教授 | 杉野法広 |
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准教授 | 末岡幸太郎 村田 晋 |
講師 | 田村 功 品川征大 |
助教 | 佐藤 俊 梶邑匠彌 白蓋雄一郎 岡田真希 爲久哲郎 |
助教/大学院 | 藤村大志 城下亜文 |
大学院 | 川﨑ひとみ 米田稔秀 伊藤麻里奈 松尾美結 |
診療助教 | 松井風香 今川天美 白石あきね 古霜冴夏 津永礼門 | 技術職員 | 城﨑 舞 畑中千春 |
杉野法広(すぎの のりひろ/SUGINO Norihiro)
2017年4月~2023年3月 山口大学医学部附属病院 病院長
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 昭和60年度 卒業
専門医・資格
所属学会
所属国際学会
編集委員 (Editorial Board):
私は、産婦人科医としてまた医学部教授として診療・研究・教育を通して、女性の幸福のために生涯を捧げる決意でいます。ここでは、自己紹介として、私が今、どのような研究をしているかを簡単にご紹介させていただきます。
研究に対しては、特に基礎的研究を中心に行い、そこから導き出された結果を臨床にフィードバックするという視点で研究を行っています。全ての医師が研究者になるわけではありませんが、基礎研究を経験することによって、科学的・論理的な考え方が身につき、科学的根拠に基づいた医療 (evidence based medicine: EBM) に基づいた診療を行うことができ、さらにリサーチ・マインドを持つ優秀な医師が育つと信じています。また、私は、教室員が積極的に外国へ出かけて行き国際学会で発表し、そして外国人研究者ともコミュニケーションをとるようにして、現代社会に必要とされている国際感覚を身につけるように指導しています。
現在、具体的な研究として、生殖生物学と婦人科腫瘍学を中心に据えています。
1.生殖生物学の研究
生殖・繁殖は、我々人類を含め生物にとっては、過去から現在に至るまで引き続いており、さらに将来に向けて永久に存在する不滅なものです。同時にそれは、極めて神秘的なものでもあるのです。子孫をいかに多く残すかということが種を超えた共通のテーマであり、この基本的な生殖戦略に基づいた様々な生命現象が脳、卵巣、子宮で行われているのです。この未知なる仕組みを科学的に解き明かす学問が生殖生物学です。生殖生物学の研究を通して、謎とされている生殖現象を解き明かすことによって、不妊症の患者さんの助けになればと思っています。
実際の研究内容については、排卵から黄体形成といった卵巣機能、着床に関する子宮内膜の機能など、生殖過程を包括すべく研究を行っています。また、以前から行っている活性酸素や抗酸化作用を持つメラトニンの研究も発展しています。最近では、ポスト・ゲノム時代における研究分野として注目されているエピジェネティクスの研究にも取り組んでおり、実際に遺伝子発現調節におけるDNA のメチル化やヒストン修飾の関与について最新の知見を見出しています。
人間の体は、約200種類の細胞から構成されており、それぞれ違った働きをしているし、形も違います。しかし、これらの細胞は同じヒトであればすべて同じ DNA を持っているのです。同じ DNA を持っているのになぜ200もの細胞ができてくるのか。この仕組みが次第に解明されつつあります。これに関連する研究のひとつが、iPS 細胞やES 細胞からの細胞の分化誘導であり、最近話題となっている再生医療の研究です。ある特定の遺伝子を特定の時期に発現させ、さらに DNA の配列を変えずに遺伝子発現を変化させることにより(エピジェネティクス調節)、特定の細胞に分化させることができるようになってきました。近い将来には、卵巣、子宮内膜、子宮筋の細胞が試験管内で作られるようになる日が来るかもしれません。私達は、特に子宮に焦点を当てていますが、このような研究により子宮内膜や子宮筋が形成されていくメカニズムの解明が大きく進展し、不妊症の分野に貢献するものと考え、日夜研究を行っています。
2.婦人科腫瘍学の研究
1) 子宮癌の研究
婦人科腫瘍分野では、先代の教授である加藤 紘先生が発見された扁平上皮癌の腫瘍マーカーであるSCC を中心とした研究が大きく広がっています。SCC は単に腫瘍マーカーとしてだけではなく様々な生物活性を持っていることを見出しています。さらに、SCC と結合するタンパクとして Carbonyl reductase を発見し、このタンパクが腫瘍細胞の悪性度を制御していることをつきとめました。現在、このタンパクを標的とした子宮頚癌や宮体癌に対する分子標的治療の開発に力を注いでいます。
2) 子宮筋腫の研究
子宮筋腫は性成熟期婦人の30%以上に認められる最も発症頻度の高い疾患です。現在,子宮筋腫を有する女性は200万人以上と見積もられています。子宮筋腫は良性疾患ですが重度の月経痛や貧血を引き起こし,女性の社会生活・活動を妨げることが大きな社会問題となっています。その根治には子宮摘出や子宮筋腫核出が必要であるため,女性のquality of life (QOL)を著しく損ないます。さらに不妊症や流産の原因にもなるため,少子化の問題を抱える本邦では看過できない問題です。子宮筋腫治療には妊娠可能な状態で子宮を温存し得る分子標的薬による薬剤療法が理想的ですが,現在,使用可能な薬剤は子宮筋腫の増殖にかかわる女性ホルモンの分泌を抑制するもののみです。これらの薬剤は種々の副作用を伴ううえに効果が一過性なため,治療薬として充分ではなく,新規薬剤の開発が望まれています。有用な分子標的薬の開発には,子宮筋腫の発症・進展に関与する分子機構の解明がまず必要です。子宮筋腫発症にはアフリカ系の人種に多いといった遺伝的な要因がある一方,後天的な要因であるホルモン環境,栄養,生活習慣等が大きく影響します。早期の初経開始,高BMI,肉食,高血圧は発症リスクを高め,経口避妊薬の使用,多産,菜食,喫煙等は発症リスクを低下させます。従って,子宮筋腫発症には,後天的要因に起因するDNA 全体にわたるメチル化などのエピジェネティック修飾が大きく関与すると考えられます。私達は,①子宮筋腫発症の分子機構の解明に基づいた新規の分子標的薬の開発を目的として,子宮筋腫発生・進展に関与する遺伝子の同定とメカニズムの解明,および②子宮筋腫の予防法の確立を目的とし,子宮筋腫の発生に関与するDNAメチル化の誘発要因の同定を行っています。私達の研究により、子宮筋腫の発生予防や進行を抑制する新規薬剤の開発への新しい展開・ライフイノベーションに繋げたいと考えています。
3)子宮内膜症の研究
子宮内膜症は、子宮内膜の類似組織が子宮内腔以外の部位(骨盤腹膜、卵巣など)で発育・増殖する疾患です。性成熟婦人の約15%が罹患する疾患で、月経痛、性交痛、慢性骨盤痛、不妊などの症状を呈し、患者のQOLを著しく損ないます。良性疾患であるにもかかわらず、増殖・浸潤し周囲組織と強固な癒着を形成することから、類腫瘍性病変、慢性炎症性疾患と位置づけられています。私たちは、これまでに子宮内膜症では多くの遺伝子にDNA メチル化異常が存在することを見出してきました。子宮内膜症では、まず発症の鍵となる遺伝子(マスター遺伝子)にDNAメチル化異常がおこり、そして、次々に多くの遺伝子に異常が起こり、子宮内膜症が発生するという仮説を立てています。将来的には、発症の鍵となるマスター遺伝子を標的とした治療薬の開発に繋げたいと考えています。
これらの研究成果は多くの海外の一流雑誌に掲載され国内外で高い評価を受けており、世界で1番を常に目指しています。教室員の国内外における研究交流も活発に行われ、常時1~2 名が留学しています。若い教室員で留学を希望する者も多く、活気のある研究室を維持しています。
卒後臨床研修制度に伴い山口大学に残る研修医が減少している中で、毎年数名のやる気のみなぎる若い医師が入局してくれています。恐らく、私たちの教室の温かい雰囲気、チームワークの良さ、そして臨床・研究内容に魅力があるものと思っています。
最近は産婦人科医が減少し、研究に力を注ぐことが難しい世の中になってきています。しかし、今後も基礎研究および臨床研究を継続し、医学の進歩、医療の発展に寄与し、そしてすばらしい産婦人科医師を育て、大学としての使命を果たしたいと考えています。
4)人工知能 (AI) を活用した臨床支援システムの開発
子宮筋腫にはMED12遺伝子の変異の有無によって少なくとも2つのサブタイプがあり、薬剤による治療効果が異なります。MRI画像データを用いた機械学習によって非侵襲的にMED12変異の有無や組織構成を診断できるプログラムを開発し、治療効果の予測を可能にしました。今後、治療薬の選択や適切な治療方針の決定に役立つことが期待されます。
胚(受精卵)の発育を撮影したタイムラプス画像をAIで判断し、良好胚や正倍数性胚を高精度に選別できるプログラムを開発しました。今後、挙児を希望される女性に有益な治療法なると思います。
これまでに蓄積された妊婦健診の血圧と尿蛋白のデータを利用して、現時点での妊婦健診データからその後の血圧の推移を予測することによって、妊娠高血圧症候群の発症を予測するプログラムを開発しました。この予測プログラムを使い、妊娠高血圧症候群になる妊婦さんを発症前に予測することができれば、先回りした妊娠管理を行うことができ、妊娠高血圧症候群の発症や重症化を予防することができると考えています。
末岡幸太郎(すえおか こうたろう/SUEOKA Koutarou)
出身大学・卒業年度 鳥取大学医学部 平成11年度 卒業
専門医・資格
所属学会
がん研有明病院で主に婦人科がん手術に関する研修を行い、腹腔鏡下手術・ロボット支援下手術などの低侵襲手術から拡大手術まで幅広く取り組んでいます。
がん治療には様々な方法がありますが、適切な治療法の選択をお手伝いすることをモットーとしています。
村田 晋(むらた すすむ/MURATA Susumu)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成15年度 卒業
専門医・資格
所属学会
胎児診断・治療を専門としています。双胎間輸血症候群に対する胎児鏡下レーザー凝固術を中心に診療を行い、胎児胸水に対するシャント術や、他の胎児疾患の診断・治療を行っています。また、母体・胎児に起こりうる異常を含め、周産期全般の業務を行っています。
田村 功(たむら いさお/TAMURA Isao)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成16年度 卒業
専門医・資格
所属学会
臨床では不妊・内分泌治療を主に担当させていただいています。不妊に悩むカップルが無事に妊娠、出産を迎えることができるようにお手伝いさせていただきます。当院では、顕微授精や凍結融解胚移植を含む生殖補助医療(ART)を行っています。お気軽にお問合せください。
また、研究では、不妊の原因の一つである着床障害に関する研究を行っています。着床とは、受精卵が初めてお母さんの子宮にくっつくことです。これが起こる場所が子宮内膜です。いろいろな不妊の原因がある中、この子宮内膜の機能障害も不妊症の原因のひとつであると考えられています。しかし、この着床障害の原因についてはあまりわかっていません。私は、子宮内膜の機能のうち、脱落膜化という現象に着目して研究を行っています。脱落膜化は、子宮内膜が受精卵を受け入れるために必須な現象であります。実際に脱落膜化障害のために、受精卵をうまく受け入れることができずに着床がうまくいかない患者様が存在します。これらの原因や治療法について、研究を行っています。特に、脱落膜化関連遺伝子のepigeneticsによる発現調節機構についてこれまで明らかにしてきました。近年は、着床のメカニズムのさらなる解明すべく、試験管上で着床現象を再現し、着床のプロセスを観察するモデルの樹立を試みています。また、より高度な研究を導入できるよう、他大学のいくつかの基礎研究室講座と共同研究を行っています。山口大学発の新たな不妊治療法を開発できるよう日々取り組んでいます。
品川征大(しながわ まさひろ/SHINAGAWA Masahiro)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成23年度 卒業
専門医・資格
所属学会
超音波診断やリスクの高い妊婦さんの管理といった周産期診療を中心に、広く産婦人科診療にあたってきました。今後は産科疾患の原因解明を目指した基礎研究にも積極的に取り組んでいく予定です。
佐藤 俊(さとう しゅん/SATO Shun)
出身大学・卒業年度 東北大学農学部 平成7年度 卒業
専門医・資格
所属学会
研究専任の助教をしています。
梶邑匠彌(かじむら たくや/KAJIMURA Takuya)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成23年度 卒業
専門医・資格
所属学会
所属国際学会
これまで婦人科腫瘍中心の研究をしてきました。今後も婦人科腫瘍のみならず、分娩から不妊症まで患者さんのため、医療の為に少しでも貢献できればとがんばっています。
【留学中】
白蓋雄一郎(しらふた ゆういちろう/SHIRAFUTA Yuichiro)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成24年度 卒業
専門医・資格
所属学会
患者さまが笑顔になれるような医療を実践できるよう、日々精進して参ります。
岡田真希(おかだ まき/OKADA Maki)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成25年度 卒業
専門医・資格
所属学会
患者様に寄り添った診療ができるよう努力して参ります。
爲久哲郎(ためひさ てつろう/TAMEHISA Tetsuro)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成26年度 卒業
専門医・資格
所属学会
2019年度より子宮筋腫に関する研究をしています。
臨床では婦人科腫瘍・婦人科ロボット手術を中心として、産科婦人科の一般診療もしています。
産婦人科医療に少しでも貢献できるよう日々努力していきたいと思います。
藤村大志(ふじむら たいし/FUJIMURA Taishi)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成27年度 卒業
専門医・資格
所属学会
私は体外で培養した子宮内膜組織である「子宮内膜オルガノイド」を用いて、着床不全の病態解明を目指した研究に取り組んでいます。着床とは、赤ちゃんの元となる胚が子宮内膜に接着し潜り込むことで、妊娠の第一歩となる重要な過程です。
着床不全は、あらゆる検査をしても異常が判明しない原因不明の不妊症の一つです。 より生体に近い性質を持つ「子宮内膜オルガノイド」を用いた研究により、着床不全の新たな診断法や治療法の開発を目指しています。
臨床面では、腹腔鏡下手術、生殖医療を中心に幅広く診療に携わっております。
地域の皆さまの力になれるよう、精進してまいります。
城下亜文(しろした あもん/SHIROSHITA Amon)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成29年度 卒業
専門医・資格
所属学会
所属国際学会
山口県では、出生数が2015年の1万人以上から2023年には約7000人にまで減少しています。このような人口減少の流れの中で、全国的に生殖補助医療を通じて誕生するお子さまが増え、2021年には11.6人に1人がこうした治療の成果として生まれています。生殖医療はこれまで以上に重要な役割を果たしていますが、治療に伴う心身の負担は大きく、不安や疑問も尽きないことと思います。私は、一人でも多くの患者さまが安心して治療に臨めるよう、丁寧で寄り添った診療を心がけています。どんな小さなことでも構いませんので、お気軽にご相談ください。共に希望に向けて進んでいきましょう。
川﨑ひとみ(かわさき ひとみ/KAWASAKI Hitomi)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成29年度 卒業
専門医・資格
所属学会
女性に寄り添った医療ができるよう日々精進します。
米田稔秀(よねだ としひで/YONEDA Toshihide)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成30年度 卒業
専門医・資格
所属学会
患者さんのお役に立てるよう精進して参ります。
よろしくお願いします。
伊藤麻里奈(いとう まりな/ITO Marina)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 令和2年度 卒業
専門医・資格
所属学会
患者さまとご家族が、安心して医療を受けられるよう努めてまいります。
松尾美結(まつお みゆ/MATSUO Miyu)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 令和2年度 卒業
専門医・資格
所属学会
令和7年度より大学院所属となりました。産婦人科医療に貢献できるよう日々精進して参ります。
松井風香(まつい ふうか/MATSUI Fuka)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成30年度 卒業
専門医・資格
所属学会
すべての女性に寄り添った医療が提供できるよう、精進します。
今川天美(いまがわ あまみ/IMAGAWA Amami)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 平成31年度 卒業
専門医・資格
所属学会
患者さんに寄り添った医療ができるよう頑張ります。
白石あきね(しらいし あきね/SHIRAISHI Akine)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 令和2年度 卒業
専門医・資格
所属学会
すべての患者さんに寄り添った医療が提供できるように日々精進してまいります。
古霜冴夏(ふるしも さえか/FURUSHIMO Saeka)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 令和4年度 卒業
専門医・資格
所属学会
患者様のお力になれるよう、日々知識や技術の向上に努めてまいります。
津永礼門(つなが あやと/TSUNAGA Ayato)
出身大学・卒業年度 山口大学医学部 令和4年度 卒業
専門医・資格
所属学会
多くの患者様が安心して治療に臨めるように精進してまいります。
城﨑 舞(じょうざき まい/JOZAKI Mai)
出身大学・卒業年度 近畿大学工学部 平成15年度 卒業
専門医・資格
所属学会
技術の鍛錬と最新技術や情報の習得を行いながら、不妊症の患者さんへ上質な治療のサポートが提供できるよう日々努力してまいります。宜しくお願いします。
畑中千春(はたなか ちはる/HATANAKA Chiharu)
出身大学・卒業年度 山口大学短期大学部衛生技術学科 平成13年度 卒業
専門医・資格
所属学会
不妊症の患者さんへ最大限の治療のサポートができるように、最新技術や幅広い情報の習得、高度な技術を身につけていくことを日々努力して参ります。宜しくお願い致します。