日,大学の広報誌Academi-Qの取材に協力しました。この広報誌は学問の面白さを知ってもらう目的で昨年創刊され,山口県内の小学校に通う児童に配布されています。学生記者さんが取材に基づいて記事を書いていて,とても分かりやすい内容になっています。分野も多岐にわたっているので大人の方も十分楽しめます。お時間がある方は是非どうぞ!
6月17日
新鉱物「アルミノ杉石 (Aluminosugilite)」承認に関して,山口大学からプレスリリースしました。
「アルミノ杉石」はイタリアLiguriaのCerchiara鉱山産のもので,1976年に村上允英先生によって愛媛県岩城島から発見された「杉石」の亜種にあたります。岩城島の「杉石」はうぐいす色ですが,今回の「アルミノ杉石」は鮮やかなピンクがかった紫色です。
↑イタリアCerchiara鉱山産「アルミノ杉石」(写真横幅約1センチ)
↑愛媛県岩城島産「杉石」(うぐいす色の部分。写真横幅約2ミリ)
それぞれの理想化学式は
アルミノ杉石:KNa2Al2Li3Si12O30
杉石:KNa2Fe3+2Li3Si12O30
と表されます。違いはAlとFe3+です。岩城島産「杉石」のうぐいす色はFe3+による色です。一方,Cerchiara産「アルミノ杉石」はAlが最も多く存在しますが,ともに少量のMn3+>Fe3+が含まれます。ピンクがかった紫色は主にMn3+による発色と考えられます。同じ種類の鉱物でも含まれれる元素の種類によって異なる色を呈します。宝石として知られるエメラルドとアクアマリン,ルビーとサファイヤはその典型です。
「杉石」「アルミノ杉石」は同じ原子配列(=結晶構造)を持ちます。
↑「杉石」「アルミノ杉石」の結晶構造図(drawn with VESTA3, Momma & Izumi 2013)
これまで結晶構造解析の研究を通じて様々な鉱物の結晶構造図を描いてきましたが
,この結晶構造のかわいらしさ,カッコよさは格別です(^^♪ (私だけ?)
本研究の詳細は大学からのプレスリリース,今後の公表論文(準備中)をご覧ください。
4月8日
前回更新から3か月以上あいてしまいました。すみません。
本日から前期講義期間が始まりました。
最近の出来事
1.新鉱物承認
詳しくは後日。
2.新3年生の「野外実習」
今年度は「野外実習」担当なので,22名の履修者+川村先生と野外調査に行ってきました(8泊9日)。9月下旬にも調査が予定されています。調査地域は須佐高山付近です。前半調査の最終日に周辺住民の皆さんの前で成果を発表しました。
3. 4年生の卒業
当研究室の井本くんも卒論提出,発表会を経て無事に巣立っていきました。今後は社会人として活躍してくれることを期待しています。がんばれー(*^-^*)
1月4日
本日仕事初めです。今年もよろしくお願いします。
12月27日
今年最後の研究室ゼミの後にささやかで健全なクリスマスお茶会(ノンアル)。
12月20日
昨日,修士論文中間発表会が大学会館大ホールで行われました。
中間発表会終了後には「地質系業界説明会」が開催されました。地質系企業27社が一堂に会する国内最大の地質専門説明会で,特にこれから就活を始める3年生やM1の学生にとって貴重な機会です(来年も開催しますので興味ある地質系企業の方はご連絡下さい!)。当研究室を2016年度に卒業した原田さん(東興ジオテック株式会社),2017年度に卒業した森下さん(株式会社フジヤマ)も専門知識を活かして働く先輩としてそれぞれの企業のブースで説明を担当していました。彼女らが社会人として活躍している姿を見ることができて私もうれしかったです(*^-^*) 二人もこのような形で再会できたことを喜んでいました。他にも懐かしい卒業生に何人も会うことができました(田中研の新開さん,澤井研の森下くん,今岡研の山縣くんなど)。みんな自分の仕事に誇りを持っていて,後輩たちにそれを一生懸命伝えている姿が印象的でした。
11月8日
パンペリー石族鉱物の論文が2編公開されました。
〜Julgoldite, Feに富むパンペリー石族鉱物〜
Nagashima. M., Cametti, G. and Armbruster, T. (2018)
Crystal chemistry of julgoldite, a mineral series of the pumpellyite group: Re-investigation of Fe distribution and hydrogen-bonding. European Journal of Mineralogy, 30, 721-731.
〜Poppiite, Vに富むパンペリー石族鉱物〜
Nagashima, M., Matsumoto, T., Yamada, T., Takizawa, M., and Momma, K. (2018)
Crystal chemistry of poppiite, V-analogue of pumpellyite, from the Komatsu mine, Saitama Prefecture, Japan. Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 113, 251-262.
Julgolditeは昨年7月のNEWSに受理報告と電顕写真を掲載しました(受理後〜掲載までに1年以上)。組成の違う同じ種類の鉱物を系統的に検討することは,その鉱物グループだけではなく類似する特性をもつ鉱物に対する理解も深めます。今回のPoppiiteの研究では,先行研究〜Julgolditeの研究で得られた新知見を基に確立した解釈を支持する重要な結果が得られました。あーよかった(笑)
パンペリー石は変成岩などでよくみられる鉱物のひとつですが,Fe, Vに富む種類は非常に稀です。特にpoppiiteは世界でも3−4例しか報告例がなく,日本では今回研究した埼玉県小松鉱山に産するのみです。その上,バナジウム含有量世界一のpoppiiteであることからその形成条件などの解明が待たれます!
10月22日
前回のNewsからちょうど2か月経ちました。早い。
後期に入ったら落ち着いて地道に研究を進める予定でしたが,なんだか浮草のようにフワフワと集中力を欠く今日この頃。誰より私が気合を入れなおさねば…!
後期授業開始直後の10月3日に卒論の中間発表会(ポスター形式)が行われ,当研究室の井本くんもしっかり発表しました。コアタイムではお客さんが途切れることがなく,あっという間の1時間だったとのこと。よかったよかった!中間発表が終わると卒論も終盤です。ますます勢いをつけて頑張ってもらいましょう。
当学科では3年後期に研究室配属が行われます。当研究室にも3名の仲間が加わりました。お互いに充実した1年半を過ごせればと思います。これから肝心の研究テーマを決めなければいけませんが,本人の興味,こちらの狙い,1年間で見込まれる成果,向き不向き(!) …などを考慮して決断します。事前にいくつか準備していてもかなり悩みます。今回もまだ思案中です。
1か月ほど前のことですが,山形大学で行われた日本鉱物科学会に参加しました。
名物「芋煮」を学会の懇親会で,そして後輩に連れられて「冷やしラーメン」をランチでいただきました(これも有名らしい)。
写真は私がオーダーした冷やし薬膳ラーメン。
8月のIMA@メルボルンで自分の研究は発表する機会があったので,今回は森下さん(2017年度卒)の卒論の成果をポスターで紹介しました。
多くの方に足を運んでいただき,たくさんのアドバイスやコメントをいただきました。感謝!
最後に...近所で購入した秋の和菓子。ニャンコさん,眼力すごい(笑)
8月22日
8/13-17に開催された国際鉱物学会 IMA2018@メルボルンに参加しました。
今回はKeynoteで30分間講演しました。
日本が夏ということは…メルボルンは冬。朝晩は冷えていましたが,日中は15-20℃の快適な気候でした。
会場でArmbruster研究室で一緒だったRosa(左:現Bremen大ポスドク)とGeorgia(右:現Bern大Assistant)に再会。Georgiaは2か月前にスイスで会ったばかり。Rosaは3−4年ぶりかな。変わらずエレガントなRosaとアクティブなGeorgia。なんだか太陽と月のような二人。研究者としてアクティブな彼女らを尊敬しています。これからもこの関係は続いていくでしょう。
今回,Edward Grew先生と直接お話しする機会に恵まれました。以前から私の公表論文に関して興味をもっていただき,この1年はメールで数回やり取りしていました。いずれお会いできればうれしいと思っていたので,先生のご講演後に待ち伏せしました(笑) 今回は私の講演にも足を運んでいただき,感想とご意見をメールでくださいました。感謝!
街はヨーロッパの街並みと現代的な高層ビルが共存している不思議な景観。Flinders-Street駅は伝統的なヨーロッパ建築。
セブンイレブンをたくさん見かけました。売っているものは日本とは違いますが,間違いなくセブンイレブン。他にもユニクロ,無印良品,DAISOがありました。あとお寿司屋さんをいたるところで目撃しました。日本人にとってはおなじみのものが多くてメルボルンは暮らしやすいかもしれません。しかし物価が高い…。
学会会場で提供されていたビール。変な動物が書いてあるよーという話になり,調べてみるとタスマニアタイガー(絶滅種)とのこと。
以前から食べてみたかった「バラマンディ」を大好物のルッコラとともに。とてもおいしい白身魚>゜))))彡
私がバラマンディを食べている横で後輩たち(濱田さん@金沢大+江島さん@信州大)は「カンガルーステーキ」をモリモリ食べていました。一口もらいましたが…赤身の牛肉+遠くに獣の気配。ビーフと言われれば気づかないかも。
以上,IMA2018@メルボルンでした。
今年はドイツ,オーストラリアと海外出張が続きました。来月は鉱物科学会@山形大。これで旅は一区切りです。その後は滞っている論文執筆と研究を地道に落ち着いて進めたいです(←願望)。
7月28日 その2
久しぶりの更新です。
4月20日〜7月20日までサバティカル研修のためハンブルク大学(ドイツ)のProf. Mihailova研究室に滞在しました。7月23日(月)から大学で通常勤務を再開しましたが,今はとにかく北ドイツのさわやかな夏が恋しいです。
研究のことは置いておくとして…楽しい北ドイツ滞在を写真で振り返ってみましょう。
すてきな人たちとの出会いがありました。大学は緑であふれ,食事はじゃがいもであふれていました(笑)
大学内の様子。とにかく緑がいっぱいで,いつも鳥のさえずりが聞こえていました。
平日は木陰でパソコン作業に没頭する学生さんたちが多くみられ, 休日は親子連れと犬たちの憩いの場に。子供や犬が駆け回っていました。
ドイツと言えばジャガイモ(=主食)です。ドイツ人曰く「じゃがいもはヘルシーで体にいい」とのこと。用途に応じて様々な品種を使い分けています。美味しいのは認めますが…私には多すぎる。フライドポテト,マッシュポテト,ゆでジャガイモ,スライスされた焼きジャガイモ,じゃがいもサラダ…手を変え品を変え油断したらジャガイモだらけに。写真は大きなジャガイモ1個+サラダが組み合わせ出来るランチです。これが今回のジャガイモ料理No.1☆
もう一つのドイツ名物「ウインナー」です(ドイツ語でWurst ブルスト)。BBQ
では肉と同じ存在感で大きなブルストが焼かれています。写真はカレーブルスト。確か元々ベルリン名物でスタンド(屋台)で立ち食いが定番です。ケチャップベースのカレー風味のソース(かなり味が濃い)にパンがついて,これがコーラと合う(もちろんビールとも合う)。(実はビールの写真が1枚もなかったんです…撮る間もなく飲んだんですね。今回はDucksteinというビールが気に入りました。上面発酵のアルトビールで褐色です。)
Mineralogyグループです。中央に移っている中国人phDのHanさんのphD Defenceの後の集合写真。一番左の女性が今回私のHost researcherになってくださったProf.Mihailova(ブルガリア人)。今回の渡航以前に直接の面識はありませんでしたが,Mihailova教授の論文を読み,この先生の研究室ならば私が知りたいことが知れる,やりたいことができそうだと感じたので直接メールでホストになってくださるようにお願いして,快諾いただきました。物をはっきり言う裏表のないさっぱりした方で,議論していてとても気持ちのいい先生です。グループセミナーを通じて他のメンバーとも面識を得て,期間中に発表のため2度登壇しましたが,とても面白い議論を時間無制限で繰り広げていただきました。楽しかった!
大学のゲストハウスに滞在しました。様々な分野の研究者が世界中から集まっているので,ランドリールームで偶然会う人と研究のこと,それぞれの国のこと,ハンブルクのおすすめスポットやワールドカップについてなど色々な話をしました。
滞在期間中にはDESY(ドイツシンクロトロンラボラトリー)を訪問しました。ハンブルク大学のMineralogyグループの一員でかつDESYのビームラインサイエンティストでもあるDr. Paulmannに案内してもらい普通はなかなか入れないところまで見学させていただきました。 今回は測定する機会はありませんでしたが,今後は測定でもお世話になる予定です。
ハンブルク観光と言えばまずは市庁舎。立派な市庁舎の前の広場にはブルスト,ポテト,ケバブ,中華,アイスクリーム屋,お土産屋などのスタンドが多くあります。通りかかったらアイスクリームを買って,市庁舎を見ながらのんびり食べるのが私のお決まりパターン。ドイツ人のアイスクリーム好きは想像以上で,暑い日は老若男女がアイスクリーム屋の前で列を作っています。歩きながらアイス!,ダブル・トリプル当たり前!街のいたるところにアイスクリーム屋さんが!!しかもかなりレベルが高いです。
アルスター湖は外アルスター,内アルスターに分かれており,遊覧船やヨットなどがたくさん。写真は外アルスターの遊歩道から。街の南側にはエルベ川も流れています。
滞在期間中に2泊3日でベルン(スイス)出張しました。山口大学着任前の2007-2009年(2年半)にポスドク〜AssistantとしてArmbruster教授研究室でお世話になりました。その後も現在まで共同研究を続けています。毎回のことですが,料理が得意なArmbruster教授はいつも自らキッチンに立って腕を振るってくれます。左からArmbruster教授,Georgia(Dr.Cametti:ベルン大学Assistant,アクティブなサバサバ系イタリア人), 私,Vladi(私たちのスーパー技官。彼がいれば装置のトラブルはたちまち解決!)です。Georgiaとは8月半ばのIMA2018@メルボルンで再会予定。
最後にMihailova教授との2ショット。最後の日には「さよならは言わないわ。またすぐに会うし,これからも一緒に研究するから。すぐに帰っていらっしゃい!」と言っていただきました。写真からも仲良しぶりがうかがえますね。
以上,写真で振り返るハンブルク滞在でした。
7月28日 その1
下記の論文が受理されました。
Nagashima, M., Nishio-Hamane, D., Nakano, N., and Kawasaki, T. (2018)
Synthesis and crystal-chemistry of mukhinite, V-analogue of clinozoisite on the join Ca2Al3Si3O12(OH)-Ca2Al2VSi3O12(OH). Physics and Chemistry of Minerals. (in press)
永嶌 真理子 (2018)
リチウムに富む含水準輝石族鉱物「村上石」の結晶化学.(Crystal chemistry of a new Li-analogue of hydrous pyroxenoid, “murakamiite”.) 結晶学会誌, 60, 72-73.
3月30日
本日,桜満開です。
3月27日
ちょうど1週間前,3月20日に卒業式が挙行されました。当研究室の2名も無事に元気に旅立っていきました。
4月から社会人として新しいスタートですね!
二人から「これで癒されてください」とハーバリウムをいただきました。
こんな感じで私のコレクションたちと一緒に鎮座しています。
3月14日
卒論発表会・提出を無事に乗り切った4年生は企業の研修や引越準備,友だちとの思い出作りに追われています。学科の追いコンや石捨てといった恒例イベントも行われ,年度末といった感じで,2日前の後期入試も無事に乗り切りほっと一息です。
ここ1週間はたまったデータを整理しつつ,形(=論文)にする作業を少しずつ進めています。遅々として進みませんが…。来年度のことはまだ考えないことにしています(笑)
1月16日
遅ればせながら…あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。
業務や査読に追われてアッという前に1月半ばです。卒論生は1月31日の提出に向けて初めての論文執筆に追われています。今年度は論文提出後に発表会が行われるので(昨年までとは逆)少々勝手が違います。
昨日,中村さん(2014年度卒)が結婚報告を兼ねて久しぶりに顔を出してくれました。いい意味であいかわらずの中村さんでとても楽しい時間を過ごしました。
今年はIMA2018@メルボルンで発表予定です。4年に1回の国際鉱物学会(IMA)ですが,これまで2002@エジンバラ(スコットランド),2010@ブタペスト(ハンガリー)に参加しました。2002年のIMAの時は大学院生(M2)…あぁなつかしい。M2の私は無謀にも初の国際学会でオーラル発表に挑戦! 発表自体は無事に乗り切れたものの,質問に答えられず悔しい思いをしました。2010年のブタペストは山口大学に着任した年で,ポスドク時代のボスや同僚たちと再会できた楽しい学会でした。はたしてメルボルンはどうなるのか…。
2018年は旅が多い忙しい1年になりそうです。
2010-2017年のニュースはこちら