山口大学大学院医学系研究科 放射線医学分野 山口大学大学院医学系研究科
放射線医学講座

Department of Radiology, Yamaguchi University Graduate School of Medicine

messageあいさつ

伊東 克能Katsuyoshi Ito

山口大学大学院医学系研究科 放射線医学講座
教授

「放射線診療の未来に向けて・・・」

平成29年10月1日付けで山口大学大学院医学系研究科放射線医学講座教授に就任いたしました。当講座では画像診断とIVR(Interventional Radiology: 血管内治療、画像支援治療)を中心とした診療を行っています。

画像診断機器のない時代、医師は五感を駆使して診断を行っていましたが、高度先進医療の現代においては、画像診断による正しい診断なくしては適切な治療を行うことはできません。そのため、正確で迅速なリアルタイム性の高い画像診断レポートの作成を行い、各診療科(主治医)へ画像診断情報を早期還元し、効率的で質の高い医療を実践することを目指しています。またIVR診療では画像ガイド下での組織生検やドレナージ、カテーテルを用いた低侵襲性の血管内治療、外傷や出血など急性期疾患への対応などを積極的に行っています。このほか、一部の肺癌治療も行っています。

画像診断においては、見えているものを正確にレポートすることはもちろん重要ですが、ただ所見を書き綴るだけでは十分と言えません。なぜそう見えているのか、体の中でどのような事態が起きているのか、その病態まで考えることが必要です。そうすることで一見、別々に存在している複数の画像所見が、実は1つの病態に関連していることに気づくことがよくあります。とくに現在の画像診断は、その病態に由来した機能・代謝・動態画像診断へと範囲を広げており、画像による形態診断+機能診断の重要性が増しています。研修医や若手放射線科医も、この点に留意し、論理的な思考過程で画像診断を行うことを心がけてほしいと思います。

外科、内科のトレーニングでは、prospectiveに実際の手術や診察・治療を行うことでしか“経験値”を高めることができず、十分な経験を積むにはかなりの時間を要するのに対し、放射線科研修トレーニングの最も大きな特色は、過去17年間にわたって蓄積された臨床画像症例を瞬時に呼び出せる画像読影システムを利用して、時間を越えて(過去にさかのぼって)、重要症例の読影トレーニングをいつでも行えることで、学生・研修医の“経験値”を短期間で格段に高めることができます。臨床現場や学会発表においても若手放射線科医が活躍できるのもこのような背景があるものと思います。

当講座では研究活動も重視しています。日常診療から生じた疑問点、問題点を明らかにするために、基礎的、臨床的研究テーマを設定し、研究成果が実際の臨床にフィードバックされることを実践する一方で、世界へ向けて新しく有益な情報を発信し、国際的貢献が可能な独創性のある研究も目指しています。国際学会への積極的参加を推奨し、海外留学も希望があれば可能です。

画像診断、IVR診療に興味を持ち、個性を思う存分発揮してみたいという意欲のある研修医・医学生の方は、ぜひ一度、ご連絡ください。これからの放射線医学を担う若い人たちとの交流を楽しみにしています。