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2010-2017年


2017

9月5日
めずらしく2日連続の更新です。
7月11日付のNewsで報告したPrehniteの論文がOnline公開されたので,先日別刷りを岩佐さん(2012年度卒)に送付しました。すると昨日,岩佐さんからお礼の手紙と地元宮崎の「五ヶ瀬ワイン」が届きました。ありがとう、大事にいただきます(^^♪ 彼女の手紙には責任ある仕事を任せられるようになったことが書かれており,元気に活躍している様子が伝わってきました。
大学にいると研究室出身者に限らず卒業生がひょっこり顔をだしてくれることがあります。社会人として活躍や子育ての様子を聞くと大人になってる!と感じる部分も多いですが,その反面,変わらない部分も多くて笑っちゃいます。(卒業生は私を見て「年取ったなー」とか思っているはず(-_-;) でも大人になっているから口にださない(笑)) 卒業生のみなさん,近くに来たら遠慮なく立ち寄ってくださいね。


9月4日
論文が受理されました。
Nagashima. M.,Imaoka, T., Fukuda, C. and Pettke, T.
Relationship between cation substitution and hydrogen-bond system in hydrous pyroxenoids with three-periodic single-chain of SiO4 tetrahedra: pectolite, murakamiite, marshallsussmanite, serandite and tanohataite. European Journal of Mineralogy (in press)
前回に続き,再びEuropean Journal of Mineralogyです。この論文はイタリアを代表する結晶学者Prof. Giovanni Ferraris,Prof. Stefano Merlinoの80歳記念号に掲載されます。研究の詳細は論文をご覧いただくとして…

Studied specimens
研究に用いたペクトライト,marshallsussmanite(白色針状結晶), セラン石(褐色)のサンプル写真です。下のNa-Li, Ca-Mnの関係図でみると,これらはいずれも左側にプロットされるNaが多いグループに属します。右側の田野畑石,村上石はLiに富む種です。これをみると田野畑石と村上石の間にもう1種類存在する可能性大!ということが一目瞭然です。

Compositional relation

サンプル写真中央のMarshallsussmaniteと共生している紫色の鉱物は「杉石」です。2016年12月12日のNewsに掲載した愛媛県岩城島の「村上石」も「杉石」と共生します。写真を見比べてもらうと一目瞭然ですが,同じ「杉石」であるにも関わらずこの2つは全く色が異なります。愛媛のものは鉄が入ることでうぐいす色になり,南アフリカのものはマンガンを含むため紫色になります。遷移元素の量や組み合わせで同じ鉱物でも色が変わるのはお約束ですね。ルビーとサファイヤがいい例です。

最後になりましたが,貴重な田野畑石の薄片をご提供いただいた濱根大輔博士と本論文の執筆機会を与えてくださったProf. Massimo Nespoloに感謝いたします。


7月31日
論文が受理されました。
Nagashima. M., Cametti, G. and Armbruster, M.: Crystal chemistry of julgoldite, a mineral series of the pumpellyite group: Re-investigation of Fe distribution and hydrogen-bonding. European Journal of Mineralogy (in press)
本論文は,Fe-analogueのパンペリー石であるジュルゴルド石の結晶化学的研究に関するものです。2試料のジュルゴルド石のうちひとつは,5月のJpGUで発表した毛の生えたバビントン石(ドイツ産)をSEMで観察していた際に発見されました(柱状結晶の集合。写真横幅約400ミクロン)。

julgoldite from Kreimbach/Kaulbach, Kaiserslantern, Germany
パンペリー石族鉱物は低変成作用などで産するメジャーな鉱物の一つであるにも関わらず,化学組成の複雑でかつ非常に細粒であるため研究が難しく未解明な点が多いのが現状で,今回はその状況を少しでも打開するために共同研究者と検討を進めました(かなり悪戦苦闘しました…)。本論文では2試料のジュルゴルド石のX線単結晶構造解析結果を報告しましたが,これらは44年前に公表されたAllmann & Donnay(1973)に続く2例目です。研究成果の詳細はいずれ公表される論文をご覧いただければと思います。


7月11日
論文が受理されました。
Nagashima. M., Iwasa, K. and Akasaka, M.: Crystal chemistry and oxidation state of Fe of Fe-rich prehnite from hydrothermally altered dolerite. Mineralogy and Petrology (in press)
本論文は,2012年度卒業生の岩佐清香さんの卒論がもとになっています。彼女はFeに富むぶどう石の産状記載と結晶化学的特徴をテーマに卒論を行い,前半部分である記載学的研究については2016年に島根大学地球資源環境学研究報告に公表済でしたが,今回,後半部分に当たるぶどう石の結晶化学的な検討に関する研究が国際誌 Mineralogy and Petrology (Springer)に受理されました。彼女に研究報告の別刷りを送付した際にも「結晶化学的な検討についても必ず形にするので気長に待ってて!」と伝えていました。約束を果たせてホントによかった!(^^)!
今後も研究室の皆さんの頑張りを一つでも多く形にしたいと思います。

先日紹介したResource Geology"BEST ARTICLE AWARD2016"受賞のニュースが,山口大学HPと理学部HPに掲載されました。

6月27日
1か月ぶりの更新です。
2015年11月25日付のニュースでResource Geologyに掲載された大和鉱山と於福プルトンに関する論文について紹介しました。そのうち今岡研究室の大学院生である佐々木由香さんを筆頭著者とした於福プルトンに関する論文がResource Geology(資源地質学会の国際誌)の"BEST ARTICLE AWARD 2016"に選ばれました。
受賞対象論文 Sasaki, Y., Imaoka, T.,Nagashima, M., Nakashima, K., Sonehara, T., Yagi, K., and Itaya, T. (2016): The Cretaceous Ofuku pluton and its relation to mineralization in the western Akiyoshi Plateau, Yamaguchi Prefecture, Japan. 66, 85-113.
佐々木さん,おめでとうございます(^◇^) 今後のさらなる活躍に期待しています!

賞状
詳報は後日,大学HP・理学部HPで。


5月26日
ずいぶんご無沙汰しました。すっかり夏模様の山口です(室温30℃超!)
5/19-23までJpGU and AGU Joint Meeting(地惑連合)参加のため幕張に滞在していました。7年ぶり(?)のJpGU参加でしたが,ずいぶん規模が大きくなっていました。学会というよりお祭りのよう。今回はめずらしくポスター発表を行いました。

ポスター会場
企業ブースの向こう側にポスターボードが並んでいます。朝早いのでほとんど人はいませんでしたが,コアタイムになると人人人ですごい熱気です。しかし,これだけ大きい会場だと自分の発表場所を探すだけでも一苦労(-_-;)

私の講演題目は,
Nagashima, M and Nishio-Hamane, D. "Babingtonite with epitaxial hedenbergite whiskers" (SCG73-P02)
でした。
本研究のテーマは,"バビントン石板状結晶とその板上に成長する単斜輝石の関係の解明"という非常にシンプルなものでした。先行研究で指摘されていたエピタキシー成長の可能性に関して,TEM観察で直接的な証拠を押さえて,そこで決定された方位に基づいて結晶構造との関連や形成メカニズムを考察しました。実際,この研究で最も難しいのは観察用サンプルの準備だったはずです。文句も言わずに引き受けてくれた共著者の濱根さん(東大物性研)の高い能力と技術力なしには研究の成功はあり得ませんでした。ホントにありがとう、濱根さん!
本研究の成果はMineralogical MagazineのPre-publicationとして公表されています。
Nagashima. M. and Nishio-Hamane, D.: TEM study of the epitaxial association of hedenbergite whiskers with babingtonite. (in press)

JpGUは幅広い地球科学関連分野の国内外の研究者に加えて,高校生や学部生も多いため「よりわかりやすく!」を心がけました。公表済や印刷中の研究成果については,可能な限り配布資料作成しています。今回の配布資料はこちら→ 日本語版英語版

今回は,同じセッションで当学科の大学院生も発表していました。

ポスター会場
岩石学の研究室に所属しているM岡さんが議論中です!
学会会場では,専門書の販売,最新装置の紹介や研究所の最先端に触れられるブースが多くあります。その中で私はマニアックな手ぬぐいと便箋を購入(^-^)

ポスター会場
今回のJpGUでは他大学の研究者の方々にもお会いでき,とても有意義な時間を過ごせました。


3月1日
早いものでもう3月です。
卒論生の指導がひと段落して,束の間の休息=サイエンスの時間です。日々会議や業務をこなし,新4年生の指導をしつつ,自分自身の研究データを見直したり,論文や今後の実験・分析の構想を練っています。(期間限定:2月後半〜3月末)

卒論生3名は2月15日に無事に卒業論文を提出し,現在は各自この1年で得た膨大な研究データをまとめているところです。
学生たちには「データまとめまでが卒論!」と言ってきました(まるで「家に帰るまでが遠足」のようですね…)。データ整理されて初めて石は"研究試料"に,数字は"分析値"になります。たとえ卒論1年間であっても,多くの方の支援や協力,さらに共同利用の実験装置などを利用して初めて研究できます。そのため研究で得られたデータは本人だけのものではないことを十分理解してもらう必要があります。特にこの分野は自然界から研究試料を分けていただくわけですから,なおのことです。ということで,頑張ってデータまとめを進めてもらいましょう!

歴代の卒論たち
実験室の書棚に歴代卒論が整然と並んでいます。箱の中身は観察・分析データや参考文献などです。


1月16日
大寒波の影響で昨日から雪模様の山口市です。
遅ればせながら,あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

大学が1年で最も忙しい時期(1-2月)に突入しました。
現在は今週末の卒論発表会に向けて講演要旨やプレゼンテーションの作成に追われています。本来はこちらが忙しいわけではなくて,発表者が忙しいわけですが,どういうわけでしょうか…(笑)

2016

12月12日
本日,リチウムを含む新鉱物「村上石」の発見について山口大学海洋研究開発機構(JAMSTEC)ジェムリサーチジャパンからプレスリリースを行いました。今回の新鉱物の発見は,今岡照喜教授を中心に進めたきた岩城島のアルビタイトに関するプロジェクトの成果の一つに位置付けられます。「村上石」は著名な鉱物学者・岩石学者である村上 允英(のぶひで) 山口大学名誉教授にちなんで命名されました。

村上石
中央の針〜柱状の無色透明の結晶が今回の主役である「村上石」(LiCa2Si3O8(OH))!(写真横幅2ミリ)
この鉱物は。約 2.5 wt.%のリチウムを含みます。隣のうぐいす色の鉱物は「杉石」で,1976年に村上先生が命名されたものです。こちらもリチウムを多く含みます。

岩城島のアルビタイト
こちらが村上石を含むアルビタイトという岩石です(写真横幅9センチ)。
アルバイト(曹長石)を多く含む珍しい岩石です。岩城島のアルビタイトは世界有数の高リチウム岩体といえるでしょう。

以前から岩城島のアルビタイトには含水準輝石グループに属する"ペクトライト"(NaCa2Si3O8(OH))という鉱物が含まれていることが知られていました。含水準輝石はナトリウム-リチウム置換体がよくみられる種であるにもかかわらず,ペクトライトのリチウム置換体は長らく未発見でした。(ちなみにペクトライトは1828年に有効な鉱物種であると認定されています。古いですね〜)そのことはずっと頭の片隅にありましたが,リチウムを多く含む岩城島のアルビタイトの共同研究を始める際に今岡先生のお話をうかがっていて「ペクトライトのリチウム置換体が存在するとしたらこの岩石だ!」と感じました。それから約1年,直感は確信に・・・。例えるならば,パズルの最後の1ピースがばっちりはまったときのような感覚でした。
しかし軽元素であるリチウムを分析することは容易ではありません。そこでJAMSTECの木村純一上席技術研究員や常 青(Qing Chang)技術主任,そしてジェムリサーチジャパンの福田さんというエキスパートの皆さんに協力を依頼し,快く引き受けていただきました。共同研究者の皆さんの協力なくして,新鉱物発見〜承認にはたどり着けませんでした。

この岩城島のアルビタイトの研究はこれからも続きます。今回の「村上石」の発見からもわかるように,この岩石は大量のリチウムを含みます。しかし,リチウムがいつどこからきて,どのようにしてこの岩石にとどまったのかは未解明です。今後も今岡先生を中心にグループ一丸となって,この特殊な岩石がどのようにして形成されたのか?などさらなるミステリーに挑んでいきます。


10月25日
すっかり秋模様の山口です。怒涛の夏休み期間が一瞬にして終わり,後期授業期間が始まって3週間経ちました。
10月5日に卒論中間発表を終え,4年生の卒論も終盤に入ってきました。気を抜かずに頑張ってほしいです。今日は当研究室の原田さんのお誕生日ということで,午前中のゼミでしっかりお祝いしましたよー。22歳おめでとう!

9月下旬に行われた日本鉱物科学会@金沢大で「日本の石」が選定され,私も清き一票を投じてきました。水晶(石英)との決選投票の結果,日本の石は「ひすい(ひすい輝石およびひすい輝石岩)」になりました。一般に広く知られているので,日本の石として相応しいと思います。

8月5日
無事に前期授業期間終了。
来週は某大学で集中講義を行います。1日5コマ×3日間連続なのでかなり大変そうです(履修する学生も大変でしょう)。そのようなわけで前期が終わったにも関わらず講義の準備に追われています。
昨日は学生からのリクエストで"100円ではない回転ずし"で就職をお祝いました。来週私が不在の間もお寿司パワーで頑張ってくれそうです。

7月30日
まもなく前期授業期間も終わりを迎えようとしています。すっかり夏模様の山口です。
当研究室の学生3名は無事に希望通り進路が決まり,ようやく特別研究(=卒論)に専念できる状況になりました。10月頭の中間発表会に向けてこの夏休みが勝負ですね。
最近話題の「ポケモンGO」旋風は学内でも吹き荒れており,夜な夜なスマホをもって学内を徘徊する学生たちがたくさん見られます。理学部前の火山弾がポケストップ(?)になっているという噂も耳にしました。ポケモン世代ではないので私にはさっぱりわかりませんが,学生に聞くと(今のところ)ものすごく楽しいそうです。
私がスマホで重宝しているのは,モバイルSuicaです。土地勘のない出張先で切符売り場で巨大な案内板を見上げて自分の降りる駅を探すのは結構やっかいでした。気が向いた時に無駄なく乗ったり下りたりできる交通系電子マネーは重宝しています。全くの趣味ですが,ワインのデータベースアプリvivinoは,ラベルの写真を撮るだけで銘柄・産地・年などの情報を読み込んでくれる上,世界中の人たちのレビューが見れて興味深いですよ。

4月23日
卒業式から約1か月が過ぎ,前期講義も始まりました。
昨日は大学時代の後輩の勤める企業に分析装置をお借りするために足を運びました。これからデータ処理をすすめますが,色々と学ぶことがありました。お忙しいところご対応いただいたことに感謝いたします。

今年度の当研究室の卒論生は3名です。それぞれ就活や卒論にがんばって立ち向かっています。
毎回卒論に共通するテーマは「しっかり見てみよう」です。なんだか間抜けな書き方ですが,野外での調査,肉眼での試料観察,顕微鏡下での観察,そして化学分析という全てのスケールで自分でしっかり観察することが卒論には大事で,そこで"何か"に気づく事,ひっかかることが研究の第一歩だと考えています。 この「気づき」は教えて分かるというものでもないので(これが悩ましい!),しっかり自分の感性をこの1年でピカピカに磨いてほしいと思います。この能力はきっと社会に出ても役に立つでしょう。

3月24日
一昨日,山口大学の卒業式が行われました。当研究室の松本くんも無事に卒業証書を手にしました。

仲良しコンビ松本くんと佐藤くん

島根大学地球資源環境学研究報告に永嶌・岩佐・赤坂による「島根半島三津地域に分布する熱水変質ドレライトに産するぶどう石の産状と化学組成の関係」が掲載されました(リンク先からDL可)。先日,岩佐さんに別刷りを送付したところ,お礼と近況報告をいただきました。彼女が卒業して丸3年になりますが,変わらず元気に仕事を頑張っている様子で良かったです。がんばった卒業論文は少しの後押しで論文として公表できることが多いので,今後も学生さんたちの頑張りをひとつでも多く形にしていければと思います。

いろんなことに追われている間にあと一週間で新年度…早すぎる!


3月7日
3月5日(土)に島根大学の赤坂正秀教授の最終講義,退職記念パーティーに出席しました。
最終講義はいつも専門講義が行われる学科の講義室(なつかしい!収容人数約80名)で行われましたが,立ち見がでていました。ご講演のタイトルは「鉱物科学と自然の弁証法」で,先生らしい講演でした。前半に大学院時代にお世話になった先生方,諸先輩方について熱弁を振るっていたら,全く時間が足りなくなり後半は駆け足に。パーティーの時間も迫っているため,最終講義にも関わらず「時間がないので飛ばします」の連続。最後に大学の在り方,学科のあり方など最終講義ではあまり聞かない話まで飛び出して,これも先生らしいな…と。その後のパーティーの参加者は,赤坂研究室出身者約20名,その他卒業生10名強,スタッフ,ご来賓の方などをあわせて60名くらいだったと思います。私も同級生やたくさんの研究室の後輩たちに再会し,とても楽しい時間を過ごすことができました。

最終講義
三瓶領域長による赤坂教授の経歴紹介

記念品贈呈
濱田さん・江島さん・五石さんによる記念品贈呈の様子


2月17日
19日の卒論提出に向けて当研究室の松本くん(4年生)は毎日奮闘中です。ここ数日で論文の全体像がようやく見えてきました。添削しながら,日本語の難しさを感じています。

昨日ニュースで「日本地図した伊能忠敬と測量団を支援した日本各地の協力者1万2千人がデータベース化されて公開された」という記事を読みました。子供の頃,伝記本の中にあった「伊能忠敬」を読んで(昔は立派な人物の伝記本や昔話・おとぎ話の本がずらーっと本棚に並んでいましたが,最近はどうなんでしょう?!),「日本中を歩いて地図を作るのはすごく時間がかかったのだろうな。大変だっただろうな。」と子供心にのんびり想像していました。あらためてWikipediaなどで調べるとその期間は約17年で,しかも50歳を過ぎてから測量を開始したということ。以前,九州国立博物館で伊能図の復元を見たことがありますが,その精密さと美しさに驚愕しました。あれだけの地図を作成するのに地元の人々の協力が不可欠であることは想像に難くありません。
公開されたデータベース「伊能測量旅程・人物全覧」には,宿舎や出迎人などが書かれており,大変詳細に記録されていること,またそれがきちんと保管されてきたことに感心しました。ためしに私の出身地である福岡をみてみると・・・なんと1812年第8次調査でご先祖様が伊能忠敬測量団の「案内」を買って出ていたことが判明。1日限りですけどね。まさか今になって,我が家と子供の頃伝記で読んだ「伊能忠敬」の接点があきらかになるとは。こんなことってあるんですね。

2月9日
2016年が始まって1か月以上経ちましたね。ご無沙汰しています。
今日は修士論文発表会が行われました。本日の主役の大学院生(M2)が大学に入学した時に着任したので,あれからもう6年…。
当学科では12〜2月にかけて,3年生の進級論文発表会,4年生の卒論発表会,M1の修士論文中間発表会,M2の修士論文発表会と怒涛の発表会シーズンを迎えます。 本日の総括で金折先生がおっしゃっていましたが,研究内容と発表スキルは学年を追うごとに着実にレベルが上がっていきます。頼もしいですね。

☆櫻井賞受賞記念の研究紹介が次号の岩石鉱物科学に掲載予定です。
永嶌真理子 (2016) 「三重県伊勢市菖蒲から発見された3種類の褐簾石族新鉱物」

☆島根大学地球資源環境学研究報告(赤坂教授定年退職記念号)に下記の論文が掲載予定です。
永嶌 真理子・岩佐 清香・赤坂 正秀「島根半島三津地域に分布する熱水変質ドレライトに産するぶどう石の産状と化学組成の関係」
本論文は岩佐清香さん(2012年度卒)の卒論の前半部分に基づくものです。彼女の卒論の後半部分については公表に向けて現在鋭意執筆中です。
今,岩佐さんの卒論を読みかえすと「こんな難しいことをやっていたの!?」と驚きます(論文2編分です)。彼女は自分のアイディアをしっかり持った研究に向いた人でした。決して成績のいいタイプではなかったのですが(笑) 先のことを考えて要領よく仕事ができる人なので,きっと今はその能力を活かして活躍していることでしょう。

2015

12月30日
私個人の今年最大のニュースは「櫻井賞」受賞でした。
この受賞がご縁となって2015年後半は多くの方々と新たに出会うことができました。
またここ数年ずっと格闘していたスカルン鉱床の鉱物記載学的研究が形になった事も2015年の一つの重大な成果です。今後も勉強しながら研究を進めたいと考えています。
いろいろ心残りや反省はありますが,2016年は心機一転,いい研究成果をあげられるよう精進します。


11月25日
山口県美祢市於福地域に位置する大和鉱山と於福プルトンに関する論文がそれぞれResource Geologyに受理されました。
秋吉石灰岩の周辺部には多くの銅鉱床が存在しており,奈良の大仏さまの建造に貢献したことで有名な長登銅山はその代表です。今回の研究対象である大和鉱山は秋吉石灰岩分布域の西端に位置します。今岡教授研究室の大学院生が中心となり熱源である於福プルトンの岩石学的研究を進め,私は形成された鉱床の記載鉱物学的研究をおこないました。来年のResource Geology 1,2号に掲載予定です。是非ペアで読んでいただきたい論文です。

大和鉱山に産する鉱石鉱物,スカルン鉱物に関する記載鉱物学的研究
Nagashima M., Akasaka, M. and Morifuku, Y.
Ore and skarn mineralogy of the Yamato mine, Yamaguchi Prefecture, Japan with emphasis on silver-, bismuth, cobalt-, and tin-bearing sulfides.
於福プルトンに関する岩石学的研究
Sasaki, Y., Imaoka, T., Nagashima, M., Nakashima, K., Sonehara, T., Yagi, K., and Itaya, T.
The Cretaceous Ofuku pluton and its relation to mineralization in the western Akiyoshi Plateau, Yamaguchi Prefecture, Japan.

於福プルトンの研究の筆頭著者である佐々木さん(今岡研究室)は,昨年度博士前期課程を卒業して,現在は地球科学系専門職で活躍されています。
今回査読結果の中にMine Cityはわかりにくいといういう指摘がありました。英語で書くとYamato mine, Mine Cityですから,確かにミネだかマインだか混乱します(-_-;) (外国の方は100%"マインシティー"と読むでしょう) 美祢市には長い歴史を持つ鉱山がたくさんあるので,Mine(マイン) Cityとして売り出しましょう! …というのは冗談ですが,今後も研究を継続して, その面白さと学術的価値を知ってもらえるように私も頑張ります。
ちなみに美祢市には,銅山だけではなく,秋吉台・秋芳洞,昆虫や植物の化石,大嶺炭田などたくさんの地質学的みどころがあり,今年の9月にジオパークに認定されました。詳しくはMine秋吉台ジオパークwebsiteをご覧ください。

今回の大和鉱山の研究では,鉱山の所有者の方に試料採集をご快諾いただきました。心より感謝いたします。

10月1日
後期授業が始まりました。早いですね(-_-;)

先日の鉱物科学会2015年年会(東京大学)で「櫻井賞」(第42回)を頂きました。櫻井賞は新鉱物の研究の貢献に対して授与される賞で,これまで錚々たる先生方が受賞されています(wikipediaに受賞者一覧あり)。 この度,その末席に加えていただくこととなり,身の引き締まる思いです。
受賞対象鉱物は以前ここでも紹介した三重県伊勢市から発見された「フェリ赤坂石」ならびに同地域から発見された2種(ランタンバナジウム褐簾石,ランタンフェリアンドロス石)です。共同研究者である濱根さん(東大物性研),皆川先生・冨田くん(愛媛大学),稲葉さん(鉱物研究家)に心から感謝いたします。

櫻井賞の賞状とメダル

メダルの刻印


7月30日
Thomas Armbruster教授の定年退職のフェアウェルパーティーに招待いただいたので,先週4泊6日でベルン(スイス)に行ってきました。
到着翌日はさっそくThomasの自宅の庭でBBQ。料理が得意な彼は自ら肉を焼き,サラダやソースを作って大忙し。とても定年のパーティー前日だとは思えないほど日常の光景。ThomasとGabi(奥様),そしてRosa, Georgia, Anyaと一緒に飲んで語っているうちにあっという間に夜が更けて,終電にどうにか駆け込みました。

翌金曜日はついにフェアウェルパーティー。参加者は約80名(アジア人は私ひとり)。
会場はベルン州の自然史博物館(閉館後に貸切)。オープニングはガーデンで乾杯!

アルペンホルン
さすがスイス!アルプホルンのプロフェッショナルによる演奏。

会場の様子
会場の様子です。一番手前の後ろ姿の男性は私がドイツにいたときにお世話になったCharles Geiger教授(現Salzburg大学)。翌日,インドカレーをご一緒しました。(スイスは意外とインドカレー屋が多いです。ドイツはトルコのケバブ屋が多いですが…)
この後,ぞろぞろレクチャーホールに移動。

レクチャーホール
レクチャーが始まる前の会場。最前列向かって左端でカメラ目線なのが,Eugen Libowitzky教授(Wien大学),右から3番目の青シャツがDiego Gatta教授(Milano大学)。後ろの方に私も写っていますね。「最終講義」と思いきや,Thomasが本日のゲストをユニークな思い出とともに紹介する演出でした。エンターテイナーの彼らしいやり方です。私も紹介いただきました。

その後は アルプスの巨大水晶やオマーンの隕石などに囲まれての立食パーティー,ミニクラシック演奏会(バイオリン・ビオラ・チェロの三重奏)を経て,最後の最後に研究室の現メンバーからのサプライズプレゼントが登場。どんなすごいものが出てくるかと思いきやそれはなんと
三つ又の足がついた椅子!
研究室では"Thomasの椅子"と呼ばれていて,毎朝10時のコーヒーブレイクで必ず彼はこの椅子に座っていました。そして彼以外はこの椅子には決して座らないのです。研究室のメンバーは必ず知っていることです。

Thomasに贈られたサプライズプレゼント

なんと椅子!
きれいに磨かれた表面には結晶構造のフレームワークとともに"Mineralogische Kristallographie Bern Prof. Dr. Thomas Armbruster"と刻印されています。思い出の詰まった三つ又の椅子は唯一無二のお金で買えないものですね。

フェアウェルパーティーでは,これまでメールでしかやり取りしていなかった共同研究者と初めて会ったり,懐かしい友人や知人との再会で本当に大忙しでした。(先日紹介したPerettiite-(Y)のDr. Perettiともお会いしましたよ。) このパーティーに招待してくれたThomasに心から感謝です。今後もまた一緒に仕事ができるといいなと思っています。

パーティー会場でこっそり彼からhorseshoe(蹄鉄)を渡されました。彼の馬が使用していたもので,幸運を運ぶお守りです。35度の炎天下でMarikoのために磨いたよ(笑)とおっしゃっていました。大事にします。素晴らしいボスに感謝。


5月13日
相変わらず日々に追われております。

昨日,共同研究者のRosaから申請していた新鉱物が承認されたという連絡がありました。
Perettiite-(Y) (IMA No.2014-109)という新鉱物で,名前はAdolf Peretti博士(GRS Gemresearch Swisslab)に由来します。理想式はY2Mn4FeSi2B8O24で,何とも奇妙な黄色(からし色に近い)の長柱状結晶です。このPerettiite-(Y)は,ミャンマー有数の宝石の産地であるMogokから,Phenakiteの包有物としてみつかりました。(話によると100個のPhenakite結晶に1つにあるかないかくらいの頻度とのこと。お持ちの方はさがしてみては?!)
かなり気難しい鉱物で,まず化学式の決定にかなりの時間を要しました。重たいレアアースが大量に含まれるだけではなく,Bや少量のリチウム・ベリリウムなどの軽元素も多く含みます。さらにその上,鉄とマンガンまで!どんだけ困らせれば気が済むのだ…。EPMAではピークオーバーラップが厳しく,LA-ICP-MSと併用することでどうにかこうにか正しい化学組成を導くことができました。(私は今回化学組成班でした)
次は結晶構造。昨年サバティカルでベルンにいたときにちょうどRosaが結晶構造を解いているところでした。「一見,正方晶系…だけど全然解けない!」とプリプリ怒っていました(笑) その後「真の晶系は(50/50の擬メロヘドリー)斜方晶系」であるという結論に至り,ThomasとRosaの手によって無事に構造が解かれました。
以上,Perettiite-(Y)苦労話。詳細は公表論文をお待ちいただければと思います。

4月6日
新年度が始まりました。出張でばたばたしているうちに桜が満開になり,ゆっくり見る間もないまま雨で散ってしまい残念です。
当研究室には4年生の松本真澄くん(通称 マスミン)が新たに配属されました。あとは2名の大学院生と私だけの4名小さなグループですが,みんなで楽しく充実した時間を過ごせればと思います。1年間頑張りましょう。
本日はそんな学生さんたちが私の37回目(!!!)のお誕生日を祝ってくれました。サプライズ!春らしい花束とケーキをいただきました。

誕生日にいただいたお花
花はビーカーに…もはやお約束ですね。


2月22日
卒論発表会(1/24,25)とその後の執筆期間〜卒論提出(2/20)を無事に乗り切りひと段落したところです。
卒論に加えて,未記載隕石の記載学的研究と分類を行った秋田さんとマンガン団塊の構造と化学組成を研究した中村さんには日本地質学会西日本支部@山口大学でポスター発表してもらいました。(論文提出の翌日にも関わらずがんばって準備!)

翌日の出動を静かにまつポスターたち
写真は発表前日,実験室で静かに出動を待つポスターの様子。
今回のポスターはいずれも記載学的な研究です。「物を観察すること」は最も初歩的ですが,非常に重要です。特に当研究室の卒論生には試料をよく観て,観察に基づいて自分の意見やアイディアを出してほしいと常々言ってきました(奇想天外・奇妙奇天烈もどーんとこい!)。教科書や論文を読んで勉強することも重要ですが,自由な発想こそが研究のスタート地点だと私は思います。
当研究室の4名の女子学生のみなさん,1年間よくがんばりました。次のステージでもさらに大きく羽ばたいてください。


1月8日
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
研究室のゼミは仕事始めの5日からすでに開始。現在,4名の卒論生は今月24・25日の卒論発表会に向けて「もっと早くからやっとけばよかったー」という定番のセリフを発しながら急ピッチで作業を進めています(笑)
私自身も2014年は残念ながら学生さんの研究成果を公表論文として発表することができなかったので,今年こそは自分メインの研究も進めつつどうにかしようと思っています。

2014

11月26日
約2か月ぶりの更新です。
10月下旬から1か月間ベルン大学(スイス)のThomas Armbruster教授研究室に滞在しました。Thomasを始めとする気心のしれたラボのメンバーとの仕事は楽しく充実しており、 今後の展開が楽しみな課題が複数あります。私は…というと,どっさり宿題を抱えて日本に戻ってきました。充実した1か月は光より速く去っていった気がします。あちらでは11月初めからクリスマスのディナーとイベントの相談が始まっていました(気が早い…)。

Kornhaus橋からみえるベルン旧市街とアルプス
Kornhaus橋からみえるベルン旧市街とアルプス。
この時期は曇天と霧のベルンですが、この日は貴重な晴れ。アルプスがきれいです。向かって右の(いつも)修復工事中の教会はBerner Muesnter,左手前はSt.Peter und Paul教会。Berner Muensterは,1421-1588年にかけて建設された後期ゴシック様式の教会(プロテスタント)。St.Peter und Paulは1858-1864年にベルンで初めのカトリック教会として建設されたとのこと。

観光用レトロトラム
週末に観光用のレトロトラムが走っていました。

Bearpitのだるそうな熊
熊公園のベアピットにいる熊。ベルンという名前は熊に由来しています。

スイス〜成田の帰国便で、美しい緑色のオーロラがみえました。
卒論生も追い込みの時期に入ってきました。私も気持ちを切り替えて頑張ります。


9月29日
先日,バリー・ロザー先生(島根大学)の退職記念パーティーに出席させていただきました。
ロザー先生には,大学院生の頃からお世話になりっぱなし。嫌な顔ひとつせず英語の原稿を丁寧に添削してくださいました。その数は公表論文だけでも10編以上。さらに英語で執筆した修士論文・博士論文も添削していただきました。どれだけ感謝してもしきれません。私が未だに英文校閲知らずなのは,バリー先生や現在の共同研究者のおかげです。ロザー先生は日本での18年の教員・研究者生活を終えて,ニュージーランドに帰国されるとのこと。これからはますます充実した毎日を送っていただければと思います。

パーティーの際には,徳岡教授,山内教授,沢田教授など懐かしい先生方ともいろいろとお話しすることができ,非常に楽しい時間を過ごしました。


8月12日
いつの間にやらもうお盆です。前期授業が終わって早一週間。え、もう一週間?もはや記憶喪失状態…。
共著者の方から受理の連絡がありました。おめでたい(*^_^*)
Danisi, R.M., Armbruster, T., and Nagashima, M.
Structural intergrowth of merlinoite/phillipsite and its temperature dependent dehydration behaviour: a single crystal X-ray study. Mineralogical Magazine (in press)
筆頭著者のDr. DanisiことRosaは,Armbruster教授研究室に所属するアクティビティーの高いイタリア人女性美人若手研究者(ホント)。Armbruster教授とはポスドクとしてお世話になった2007年以来(出会いは2002年IMA),ずっとご縁が続いています。 彼と仕事をすると「面白い」「研究したい」と強く思います。

7月1日
今日から7月。この時期,地元福岡は博多山笠。この時期になると「飾り山の時期だなぁ」と本格的な夏の到来を感じます。
下の写真は数年前に撮った櫛田神社(キャナルシティの横)の飾り山。通年で飾り山があるのはここだけです。
櫛田神社の飾り山

昨日,共同研究者の方から論文受理されましたという明るいニュースが。筆頭著者であるドクターの大学院生には,今後もどんどん活躍してほしいと思います。今後も可能な限りサポートします(^o^)

6月22日
地球圏システム科学科のロゴが誕生しました。
地球圏システム科学科ロゴ(カラー) 地球圏システム科学科ロゴ(モノクロ)
やはり地質系のロゴにハンマーはつきものですね。逆断層と火山(微妙に形が違う)も日本の地質学的特徴を象徴しています。さらに右側には県北の名勝「須佐ホルンフェルス」。 山口県の地質は「地質の教科書」といわれ, この須佐ホルンフェルスだけではなく,すぐに思いつくだけでも,言わずと知れた秋吉台(鍾乳洞・化石),阿武火山群,美祢の昆虫化石・無煙炭,長登地域の銅鉱床,喜和田に代表されるタングステン鉱床などがあります。今回は,このような多数の候補から巡検や進級論文で親しんでいる「須佐ホルンフェルス」がデザインに採用されました。
これからこのロゴが親しまれて,学会のポスターなどで見かけることが多くなればいいなと思っています。
7月1日追記:山口大学理学部HP内の地球圏システム科学科のページからロゴデータがダウンロードできるようになりました。

6月5日
前期も折り返しの時期になりました。
私の担当する「地学英語」(3年前期必修)では,先週中間テストを行ったところです。この講義は,卒論〜大学院にかけて英語論文を読むのに必要な専門用語や論文によくみられる表現などを修得するという目的で行っていますが・・・察してください(涙)
正直,まじめな学生ではなかった私ですが,それでも「大学ってもっと自分で勉強するところじゃないの?」と感じる今日この頃。

当研究室の学生4名には,4月にラボノート(エントリーモデル)を渡しました。いつも私が言うのは「自分自身が一番信用ならない物忘れの激しい人間だ!と思ってノートを書くべし」ということ。私自身の経験に基づくものです(-_-;) データ整理や記録が自然と日々の日課として学生の身についてくれればと思います。
マメ知識:実はコクヨのラボノートはコクヨと山口大学と共同開発商品です。

5月7日
前期授業が始まって早1か月。どうにか軌道に乗ってきたところでゴールデンウィーク。気分的に振り出しに戻った感もありますが。
当研究室の卒論生は,連休前に「ゆっくり休んで」と私が明言したにも関わらず,いろいろと作業をしていた様子です。

少し前に共同研究者からの招待メールを機に研究者のFacebookとよばれる「ResearchGate」に登録しました。共同研究者やポスドク時代の友人たちの近況を知ることができて便利ですし,励みにもなります。さらに公表している論文リストの中で,「どの論文が一番読まれているか」や「どの国からアクセスされているか」がわかるなどとても興味深いです。

4/2付でプレスリリースをしたランタンフェリ赤坂石の発見について,恩師である赤坂教授のHPに「赤坂石発見!」という若干暑苦しい記事がありました。 お時間がある方はどうぞ

4月9日
前期授業が始まりました。さっそく朝1コマ目の担当講義に出動。
卒論生も本格的に卒論に取り組み始めています。
そんな卒論生の皆さんからうれしいサプライズプレゼントをいただきました。
昨夜は「これから1年頑張りましょう会」+ 実験のためこちらに滞在されている「川嵜先生歓迎会」と称して,研究室の懇親会を湯田温泉の伊酒屋「マーレ」で行いました。食事も終盤に差し掛かったところで4月6日に誕生日を迎えた(年女の)私のためにケーキと花束が!!(直前から不審な行動をする女子学生が1名おりましたが…。) ろうそく大3本+小6本を挿したケーキを前にバースデーソングまで歌ってもらいました。

頂いた花束
花束は紅簾石をイメージしたピンクとのこと(笑) お花は自宅に飾っています。
女子力の高い女子学生たちに感動しました(;O;) 学生のみなさんにサプライズでお祝いしていただけるなんて幸せな先生ですね、私。
これから1年一緒にがんばりましょう。


4月2日
あっという間に新年度になりました。今年度も(どうにか)がんばります。

本日,新鉱物「ランタンフェリ赤坂石」「ランタンフェリアンドロス石」の発見に関するプレスリリース(pdfが開きます)を行いました。東京大学物性研究所の濱根大輔博士,愛媛大学の皆川鉄雄教授研究室との共同研究の成果です。

ベメント石と共生するランタンフェリ赤坂石 or ランタンフェリアンドロス石
写真:ベメント石と共生するランタンフェリ赤坂石/ランタンフェリアンドロス石(黒褐色柱状結晶)

昨年4月の「ランタンバナジウム褐簾石」に続き,伊勢市矢持町からなんと計3種の緑簾石族鉱物の新鉱物\(◎o◎)/ この旧マンガン鉱山からは新鉱物「伊勢鉱」も2012年に発見されていますので,計4種類の新鉱物が発見されたということになります。
今回の新鉱物には共同研究者の方のご厚意で,私の指導教官である島根大学 赤坂 正秀教授の名前を命名することが出来ました。先生の研究室で卒論で「紅簾石の合成実験」というテーマを渡されたのが2000年の春のことでした。あれから14年。まさか緑簾石族鉱物に先生の名前を命名することになるとは…想像もつかないことが起こるものですね。
 今回の新鉱物「ランタンフェリ赤坂石」「ランタンフェリアンドロス石」の化学組成は非常によく似ており,A1サイトに卓越する陽イオン種がCaであるか,Mn2+であるのかで名前が変わります。見た目でどちらか区別ができないのが残念なところですね(-_-;) しかし,このように複雑な鉱物だからこそ発見が難しく,化学分析やX線などを使った結晶構造解析を行ってどんな元素がどれくらいどこに入っているかを決める必要があります。

結晶構造図
上図:ランタンフェリ赤坂石 or ランタンフェリアンドロス石の結晶構造図 (VESTA3; Momma and Izumi 2011)

Mn2+卓越種はすでにアンドロス石(androsite)がルートネームとしてあったため,Armbruster et al. (2006)の緑簾石命名法に則って今回の新鉱物を"Ferriandrosite-(La)"と命名しました。一方,ルートネームのなかったCa卓越種のルートネームを赤坂石(akasakaite)と定義し,且つFe3+に富むことから"Ferriakasakaite-(La)"と命名することになりました。接頭語の"Ferri-"はFe3+を意味しています。
詳しくはおそらく後日,東京大学物性研究所の濱根博士のページで紹介されることでしょう。


3月31日
3月20日に卒業式が行われ,当研究室からも大山くんと河内さんが巣立っていきました。ここで学んだことを活かして次のステップに進んでほしいと思います。
来年度は4名の卒論生が研究室に所属します。全員女子!にぎやかになりそうです(*^_^*)

先週は古巣の島根大学赤坂研究室に共同研究のためにお邪魔しました。
到着した日はちょうど卒業式で,袴姿・スーツ姿の卒業生であふれかえっていました。学科の伝統で,卒業式当日に昼・夜2回のパーティー(直会・謝恩会)を行います。謝恩会は学生主催なので,私も準備に奔走した記憶があります。懐かしいです。そんな思いで卒業生を眺めていたところ,学科技官の方に2000年度の集合写真をいただきました(ありがとうございます♪)。私の学部卒の年です。サプライズ!13年の時を経て,初めてみる集合写真。

2000年度島大地球直会にて

今でも交流のある人,ない人,様々ですが皆元気にしているといいなと思いました。
さらに,滞在中に松江で働く同級生と再会(彼も集合写真にいます)。お互い立場は変われど,中身はさして変わらず(笑)
今思い返してみると,私は同級生にとても恵まれていました。なかには生涯友達でいるだろうという人もいます。
教員になって,学年ごとにまったく異なる個性があることがよく分かりました。是非,学生さんにも同級生とたくさん想い出をつくって,10年後に笑いあってほしいですね。

2月24日
先週金曜日に卒論提出が終わり,"猛烈に忙しい"から"いつも通り忙しい"状態に戻りつつあります。

数日前に下記の論文がAmerican Mineralogistに受理されました。
Nagashima, M., Armbruster, T., Kolitsch, U., and Pettke, T.
The relation between Li-Na substitution and hydrogen bonding in five-periodic single-chain silicates nambulite and marsturite: A single crystal X-ray study.
American Mineralogist (in press)
昨年10月のベルン大学滞在時に執筆したものです.研究対象とした南部石,マースター石はいずれも準輝石族鉱物です。今回は特に組成変化に伴う結晶構造の幾何学的変化(とくに水素結合)に着目しました。これまでバビントン石やSaneroiteなどの準輝石族鉱物を系統的に研究してきました。少しずつ準輝石のナゾに迫りつつあるような気がします。
ちなみに「南部石」は舟子沢鉱山(岩手県)から発見され,1972年に東北大学名誉教授 南部松夫先生にちなんで命名された鉱物です。


1月11日
あけましておめでとうございます。年女の永嶌です(涙) 本年もよろしくお願いいたします。

1月8-9日に高圧中性子研究会(別府)に参加させていただきました。
私の研究テーマの一つである「結晶内における遷移元素と水の挙動の解明」には欠かせないツールが"中性子"です。
私の主な研究対象は,比較的身近に存在する低圧条件や熱水作用でできる鉱物なので,超高圧などの極限環境での結晶や液体の挙動などの話はとても新鮮で勉強になりました。年始早々,業務に追われて全日程参加できなかったことが心残りです。

1月末に卒論発表会が行われます。同時に現3年生の卒論配属の時期がやってきます。
昨年は,2012年度卒業生の高橋さんの卒論成果を岩石鉱物科学に,そして2011年度卒業生の三谷さんの卒論成果を含んだ論文をMineralogy and Petrologyに公表することができました。今後も学生さんの研究成果を出来る限り形にしたいと目論んでいます。
「あそこ(=私の研究室)の卒論,大変らしいよ」という声を耳にしますが,否定はしません(笑) 卒論生も私にとっては立派な共同研究者です。

2013

11月22日
9月に受理された橋さんの論文が掲載されました。
橋 奈津子・永嶌 真理子 (2013)
山口県長門市向津具半島大津玄武岩に産する晶洞鉱物. 岩石鉱物科学, 42, 211-220.

10月は約1か月間,理学部サバティカル制度を利用して共同研究のためスイスのベルン大学に滞在していました。
山口大学に赴任する前の2007-2010年にポスドク+スタッフとしてお世話になった大学で,当時の共同研究がどんどん派生して大きく成長し,現在もまだまだ継続中です。今回は1年半ぶりにベルンを訪れましたが,顔と顔を突き合わせて議論することの重要性を改めて認識しました。ちょっとした思い付きや閃きのニュアンスをメールで伝えるのは難しいですが,目の前で議論していると一緒に図や表を眺めてお互いにアイディアを出し合うことができます。バラバラだったアイディアがその場で反応したり結合したりして新しいものに変化したり,思いもよらない方向に転がって想像を超えたものができたり,とても刺激的です。そんな毎日に感謝しつつ,あらためて「研究,楽しい!」と実感。ラボのメンバーはもちろん,他の分野のスタッフやテクニシャン,お掃除のおじさんまで歓迎してくれました。

1か月はみんなの協力で装置もほぼ独占状態。

相変わらずのX線回折装置

そして,休日は散歩に。あいかわらずの世界遺産「ベルン旧市街地」。いつもどおり教会は修復工事中。

相変わらずのベルン旧市街

スイスといえば,地下に核シェルターがあるというのは有名ですが,これは大学の建物の地下2階にあるシェルターの入口のひとつ.普段は物置として使用されていますが,中にはシャワーやベッド,備蓄の水や食料があります.

地下シェルターの入口

一般のアパートや家にも地下室があり,扉はこのように分厚く・重くなっています(通常開放されていることが多い)。アパートの場合は厚い扉の向こうのスペースが簡易扉付の区切られた小部屋になっており,収納スペースとして各部屋に割り当てられています(車のタイヤや自転車,不要な家具やクリスマスツリーを収納したり様々)。

来年もベルンに来ることを固く約束して(させられて(笑)),1か月は短すぎる!とブーイングをうけつつ,帰国の途につきました。
新たな研究課題や問題なども明らかになり,非常に有意義な1か月でした。


9月4日
論文が受理されました。

橋 奈津子・永嶌 真理子
山口県長門市向津具半島大津玄武岩に産する晶洞鉱物. 岩石鉱物科学 (in press)

昨年度の学部卒業生である橋さんの卒論の成果の一部です。
卒論提出後〜卒業前の非常に慌ただしい時期に彼女自身が執筆した第1稿をもとにしています。 昨年1年間,本当に一生懸命頑張った彼女の研究成果を公表することができ,非常にうれしく思います。
今回の論文は晶洞鉱物をメインにしていますが,卒論時には玄武岩の組織や構成鉱物についても詳細に観察・分析を行いました。 その過程で橋さんは足しげく永尾 隆志教授のもとに質問に通い,貴重な助言を多くいただきました。永尾先生の指導のおかげで,本研究の理解が深まったことは言うまでもありません。
機器分析実験施設 森福 洋二技術専門職員(=当研究室の学生たちの頼れるお兄さん)にも分析の度に多岐にわたりサポートいただきました。
さらに研究を進めるにあたりアドバイスいただいた赤坂 正秀 島根大学教授,ならびに当研究室滞在の折に岩石組織に関してご議論いただいた川嵜智佑 愛媛大学名誉教授に感謝いたします。
最後になりましたが,試料採集調査にあたり様々な便宜を図ってくださった川尻漁港漁業協同組合の皆さまのご協力に感謝いたします。

>橋さん
どこに出しても恥ずかしくない立派な卒論は,なっちゃんの努力の成果にほかなりません。
目標のキャリアウーマンになれたら遊びに来てください(笑)

8月30日
論文が受理されました。

Nagashima, M., Armbruster, T., Izumino, Y. and Nakashima, K.
Crystal chemistry of a Cu isotype of makovickyite from the Obari mine, Yamagata Prefecture, Japan.
Neues Jahrbuch fuer Mineralogie (in press)

山形大学 中島和夫教授研究室との共同研究の成果です。 本試料の記載学的研究はすでにIzumino et al. (2013)として公表されています。

8月12日
先週の木曜日に島根大学赤坂研究室にお邪魔して合同ゼミを行いました。
当研究室からも3名の4年生が発表し,有益なコメントやアドバイスをいただきました。

懇親会の様子



6月28日
4月2日にプレスリリースしたランタンバナジウム褐簾石の論文がMineralogical Magazineに受理されました。
Nagashima, M., Nishio-Hamane, D., Tomita, N., Minakawa, T. and Inaba, S.
Vanadoallanite-(La): a new epidote-supergroup mineral from Ise, Mie Prefecture, Japan.
Mineralogical Magazine (in press)
9月の日本鉱物科学会2013年年会(筑波大学)でも先日受理されたバビントン石と合わせて発表予定です。(正直,受理された論文の発表はモチベーションをあげるのが…ゴニョゴニョ)

先月,Mineralogy and Petrologyに受理されたバビントン石の論文は数日前にOnline Firstで公開されました。

5月28日
4月5日にも紹介しましたが,ついにAn Introductions to the Rock-Forming Minerals, 3rd editionがThe Geological Societyから発売されました。今回はA4サイズオールカラーで,薄片写真や結晶構造図が鮮やかです。

卒論生3名は彼らなりのペースで仕事を進めていますが,当然のごとく就活のプライオリティーが高く,卒論は二の次という印象です。今の社会情勢を鑑みると仕方のないことですが。

2011年度卒業生の三谷さんの研究成果であるバビントン石の結晶化学に関する論文が受理されました。本論文は彼女が研究対象としていた福島県八茎産,スウェーデンGronsjoberget産のものにさらに5試料追加し,結晶構造変化などを比較検討したものです。
Nagashima, M., Mitani, K. and Akasaka, M.
Structural variation of babingtonite depending on cation distribution at the octahedral sites. Mineralogy and Petrology (in press)


4月26日
前期の講義期間が開始して早3週間。月曜日〜木曜日毎日何かしらの講義を行っています(^_^;)
講義を担当している学年全員の名前と顔を一致させるよう努力中です(名前を覚えるのは苦手…)。
学生時代にある先生から「学科の学生全員の名前と顔は当然知ってるよ」とさらっと言われたことがきっかけです。
これには意外と衝撃を受けました。大学の先生は学生の名前なんて覚えないものだと信じていましたから(笑)

今は講義やその準備に追われる間に1週間がビュン!と過ぎてしまい,「あれ?もう金曜日?」という感じです。
「要領よくコマ切れの時間を有効に活用できるようになる」というのが私の今の目標です。
最近は早めに帰宅して(とはいえ20時くらい(涙))自宅で仕事!というスタイルに切り替えて奮闘中です。

4月10日
私は6日(土),そして大山くん(B4)は今日が誕生日ということで,一緒にケーキをいただきました。
箱に並ぶ4つのショートケーキ!一番最初に選んでいいといわれても…迷いますよね。(あぁ,しあわせ)

4つのショートケーキが!

まよいに迷った末,私の選択は・・・これ!

これ!

美味しくいただいた後は,しばらく色々なことをみんなで話しました。(まだ配属して日の浅い河内さんと山下くんはまだ緊張気味か?)
3人ともわざわざお祝いしてくれてありがとう(^^) これから1年頑張りましょう。

4月5日
レアアースを含む新鉱物の発見について予想以上に大きく取り上げていただいています。
私個人としては大それたことを言うつもりは全くなく,「私たちの身近な自然の中にもまだまだ宝物があるんだ!」ということを知ってもらえればと思います。

まったく別の話題ですが,ついに「An Introduction to Rock-Forming Minerals」3rd editionの予約が開始されました(発売:5月初旬)。
今回は薄片写真も多く取り入れ,地球科学を学ぶ大学生により親しんでもらえるようにしたとのこと。
これが55ポンド/冊はかなり安いのではないでしょうか?(ちなみに1冊あたりの日本への送料は8.25ポンド)
岩石・鉱物学分野には欠かせない書籍で,私も化学分析をするときは常に携行しています。
届くのが今から楽しみです(*^_^*) 

4月3日
年度が改まり,平成25年度が始まりました。
本日は山口大学の入学式が行われています。今朝早くから大学周辺ではスーツ姿の新入生が多く見受けられました。
大学構内の桜も早くも満開です。

学食きらら前の桜(4月1日撮影)


昨日,新鉱物「ランタンバナジウム褐簾石(Vanadoallanite-(La))」の発見に関するプレスリリース(pdfが開きます)を行いました。
正直,予想以上の反響の大きさに驚いています。


2月28日
卒論発表会が1月26日に終わり,間髪入れずに執筆作業になだれ込みました。
2月22日に卒論提出,一昨日(26日)に追いコンが行われ,1年が間もなく終わろうとしています。
当研究室からは,ぶどう石の結晶化学的研究を行った岩佐さんと大津玄武岩(油谷川尻)に産する晶洞鉱物の研究を行った高橋さんの2名が卒業します。元々仲の良かった二人は,この1年運命共同体としてますます強いきずなで結ばれたようです。

1年間継続的かつ熱心に取り組んだ二人の研究成果は,近いうちに形になる予定です。
社会人になってもふたりとも元気に活躍してくれると確信しています。1年間よくがんばりました(*^_^*)


1月17日
あけましておめでとうございます.来年は年女(涙)
卒論生は26日の発表会に向けて,講演要旨やプレゼンテーションの準備をしているところです.
毎日,朝から晩まで「あーでもないこーでもない」と苦闘しています. 12分という限られた発表時間で1年間の膨大な成果を皆が理解できるように発表することは非常に難しいです.
本人たちが納得いくものが仕上がればいいなと私は陰ながら見守っているところです.

今年も研究室一同,よろしくお願いいたします

2012

12月25日
もう年末ですね(-_-;)
昨日はクリスマスイブかつ祝日だったというのに…修士論文最終発表会と修士論文中間発表会が行われました。
一日中,様々な分野の発表を聞くことができました。興味深い研究も多くありました。
しかし,緊張していたせいか,全体的にあまり研究に対するパッションとかモチベーションとか熱いものが前面にでていないという印象でした。
「自分の研究はこんなにおもしろいんですよ!」ということがもっとアピールできれば,同じ内容でも印象はかなり変わると思います。

私自身バタバタと会議と雑用(ではないですね…用務ですね)のはざまで過ごしている毎日で,基礎的な勉強や復習がおろそかになっていることが白日の下に晒される出来事がありました。
研究に使える時間が非常に少ない現状で,だからこそもっとしっかりと基礎を固めて濃密に研究をしなくてはいけないのに…と反省。
ポスドク時代の研究に集中できていた"想い出"がいまだ忘れられず,現実とのギャップに愕然とすることがよくあります。
まずはこの年末年始の数日は焦らずに教科書を読み直す時間にあてたいと思います。

数日前,研究室ミニクリスマス会をしました。
学生3名+私でホールケーキを4分割にしていただきました♪

高橋さんのバイトノルマ達成のために研究室で購入したチーズケーキ

2012年も多くの方々に支えていただきました。来年もよろしくお願いいたします。


11月9日
卒論生3名は三者三様,相変わらず奮闘中です。日々メキメキと成長中です。

今年3報目の論文が公表されました。

永嶌 真理子 (2012) 緑簾石族鉱物の結晶化学:解析と合成による新たな展開. 日本結晶学会誌, 54, 255-262.

緑簾石族鉱物とは卒論からの付き合いなのでもう12年になります.
12年でいろいろなことがわかりましたが,ワンステップ進めば次のステップで新たな課題が見つかるという状況です。
分からないことがたくさんあるって楽しいですね。
緑簾石族鉱物は私の研究の原点であり,今後も課題であり続けるでしょう。

本稿の執筆の機会を与えていただいた中塚晃彦編集委員に心から感謝いたします。


10月11日
先週末に卒業論文の中間発表が行われました。ポスター形式(コアタイム1時間)で発表です。
下の写真は,大山くんの発表の様子です。

大山君のポスターを議論する教員の皆さん

卒論生3名には,先生方や大学院生からいただいたいろいろなアドバイスや指摘を活かして,どんどん前進ほしいと思います。

最近の印象的な一言は,中間発表前に卒論生Iさんが何気なく言った「発表が楽しみになってきました(*^_^*)」です。
本人も4月には想像もつかなかったセリフだと思います。本当に著しく成長していて頼もしい限りですね。


8月13日
前期の講義も8月3日で終了し,大学も夏季休業期間に入りました。
卒論生はこの夏休みの頑張りが今後を左右するということで,3名ともよくがんばっています。

先週の水・木曜日には卒業生の牟田直矢くんが,勤務先の人事課の方々と来学しました。
上司の方からは日ごろの会社での様子をうかがい,彼が社会人として第一歩をしっかりと踏み出したのだとこちらも実感できました。
社会人になったとはいえ相変わらずのキャラクターで,すでに勤務先の方からは「一言多い」と言われているとのこと(笑)
是非,今後も長所(?)を活かして頑張ってほしいと思います。


7月16日
日本産新鉱物「田野畑石」の論文がJMPSに公表されました。筆頭著者は長瀬 敏郎先生(東北大)です。
Nagase, T., Hori, H., Kitamine, M.,Nagashima, M., Abduriyim, A. and Kuribayashi, T.(2012)
Tanohataite,LiMn2Si3O8: a new mineral from the Tanohata mine, Iwate Prefecture, Japan.
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences, 107, 149-154.
この田野畑石は,Saneroite (Nagashima and Armbruster 2010)と同じ含水準輝石に属する鉱物です。

ここで輝石準輝石の違いに少し触れてみましょう。
輝石と準輝石の共通点は,それらの結晶構造においてSiO4四面体が鎖状につながっているということです.
ただし輝石のSiO4鎖がまっすぐに伸びているのに対し(図1),準輝石ではその鎖がクネクネとねじ曲がっている(図2)のが特徴です。

輝石のSiO4鎖

図1 輝石(透輝石)のSiO4鎖.概ねまっすぐに伸びています。

準輝石のSiO4鎖

図2 準輝石(バビントン石)のSiO4鎖.鎖状につながっていますが,クネクネしています。
結晶構造図はVESTA(Momma and Izumi 2011)を使用して作成しています。興味のある方はこちらからDLできますよ。


6月5日
忙しい毎日です。

やっと本年度の第一報目が受理されました。
Nagashima, M and Armbruster, T.
"Palenzonaite, berzeliite, and manganberzeliite: structural control of (As5+, V5+, Si4+)O4 tetrahedra in garnet structures"
Mineralogical Magazine (in press)
ガーネット構造を持つArsenate, Vanadateである天然鉱物群に関する論文です。
共同研究者であるArmbruster教授と数年前から行っている4配位席における陽イオン置換(特に5価の陽イオン)と構造変化の関係解明に係る論文で,これで3報目になります。

下記の2報が関連論文です。
Nagashima, M. and Armbruster, T. (2010)
Ardennite, tiragalloite and medaite: structural control of (As5+, V5+, Si4+)O4 tetrahedra in silicates.
Mineralogical Magazine, 74, 55-71.
Nagashima, M. and Armbruster, T. (2010)
Saneroite: chemical and structural variations of manganese pyroxenoids with hydrogen bonding in the silicate chain.
European Journal of Mineralogy, 22, 393-402.


5月18日
学生さんと話していて「専門書を購入する気はない」というのをビシビシ感じることがあります。
よくよく話を聞いてみると,それ以前の"本ばなれ"が深刻だということに気づきます。
私は子供のころから小説・マンガが大好きでした。今も変わりません。
常に読みかけの本を持っていなければなんだかいやだ…という感じでした。
学生の頃のアルバイトも本屋だったくらいです。お金の管理・売り上げのチェックまで行う"主任"まで昇格しました(笑)
専門書もよく(自腹で)購入します。大型書店に行くとたいてい予想外の大金を支払うことになります。
Amazonにはお世話になりっぱなしです。
学生のみなさんにもまず本を読むことの楽しみを知ってほしいなと思います。
授業でも推薦図書として専門書などを紹介しますが,最近は最後に「図書館にもあります」と一言つけるようにしています。
実は,図書館でいろいろな本と出会ってほしいという願望も込められていたりします。

最後に,最近手に入れてうれしかった専門書(中古本)を紹介します。

Niggli先生の本!

Paul Niggli著「Rocks and Mineral deposit」の英訳本です(原著はドイツ語)。
内容ももちろんですが,手書きで書かれたスケッチや図も美しく,一部結晶構造は模型の写真で分かりやすく示されています。
パラパラと眺めているだけでも十分楽しいですよ。

5月15日
土曜日に1年生(A班)と基礎セミナーで野外にでかけました。

化石採集場にて

今回は,美祢市歴史民俗資料館および化石館の見学と化石採集を行いました。
山口県西部は日本でも有数の化石産地です。美祢層群という2億3000万年前の地層中に多くの植物化石が産します。
また国内では非常に珍しい無煙炭の産地でもあります。今回の化石採集でも一部炭化した植物化石がみられました。
高橋館長には終日お付き合いいただき,大変お世話になりました。記して感謝いたします。

5月10日
昨日からいきなり夏のような天気の山口です。現在も室温はすでに27℃を突破しています。

今週,4年生の高橋さんはフィールドでのサンプリングに奮闘中です。
ここのところ岩佐さんは薄片作成練習中,大山くんは長大な英語論文に挑んでいました。
3名とも就職活動がとても忙しく,卒論の進捗状況は芳しくないというのが正直なところです。
これからの頑張りに期待しましょう。

今週の土曜日は1年生と基礎セミナーの授業で野外にでかけます。たのしみです。


4月26日
4月20日に岩佐さんの卒論のための試料採集に島根半島三津町に出かけました。
前日は豪雨,当日の朝も雨模様で心配しましたが,フィールドに到着すると晴れ間が(*^_^*)

晴れてます!

今回のサンプリングポイントは「露頭へのアクセスは非常に簡単,しかし試料を採集するのは難しい」という場所でした。
数時間一つの露頭に張り付いてサンプリングを行いました。
島根大学の赤坂教授に案内していただき,さらに出雲そばをごちそうになりました。ありがとうございました。

昨日,廊下から変な笑い声がする…と思ってたところ,研究室所属メンバーズの岩佐さん・大山くん・高橋さんが突如ケーキを持って乱入してきました。 (あれは誰の笑い声だったのでしょう…)

大学近くでおいしいと評判のシュシュのケーキ

「1か月くらい遅れたんですけど…」と言って,私の誕生日をお祝いしてくれました。しかも歌つき(^O^)
この写真の後,ケーキは4分割されてすぐに胃袋に収まりました。
みなさんありがとうございました。

4月18日
またまたごぶさたしています.時間は残酷なくらい早く過ぎていきますね。

昨年度所属していた3名の卒論生は無事に巣立ち,新たに3名の卒論生が配属されました.
(旧)4年生は卒業直前にも関わらず,新4年生のフィールドに付き合い,さらに実験室の使用法などのレクチャーして,先輩としての責務をしっかり果たして飛び立ってくれました。
彼らも1年間でしっかりと成長していたのだなと改めて実感しました。本当にありがとうございました。
新天地でも活躍できることを陰ながら応援しています。近くにきたらいつでも遊びにきてください。

新4年生,今はまだヨチヨチ歩きのヒヨコですが,立派なニワトリ(ハクチョウが紛れているかも!)になれるよう一緒に1年間頑張りましょう。

2月17日
ごぶさたしています.
来週木曜日の特別研究(卒論)締切に向けて,3名の4年生も最後の追い込み中です.
1年間の成果をしっかりまとめて,立派に卒業できるよう頑張ってほしいと思います.

なお2/29-3/24まで国外出張のため不在です.

1月5日
あけましておめでとうございます.
年末のご挨拶もしないうちに2012年になってしまいましたね.
本年もよろしくお願いいたします.

4年生は特別研究(=卒論)大詰め!!
正月で鈍った体と頭に鞭を打って働いている様子です.悔いのないように頑張ってもらいましょう.

2011

11月10日
European Journal of Mineralogyに受理されていた論文がようやく掲載されました.
Nagashima, M., Armbruster, T., Herwegh, M., Pettke, T., Lahti, S. and Grobety, B.
Severe structural damage in Cr- and V-rich clinozoiste: Relics of an epidote-group mineral with Ca2Al2Cr3+Si3O12(OH) composition?
European Journal of Mineralogy, 23, 731-743.
低結晶性のCrとVに富むクリノゾイサイト(Outokumpu copper mine, Finland)に関する論文です.
9月に行われた鉱物科学会の年会でも発表しましたが,未だにすべての謎は解明されていません.
本論文は第一報として位置づけられます.今後も本試料に関する研究を継続し,謎の解明に励みます.


11月10日
7月末にAmerican Mineralogistに受理されていた論文がようやく掲載されました.
Nagashima, M., Imaoka, T., and Nakashima, K.
Crystal chemistry of Ti-rich ferriallanite-(Ce) from Cape Ashizuri, Shikoku Island, Japan.
American Mineralogist, 96, 1870-1877.

11月3日(木)・5日(土)は長門市の油谷方面へ出かけていました.
5日(土)は実習だったので,のべ30名ほどの学生さんたちと雨の中で調査しました.

玄武岩の転石で覆われた海岸

写真:玄武岩の転石で覆われた海岸.遠くに露頭が!(天気の良かった3日の様子)
11月2日
1カ月以上も更新していませんでした.すみません.
知らない間に11月になってしまい,かなり焦っています.

前回の更新後にあったイベントをいくつか紹介します.
9月27日 卒業論文 中間発表会
研究室に所属している3名(佐々木くん・三谷さん・牟田くん)もそれぞれのテーマに関してこれまでの成果を発表しました.

9月29-30日 三瓶良和教授 (島根大学総合理工学部地球資源環境学科)による集中講義
 鉱物・資源関連分野の集中講義ということで,有機地球化学を専門とされている三瓶先生にお願いしました.
私が学部生の時に三瓶先生の授業にとても感銘を受け,是非この感動を山口大学の学生のみなさんに!と思い,島根大学に出張した際に直接お願いして実現しました.
大変お忙しいところ集中講義を快諾いただいた三瓶先生,ならびに事務手続を全て引き受けてくださった阿部先生に記して感謝いたします.

10月7日  於福地域の鉱床でサンプリング
 於福地域の銅鉱山跡のズリに試料採集にいきました.
島根大学の赤坂教授,同大学院の濱田さん(D3)にも同行いただき,非常に有意義な調査となりました.

ずりで覆われた急斜面

写真:ずりで覆われた急斜面.ここをよじ登って試料採集.

10月13-18日 出張 愛媛大学にて実験+セミナー発表
 愛媛大学理学部の川嵜智佑教授研究室にてピストンシリンダー高圧発生装置を用いた鉱物合成実験を行いました.
実験が楽しく,一日一日がとても早く感じられました.川嵜先生には大変お忙しいところ長時間お付き合いいただきました.ありがとうございます!
教室セミナーで発表させていただき,特に教員の皆さまには非常に活発にご議論いただきました.

ピストンシリンダー高圧発生装置

写真:川嵜研究室の誇るピストンシリンダー高圧発生装置と温度・圧力コントロールユニット

明日の3日(祝)は油谷方面に試料採集,さらに5日(土)は30名を超える学生をつれての実習で,お出かけが多くバタバタしています.
せめてお天気に恵まれればいいのですが…

9月26日
明日は卒業論文の中間発表ということで,みなバタバタと準備中です.
皆,これまで分析などの「結果」を出すことに忙しく,発表を準備する直前段階になって「考察って何!?」というパニック状態に陥っているようです.

発表でまず大事なのは「人に伝える」ことだと私は思っています.
自分よがりの発表ではダメです.聞く人の気持ちになって準備してほしいと思います.
まずは,話を聞いた人が「おもしろそうな研究!」と感じるような発表を心がけて頑張ってほしいです.

9月13日
昨日,日本鉱物科学会2011年年会から戻りました.今日から通常勤務です.
今回の水戸大会は,日本地質学会と共催ということでいつも以上のにぎわいでした.
水戸は東北大震災の被災地である福島に近く,4泊5日の水戸滞在で一度だけ震度4という比較的強い余震がありました.
街は通常通り機能していましたが,歩道や古い建物の壁などに生々しく被害の跡が見られました.

発表はどうにか及第点といったところで, 準備不足が一番の反省点です.

8月22日
毎日研究以外のことが忙しく,やりきれない日々を過ごしています.

そろそろ学会(9月9-11日@茨城大学)の準備も始めなくてはいけませんね(-_-;)
明日から週末まで出張のため不在です.

8月3日
立て続けに論文が受理されました.
Nagashima, M.
Pumpellyite-, sursassite-, and epidote-type structures: common principles-individual features.
Journal of Mineralogical and Petrological Sciences (in press)
これはパンペリー石と緑簾石,その中間相に当たるサーサス石やマクファライトの幾何学的関係に着目した総説です.
幾何学的関係の共通性や相違性から,陽イオンの挙動や構造変化に関して考察しました.
原稿を読んでいただき,非常に有益なコメントをくださった島根大学 赤坂正秀教授とベルン大学 Thomas Armbruster教授には心から感謝しております.

7月29日
前回のNewsではたして…と書いていた論文が受理されました.
Nagashima, M., Imaoka, T., and Nakashima, K.
Crystal chemistry of Ti-rich ferriallanite-(Ce) from Cape Ashizuri, Shikoku Island, Japan.
American Mineralogist (in press; It will be published in Nov-Dec issue 2011.)
TiとFeに富んだ褐簾石で,鉱物名としてはFerriallanite-(Ce)に分類されます.今岡照善先生が長年研究されている足摺岬の試料をご提供いただきました.
Ferriallaniteに分類されるほどFeが多い褐簾石は稀で,構造解析は2例目です.さらに今回の試料は高いTi含有量で特徴づけられ,約0.3apfuのTiが6配位席に分布します.
共同研究者である山形大学の中島和夫先生にはお忙しい中,化学分析をお願いし,快くご協力いただきました.
今岡先生には岩石学的視点から考察を執筆頂き,論文が非常に充実したものとなりました.両先生方には記して感謝いたします.

興味のある方は是非,掲載号をお読みいただければと思います.
それまで待てない!という方は,9月の鉱物科学会年会で非晶質化したCrとVに富むクリノゾイサイト(EJM in press)とともにこちらの研究成果も発表いたしますので,よろしければ是非!

今,もう1編の論文と格闘中です.こちらも結果がわかり次第こちらで報告しましょう.

7月12日
2011年になってようやく1編目の論文が受理されました.
Nagashima, M., Armbruster, T., Herwegh, M., Pettke, T., Lahti, S. and Grobety, B.
Severe structural damage in Cr- and V-rich clinozoiste: Relics of an epidote-group mineral with Ca2Al2Cr3+Si3O12(OH) composition?
European Journal of Mineralogy (in press)
CrとVに富んだ緑簾石族鉱物(レア!)です.以前,四国五良津産含Cr緑簾石に関する記載学的研究構造解析を報告しました.
さらに合成Crクリノゾイサイトの研究(pdfが開きます)も行い,緑簾石におけるCrの挙動の解明に力を注いできました.
スイス滞在時にこれまで報告されているCr緑簾石で世界一のCr2O3含有量(なんとmax.15wt.%)を誇るEskola教授も研究されたフィンランドのOutokumpu Copper mine産の試料の提供を受けました.
しかし一筋縄じゃいかない…というか,それはそれは不思議なクリノゾイサイトで,なんと非晶質化(著しく結晶度が低い)しているではありませんか!! Th, Uなどを含む褐簾石がメタミクト化しているというのはよくある話ですが…(-_-;)
試料はGem-qualityのエメラルドグリーン,鏡下ではクリアに消光します.何かの間違いか?と思い,測定しなおすもののやはり結晶度は低いのです.
今回,そんな謎のクリノゾイサイトに関する論文がめでたく受理されました.まだこの試料に関する研究は続けていきます.
興味のある方は是非,論文(掲載年号未定)をお読みいただければと思います.
それまで待てない!気になって夜も眠れない!という方は,9月の鉱物科学会年会で発表いたしますので是非お越しください.

もう1編の論文もオンラインステータスによると間もなく結果がわかるようです.はたして…

6月21日
湿度が高い日が続いています.
春先に投稿した査読中の論文が2つほぼ同時に返ってきてしまい,さぁ大変!という状態からどうにか脱しつつあります.
一つ目は昨日修正版をUploadを終えて,ひと段落.もう一編も一通り修正を終えて,共著者の方々の意見待ちです.
いずれの論文も緑簾石族鉱物に関するものです.受理されたらここで大々的に宣伝しましょう.

3名の卒論生はそれぞれ頑張っています.彼らはお互いによくコミュニケーションが取れているので非常に助かります.
就職活動などもあり,思うように進んではいませんが,めげずにコツコツと進めてほしいです.

6月8日
いつの間にやら6月ですね.梅雨の時期は実験室でドライが欠かせません.巨大な除湿機の購入を真剣に検討しています.
5月23-25日は地球惑星科学連合2011年大会に出席しました.幕張メッセの国際会議場で毎年行われています.
6月2-3日は愛媛大学川嵜研究室にお邪魔し,ピストンシリンダー型高圧発生装置を拝見しました.
後日改めて伺い,実験をさせていただくことにしています.とてもたのしみです.
その後,愛媛からそのまま島根へ移動し,先週末は単結晶構造解析用のデータ測定と研究打ち合わせを行ってきました.

卒論生は私が不在の間も仲良く作業をしていたようです.みな英語の論文との死闘を繰り広げています(笑)

4月25日
昨日,ふと思い立って長登銅山(日本最古の銅山)へ行ってきました.
長登銅山は西暦700年前後から銅の産出を開始し,奈良の大仏には本銅山産の銅が使用されたことが判っています.(長登は「奈良登り」が訛ったものらしい)
「長登銅山文化交流館」でそのような歴史的背景を勉強した後,銅山跡に向かいました.

地質学的特徴を少し紹介.
長登銅山はスカルン鉱床です.
約9千万年前(白亜紀後期)に秋吉台石灰岩の東端にマグマ(花崗斑岩)が貫入
--> 石灰岩と花崗斑岩の接触部にCa, Fe, Mg, Alなどに富むケイ酸塩鉱物の集合体(=スカルン)が形成される
--> そこにCuなどが凝縮 -->長登銅山が形成される

車で大切(おおぎり)竪坑跡前まで向かい,そこからは山登り.ここまでの道はかなり細く,車1台がぎりぎり通れる程度.

駐車場より

ここが登山口.看板を見てみましょう.

入口の看板

このように曲がりくねった山道を15-20分くらい登っていくと大切4号坑にたどり着きます.
とりあえずどんどん登ってみました.

大切4号坑入口

この大切4号坑は大正時代に再開発が行われ,坑口から約20mが拡幅されているため見学可能.

下山後,花の山製錬所跡も見学しました.製錬後の石がごろごろしていました.

銅の緑

典型的な銅の緑色.

溶けてガラス質に

溶けてガラス質に.
山口市ではすでに桜は散ってしまいましたが,長登にはまだ桜が咲いていました.

サクラ



4月21日
4月も後半になりました
先週末の16日(土)は金折研究室主催の花見(とはいえ,桜はもうほぼ散っていましたが)に参加しました.
学生のみなさんといろいろ話もでき,楽しい時間を過ごしました.風が強く寒かったのが難点でしたが.

本年度は3名の卒論生が研究室に配属になりました.
3名それぞれが全く違うテーマで研究をすることになり,私の方があたふたしそうです.
1年は本当にあっという間なので,精一杯がんばってほしいと思います.

4月1日
とうとう新年度が始まりました.
この1年間は瞬く間に過ぎてしまいました.今年度も先輩先生方の指導を受けつつ,自分にできることを着実にこなしていこうと思います.

3月29日
ベルンで撮った写真をいくつか紹介します.

ベルン旧市街

ベルン旧市街地 (世界遺産 1986年登録)
街は1191年に創設された.ベルンの名前は「熊」が由来.

国会議事堂

国会議事堂 (Bundestag)

時計塔

時計塔 (Zytglogge)
12世紀末に建てられ,1771年に修復された.

Paul Klee美術館とアルプス

左手の建物はPaul Klee美術館.Autobahnの後方にアルプス山脈.

3月28日
先週の後半に帰国し,本日から大学での勤務再開です.
スイスでも日本で起こった未曾有の大災害の様子が毎日報道されていました.
フランスを始めとするヨーロッパの先進諸国では原子力発電への依存度が非常に高いため,福島の原発には特に高い関心がもたれています.

2月22日
うっかり前回の更新から20日間も経ってしまいました。
特別研究(卒業論文)の提出も終わり,ひと段落という雰囲気です。

27日(日)より,約1カ月の長期出張に出かけます(E-mailは毎日チェックしますのでご心配なく)。
行き先はベルン大学で, 約1年前まで所属していたT. Armbruster教授研究室にお世話になります。
2年半前から進めていた共同研究の詰め作業〜論文投稿までが今回の第一ミッションです。
しっかりと楽しく研究に集中してこようと思います。

2月2日
いつの間にか2月ですね(-_-;)
後期試験の期間になりました.この時期は勤勉学生が瞬間的に増加するようで,図書館が異様な熱気を帯びていました.

今日,私が担当している3年生の地学英語IIの授業でセンター試験2011の英語リスニング問題に挑戦してもらいました.
皆いろいろと反省する点が多かったようです(笑)(ホントは笑えませんけど…)

1月19日
センター試験も無事に終わりました.
山口は雪模様でしたが,予報よりもだいぶ積雪が少なかったため,大きな混乱もなくおえることができました.
英語のリスニングテストに挑戦してみましたが,意外と難しいですね.ちなみに私は一問間違えてしまいました.はずかしいかぎりです.

月曜日に特別研究(卒論)の講演要旨〆切,今週末(土日)は卒論発表会と大忙しです.

1月11日
1月8・9日は第67回西日本東南極研究セミナーに参加しました.
主に岩石学・変成岩岩石学に関して活発に議論されました.
私の専門分野とは少し違うので,「こういう場合はこのように解釈されるのか…」と思いつつ拝聴しました.とても勉強になりました.
私も「含Crクリノゾイサイトの合成と結晶化学」というタイトルで発表させていただきました.
今回のセミナーの中では最も異色な発表でしたが,楽しんでいただけたようです.宴会の最中にも質問やご意見をいただきました.
ゲストハウス熊野荘で行われた懇親会は「ふぐ鍋・ふぐ刺し」と獺祭(だっさい)がメインでした。さすが山口です!
大和田先生と大和田研究室の院生の周到な準備と大活躍で,参加された皆さんはとても楽しまれたことと思います.

さて今週末はセンター試験です.週間天気によると山口は受験生と試験監督の先生にはツライお天気の悪い週末になりそうです.
交通の乱れやトラブルなく,無事に終わりますように…と試験監督1年生の私は切に願っています.

2011年1月4日
今日は仕事初めです.
今年もよろしくお願いします.

今週末の南極セミナー,来週末のセンター試験,そして次の週末は卒論発表会と週末に予定がぎっしり.
1月も忙しくなりそうです.

2010

12月28日
今日は大学の仕事納めの日です.
4月から働き始めて,あっという間に年末を迎えました.この1年は特に色々な方にお世話になりました.

この1年,特にお世話になった方々を感謝をこめてここに記します.(大雑把な五十音順)
・赤坂先生(島根大学):卒論から10年経った今も変わらず大変お世話になっています.来年は共同研究がより円滑に運びますように!
・赤坂研究室の学生のみなさん:アクティビティーの高さ,ずうずうしさ(笑) とにかくすばらしい.
・Prof. Thomas Armbruster(ベルン大学):スイスを離れた今も変わらず応援してくれる人として尊敬できる教授です.ハンガリーの学会でも大変お世話になりました.
・Armbruster研究室のみなさん:ハンガリーでの再会!最高でした.3月にまた一緒に仕事ができるのが楽しみ.
・泉富士夫先生(NIMS):9月末には山口大学理学部で講演会をしていただきました.これからもRIETAN,VESTAの普及活動(?)に貢献できればと思います.
・山口大学理学部地球圏システム科学科の先生方:まだまだ右も左もわからない私ですが,来年はもう少し役に立てるよう頑張りますのでよろしくお願い致します.
・山口大学機器分析センター森福さん:これからも実験道具作りにアドバイスお願いします.来年はEPMAがトラブルなしで稼働しますように.

今年は就職が決まったということで,日本鉱物科学会の学会会場では多くの先生方に「おめでとう!大変だろうけどがんばって!」と激励されました.
できることをやるしかないというのが現状ですが,これからも前向きに頑張っていきますので,ご指導いただければと思います.

さっそく1月8・9日に山口大学で開催される第67回西日本東南極セミナーで講演させていただくことになりました.
タイトルは「含Crクリノゾイサイトの合成と結晶化学」です.南極には関係ないのですが…(-_-;)

2011年もよろしくお願いします.


12月9日
EPMAトラブルが頻発中.まだ初期不良がいろいろ見つかっている状態です.
JEOLの方に頻繁に来ていただき,その都度丁寧に対処していただいています.
とりあえず現在は正常に動作中.

今日,Mineralogical Magazineからe-printが送ってきました.
2010年の公表論文はこれでおしまいです.しかしよく論文が出た年でした(筆頭7+共著1).
ポスドク生活でウキウキと研究だけをしていた成果です.
2007-2010年にかけての公表論文を見ても,いろんなことをやらせてもらったなと思います.
共著者のみなさん,研究協力者のみなさんに感謝いたします.

11月26日
未だEPMA祭り状態で,JEOL JXA-8230と格闘中です.
以前使っていたソフトとかなりGUIが変わっていて,慣れるのに一苦労でした.
しかし,ある決まった操作をするとエラーがでるという問題を発見.
おそらくバグなんでしょうね.

最近,Mineralogical Societyから近日中に出版予定のRock-forming Minerals for studentsのPumpellyite項目にコメントをしてほしいという依頼がありました.
Rock-forming Mineralsには,学部生の頃からもう10年以上もお世話になっています.
今回はフルカラーでの出版が予定されているので,とても楽しみです.

なお今週末〜火曜日は不在です.

11月16日
3月の出張の手配を始めました.
今はベルンのマンスリーアパートの空室照会中です.
ホスピタリティーにあふれる友人の家に滞在可能ですが,なるべく迷惑はかけたくないので.
そして一人の時間も大切です.

今週はEPMAとの格闘週間です.分析・実験などしていると一日があっという間に終わります.

後期の授業では「地学英語II」を担当しています.
必修ではないので少人数ですが,毎回課題や小テストなど何かしら提出してもらい,赤ペン先生のように1枚1枚細かく添削しています.
大人数の授業ではどうしても1人に割く時間が短くなってしまい,添削するにも限界がありますよね.
英語というのは理解度の差が大きく,○×をつけるだけではあまり学生のためにならない気がします.
言語習得は日々の小さな努力を積み重ねるしかないので,変化(進化?)を学生自身が実感できないのが難しいところです.

11月8日
1週間の出張から戻ってきました.
測定・分析に追われ,あっという間に時間が過ぎました.
長時間腰を据えて向き合って始めて研究は進むものだと改めて実感.細切れの時間ではなかなか難しいですね.
3月のスイス行きの手続き関係もそろそろ始めなきゃいけませんが,さて何から手を付けいいものやら…。

10月29日
Mineralogical MagazineからHiboniteの論文(10月12日参照)の校正が送られてきました.
校正の時は,元の原稿と見比べつつ可能な限り初めから最後まで音読することにしています.
特にイタリックやギリシャ文字は要チェック項目です.
あとネイティブの方によって勝手に書き換えられたステキなセンテンスがこちらの意図と一致しているかを確かめることも必要です.
なにがともあれ共著者と連絡をとりつつ,無事に完了.
もう10月末ですが,Mineralogical Magazineの10月号に掲載されるらしいので興味のある方はご覧ください.

10月26日
11月の第1週は島根大学赤坂研究室で単結晶の測定と今後の研究打ち合わせのため不在です.
17個の結晶をマウントしましたが,果たしてどこまで測定できるでしょうか….

私事ですが,週末に自宅のコンピューターのHDが大クラッシュしました.
購入してからまだ半年ちょっとでしたが,運が悪かったようです.
保証期間だったので,HDを無料交換してもらいました.
各種ソフトの再インストールなどしつつ,バックアップの大切さを痛感した週末でした.

10月12日
Mineralogical Magazineに論文が受理されました(10月号掲載予定).
10月頭に受理されて,10月号掲載予定ってどんなスケジュールなんでしょうね. 驚きです.
2週間以内に修正を終えて戻すように!という注意書きまでありました.
タイトル:"A temperature dependent structure study of gem-quality hibonite from Myanmar"
著者:Nagashima, M., Armbruster, T., and Hainschwang, T.
約2年半お世話になったベルン大学のArmbruster教授,そしてリヒテンシュタインのジェムラボのHainschwang氏との共同研究です.

通常Hiboniteは黒色ですが,今回のものは黄褐色で宝石として評価できる点できわめて珍しいサンプルです.(だからジェムラボとのコラボ)
カラー写真はHainschwang et al. (2010)で公表済なのでそちらを参照してください.
あまり耳慣れないHiboniteですが,地球上だけではなく隕石中からも報告されています.
天然のHiboniteはLaなどのレアアース(REE)を含むものが多いです.(今回のものは含んでませんが…)
合成されたREEを含むHibonite構造をもった物質は,工業的にもよく利用されています.
興味のある方は論文を読んでください(^^♪

Hibonite drawn with VESTA (Momma & Izumi 2008)

Crystal structure of hibonite drawn with VESTA (Momma and Izumi 2008)

裏話:実はこのHibonite,「Znに富んだめずらしい鉱物!」という触れ込みでリヒテンシュタインからベルンにやってきました.
しかし,どう頑張ってもZnは検出されない…ということを依頼主に報告すると「そんなはずはない!」と逆切れ気味…(*_*;
あの手この手でZnがないことを証明し,やっと納得していただけました(-_-;)
のちに発送担当者の間違いであることが判明.送付先と物が取り違えられてたそう.

10月4日
遅ればせながら,研究室HPを開設しました(^^)
よろしくおねがいします.

9月28-29日
泉富士夫先生(独立行政法人 無機・材料研究機構NIMS)が来山されました.
第8回理学部講演会で講演していただきました.

泉先生

講演中の泉先生
泉先生が開発されたリートベルト解析のプログラム「RIETAN」ユーザーになって早10年.
久しぶりに泉先生とお会いでき,大変うれしかったです.著書にサインもいただきましたよ.

9月23−25日
日本鉱物科学会2010年年会 in 島根
出身大学である島根大学で日本鉱物学会の年会が開催されました.
今回は筆頭著者としてオーラル発表(2つ)を行いました.
永嶌 真理子・Thomas Armbruster・赤坂 正秀・皆川 鉄雄「上須戒鉱山産のMn2+とSrに富む紅簾石の結晶化学的研究」(R1-03)
永嶌 真理子・Thomas Armbruster・Eugen Libowitzky「パンペリー石における水素結合システム」(R1-04)
いずれの研究も論文として今年公表されました.

8月20−29日
IMA2010 (国際鉱物学会) in ハンガリー (開催期間 8/21-27)
4年に1度のIMAに参加しました.今回は筆頭著者としてオーラルとポスター各1つを発表しました.
Nagashima, M. and Armbruster, T. "Ardennite, tiragalloite and medaite: Structural control of (As5+, V5+, Si4+)O4 tetrahera in silicates" (Oral: 2SC09)
Nagashima, M. and Akasaka, M. "X-ray Rietveld and 57Moessbauer studies of epidote and piemontite on the join Ca2Al2Fe3+Si3O12(OH)-Ca2Al2Mn3+Si3O12(OH) formed by hydrothermal synthesis"(Poster:MC100G_P17)

学会会場

学会の会場となったEotvos Lorand University, Budapest.

オーラル発表

オーラル発表の様子.ピンボケの私.

ドナウ河と国会議事堂

学会前日に少し街を散策.王宮から見たドナウ河越しのハンガリーの国会議事堂

ハンガリー料理1

ハンガリー料理2

ハンガリー料理のレストランに何度か足を運びました.
このIMAでは,ドイツのKiel大学の同僚やスイスのBern大学の同僚たちとの再会も果たしました。
また色々な方と面識を得て,将来的に共同研究に発展しそうな予感もします.
ブダペストでは天候にも恵まれ,とても楽しい学会期間を過ごしました.

4月17日(土)・23日(金)
山口県油谷湾川尻岬と津黄にサンプル採集に行きました.両日ともお天気に恵まれました.
初回の調査には加納隆名誉教授に同行していただき,川尻岬周辺を案内していただきました.さらに2度目の調査では川尻漁協の方々に大変親切にしていただきました.記して感謝いたします.

川尻岬

美しい日本海と玄武岩です.

採集サンプル

晶洞には肉眼観察でも複数の種類の鉱物があることがわかりました.

晶洞拡大

この素晴らしい試料の詳細は有久くん(B4)の卒業論文で明らかになる予定です.
はたして結果やいかに…









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