研究業績(2007-2009年)


縄田 修吾(准教授)

2008年10月5‐ 9日

Congress of the InternaKonal Society of Oncology & BioMarkers (ISOBM )
“Molecular Biology and Clinical Significance of Serpins in Malignancy”
“Biological FuncKon and Clinical Significance of a Serological Tumor Marker,
Squamous Cell Carcinoma AnKgen in Squamous Cell Carcinoma of the Uterine Cervix”




 2008年10月5日から9日まで東京で開催された第36回のCongress of the Interna:onal Society of Oncology & BioMarkers (ISOBM )のシンポジウムで発表を行いました。

 シンポジウムのテーマは、“Molecular Biology and Clinical Significance of Serpins in Malignancy”で、加藤先生とオランダのBonfrer先生が座長をつとめられました。Serpin(セルピン)というのは、住浪先生がSCC抗原の遺伝子を同定され、その結果、SCC抗原が、セルピンという蛋白質のファミリーの一員であることを明らかにされたことから、ご存知の先生方も多いかと思います。今回のシンポジウムでは、癌とのかかわりの深いセルピンとして脚光を浴びている、PAI‐1、PAI‐2、マスピン、そして、SCC抗原が取り上げられました。 私は、これまでの教室のデータを、“Biological Func:on and Clinical Significance of a Serological Tumor Marker, Squamous Cell Carcinoma An:gen in Squamous Cell Carcinoma of the Uterine Cervix”というタイトルで発表さしていただきました。簡単に説明しますと、腫瘍マーカーであるSCC抗原には、相同性の高いSCCA1、SCCA2という2種類の蛋白質が存在しますが、特にSCCA2が子宮頸部扁平上皮がんで増加し、その細胞内外での働きが腫瘍の進展に非常に深くかかわっているという内容です。臨床的に子宮頸がん患者の血中SCC抗原値が高いとその予後は不良であるという報告の基礎的な裏づけにつながるものと考えております。

 最後になりましたが、このような伝統ある国際学会のシンポジウムで講演できましたのも、これまでの間に賜りました真仁会の諸先生方のご支援のおかげと思っており、御礼申し上げます。


【杉野教授からのコメント】

縄田修吾君(平成2年卒、准教授)は、一貫して SCC の生物学的作用の研究を行っています。SCC がタンパク分解酵素阻害作用を有しており、子宮頸部扁平上皮癌の浸潤・転移に関与することを電気泳動法という実験手法を駆使して見出しており、最近では、この研究成果を Tumor Biology という国際的ジャーナルが主催する国際学会のシンポジウムに招請され発表しています。電気泳動を用いたタンパク分析では彼に並ぶものはいないと評価されています。